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月日を重ねた憧憬を (1)

「機会を待て。だが決して時を待つな」
   ----- ヴィルヘルム・ミュラー
       (ドイツ人、詩人、1794年10月7生まれ)

* * * * *

【旅行】

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昨年末のイタリア旅行の一部を書いた後、今度はロンドン-ダブリン-パリ旅行に行って参りました。
お嬢が1年間のイギリスの大学院生活を終えて、ベイエリアに戻るので、
その引越しの手伝い(まあ荷物運びですよ)を兼ねてというか、それを口実に、
少しでもその辺りを旅したいよね、となりまして。

イギリス全土、なのかなあ、大学院はフルタイム学生は1年間、パートタイム学生なら同じ内容で2年間、なのですって。
あの旅立ちの日から、ほんとにあっという間でございましたねえ。(しみじみ)





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さて、そんな旅の概略は、というと。
お嬢の最後の予定が色々とあった為、縛りある中で、各人の希望をちょっとずつ取り入れたら、わけのわからん内容に。(爆)
私はイギリス国内をあちこち周りたい、旦那はイギリスはつまらないからフランスに行きたい、お嬢は少しは修論手直しに集中する時間をくれ、と、そら希望がまとまるわけがないんですわ。

なので、以下のようになりましたとさ。

9月12日~15日 : お嬢と私、2人でロンドン滞在
9月16日~17日 : 旦那が合流、アイルランドのダブリンへ
9月17日~19日 : フランスのパリ滞在
9月20日~22日 : ロンドン滞在
9月23日 : 深夜にサンフランシスコ着、帰宅

ちなみにお嬢は、我々が発った後も残り、友人達と楽しい時間を過ごしたり、学会に出たりして、26日にこちら帰宅でした。
旦那と私2人で、大きなトランク4個+機内トランク2個を持ち帰りましたですよ。
お嬢の寮からロンドンのホテルへ、ロンドンのホテルから空港へ、サンフランシスコ空港から自宅まで、それぞれでUberの運転手さん達には多大なるご迷惑をおかけいたしました。
皆さん、良い方ばっかりでしたよ~、感謝・感謝でございます。


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行きたいところばかりで、でも行ける場所と時間に制限がありまくりで、その中でとにかく足を動かして。
足の付け根にかなりの痛みを覚えた日があったり、疲れからくる膀胱炎に2回なりかけたりしたぐらいだったのに、旅で得た楽しさ以上に、全然行けてない!という悲しみの方がどーん、とのしかかっているのは何故でしょう。

ロンドンに行って実感したのは、自分がどれだけ英国の小説にお世話になってきたか、ということだったりします。
谷川氏翻訳の「マザー・グース」から始まって、幼い頃は「メリー・ポピンズ」や「くまのプーさん」、借り暮らしの小人達シリーズなどを読みふけり。
大人になってからは、アガサ・クリスティを始めとして、”英国”とついたミステリー小説を片っ端から手に取っていた時期もあったぐらい。
なんで英国?という疑問への確かな答えは持たないものの、強いて言えば、イギリス流の皮肉やユーモア、どこか乾いた描写、秘めた正義感などに惹かれた、というのが一つの理由かな、とは思います。

そして、そういう小説を読んでいくうち、当たり前ですが、イギリスの地名に馴染みが出てくるわけでして。
旅行前にイギリスの地図を見て、知っている地名が多いことに、ちょっと驚いたり。
といっても、知っているのは地名だけで、その土地のことは何一つ知らない。
ので、行ってみたい、自分の目で見てみたい。
そんな思いでいっぱいになっていた、ということでございます。


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でもそういうのって、数年その土地で暮らさない限り、”知る”ことはできないんですよね、当たり前のことですが。
今住んでいる場所だって、半径わずかなエリアしか知ってはいないのに、ましてやほんの数時間しかいなくて、一体何が。

おまけに、せめて土地土地を巡っていくだけでもやりたかったのに、諸事情により、ロンドンから日帰りできるエリアに限られてしまったので、そらもう、ヨッキューフマンなんてもんじゃありゃしません。
って、ロンドンだけでも、どれだけ見るところがあると思ってんじゃい! 贅沢ゆーんじゃねー! と百万回ツッコミを入れながら、でも気持ちばかりが焦って、どっかに行こうとしてしまって、全くもう。(ため息)

ダブリン、パリ、共にとても面白うございました。
14年ぶりのオルセーとルーブル訪問、本当に嬉しゅうございました。
でも、その時間があるなら、それなら、なあ。
旦那とお嬢のおかげで、念願の国に何日も滞在できる機会をもらっておきながら、そう思ってしまう自分が、本当に不遜に思えて、情けない限りでございます。


ロンドンでも、その他のエリアでも、イギリスで暮らすというのは、並大抵のことではない、と思います。
アメリカ以上に、マイノリティの立場を強く実感することになりそうですし、それが少ないロンドンは、また別の辛さが待っていますしね。

ただロンドンをうろうろしている時、公共交通網を利用した移動で、常に人混みにいたにも関わらず、ベイエリア以上に肩の力を抜ける居心地の良さを感じたのも事実です。
耳に入ってくる言語の半分以上が非英語で。
観光客も多いのも勿論でしょうけれど、後で知ったのは、ロンドンだけで300以上の言語が話されている、ということで、すごく納得しましたね。

NYに行った時もそうだったのですが、私の場合、そういう中にいると、身の危険を感じるより、ほっとする思いが強いのです。(変態)
なんというか、誰も自分のことなんて気にしてないよ、という気楽さ。
身の回りは警戒しつつも、自分の好きなことをして過ごしていいんだよ、という自由さ。
それでいて、席を譲ったり、後ろの人の為にドアを押さえたり、といったことは当然ですし、目と目が合えば笑顔を交わしたり、ちょっとだけ立ち話したり、温かさも確かにあるところ。

電車だけに限らず、そしてロンドンだけに限らず、いろんな人に優しくしてもらった旅でした。


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お嬢の今後ですが、春から日本で新社会人する予定です。
それまでベイエリアにいるので、バイトしろ、金稼げ、と言ってるのですが、研究報告書や就職前の試験などがあって、なんでこんなにスケジュールがいっぱいなの。(呆然)

まあ、もう親がどうこう言う歳じゃないので、頑張ってね、としか言いようが。
気がついたら春だったわー、にならないよう、なんとか奮闘してほしいところでございます。
でも、母ちゃんとも遊んでね。(本音)

そんな日常の中、忘れかけてるイタリア旅行記録、書けるかな……
でも書かないと、今回の旅行についても書けないな……
と、ぐだぐだ考えてる私の横で、私が先輩から借りた「ゴールデンカムイ」を読みながらオオウケしてるってなんなのアナタ。

まあ、ぼちぼち。ぼちぼち、ねー。ねー……(フェイドアウト)


by senrufan | 2018-10-07 15:03


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