感情移入

昨年末日本に行った時、ちょうど「ハウルの動く城」が公開中でしたが、短期間の滞在ゆえにあまりに時間がなく。日本での鑑賞は諦めて米国公開を待つことにし、せめてと思い原作本を買ってきました。お嬢には原書、私には翻訳本を(ちぇっ)
最初は渋っていたお嬢も、1回読んだらすっかり気に入り、今日の映画にも本を持参してのぞみました。映画館は暗いから読めないって言ってるのに、毎度懲りない子です。
今や世界の監督となった宮崎氏の作品で、しかも公開初日の初回。これは盛況かもしれないとふんで、オンラインでチケット予約も怠りませんでした。

観客は私達以外、5人しかいませんでした。

b0059565_11112118.jpg

ようやく鑑賞相成った米国版ハウル、「Howl's Moving Castle」は、こちら仕様の英語吹き替え版。ラストの歌のみ日本語のまま。
日本語版の方を全く見てないので、イメージの違い云々ということもなく楽しめました。エンドロールの間に見たボイスキャストの名前は、ビリー・クリスタルやローレン・バコールなど。

期待していた通り、絵のきれいなこと! 空中散歩や城や、おどろおどろの生き物、花畑など、色彩の鮮やかさと迫力を十分味わいました。そして爆撃により炎上する町も。
爆撃が続く中で飛び続けるハウル、抱きしめるソフィー、膨らむ魔女など、ああジブリだなあと思う場面が盛り沢山。
特に後半、コンプレックスを抱え、逃げばかりうっていたソフィーが、ついに勇気を持ってハウルを助けようと体当たりしていくあたりは、共感した子も多かったのではないかと思います。

さて、米国での観客評価がどうなるか楽しみです。



個人的に今回、原作を読んでいたことがアダとなりました。

すっかり原作そのままと誠に勝手に思い込んでいた私達は、キャラの違いはともかく、後半のストーリー展開にがっくり。
勝手に期待していて実にわがままなものですが、あの原作の複雑な世界を、宮崎氏がどのように描いてくれるのかをとても楽しみにしていたわけで。
それが映画の後半では、まるっきり主人公2人のラブストーリーとなっており。内面に非常に複雑なものを抱えた主人公ソフィーは、随分とまっすぐに愛に走っているし。ハウルとソフィーの、惹かれているくせに全然素直になれない形が良かったのに。ひねくれて臆病で、だから態度は裏腹で、というのがいじらしかったのに。
それ以上に思うことは。二人の恋愛は確かに大事ではありますが、それを前面に思いっきり押し出した分、わかりやすく娯楽物となった反面、ファンタジー世界の描き込みや宮崎氏独得のあの深さを期待していた私などには残念な展開でした。ましてやラブストーリー嫌いの幼いお嬢は、なかなかに不満顔。

私は宮崎作品についての解説や批評をほとんど目にしていないので、彼が打ち出すテーマについてはかなり的外れかもしれません。
今までで一番好きな作品である「風の谷のナウシカ」では、わかりやすく自然環境と戦争と人間の愚かさと、というものが見えたのですが、「もののけ姫」や「千と千尋…」では、観た後に自分自身の思いが拡散して、うまく言葉にすることができませんでした。
しかし今回の「ハウルの…」において、元々ダイアナ・ウィン・ジョーンズの創る、一筋縄ではいかない人間だらけの複雑に絡み合った世界観が好きな私は、その2作品辺りの流れから、きっと相当密な描き方をしてくれるものだと、なんとも自分勝手に期待してしまっていたようです。

家に帰って、お嬢と私は早速原作本を手に取り、ひとしきり読みふけりました。
この映画に関しては、原作と切り離して観られるようになるまで、少々時間がかかりそうです。
[PR]
by senrufan | 2005-06-17 11:06 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://senrufan.exblog.jp/tb/2964008
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 辿り着いたもの 主張しなくても >>