生命ピラミッドの頂点で

高校野球記念日、猛暑の特異日、米の日
豊臣秀吉没(1598年)
第1回全国中等学校優勝野球大会開催(1915年)


「わたしには6人の正直な下僕がいる
(彼らはわたしにあらゆる事を教えてくれた)
下僕たちの名前はなに、なぜ、いつ、どうして、どこで、だれ。
               ---------- ラドヤード・キプリング


そして私は、せっかくの彼らを使いこなせず、下僕とはとても呼べません……(思いっきりため息)

* * * * *

【映画】
b0059565_1253375.jpg
フローズンヨーグルトで涼んだ後、4人で映画「WALL-E」を観に行って来ました。
公開から1ヶ月以上たってしまったのは、うちの予定に友人母子が合わせてくれたから。ううう、申し訳なかったです……!

しかしその間、この映画の評判は幾つか耳にしましたが、どれも大変好意的で。おかげで、行く気度充填150%。
Pixerへの信頼感も手伝って、張り切って映画館に乗り込んだのでありました。




舞台は2815年、ゴミと汚染で荒廃しきった地球。リサイクルロボット・WALL-E(Waste Allocation Load Lifter Earth-Class)の大群に後を託し、人類は宇宙船で一旦脱出し、再び居住可能になった地球に戻る日を夢見ながら、宇宙に漂いつつ待っている。
ところが人類が知る手立てもないまま、計画は失敗。今ではたった一台のロボットが残り、700年もの間、せっせと毎日ゴミ処理にあたっている。
しかし長い年月をかけた結果、”感情”らしきものが芽生えたWALL-E。ゴミ収集の際に、興味深いガラクタを集めたり、「Hello, Dolly!」のビデオを楽しんだり。中でも、手と手を取り合うシーンは、彼の最も憧れるところ。
ある日ウォーリーが見つけたのは、植物の芽が生えた土が埋まっている古靴。時を置かず、突如巨大な宇宙船がやってくる。降り立ったのは、一体の女性型ロボット・EVE。
一目ぼれしたウォーリーは、何とか彼女の注意を引こうとあれこれするのだが、彼女には、人類が乗っている宇宙船の一つ・Axiomからの、重大な使命があったのだ。


映画の前半部は、登場キャラがウォーリーとイヴ、そしてウォーリーのペットのゴキブリ(涙)のみ。なので、ほとんどサイレント映画です。英語がわからない!という苦痛がないのです。(ちょー低レベルの歓喜)
ロボットキャラのパントマイムを鑑賞しながら、チャップリンの映画の後がこれとは偶然だなー、と思っていたら、なんとピクサー、チャップリンの映画を大いに参考にしたそうで。さすが不朽の名優ですな。

従って、前半で聞こえる音声は、BGMと、ウォーリーとイヴの互いへの呼びかけ、そして意味を成さない機械音。
しかし、たったこれだけで、彼らの”感情”が、何と豊かに表現されていることか。
ウォーリーがガラクタに抱く”好奇心”、イヴが降り立った時の”衝撃”、イヴに募らせる”思慕”、彼女を喜ばせたいという”願望”……700年、という気の遠くなる年月をかけて、小さなロボット一体が抱くようになったものの全てが、余すところなく表現されています。

彼女に見せたウォーリーの数々の宝物のうちの、植物の芽。これを見た途端に、イヴは自分の内部に取り込み、「使命」の為に直ちに宇宙船に帰還します。そして密航(……)したウォーリー。
ここから初めてこの映画上で、未来の「人類」が登場するわけですが。その変わり果てた姿に、しばし言葉を失うこと数秒間。

宇宙空間での、何でもかんでも機械がやってくれるという生活。それが人類にもたらした変化は、骨と筋肉が著しく減少し、ぶよぶよに肥満し、自力で起き上がることすらできない、というもの。そうだなあ、一言で言えば、巨大なデブクラゲ、って感じ?(語尾上げ)
未来の人類を描いた映画は沢山ありますが、さすがCGは容赦なく。コミカルな姿であるのに、妙にぞっとするリアリティー。

イヴが持ち帰った植物を見て、狂喜する船長のMcCrea。これぞ、再び綺麗になった地球に帰還できる、という印であるからです。
しかしなぜか、船を取り仕切るメインコンピューター・Autoの、徹底的な妨害が始まります。
植物を持ったまま、廃棄されようとするイヴを、必死で助けるウォーリー。傷ついたウォーリーを、必死で救おうとするイヴと他のロボット仲間達。

サイレントが半分以上を占める映画ですが、音楽が大変効果的に使われており。
ルイ・アームストロング(大好き!)の「La vie en rose」、「ハロー、ドーリー!」から「Put on Your Sunday Clothes」
そしてピクサーらしく、パロディや遊びもちらほらと。
中でもオオウケしたのが、船長とAutoの戦いのシーン。誰にでもわかる彼の名画の、上出来パロディとなっています。


リサイクルできないゴミだらけの地球。汚染されて死にかけた地球。そして機械のもたらす便利さに依存しきって、肥満化して動けなくなった人類。
「WALL-E」が我々に投げかけるメッセージは、子供にさえも通じるほど、とてもシンプルで明確です。

地球温暖化への警鐘が鳴らされて数年、いまだ人類はその対策の入口を、ようやく潜り抜ける努力を始めたところに過ぎません。
それは、地球規模で考えることができない、国という名の大義名分と欲望を、断ち切ることが困難であるから。
先進国が文明の進化を推し進めた結果、そして後進国が続いた結果。便利さ・手軽さが生み出した利益に対して、鏡のごとく寄り添う依存と短気、狭窄な視野。
加えて、先進国に蔓延しつつある肥満・生活習慣病も、確かに聞こえる警告にも関わらず、右上がりのカーブに歯止めがかからず。

この映画で描かれた人類の姿を見た時に、一瞬、背筋が寒くなるほどのリアリティーを感じた理由は、米国という地に居て、こうなる可能性の大きさを日々実感しているから、に他ならないのです。


そんな大きな悲しみが過ぎる状況で。700年前に生まれた、古い古い一体のロボットの。
宇宙船に住む人類が、遥か彼方に忘れ去った、純粋な”感情”はどうでしょう。

面白い、楽しい、欲しい、寂しい、愛しい、………
汚いから、働いてきれいにする。面白いから、集める。愛しいから、守りたい。
過保護・過欲求・栄養過多の道を歩む人類が、彼から学ぶものはないでしょうか。


ウォーリーとイヴが、互いに呼び合う時の声が大好きです。
「イー・ヴァ?」 「ウォーリー!」
真っ直ぐにまっしぐらに、籠めるものは、相手への切ないばかりの愛おしさ。
ようやく握り合えた手と手の、ありえないはずのぬくもりまで伝わるようで。


声優陣では、シガニー・ウィーバーが出演しているところに注目。「エイリアン」ファンは、必見ならぬ必聴モノ。
SFであり、環境問題の提唱であり、未来への警告であり、心温まるラブストーリー。
映画ってほんとに素敵だね。そんな言葉がふさわしい、出色のエンターテイメント作品です。
[PR]
by senrufan | 2008-08-18 12:49 | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : https://senrufan.exblog.jp/tb/9330211
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2008-08-20 15:02
あぁぁ、、、観たいので、ネタばれは観終わった後で再訪させていただきます・・・・(涙)というわけで、つぶろぐコメントで。長いもと青菜のスープって魅力的ですね。長いもは摩り下ろして最後に加える感じでしょうか。うーらさんのゴーヤ丸ごとすりおろしスープも気になっているところです。高野豆腐でそぼろっていうのも素敵なアイディアですねー。お料理経験値の高いMiyukiさんの知識をレシピ本にしたいです。
Commented by rogi at 2008-08-21 02:50 x
初カキコミさせていただきます、友人母子の母です!この夏は楽しいイベントにご一緒させてもらい、本当に感謝。特に、よい映画を母子4人で並んで観ることができて幸せでした。だんだんと同じ目線で映画を語れるようになってきた娘達の成長も嬉しいね。映画の知識も豊かなMiyukiさん、これからも素敵な映画、紹介してください。で、また一緒に観ましょう!
Commented by Miyuki at 2008-08-21 09:29 x
*shinaさん
あはは、映画を観ていただければ、こんな感想を読む必要はないので! ぜひ見てみてください、私はとっても気に入りました♪
長芋と青菜のスープは、まずは薄切り玉ねぎと薄切り長芋、ざく切りケールを炒めて、水で柔らかくなるまで煮て、その後ミキサーなどでポタージュ状に。鍋に戻して温めて、塩・胡椒などで味付けしました。あ、何度も言ってますが、私が作るものは全て、うーらさん始め、いろんな方のレシピを参考にしているだけなので! 私オリジナルの本など出せるわけがないのです、あっはっはー(いばるな)
Commented by Miyuki at 2008-08-21 09:32 x
*rogiさん
わーっ、いらっしゃいませーっ!!(抱きつき攻撃!) こちらこそ、色々お付き合いいただいて、娘共々愉快な夏を過ごさせていただきましたvv ほんと、ティーンになって一緒に遊べるようになったので、こおゆう機会がとても楽しくなってきたよね~。映画だけでなく、これからもどうぞ沢山お付き合いのほど、よろしくお願い致します~♪
Commented by マミィ at 2008-08-21 14:07 x
あ、これ、これでしたか!えぇ、私も予告編を観て面白そうだなぁと思っておりました。そのうち怪獣たちと観に行くと思うので、私も今回はあえてじっくりとは読まずにがまん。観た後にもう一度お邪魔します。

私が思っていたのは「悪い男」・・・じゃない、「こうもり男」の方でありました。「な~んだ、あんなのぉ?」と笑われてしまうかな~。

「20世紀少年」良かったですよ~ものすごく!それでね、来たのがね、唐沢くんでしたよ、唐沢くん!常盤貴子と二人で、フランス観客たちの乗りの良さに歓喜&呆然としていました。また日記にて!
Commented by Miyuki at 2008-08-22 09:58 x
*マミィさん
うん、私も姉さまはきっとコーモリのことをおっしゃってるんだろうなあ、と思ってたですよ~。そちらもとっても観たいのですが、これはお嬢が付き合ってくれないんですわ(涙) なので、いずれDVD鑑賞の予定です。こちらではコーモリ新作、すんごく評判いいですよ~。長すぎるのが玉に瑕、とか。
お嬢様方、「WALL-E」気に入ってくれるといいなー! 私はこれでますますピクサーファンvv

えーっ、生唐沢ですとーーっっ!? しかも貴子ちゃんまでとわ、さすがパリでのプロモーション! リキ入りまくりじゃないですかー。行った甲斐がありましたね! 日記、わくわくしながらお待ちしておりまする~♪


<< 聞こえる音色は違えども 夏こそものの冷たけれ >>