季節の便りの受け取りは

フォルクスワーゲンとは、ドイツ語で「国民軍」の意味だそう。

* * * * *

【料理】
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さんま、さんま、さんま苦いか、しょっぱいか。
朝晩がいよいよ涼しくなってきたと思ったら、店先に秋刀魚が並んでた。衝動的に何匹も買い込んでしまったのは、初物と思っただけでコーフンする私の人間的未成熟度を表す一例。

新鮮なうちにやってみたかった、秋刀魚のわた焼き
頭を落として腹を開いて、わたを取り出す。中に異物があることもあるので丁寧に調べた後、裏ごしして酒・みりん・醤油と混ぜる。きれいに洗って2つ切りにした秋刀魚を漬けて、しばらく置いた後に焼く。

わたのほろ苦さが、醤油の味に混じって仄かに舌に届く。
やはり新物のさつまいもと玉ねぎの味噌汁、ひじき蓮根、かぼちゃの胡麻焼き、長芋のオクラ和え。
木の葉が少しずつ色付いてきました。


でも明日から、また少し暑いらしいです。



* * * * *

【雑事】
自分用の覚え書で。

佐藤春夫作 「秋刀魚の歌」
あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば
伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉(ゆうげ)に
ひとりさんまを食くらひて
思ひにふけると。

さんま、さんま、
そが上に青き蜜柑(みかん)の酸(す)を したたらせて
さんまを食ふはその男がふる里の ならひなり。
そのならひを あやしみ なつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎ来て 夕げにむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする 人妻と
妻にそむかれたる男と食卓に むかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は
小さき箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男に さんまの 腸(はら)をくれむと 言ふにあらずや。

あはれ
秋風よ
汝(なれ)こそは 見つらめ
世のつねならぬ団欒(まどゐ)を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証(あかし)せよ かの一ときの団欒(まどゐ) ゆめに非ずと。

あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば 伝へてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児(をさなご)とに伝へてよ
―男ありて
今日の夕げに ひとり
さんまを食ひて
涙をながす と。

さんま、さんま、
さんま苦いか 塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて さんまを食ふは
いづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは 問はまほしくをかし。

谷崎潤一郎の妻である千代と、三角関係で苦悩している最中に書かれた作。
1921年に佐藤が谷崎に千代への思いを打ち明けたことで絶好状態となるが、26年に和解、30年に佐藤が離婚したことを機に千代子を譲り、三名連名での挨拶状を友人知己に送る。これは「夫人譲渡事件」と呼ばれ、文学史上で有名な一件。
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by senrufan | 2006-09-04 13:19 | Trackback | Comments(2)
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Commented by weagle2053 at 2006-09-08 06:26
さんま・・大好きです。
写真の「わた焼き」おいしそうですね。
作ってみたいけど単身赴任の私はせめて「一夜干し」を焼くくらいで。
それにしても、佐藤春夫と谷崎潤一郎、そして千代子・・
すごい関係だったんですね。
そんな時期に「秋刀魚の歌」が書かれたとは全く知りませんでした。

Commented by Miyuki at 2006-09-08 07:23 x
*単身名人さん
旬のさんまはいいですよね。一夜干しを焼かれるだけでもすごいです。私の父は単身赴任歴8年のうち、一度も自炊をしませんでしたから(笑)
「秋刀魚の歌」は私もメインフレーズだけは聞き覚えはあるものの、全文読んでみて、背景を知って、ああなるほど、とわかった次第です。名作の影にドラマあり、ですね。


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