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見せたい顔と見えた顔 (その1)

「満足の泉はその人の心に湧き出るものでなければならない。
自分自身の人格以外のものを変えることで幸福を求める愚かな人は、
実を結ばない労力に人生を浪費し、避けようとしている悲しみを倍増させるに違いない」
   ----- サミュエル・ジョンソン
       (イギリス人、詩人・批評家、1709年9月18生まれ)


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お嬢、イギリスに発ちました。
5月初頭にこちらに帰ってきてから、約4ヶ月半のニート生活(本人言)を終え、
全くの新天地での大学院生活の始まりです。

高校卒業後、こんなに長く一緒にいたのは初めてだったので、Empty nest syndrome 再びか!? と警戒していたのですが。
さすがにもう慣れたというか、悲しいのは悲しいものの、心の中の一度割り切った部分は消えてなかったようで、それなりに日常に戻りましたです。

彼女がいる間、いろんな、本当に色々な話をして。
改めて思ったのは、彼女は今のところ、自分のアイデンティティについての問題が消えない環境にずっと居続けているのだなあ、ということですね。
アメリカにいる間は、母国を知らないことにずっと葛藤を抱えてて、
いざ母国に行ってみれば、今度は帰国子女という目で見られ続け、
イギリスに到着して、まだ2~3日しか経ってないのに、今度は完全に日本人という側面だけで見られることに、違和感を覚えている様子。

自意識過剰なのかもしれないけれど、相手にとっては無意識でも、自分には刺さることがある。
自分も人に対して、そういうことをしてしまっているかもしれないから、気をつけなきゃ、という戒めでもある。
10代前半の頃のような、泣きたいほどの遣り切れなさはもうないけれど、
自分は今までの経験が形作った、自分という人間でしかないのだ、という気持ちを、
いつになったらカケラも揺らがずに持てるようになるか、というのは、
彼女のまだまだ続く課題であるようです。


見送りの際、空港のフードコートでしばらくうだうだした後、セキュリティーゲート前でお別れ、というのが定番。
そしてこの時だけ、ほんとに、このわずかな時間だけが、
彼女が唯一、「実家にずっといたい」と涙をこらえて言う時でもあるのです。

父ちゃん母ちゃんといたいということではなく、や、それも勿論あるのでしょうけれど。(希望的観測)
意地っ張りで、誰からもしっかり者と思われがちなお嬢が、一番力を抜いて、弱いところも平気で見せられる場所なのかな、と勝手に思っておりまして。
なのでお嬢が、離れたくない、と言うたび、たまらなくかわいそうになると同時に、
まだ娘にそう思ってもらえる場所であったことに、良かった、と思う気持ちが、ほんのわずかですが混じります。

辛かったら、いつでも帰ってきていいんだよ。
言葉で、態度で、そう伝えることが、決して甘やかしになるとは思いません。
まあ彼女が、それに甘えて、簡単に投げ出す子ではない、という信頼もありますが。

私は、彼女の勉強を助けることも導くこともできませんし、将来の仕事にしたって、私の頃とは時代が違うので、ヘタな口出しは邪魔にしかなりません。
ですのでせめて、彼女が休める場所、弱音を吐き出せる場所になりたいなあ、とだけ思うので。
KYどころか、AKY(あえて空気読まない)の最たるものであるワタシが、
彼女にだけは、乏しいアンテナを立てていかなきゃいかん、と思う次第でございます。


それにしても。
空港で涙の別れの後、雑用を済ませて家に帰ったところ、
すでに離陸時間であるのにサイトでの「1時間5分の遅れ」という表示と、
そのすぐ後のお嬢からの、「1時間の遅延☆」というLINEメッセージ。

哀愁に満ちたあのシーンを全て台無しにしてくれるのが、まっこと安定のUnitedクオリティでございました。

* * * * *

【旅行】

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さて、記憶が薄れないうちに、お嬢と行った、オレゴン州のポートランド旅行について記録しておかねば。
もっと記憶が薄れているコーヒーの淹れ方講座とかあのレストランとかには、目をつぶり。

と言っても、ぶっちゃけ、それほど書くことがないのでございますよ。
つーのは、お目当ての一つだったエリアが、山火事で行けなくなってしまったので。(しくしく)

2泊3日で、初日と最終日は市内をうろうろ、
中日はColumbia Riverに沿って、のんびりドライブしつつ、あちこち散策、
という予定を組んでいたのですが、その目的地だったColumbia River Gorgeで山火事が発生した為、当然のように道路はシャットダウン。
どころか、それなりに距離のあるポートランドのダウンタウンエリアにまで灰が降り、
煙混じりの空気を少しでも避けるべく、防塵マスクをしていた人も結構見かけましたです。

かなりの数の住民が避難を余儀なくされたこと、本当にお気の毒でなりません。
私達が訪れた時から2週間が経過して、今ようやく恵みの雨の助けが得られたようですが、完全収束にはまだ時間がかかる様子です。





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そんなハプニングがあったものの、なんというか、紙一重で運の良い旅行でもありました。
Gorge行きを、初日にすべきかどうか、寸前まで迷って、ぎりぎりに中日に決めたのですけれど。
完全通行止めになったのが、どうやら初日の午後だったようで、もし初日に現地に向っていたら、そこから戻るに戻れない大渋滞に巻き込まれていたよ、と言われたとか。

あと、泊まったホテルはQueenベッド1つの部屋だったのですが、なぜか我々の部屋のネットが繋がらず、修理する人が来ると言われたのに来てくれず。
結局、Kingベットのもっと広い部屋にアップグレードしてくれて、それで解決・快適・ラッキーになったこととか。

一番行きたかったところには行けませんでしたが、もう一つのお目当てだったコーヒーショップ訪問は楽しめましたし、
市内はトラムやバスが充実していて、街中探索がとても楽だったので、なかなか愉快な旅となりましたです。


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トラムとバスは、停車場にある自動販売機でチケットを購入。
2時間半有効のチケット、1日乗り放題チケット、7日間乗り放題チケットがあったので、$5の1日券を買って、その日ぐるぐると。

これも便利ですが、市内のブロックが日本並みに短かったので、結構歩いてあちこち行きましたね。
ベイエリアって1ブロックが長いので、5ブロックとか言われると、それなりに歩くな、と思うのですが、
日本に行って地図を見て、同じ感覚で歩き始めると、げ、いつの間にか行き過ぎてたわ、ってことないですか?(ボケ)
ポートランドもそんな感じだったので、地図で見ると結構距離があるように見えても、歩くと意外と近かったりしましたね。

レンタカーを借りたのは中日一日だけだったので、空港への往き帰りもトラムで。
でも全然不自由はなかったどころか、市内は路上駐車スペースもほとんど埋まってましたし、パーキングはサンフランシスコ並みの料金だったので、かえって良かったかも。

中日のレンタカーは、2人なので一番安い車を借りたら、TAXを入れても$19ぐらいで、レンタカー屋のお兄さんが、こんな安いのは初めて見た、と笑ってました。
ちなみに車の受け渡しの際、事務所でお兄さんに、ここでちょっと待っててね、と言われたので待っていたところ、
外から、シャーーッ、という水の音がして、なんだろなーと。
呼ばれて車まで行ったら、ああ、水で灰を落としてたのね、とナゾが解けました。
離れた街中でさえこうでしたから、近隣の方は更に大変だったことでしょう。


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「全米で一番住みやすい街」に選ばれたことがあるというポートランド。
ググったら、日本での紹介記事も沢山あって助かりましたし、実際現地でも、日本人遭遇率が高かったですね。
近くのオレゴン州立大にも、多くの留学生がいらっしゃるそうですよ。

消費税がかからないので買い物しやすいですし、いろんなお店の人はみんな親切で、トラムやバスの運転手さんもナイス。
と、良いところが沢山あって、なるほど、こういうところに皆さん感激されるんだろうなー、と十分わかるのですけれど。
サンフランシスコやバークレーをそれなりに知っている身からすれば、新しい感激はなかった、というのが正直なところです。

おしゃれなレストランや素敵な雑貨屋が色々あったこと。
マリファナが解禁されているので、マリファナショップを何軒も見かけたこと。
ダウンタウンにはほぼ1ブロックごとに、ホームレスの人や、座りこんだり寝転んだりしている人がいたこと。
街中を歩いている人はサンフランシスコなどに比べて少ないのに、その数少ないすれ違う人に、マリファナかタバコを吸ってる人が多かったこと。
ダウンタウンだけかと思いきや、近郊でも結構いたこと。

こういうことから、お嬢や私がポートランドに持った印象は、こじんまりしたバークレー、みたいな。
スピリチュアル系なお店も、何軒もありましたしね。
もっと高級住宅街とか、いろんなエリアに行けてたら、また印象は変わったのかも。

むしろ、それを求めてのGorgeだったので、その点だけは残念でございました。
ほんとに、いつかリベンジしたい場所でございます。
ポートランドに何回も行ってる旦那に、あそこは春がいいんだよ、それまで待てばいいのに、と言われたのですが、
旅行の中日がお嬢の誕生日だったので、何かイベントが欲しかったんですよね。私が。
ちなみに旦那は出張中で、「娘の誕生日にいない記録」をまた更新してました。


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そんな感じの旅、楽しかったお店や美味しかったコーヒー屋さんを、次回以降に記録予定です。
最後に、街で見かけた素敵なお姉さんの写真をば。
トータルコーデに惚れて、写真の許可を後でいただきましたです。
メイクからイヤリングまで、ばっちり揃えていらっしゃったですよー。



by senrufan | 2017-09-18 12:56


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