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Over the Hill

お嬢が今日見かけた車のステッカー。
「Frodo failed. Bush got the ring」
今まで見た中で最高に気に入ったと申しておりました。

* * * * *

【個人的事情】
「マモグラム検査を受けた患者のうち、約15%が撮り直し、もしくは更なる超音波検査の為に呼び出されるそうだ」
なんて、他人事のように日記に書いていたら。
自分がその15%にしっかり入り、呼び出しをくらう羽目になった。天罰覿面。おーまいごっど。

しかしまずは付き添ってくれた看護婦さんから、深刻なことではなく、ただ去年なかったところに写っている組織があるので、もう一度拡大して撮って確認するという説明を受ける。通常は天板ぐらいの大きさの板2枚ではさむのだけど、今度はしゃもじのような形と大きさの小さい板で、患部のエリアのみを押さえて撮った。

撮りながら、私のカルテから今日が誕生日だと知った看護婦さんが、「おめでとう!」と言ってくれる。

ありがとう。
今日はどんなお祝いをするの? どこか特別なレストランに行くの?
ええ、多分。(どこにも行きませーん)
そうよね、だって大事な年のお祝いだもの! 今夜は絶対料理しちゃだめよ!
勿論しませんよお。(だってもう料理しちゃったから)

心の中で彼女の好意に涙ながらに謝罪しつつ、表ではさくっと嘘をつく。マモグラムってフィジカルなものだけ写すんだよね、と一瞬不安になったりな。

彼女は写真を持ってすぐドクターのところに行く。しばらくの後、ドクターと共に戻ってきた。
「ビッグな誕生日プレゼントですよ。何の問題もありませんでした。いい誕生日を過ごして下さい」

思えば、始まりはこの病院だった。ドクターの暖かい言葉で思い出す。
3年ほどここでボランティアをしていた間、入っていたグループで、各メンバーの誕生日は必ずお祝いしたものだった。リーダーがケーキを用意して、皆でカードに一言ずつ書いて。ロウソクの火を吹き消して拍手してハグしあう。
人の誕生日を祝うのは大好きだけど、自分の誕生日となると気恥ずかしくて黙ってしまう。イベント事にはどうしても淡白になってしまう。そんな臆病なニホンジンに、祝うこと・祝われることの愉しさを改めて教えてくれたのがここだった。
私も皆のにぎやかな励ましを受けて、思いっ切りロウソクを吹き消した。その時の写真とカードは、今でも大事にとってある。

ありがとうございます、ドクター&看護婦さん。あなた方にとっては当たり前の一コマでも、今でも手を伸ばすことに臆病な私にとっては、とても嬉しい出来事でした。



* * * * *

月曜に日本出張から帰ってきた旦那。持ち帰ってくれた荷物の中に、両親からの封筒があった。
中身は私宛のバースディカードと、米ドル紙幣。「シャンパン1本分ね」という言葉が添えられたその額は、私が普段買うワインの10本分以上だった。
もう親にお小遣いをあげても良いぐらいの年齢で親からもらうお金というのは、どうにも照れくさく、でも同時に子供の頃の何倍も嬉しくてたまらない。いつもならお嬢の口座に入れてしまうのだけど、今度ばかりは何か自分にあげてもいいのかな、と、子供に戻ってあれこれ欲しい物を考える。

40歳は不惑の年。と、いつの間にやらつけられた名前。
35歳からすでに気分は40歳だったから(それもどうか)、特に年齢に感慨はないけれど。不惑どころか、年々惑う・悩むことばかりが増えていく自分には、感じるものが多いにある。
もっと以前は、こんなに悩む暇もなかったのに。でもその悩みを素直に自分の一部として持てるのは、この年齢だからかとも思う。

去年の誕生日は、朝一番のお嬢のサプライズプレゼントで始まった。
そして今年も同じように、彼女のお祝いで朝を迎える。それは一日の始まりであると同時に、私の一年の始まりでもあり。
40年という年月の中で、一番のプレゼントの一つである彼女からもらう手製のお祝いは、どんなものとも引換えられることはない。
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by senrufan | 2006-03-08 14:13


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