Turning Point

七夕(七夕の節句)、ギフトの日、川の日
アーサー・コナン・ドイル没(1930年)
日中戦争の発端となる廬溝橋事件(1937年)

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【家庭内事情】
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また今年も、七夕の日が来たね。
七夕というと、前にお嬢が書いた短冊から、いつもあなたを思い出すよ。といっても、勿論1年に1回なんてどころか、少なくとも2日に1回以上だけどね(笑)



さて、ようやくお嬢の成績表が手元にそろったので、今年の彼女について報告させてもらうね。
レギュラークラスの成績表はすぐ来たんだけど、特別クラスの方は内容がすごく細かくて、来るのに時間がかかるんだ。その分、内容が濃いのがありがたい。
この1年で、彼女は随分と変わってきたから、今年の成績表は楽しみ、というか、どきどきしながら待ってたの。


お嬢はとにかくグループワークが苦手、といつも愚痴らせてもらってたよね。

グループでやるわけだから、中には当然、不真面目な子もいるわけで。
基本がクソ真面目な堅物であるお嬢には、どうしてもその手の子が許せない上、更に態度に出してしまうもんだから、いつも諍いが絶えなくて。家でも「アンフェアで許せない!」と怒り、愚痴り、私がいくら、人には人のペースとやり方があるのだと言い聞かせても、「悪いものは悪い」と、頑として聞き入れることがなかったんだよね。

しかし先生から見れば、そういう子を受け入れられないお嬢も悪い、ということになって、同様に注意を与えるから、それが彼女の悔しさを倍増させることになってさ。
本人が真面目に取り組む分、そして彼女が「正論」である分、その悔しさは相当のものだとは思う。
けど、私は先生に賛同するので、かわいそうだと同情しつつも、決して手放しで彼女に味方することはしないから、それがまたあの子を怒らせて。ほんとはいっぱい、「そうだよね! 許せないよね!」と言ってほしいのは、痛いほどわかるけど。

正義が正義で通じるのは、絵本の時代だけ。口にするのも悲しいけれど、その壁こそが、ずっと彼女が戦ってきたものだったよ。


ミドルスクールに入るに当って、すっごく迷ったのが、特別クラスに入るかどうか、という選択でね。
入れば確実に宿題は倍となる上に、このクラスはグループによる体験学習をメインと謳う内容で、正にお嬢の鬼門中の鬼門。

数ヶ月悩んだ末に、彼女は敢えて、このクラスに入ることを選んだんだ。
理由は、クラスの課題自体にとても興味があることは勿論だけど、グループワークが苦手という自分の欠点を、このクラスを通じて直していきたいから、と言ったんだ。
親として、不安はなかったといったら嘘になるけれど。彼女の意志を尊重したかったので、まずは一年、という気持ちで後押ししたんだよ。

それが、まさか3年間も続くとは、ほんとに夢にも思ってなかったなあ。


この特別クラス、内容だけじゃなくて、さっきも話したように、成績表まで独自のやり方でね。
レギュラー科目ではABC方式で成績が付くんだけど。このクラスではRUBRIC方式、というのを採っていて、一科目内を更に細かく分けて、それぞれを5段階で評価するの。20以上あるプロジェクトの1つずつまで。
加えて全体を通じて、学習態度・他の生徒への態度・課題全般への取り組みなどに関しても、個別の評価とコメントが付く、という、すごく先生の手間がかかるやり方さ。

案の定、6年生の時から、彼女の成績内で最低評価だったのは、「グループワーク」の項目でさあ……
「努力はしているが、まだ改善できる」といった感じで、学年レベルには達していたけれど、その上になかなかいけなかったんだよね。

それが、少しずつ、少しずつ上がってきて。
とうとう今年の総まとめ評価では、最高点をもらうことができたんだよ。


この特別クラスには、元々結構個性的な子が集まってたんだけど、8年生になって加わった子達が、また一段と、といった感じでね。
先生方も随分と手を焼いていて、キレることも度々。「こんなクラスは見たことない」って愚痴ってたもんね。おいおい、先生が言っちゃいかんだろう(苦笑)

意外だったのが、これがお嬢にもたらしたストレスの大きさ。7年生まではすごく楽しくやってたから、そんな予想はしてなくてさ。仲良しグループのメンバーは健在だったし。
そしたら、数人の新しい子達のせいだけじゃなくて、その仲間達の変化も辛かったらしい、んだな。

みんな思春期に入って、例えば気分ムラが激しくなったり、色々と依存されるようになったり。受けとるお嬢自身の変化もあっただろうし。
あとさ、なんというか、ちょうど性の目覚めの時期でもあるじゃない? そのホルモンのイタズラが関係したことが、一番イヤだったみたい。
何かもう、ニガワライとしか言いようがないんだが、これで女子はオタクに走り、男子はモロその手の話題を堂々と、もしくはゲイゴッコに萌えている、というのがランチタイムの風景だったんだってさー! いやはや、なんとも大変だあ。

と、私は笑っちゃうようなことが、その真っ只中の彼女にはたまったもんじゃなかったらしく。変わらず、そのグループに属してはいるけれど、実際は微妙に距離を置く、というかね。
他のクラスの仲良しさんも数人いたけれど、元々一匹狼気質のヤツだから、べったり密な関係にはなれなかったんだなー。

ぽろっ、ぽろっ、とこの辺りの事情をあの子が私に打ち明けるたび、かわいそうなヤツだなあ、とため息をついてたよ。
んなもん、笑い飛ばして流しちゃうか、一緒になってバカやってればいいじゃん、って思うのに。それができるのが今なんだよ、と思うのに。
どうしても自分が崩せない。それは先生の目から見たら、「他の子より数段成熟している」と映り、私の目には、「柔軟性と楽観性がない」と映るんだ。

ともかく、彼女がグループワークにのぞむにあたって、他のメンバーはこんな感じだったから、そりゃもう、家でも愚痴はたあんと聞いたもんさー。誰よりも勝気なヤツが、愚痴りながら、こらえきれずに泣いたこともあったもんなー。

だから成績表でもらったグループワークへの評価は、Honor Studentより、よっぽど価値があった、と思うんだよ。


そしてこの一年は彼女が、自分がずっと凡才でいくこと、を自覚した年でもあったね。
世の中には、はっきりと天賦の才を持つ人達がいて、自分はそこには含まれない、ということを。
まだ、完全にふっきるにはいたってないようだけど。

大抵の人が通らなくてはならないポイントとはいえ、やっぱり寂しいよねえ、これって。
もう、子供らしい”大言壮語”を聞くこともないんだなあ。
水泳で北島康介に勝つんだ、と言うこともないんだなあ。


成績表の各項目ごとに細かくつけられた先生のコメントには、色々と勇気付けられたよ。お世辞入ってるだろう、とは思っているけど、信じたい(笑)
「チームメイトとしても、リーダーとしても、クラスにとって不可欠な存在」
「静かな、しかし強い存在感」
「人の為に立ち上がることができ、学習環境に常に配慮を忘れない」

と同時に、さすが、と思うアドバイスもあって。
「勉強をストレスではなく、遊びとしてこなしてほしい。バランスが難しいところだけど、その時間だけの価値があるから」
「自分に対してネガティブなイメージを持つことから、距離を置きなさい」……


母親の私からしてみれば。
あの子はもっともっと、にぎやかで、おしゃべりで、甘ったれで、毒舌で。
我が強くて、とにかく頑固で、間違っていると思うことには、真正面からぶつかっていくような子で。
静かな、なんてとんでもない。そんな風に見せかける必要も感じない。
欠点はいまだに数え切れないほどだけど、それでもありのままの彼女であって。

それを外に対して隠すことをも、成長と呼ばなければならないのかもしれないけれど。
どこか、ほんの数箇所でいいから、そのままのあの子でいられる場所があってほしいなあ、と。
なんの背伸びも気負いもいらない、そんな場所があってほしい。
母親があまりに至らなさすぎて、その場所の一つになりえている自信がないのが、本当に申し訳ないと思っているけれど。


あの頃、ひどいアレルギーに悩まされていたあなたを思って、あの子は日本語学校の七夕の短冊に、「アレルギーがよくなりますように」と書いたよね。
あの時のあの子供が、どうかまだ彼女の芯にいてくれるように、と。
どんな喜びも後悔も。捨てることなく、否定することなく、ずっと積み重ねていきながら。
私達の大事な子供達。大きく、大きくなっていって欲しいよね。
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by senrufan | 2008-07-07 08:27 | Trackback | Comments(12)
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Commented at 2008-07-10 14:52
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by マミィ at 2008-07-10 16:51 x
冒頭の素朴で大らかなマグカップの写真。お家では安心して背伸びせずそのままの姿でいる、そんなお嬢さんを思わせますぞよ。もちろんこれは彼女の作品なのでしょうね。

もっともっと書きたいことは山盛りなのだけれど、心にじ~んと染みてこれ以上かけなくなってしまった朝。
Commented at 2008-07-11 07:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Alice at 2008-07-11 10:16 x
思わず涙が出てしまいました。 仕事場なのに!

母の愛の偉大さを感じて心があたたかくなりました。 ありがとうございました。
Commented by senrufan at 2008-07-11 12:15
*非公開コメント様
共感していただいた、というお言葉、とても嬉しく思いました。でもその背景には、そんな辛い経験があったのですね~……何もできないまでも、せめてその時に遡って、ぎゅっ、とハグさせてほしい気持ちに駆られました。というのは、私も同様の経験がありまして。謙虚と言っていただけたのは恐縮ですが、実はその経験がトラウマになって、のことなのです。その分、娘には同じ経験をさせたくなくて、その点については人以上に厳しく躾けてしまった面があり。結果、彼女が自分を卑下しがちな子になってしまったと、今でもとても申し訳なく思っているのです。
米国の良い点は、ある子が数人から嫌われたとしても、それがかくたる理由もなく集団化することは滅多にないこと、ある子と合わなくても、他にあう子がいること、で、基本的に受け入れ素地が広いことですね。おかげで娘も、悩みながらも、自分を保ち続けることができています。
いろんな経験を重ねて、今の素敵な貴女になった鍵コメさん。きっとこれからも、ますます素敵になられること、間違いなしですvv
Commented by senrufan at 2008-07-11 12:18
*マミィさん
はい、そうです、これが例の、プロジェクト発表に間に合わなかったカップです~。アーティストの姉さまに勿体無いお言葉をかけていただいて、娘の分まで感動ですうううう(うるうる)

うふふ、では今度、またじっくり語り合いましょ~。夏が終わったら!
Commented by senrufan at 2008-07-11 12:24
*非公開コメント様
初めまして! そして温かいお言葉に、すっかり感動してしまいました。勿体無い限りです、本当にありがとうございます~!
娘の大先輩でいらっしゃるのですね。彼女もこの8月末から、そこの高校なのです。在籍されていた頃は、今よりずっとレベルが高かった時だと思いますので、その中でサバイバルされたこと、すばらしいと思うと同時に、本当にがんばられた結果、と憧れます。いただいたお言葉の通り、せめてこの夏休みの間は、本人の好きなように過ごさせてやりたいと考えております。私の忍耐修行も兼ねまして(笑)
重ねて、ありがとうございました。どうかまたお会いできますように♪
Commented by senrufan at 2008-07-11 12:25
*Aliceさん
うわあ、すみません、お仕事中に~!(わたわた)
でもでも、私の方がうるうるっ、となってしまいました。優しいお言葉、本当に嬉しいです、ありがとうございます~vv
Commented by frogfreak at 2008-07-12 05:37
いつもMIYUKIさんのお嬢様に関する記事には心がじーーーんときます。
私自身の思春期も思い返せば複雑だったな。そんな私を見て親はどんなことを思っていたのでしょうか?
私って、変わった子でした。でも私立に通っていたせいもあって以外とのびのびできたなぁ。あれで公立の中学校とかだったら周りにいじめられていたかもしれない。親に感謝しなきゃ。
うちのチビはこれからどんな娘になっていくのかな・・・。
Commented by Miyuki at 2008-07-12 09:36 x
*frogfreakさん
本人が読んだら、怒りそうなことばかり書いてます~。
親になってわかる、自分の親の偉大さですよね。私も、今になって色々と母に、「あの時はどんな風に思ってた?」と聞くことが増えました。こんな風にあれこれ話せることがまた増えたのも、母と娘がいてくれたから、と思って感謝ばかりです。
良い学校を選ばれたのですね~♪ ベビちゃんの将来? それは美人さんに決まってます。(きっぱり) ベビちゃんもお母さん同様、いい学校に巡り会えますように!
Commented by peartree22 at 2008-07-14 14:01
前回、お嬢さんの特別クラスの発表の裏に、そんなお嬢さんの決意があったとは。成長するうえで、人と折り合いをつけていくという術は社会に出る上で重要なスキルではあると思いますが、それとともにお嬢さんの個性が失われるのもまた残念なわけで、見守るMiyukiさんとしてはどんなにか内心いろいろ葛藤があったことでしょうね。
Miyukiさんの日記を読んで、果たして将来自分が娘に対してMiyukiさんのようにある時は厳しく、またある時は温かくと緩急交えて上手く導けるかどうか。お嬢さんがおうちに帰っていろいろ話すということが、母娘の関係が上手くいっている証拠ですよね。聞き上手な母親になりたいと思いますが、それが私の一番の不得意分野かも・・・。
お嬢さんの作品、口がとても薄くて繊細なところがお嬢さんの繊細さをあらわしているようですね。もしよければ、お猪口またはビアグラスを作っていただきたい。お酒を飲むにはこれくらいの薄さが好みなのです・・・(笑)。
Commented by Miyuki at 2008-07-15 12:17 x
*ちゃんさま
はい、葛藤に次ぐ葛藤です(笑) ほんとに悪なものなら、どんどん摘みたいところですが、なまじそうは言えないものだけにねえ……
いやいや、ちゃんさまなら私の一万倍は良いお母さんになられますぞ!(保証) 私こそ、「意見を押し付ける」「プレッシャーをかける」と、いつも彼女に言われてます。2人きりなので、どうしても関係が密にならざるをえなくて、お互いの存在が大きくなりすぎるところがあって。間に父親か祖父母がいてくれたら、だいぶ違うと思うんですが。(ため息)
いつか彼女がちゃんと陶芸を習えたら、ぜひお猪口を作らせてやって下さい♪


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