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予想は予想でしかなく

Groundhog Day。今年の気象予報官のPhil君は自分の影を見ました。
ということで、春はまだ6週間先になるそうです。(とっくに盛りを過ぎたプラムの花を見上げつつ)

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【読書】
予想は予想でしかなく_b0059565_1564368.jpgジェフ・アボット著「逃げる悪女」を読む。モーズリー判事シリーズ第3弾。
アルバイト感覚、アロハシャツ、ビーチサンダルというお気楽判事として登場したモーズリーだが、2作目でぐぐっとサスペンス色が強くなり、この3作目ではどかんとギャングとアクション満載。毎回別な単行本を読んでいる気になるぐらいで、1冊でも十分楽しめる。

さて、モーズリーの実の母親が昔蒸発したのは書かれていたが、今回はその母親を見つけ出すストーリー。父親が末期ガンを宣告され、最後に母親と和解させてやりたいと私立探偵に依頼するが、なんと母はギャングの幹部となっていた。
二代目ボスとうまが合わず、陰謀により組織から追われる羽目になっている母を助けようと、自身も組織抗争に巻き込まれていく。

冒頭から殺し有りというハードな始まり。それからも畳み掛けるように、組織内のゴタゴタや殺しやカーチェイスや殺しや脅迫や殺しの描写が続々と。
六人兄弟の末っ子という、一番のほほんと人生を過ごしてもよさそうな彼が、誰よりもトラブルメーカー。お馴染の親友グーチやクローディアも存分に活躍するが、彼らとの関係も、今作でまた新しい局面を迎えたようだ。

決まった恋人や深い繋がりの他人をほとんど持たないモーズリーの背景には、幼い頃に家族を捨てて出て行った母の存在がある。父の為と言いながら、実は自分の過去と向き合って整理をつける為であるのは明白だ。
再会した母は、暖かい家族の絆を再び結べるような女性ではなかったが、十分に魅力的にうつる。行動力、決断力、そしてそれに自分を捧げることはできなかったけれど、息子達への確かな愛情も責任感も持ち合わせている。それ故、自分が家を去った理由も口にせず、同情も理解も求めようとしない。
それはしかし私の目には魅力的でも、モーズリーの傷を癒すに足るものではなかったようだ。

最後が走り気味になった感もあるが、それでもああいう形で断片的にでも経過がうかがえたのが嬉しい。さて、次作はどんなテーマになるのやら。



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【家庭内事情】
お嬢のスイミングが終わった後、仲良しのお友達が私のところに来て、今日お嬢に助けてもらったと嬉しそうに話す。
なんでも彼女が嫌いなチームメイトから、髪ゴムを貸せとごねられて困っていたところにお嬢が来て、
「随分汗をかいた後だから、彼女もこのゴムで、あなたのきれいな髪を汚したくないと思うよ」
と言って、その子を引き下がらせたそう。ほー、それはよくやった。

しかしニコニコと話すお友達のそばで、お嬢が言ったセリフに私は思わず震撼した。
「そうやって、ほめて逃げるのが日本のやり方なんだよ!」

by senrufan | 2006-02-02 15:05


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