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私と私が重なる世界

Victory Day (Bangladesh)
National Day (Bahrain)
Las Posadas (Mexico)
Day of Reconciliation (South Africa)


先日見かけた、車のナンバープレートフレーム。
「My Girls are Golden」

これを見て思い出したのは、なぜか万葉集の短歌だったり、
  「銀も金も玉も何せむに、優れる宝子にしかめやも」(山上憶良)

マイダス王の伝説だったり。
  「彼が娘に触れた途端に、黄金に変わってしまった」

子供は、この世で一番貴い宝物。



なんて、起きてる時間の99%は、欠片も思ってやしませんぜ。(けっ)

* * * * *

【映画】
私と私が重なる世界_b0059565_13165992.jpg映画「The Golden Compass」を観に行って来ました。
断然原作派のお嬢と私にしては珍しく、原作を読まないままで、先に映画の鑑賞です。そして後で悔いることを、人は後悔と呼ぶのです……




この世は、無数の平行世界(パラレル・ワールド)で成り立っていて。舞台となる別世界のイギリスでは、人々は皆、Daemonと呼ばれる、自分の魂の分身である精霊と共に生活し、また魔女や話す動物が、当たり前に共存している世界である。
両親をなくし、オックスフォード大学の寮で暮らす12歳の少女、Lyra。叔父のLord Asrielから手渡されたalethiometerを手に、Mrs. Coulterと共に北に向かって旅立つが、その間に親友のRogerとBillyが、the Gobblersという名の、謎の組織にさらわれてしまう。
コールター夫人とゴブラーとの繋がりを知ったライラは逃げ出し、Gyptians族の助けを、そして、「読み手を真実に導く」コンパスの教えを得ながら、ゴブラー達に立ち向かっていく。


この原作と作者のフィリップ・ブルマン、実は大変有名だったらしく、本作でカーネギー賞も受賞してるんですな。お嬢も他の作品は読んでいて、私に「知らないの!?」とぬかしやがりました。おお、知らなかったともさ。(開き直り)

それだけ有名な児童向けファンタジーの映画化、となると、ぱっと比較対照で浮かぶのが、やはり「ハリー・ポッター」なわけですが。
ハリポタはあまりに削りに削って作ってる分、真剣に「原作読んでないとわからない!」映画でしたが、この「黄金の羅針盤」の方が、未読でもそれなりに輪郭や設定がつかめるように作ってあり、何とかかんとかついていくことができました。
でもここでもまたまた、立派なブリティッシュ・イングリッシュに泣かされまくりましたがな……(ハンカチを噛む)

しかし映像の見事さは、本当に一見の価値ありありで。ここのところ、新作映画全てにそう言ってる気がするので、ただ私の中のレベルが旧態依然のままなのかもしれませんが、それでもやはり大したもので。
ダイモンという魂の一部は、様々な動物の姿をとって、マスターと共に行動するわけなんですが。映画では、これらが全てCGなわけですよね。それがどの動物も「本物?」と思うほど、動きも表情も大変自然で、ヘタな動物園に行くより楽しめます。
特に脇役の一人(一頭)として大活躍の、Byrnisonを始めとするice bear達は、身に付けた鎧のパーツの一つまで、隙がないほどのナチュラルさ。


さて、肝心のストーリーと言えば、まずは設定が大変面白い。と、世界に名高い原作物に対して何言ってんだ、ってなもんですが。
例えばこのダイモンという存在。マスターが子供の間は、ダイモンも自由に姿を変えられるのですが、大人になるとできなくなる、ということになってまして。
更に、アスリエル卿が調査を進めるDustというもの。今ひとつ理解が悪いのですが、どうやら「反抗心」「不服従」などの意識が粒子状になって、目に見えるようになったものではないか、などと思っており。
これらを統制しようとするのが、こちらの世界の教会ととても良く似た形態をとる、the Magisteriumという組織であるのですな。
原作がどういう謳い文句で世に通っているのかは無知ですが、ここの辺りが、児童書というより、実はとても大人向けなのではないか、と思わせられるのです。

帰宅後に色々検索してみたところ、どうやら作者のブルマンは、こんな設定や言動により、キリスト教会から相当な非難を受けている、とのこと。ハリポタでもそうですが、無神論を助長させようとしているとか、魂の堕落を奨励しているとかのアレですアレ。まあ、いつものことでありますな。(おい)

それはさておき、ライラという主人公は12歳の少女であり、彼女の成長物語という側面も勿論大きいのですが。大人側の権謀術策、部族や組織の利害や対立、そんな面も大きい比重を占めているので、観る人それぞれが、自分が惹かれる部分に感情移入し、各々の立場で楽しめる。そんな作品ではないかと思います。
ちなみにお嬢は、ライラには結構反発も覚えたようで。非常に頑固で我が強い彼女に対して、それは同族嫌悪であろうというのが、親側の意見でございますがね。


俳優陣としては、とにかく彼女ですよ彼女。麗しのニコール・キッドマン。
コールター夫人という悪役を演じてるのですが、もーー、何をやってもどう動いても動かなくても、とにかくなんでああも美しいのでしょうかっ! 彼女がそこに立っている、それだけで私はご飯が三杯。
悪役としても、一人の保護者としても、決して美しいだけでない何かを提示しては、私を魅了してくれました。しかし、英語も米語も話せるっていいなあ。

ライラを演じるのは、新人のダコタ・ブルー・リチャーズ。まだ拙い演技でありましたが、彼女の目の表情がとても良く。特に何かを決意した時の目の力強さは、セリフがいらないほど。
アスリエル卿のダニエル・クレイグ、彼は現ジェームズ・ボンドでしたっけ。ちょっと軽めに感じたのですが、物語の主人公格の一角を担う役柄、これからが期待です。
魔女のSerafina(セラフィナ)は、私が好きなエヴァ・グリーン。ボンド・ガールの一人でもありますが(…)、魔女としての愛情の深さや、戦いのシーンでの勇ましさ、手を握って応援してしまう美しさ。
サム・エリオットも、渋い飛行機乗りのLee Scoresby(リー・スコーズビー)として、ふさふさの口ひげと共に、大変良い味わいです。

他にもクリストファー・リーやクレア・ヒギンズ、声優としてキャシー・ベイツ、イアン・マッケランなど、有名どころがずらりと揃って、別世界の冒険を大いに盛り上げてくれています。


ところで、原作を読んでおられた方はそれほどでもなかったかもしれませんが、未読の私らが知らなかったこと。それはこの物語は、三部作という続き物であったことでございます。
ラストシーンまでいってから、「To be continued」というのが判明して愕然。他にもそういう人達がいたようで、「No---!!」という叫びも聞きました。

まあ二作目についても、着々と製作が進んでいる様子なので、これはもう我慢、我慢。その間に、絶対原作を読んでおかなくては。
謹んで、冬休みの課題といたします。いやあ参ったなあ、まーた読まなきゃいけない本が(満面の笑み)
by senrufan | 2007-12-16 13:15


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