願わくば桜の下で

St. Patrick's Day (Ireland)


しばらく前に、日本語補習校の先生から電話をいただいた。
補習校中等部の入学式で、お嬢に新入生代表挨拶をさせたいとのことだったのだけど、その直前に学校側に中学進学を辞める旨を伝えていたので、謹んでお断り申し上げる、という顛末だった。

今日で補習校との縁がなくなることを実感しながら、卒業式の間にふと、その時の先生との会話を思い出す。

* * * * *

【学校】
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入学式が何日だったかは思い出せないけれど、2000年という20世紀最後の年の4月であったことは間違いない。
あれから6年経ったんだ。2年生ぐらいまでと思っていた日本語学校、とうとう卒業までいることになったんだ。



女の子らしいものに大層嫌悪感を示すお嬢、せめて卒業式ぐらいスカートで、しかも眼鏡じゃなくコンタクト必須という親側と真っ向から対立。すったもんだの末、日本から母が買ってきてくれたスーツに妥協し、コンタクト着用を歯噛みしながら了承した。
しかし前日にヘアカット。本人が今までで一番気に入ったという髪型は、とても凛々しく男らしく。
更に本人チョイスの当日服は、Tシャツ&ジーンズにフランネルシャツを無造作に羽織るというものだったので、登校するなり皆に「男だーっ!」と叫ばれてたのを母は目撃した。
その後、女子トイレに入って、男子が入ってきたと錯覚した女の子に悲鳴を上げさせる、という武勇伝もあったと自慢していた。……ちょっと泣いてもいいですか。

子供が6年生の今年、卒業文集作成の為の委員を仰せつかり、先日無事仕上がった文集を生徒に配り終わったばかり。
しかしそこで終わりではなく、同時進行で卒業パーティ企画&運営も委員が兼ねることになっていたので、ここんとこ打ち合わせだの買出しだので、ドタバタとやっていた。

卒業式の前に、やはり補習校ゆかりの方々作製の黄色いバラのコサージュを、一人一人の胸につける。普段着から式用の服に着替えた子供達、生花を胸に、華やかさと初々しさを併せ持つ。

日本ならばきっと、3学期を丸々卒業式の練習に割いたりするのだろうけれど、土曜日だけの補習校でも、ここ数週間は歌だの証書の授与だの、それなりに練習はしてたらしい。
卒業生入場から始まって、校長や来賓の挨拶、卒業証書の授与。在校生代表の5年生は、全員による送辞。
その後は6年生一人一人が20秒という時間制限の中、一言スピーチで答辞に代える。「休み時間が楽しかった」「友達が宝物」「将来の夢」。生の声で思いを聞ける、貴重な瞬間。
この場所以外で子供達が聴くこともないだろう、「君が代」と「仰げば尊し」の斉唱。

現地校に週5日通って、英語で奮闘して。更に土曜まで学校で、宿題も出されて。
スポーツの練習や試合、友達とのイベントなどが土曜にあるこのエリアでは、なんで自分は土曜に学校に行ってまで日本語を勉強しなくちゃいけないんだ、アンフェアだと嘆く子や、逆に普段の英語生活のストレスを補習校で発散する子、いろんな子供を見てきたよ。
バイリンガル、国際人などと気楽に言う人もいるけれど、実態はそんな楽なもんじゃない。子供も親も、相当の覚悟と努力がなくてはできることではないのであって。英語・日本語、どちらかに絞る家庭も沢山見てきて、それは負けでも諦めでもなく、正当な選択の一つだと、どんな人にも主張したい。そして、そんな中で曲がりなりにも6年間続けたということは、堂々と胸を張って良いことだと、心底思うのだ。


式の後の卒業パーティで、ピザとスナックとケーキと沢山のゲーム。
最後のクラス対抗で、大いに盛り上がったよ。はしゃぎまくって脱線する子を怒鳴ってばかりで、おばちゃん声が嗄れちゃったよ。

補習校の中等部に進学する子。これで補習校とお別れの子。今月中に日本に帰国が決まっている子、その他色々みんなひっくるめて。
あなた達の全ての未来が、どうか明るく、希望に満ちたものでありますように、一途に願ってやみません。心から、卒業おめでとう。
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by senrufan | 2007-03-17 02:52 | Trackback | Comments(10)
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Commented by peartree22 at 2007-03-19 08:19
娘さんもMiyukiさんも卒業おめでとうございます。
二ヶ国語を同時期に学ぶ大変さ、経験したものにしか分からないご苦労がたくさんあることでしょう。本当に、土曜日の補習校通いお疲れさまでした。子供たちの緊張した面持ちとそして笑顔、いいですね。じーんときてしまいます。

それにしてもお嬢様。昔の私を思い出します。私もかなり「女の子っぽい」ということすべてに拒否反応を示していました。ランドセルも本当は赤なんて嫌で(笑)。スカートなんて制服以外履いた記憶なし、遊ぶ相手は男の子、髪の毛、もちろんばっさりと短めに(当時流行った刈上げですから)・・・。でも、お嬢さんは↓でもお母様の部屋やおばあさまがいらっしゃた時にお花を飾ったりと、充分すぎるくらいやさしい心遣いができているのですから・・・。私なんて、そんなことやったことなかったです。はい。(あ、いばれることではなし)

とにもかくにも、卒業とはやはりいいですね。(あー、文章めちゃくちゃです)
Commented by さく at 2007-03-19 09:38 x
卒業おめでとう。
よく頑張ったよね、えらいよ、2人とも。

私なんて入学前から怖じ気づいて、
補習校を選択肢からはずした軟弱ものですから、
本当に現地校と各種アクティビティの狭間で
補習校を続けられた事は、おおいに自慢していい事だと思います。

もう日本語の基礎もできているし、
そりゃ日本在住の日本人と同じようにはいかないだろうけど、
バイリンガル路線で行けると思うよ。

うちは脱落しました。ほんと。(涙)
Commented by senrufan at 2007-03-19 12:16
*ちゃんさま
ありがとうございます。うちは幸い補習校が大好きで、一度もやめたいと言ったことはなかったのですが、親である私が、宿題をやる姿を見ているのが嫌だったという情けなさ(笑)やっぱり子供は遊んでいてほしくて。

子供時代のちゃんさまに会ってみたかった! きっと私の大好きなタイプだったに違いないわ。かくいう私も随分と男っぽく過ごしてきましたが、彼女ほど頑なに拒否はしてなかったので、その点がねえ、まったく困ったもんです。「嫌がられる学級委員」のタイプになりそうで、常にハラハラしてる状態でございます。
それでも卒業となると、しみじみしてしまいますねえ。
Commented by senrufan at 2007-03-19 12:24
*さくさん
おめでとうをありがとう! じ~んとくる言葉もありがと~。
うん、ほんとに娘も含めて、みんなよくがんばったと思う。

さくさんのところは脱落じゃないよ、違う違う。これはどこに主眼をおくかという話だからね。
うちはほら、日本に帰る予定でいたから。最初がそれだった分、彼女自身が日本に目を向けてるから、それに尊重するだけ。アメリカに住むつもりで来ていたら、きっと違う形になっていただろうと思うよ。
お母さんの母国、ずっと大切に感じていてほしいね。もう1つの自分の国としてね。
Commented by まきりん at 2007-03-19 15:36 x
Miyukiさん、そしてお嬢さんもよくやりましたね、おめでとう。

卒業式はしめやかにというより賑やかになったみたいだね。いい思い出になりそうな日だったんだね、親子共々。良かった良かった。

ところで、Miyukiさんはダイエットの末にどんないでたちでおでましになったのでしょうか?
Commented by マミィ at 2007-03-19 16:48 x
ご卒業おめでとうございます!

遊びたい盛りに週6日の勉強を6年間、脱帽。お嬢さんはもちろん、それを支えたご両親に大拍手!このがんばりの末の卒業式、充実感、達成感、そして脱力感も少し入り混じった複雑な思いだったでしょうね。私だったら「仰げばと尊し」で大泣きだろうなぁぁぁ。

うん、うん、私も知りたい。Miyukiお母さんの衣装。おせ~て、おせ~て。

Commented by usayamama at 2007-03-19 23:12
みゆきさん、お嬢様おめでとうございます。
異国の地での生活、私には想像もできないような困難が
日々の中にあるのでしょうね。
みゆきさん親子の頑張りにじ〜〜んとしました。
Commented by Miyuki at 2007-03-20 10:30 x
*まきりんさん
うう、まきりんさんにほめていただけた~(感動) ありがとうございます。
卒業式、誰一人涙ぐむ子がいなくて(笑)、大層アメリカらしい式になりましたよ。
え、いでたちは、えと、単なる黒のスーツなのですが、かなり細身のデザインだったので、それがダイエットに励んだ理由でございます……だって下半身の凹凸がはっきりわかるんだもんアレ……
Commented by Miyuki at 2007-03-20 10:34 x
*マミィさん
ありがとうございますー! 終わりましたー!
そう、遊びたい盛りに、というところが正にポイントで。うちはそれでも楽しんでましたが、周りにはほんとに苦労されているご家族が沢山。子供は解放感で、親は脱力感と達成感で、笑いと涙で二分された式模様でございました(笑)
衣装は↑の通り~。ほんと、シンプルに。素材が素材なので、てへ。あ、でも久々に化粧したんですよ! アクセサリーもつけたんですよ! ほめて~(なぜだ)
Commented by Miyuki at 2007-03-20 10:36 x
*usayamamaさん
優しいお言葉をありがとうございます~(うるうる)
アメリカの中で、こんな日本語学校があるところ自体が稀なので、ある意味贅沢な悩みなんでしょうねえ。でもいずれ日本に帰る子は、どうしても無視しては通れない道。みんなえらいなあ、としみじみ思います。


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