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期間限定だからが故に

のど自慢の日、家庭消火器点検の日
空海が東寺を与えられ、教王護国寺と名づける(823年)
日米新安保条約・行政協定が調印される(1960年)


しばらく前からおじゃまするようになったとあるブログさんで、こんな主旨の記事を読みました。
「アメリカ人とイギリス人に味オンチが多いのは、だしを使わずに素材そのものに塩、胡椒、バターなどで味付けするという方式で育っているから、味の深みを知らない大人になったせい。
逆に料理が美味しいと言われる国、例えばフランス・イタリア・中国・ベトナムなどは、動物性のだしが発達している国である」

だし、という観点から見ることなど考えもつかなかったので(無知過ぎ)、なるほどなあ、と膝ポンであったわけです。

しかしその分、我々の舌の方が、もしかして調味料で鈍化しているのかもしれないし。実際、中華料理のMSGは有名ですな。
アメリカ人は素材の味がわかるからこそ、有機栽培に熱心になり、ひいてはカリフォルニア料理を生み出すことになったのかもしれませんしねえ。

現在、世界各国で人気が高まっている和食はというと、植物性のだし(昆布、しいたけ)、魚介類のだしがメインなわけで。よって和食が人気ということは、この手のだしも、同時に市民権を得ていくのでありましょうかね。


なんにせよ、子供の頃からの刷り込みというものは大きいので。
繊細な味がわかる子になればいいなあ、と願いつつ、今日もほとんど味なしのものを食べている母子がここにいます。

* * * * *

【料理】
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日本で仕入れて、またまた増やしたレシピ本コレクション。あれもこれもそれも、眺めているだけで至福状態。

そう思っているのは私だけでなく、お嬢も彼女なりに眼福状態。キッチンに行っては飽きもせずにあれこれ眺めて、果ては自分の部屋に持ち込んでまで読んでいる。
そして私の元にやってきては、「これ作って!」「これ美味しそう~」などと言ってくる。



帰国早々に彼女にリクエストされたのは、西邨まゆみさんのレシピブック
マクロビを実践している(すでに過去形?)マドンナのプライベートシェフをつとめておられる方で、「世界一の美肌をつくる」という煽り文句付で、このレシピブックを出されたのだな。
10日間・毎日3食の献立とレシピが、見た目にも美しく載っているんだよ。
以前に立ち読みした時、迷ったけど買わなくて。でも今回たまたまブック○フで見つけちゃって、これは買ってもいいだろうと、今度は迷わず購入したさ。

どれも美味しそうだから、絶対このままやって! お願い! と、お嬢があまりに強く主張するので。
もしかして、君もとうとう女の子らしさに目覚めたか?(だって美肌レシピ)と聞いてみたら、すさまじくイヤーーな顔をされてしまったさ……わかってます、んなこと聞いたアタシがバカでした……

でも日本で、今までとは違うモードに入った身体をリセットしたいし、これはちょうどいいかもね。
旦那がいたらできないけど、またまた本宅(=日本)に行ってるし、戻ってくるまでの10日間、本の導くままにやってみることにしたんだよ。

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これがすんごく楽だった。
なんせ献立考えなくていいし、材料の使いまわしや残り物のアレンジもちゃんと考慮されててね。
朝起きて、朝食と昼食とぱぱっと作って、朝ご飯とお嬢のお弁当いっちょ上がり。買い物もほとんどしなくてすんで、家計にも優しいレシピぞろい。

それもそのはずなんだよなあ。
だってね、例えば、
「プレストサラダ」
  刻んだ野菜に塩をまぶして重しをして30分置く。だけ

「スチームドベジタブル」
  旬の野菜を蒸す。だけ

「ボイルドベジタブル」
  旬の野菜をさっと茹でる。だけ

これだけで一品出来上がりなんて、とってもありがたいじゃないか!(大ウケ)
勿論、これに色々と手作りドレッシングを添えたりするようになってるんだけど、お嬢も私も今やドレッシングがない方が好きなので、そのままで終わり、なんだよな。
日本のマクロビレシピだと、さすがに醤油や胡麻を加えたり、ぐらいはあるのに、すごいなあ、欧米向けマクロビ。所変わればメニューも変わる。なるほどねえ、って感じだよ。

マクロビというと、「材料が複雑」「手順が大変」というイメージを持つ人が多いけど。そういう人がこの本を試してみたら、考え変わるかもしれないな。
調味料もほんの少量。塩、胡椒、味噌、醤油をちょこっとだけ。あとは昆布を入れるぐらい。
だから「手間はかからない」けど、その分「……味がない」と思われるかも、という不安もあるのだけどね。


10日間毎日、「今日は何?」と2人でずっとわくわくできて、楽しかった・美味しかった・やってよかった。おかげで洋風マクロビのレパートリー(しかも簡単・手軽)(最重要)が増えたしね。
何より、朝食メニューのバリエが増えた。これからは朝、さっと野菜を茹でたり蒸したりして、もう一品加えよう。しかも調味料なしで。あ、良い子は真似しちゃいけません(ええっ)

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旦那が帰ってくる今日が最後。ラストディナーはこんなもの。
・白いんげん豆&ベジタブルスープ
・ボイルドベジタブル&グリーンサラダ
・ドライトマト&バジルのパスタ
野菜沢山、素材の味いっぱいの、楽しい締めくくりとなったのさ。

* * * * *

【家庭内事情】
お嬢の望み通りの10日間で、本人も喜んでいたんだが。
後半になるにつれ、彼女の中でじわじわと湧き上がってきた、あるものに対する欲求。それを「食べたい」という欲望は、数日間彼女を苦しめた。

別にメニューにないものを食べたっていいんだ、と口を酸っぱくして何度も言ったものの、「決めたんだからいいの!」と、頑固一徹な彼女は頑として妥協しようとせず。
どうしてその根性が別なものに向けられないのか、親として大層腹立たしい。

それでも抑え難いその食欲を、せめて本を見て紛らわそうとする彼女。
ああこれ美味しそう、これも食べたい、うわあこれこれ、噛みしめると美味しいんだよねえ……
目はすでにどこかにイッちゃってます状態で、彼女が手から離さなかったのは、

日本で買ってきた、「パンの図鑑」であったのだ。


西邨さんのメニューに従うと、3食×10日間で、パンが出たのは2回だけ。パン大好きなお嬢にとっては、ここだけが唯一悲しいとこで。
別に献立以外のものは食べるな、なんてどこにも書いてないし、お薦めスイーツものってるぐらいなんだから、おやつに食べたっていいものを。
そこが融通利かないこと石のごとしの彼女は、意地になって食べようとしなかったんだな。
結果、パンの本を眺めてはあっちの世界に旅立つという、禁断症状を見せたのだった。はい、ここは笑うところです。


繰り返しになるけれど、私は立派なマクロビアンになる気は欠片もなくて。ずっとこのまま都合の良いとこ取りの、ゆるゆるマクロビでいくつもりなんである。

宗教にしたって食にしたって、”盲信”・”絶対視”することは、危険と紙一重の領域に入ることであると思ってて。
まずは良く考えて、いろんな方向から眺めて、沢山の賛否意見を受け入れて。それからようやく選んだものでも、必ず適度な距離を置く。
できたら、そんな姿勢であってほしい。年齢ゆえと思いたい、一途になりがちな今の彼女を見ているからこそ、余計に願ってしまうのだよね。
これだけ生きてても、この理想の数十分の一しかできてないアタシが言うんだから、説得力ないことこの上なくて、そこは申し訳ないんだが。

マクロビ食を好きになるにつれ、雑学好きな彼女はどんどんと栄養知識を蓄え、料理に興味を持ち、運動に熱意を燃やし、今や健康オタクの卵っぽく。それは、久々に彼女と会った実家の両親も驚いたほど。
元々、将来はカフェをやりたい、という夢もあったので、今ではそっちに向かってまっしぐらの彼女を見ながら、大人の我々が抱くのは、残念ながら不安混じりの複雑な気持ちであり。
どうか余裕を持って、いろんな体験をして、過剰にのめりこむことのないように。我が子を千尋の谷から落としまくりの鬼母でも、そんなことを祈るんだ。


明日の日曜はお嬢と一緒に、朝から地元のファーマーズマーケットに行くんだよ。
ドイツ系のパン屋さんで、待望のライ麦パンを買って、ベーグルショップでベーグルを買い込むよ。
そして10日ぶりのパンを、じっくり噛みしめながら、満腹になるまで食べようね。
by senrufan | 2008-01-19 14:05


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