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それでもそこに音楽があれば

読書ブログ、始めました。
といっても、今までここで書いていた読書感想をそちらに移しただけなんですが。

これからは本の感想は基本的にあちらで、そのうちの幾つかはこちらでものせます。ネタが絡んだ時など。ネタがない時など(おい)
あっちでアップした時、こっちでも知らせた方がいいのかな。
こんな感じで。

読書ブログ更新 : 「はやぶさ新八郎御用旅」(一)
             「死者を起こせ」

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【読書】
それでもそこに音楽があれば_b0059565_1225161.jpg岩城宏之著「オーケストラの職人たち」を読む。国際的な指揮者の岩城さんが、オーケストラの縁の下の力持ちの人達を紹介する。

学生時代の4年間、オケに入ってはいたものの、所詮素人軍団なので、プロのオケの運営がどうなっているかなんて知りもしない。ぼんやりとマネージャーがいて、宣伝担当の人がいて、ぐらいしか想像してなかった。
それでも、そういった仕事ならまだ話を聞く機会もあったかもしれないが、この本に書かれた”裏方さん”たちは、それより遥かに底辺でオケを支えてくれている人達だった。



最初は代表として、ステージマネージャーの方についての章。レッスン1。ここでざっくりとオーケストラの事務所構成と仕事内容についての紹介がある。
我々が一般に”裏方”として思い描くのは、きっとここまでなのだけど。

レッスン2からは楽器の運搬業の方、レッスン5ではオケに同行するお医者さん。こんな感じで写譜屋さん、チラシ屋さん、調律師さんと、私が存在すら知らなかった職業の方々の生の声と仕事の様子を、岩城さん自らが取材し、時には実際に体験もして、細かく文に綴っている。
こちらとしては全く未知の世界のことなので、テンポ良く軽快な文で描かれた内容は、隅から隅まで面白く。仕事内容だけでなく、取材された人自身の人柄や言葉など、岩城さんらしい温かさが端々から滲んでいる。

ちょっと異色なものとしては、レッスン8の「クラシックを定義する」。ある雑誌に投稿された「クラシック音楽って何?」という投書に対し、岩城さんが悩んだ末に文章で答えているもの。
この投書の中にある、「西洋の真似事」「日本人としての個性を」「自分たちが高級な人種であるかのような錯覚」という批判。岩城さんは音楽史を紐解くところから始め、世界で活躍中の日本人演奏家を挙げ、ジャズやサッカーなどの異業種も例として取り、これに反論する。
この章の最後にある言葉が胸に残る。

「クラシック嫌いの人は、理屈をこねないで、大らかに『嫌いだ』と言ってほしい。音楽や絵画に『わかる』『わからない』という言葉を使う人種は、世界で日本人だけである」

父がブック○フで見つけては送ってくれた岩城さんの本も、手持ち分はこれで打ち止め。もう新刊が読めないかと思うと、寂しくって仕方がない。これからは今までの本を、読み返して読み返していくんだなあ。
父上様、もし万一また未買本を見つけたら、ぜひよろしくお願いします。105円以上の本でも構いませんので。>私信

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【個人的事情】
ミクシィで知り合った方々と、スカイプを使っての三者会談が実現。
日本-カナダ-アメリカ間で、笑いと笑いと笑いの渦が回りました。びば、みくしぃ。びば、すかいぷ。(この辺り、両手のひらを上にあげ、顔は天を向いた感じで)

お一人が篳篥を習っていらっしゃるとのことで、思わず音楽談義なども。私がやってたオーボエのご先祖様についてのお話には興味が尽きず、今まで全く縁がなかった雅楽の世界を垣間見たい気持ちにかられている。


旦那が日本の会社を退職した後、日本の倉庫に預けておいた荷物を整理することになり。その際に、やはり預かってもらっていたピアノを、中古ピアノ業者に引き取ってもらった。
私が4歳の頃にピアノを始めて、高2でやめても、さらに結婚した後も自宅に置いていた。帰国したら娘が弾けると思っていた。
引き取ってもらったところで商品価値もないだろうし、これから誰かに弾いてもらえるかどうかもわからないけれど、それでももしまだ音を鳴らせることがあるなら、その方が幸せだろうと思ったのだ。

中学時代、トランペットをやりながらオーボエに憧れて、高校に入った時に、それまで貯めた貯金をはたいて楽器を買った。
今でも実家に置いてもらっているものの、二度と私が吹くこともないと思うので。今度日本に行く時に、思い切って楽器店に引き取りをお願いしようか、とも考えている。
by senrufan | 2007-01-27 12:21


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