Museum of Fine Arts, Boston

【旅行】
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両親が絶対行きたいと主張していたのがこちら、ボストン美術館
市民の手による公共施設が多いアメリカでも、この美術館はほとんど市民からの寄贈と寄付によって設立され、更に市民ボランティアによって運営されているというもので、ボストニアンが大いに誇る財産です。

展示は東洋からエジプト、アメリカ、ヨーロッパなど多岐にわたっており、数時間で全館周ろうとすると、館内マラソン・横目鑑賞するしかないという広さ。腰を据えてじっくり観ることができないのが旅行者のつらさ。(唇を噛み締める)
なので、お互い自分の観たいものをしぼって後ほど待ち合わせということにして、開館と同時に入場し、それっとばかりに目的地に急ぎました。

お嬢と私の目当ては、日本美術のコレクション。ミレーやモネを諦めて、一路アジア部門に駆け足。日本人のくせしてなんだと言われそうですが、実はここの展示は日本国内を遥かにしのぐ規模なのです。
浮世絵、屏風、仏像、そして刀などの工芸品が1・2階に分かれて収納されており、並んだ作品も狩野永徳、北斎、応挙などの大家がずらり。中村歌右衛門の風俗画のコレクションなどは正に垂涎モノです。あ、ヨダレが。

なぜここに、こうまですごいコレクションが収められることになったのか。それは岡倉天心エドワード・モース(大森貝塚発見者)、フェノロサビゲローという4人の努力があります。
明治時代を迎え、日本の目が国外に向けられるようになり、西欧由来のものがもてはやされた影で、国内文化は省みられなくなった時期がありました。日本国外ではゴッホを始め、多数に強烈な影響をもたらした、非常に独創性の高い物であったのに、西洋を追うのに必死だった日本では二束三文の価値に落とされてしまいました。
その現象は日本美術の価値を認めた西洋人には、容易に美術品を入手できる状況をもたらし、結果、国内より国外のコレクションが充実するという大変皮肉な事態をもたらすことになったのです。
日本という国の言葉や文化について、国外に出たからこそ余計にその価値がわかるようになった自分と重なり、胸が痛むと同時に、これほど大事に保管・展示してくれている美術館に、心から感謝の念を覚えずにはいられませんでした。

ゴッホが浮世絵を見て衝撃を受けたのは、その”線”にあったといいます。考えてみれば当たり前のことですが、事物は”線”を持ちません。スケッチで線で表現しても、実物はそこに線があるわけではないのです。よって絵の具の点や面で絵を構成してきた西洋の画家には、あの浮世絵の力強いラインは、それだけの衝撃を与える十分な価値のあるものであったようです。
ゴッホの絵に見られる、あの独得の筆使いによる一本一本の線の源を、この美術館の日本コーナーに確かに見てとることができるのです。



さらにここには、1904年に東洋美術部門の責任者として招かれた岡倉天心を記念した、「天心園」と呼ばれる日本庭園があります。
中国や韓国のコレクションも充実させていった功績は、「アジアはひとつ」という彼の哲学が基になっていました。その言葉を美で実践したことに、時代背景を考えるに複雑な思いがあります。
美術館の地図にはただJapanese Gardenと記載されていますが、実はGarden at the Heart of Heavenというのだと、道を聞いた係員の人がそっと教えてくれました。
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by senrufan | 2006-04-11 10:04 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Kaori at 2006-04-17 14:17 x
ボストンに行ってらしたんですか!3泊4日は西から東へ飛ぶにはけっこう忙しいそう。でも、写真を見る限りお天気もよさそう。ツアーもできてよかったですね!お嬢さまが将来学生としてボストンに戻ってくれば、また美術館もゆっくり観に来られますよ。オススメしてみては?
Commented by Miyuki at 2006-04-18 09:06 x
*Kaoriさん
うん、ちょー短期ですが行ってきた!天気に恵まれて良かったよー。
お嬢ボストン留学、実は説得中であります。ハーバードなら親が飢えても学費を出してやる、とか。しかし陶芸家になることしか考えてない彼女は、常に右から左へ流すだけです。くそう、下心を見抜かれてる。


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