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希望の地図を奏でよう

「恋をするということは、過ちを犯し易い神が君臨する、宗教をもつようなものである」
   ----- ホルヘ・ルイス・ボルヘス
       (アルゼンチン人、作家・詩人、1899年8月24生まれ)


「あなた個人の誤読で印象に残る語」



老眼になって、誤読もタイポも、息するように自然になったお年頃ですが(泣いてない)、
これには爆笑に次ぐ爆笑でした。
ひーーー、ハライタイーーーー

* * * * *

【イベント】

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久しぶりに、コンサートに行って参りました。
UC Berkeleyのキャンパスにある屋外会場、The Hearst Greek Theatreにて開催された、
Yo-Yo Ma and The Silk Road Ensembleのコンサートでございます。
なんか最近、このシアターのコンサートばっかり行ってるな……

2年前にも、このシアターのヨーヨー・マ氏のソロコンサートに行ったのですが、その時に比べてチケットの値段が高くなったことったら。
ってなことも、最近ずっと言ってるな……

何はともあれ、前にこのアンサンブルの音楽を聴いて、背景を知ってから、ずっと気になっていたグループ。
生で聴けることを大いに喜び、勇んで出かけたのでございますよ。




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今回も、大入り満員の会場。
メンバーが舞台に上がると、大きな歓声と拍手が沸きました。
この日の曲目は、以下の通りです。

Fanfare for Gaita and Suona

Ichichila

O'Neill"s Cavalry March

Green (Vincent's Tune)

Syrian Improvisation

Miero vuotti uutta kuuta, from Five Finnish Folksongs

Duo

Atashgah

If you shall return...

Going Home

Take the "A" Train

Cut the Rug

Zyryab

Wedding


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珍しく、少しは下知識はあったものの、直接見てまず興奮したのは、その楽器の種類の多さ。
バイオリンやビオラ、クラリネットといった、西洋音楽でのメジャー級と、
バグパイプや尺八、琵琶といった、私でも知ってる民族音楽のスター楽器、
そして、無知な私が初めて出会ったのは、Kamancheh(胡弓じゃないんだー)、Ney、Sheng(笙みたい)などなど。
うおー、ぎぶみー解説ぷりーず、な楽器が多々登場して、この時の私、ちょっとヤバかったです。
その音を、演奏者の姿を見ながら、直接聴けること。
嬉し過ぎて、コーフンし過ぎて、目が完全にイッてた自信があるですよ。

そしてね、私、アンサンブルって、すごく好きなんですよ。
少人数のメンバーが、互いに目と目で合図し合って、呼吸を合わせることによって創られる、あの音楽。
その時しか生まれない、貴重な一瞬の連続でできてる感じがたまらなく。

こちらのアンサンブルの皆さんも、なんと楽しそうに演奏されることか。
Sandeep Dasさんの終始にこやかな演奏も素敵でしたし、寡黙な紳士っぽいJoseph Gramleyさんが、曲の盛り上がりでちらっと見せる微笑にも、胸きゅん(死語)で。
彼らの昂揚がこちらに伝わり、一層ハイな状態が、最後まで続いてしまったです。


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メンバーの多様性については、言うまでもありませぬ。
米国、シリア、インド、レバノン、スペインなど、国籍も人種もバラエティーに富んでます。
日本の方も、2人いらっしゃいましたよ。
パーカッションの藤井はるかさんと、尺八の梅崎康次郎さん。
梅崎さんは、デンマーク系でもあられるんですね。

この方々、演奏が素晴らしいだけでなく、作曲もバンバンやっちゃうんですから、ねえ。ほんとにねえ。(言葉がない)
本当にすごい人達って、肩に力を入れることなく、誰かを押しのける必要もなく。
世界の一流というのはこういうものだ、と目の前で披露された感満載でありました。


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各曲の前に、作曲された方やメインで演奏される方が、マイクを持って、一言述べられたりしたのですが。
最後の「Wedding」は、クラリネット奏者のKinan Azmehさんが、母国のシリアの村での結婚式の様子をイメージして作曲されたのですね。
2007年に作曲された後のシリアの変貌、今の惨状。
それでも尚、あれから5年の間に恋に落ちた、全てのシリアの人々に捧げます、というお言葉に、
共感を込めた大きな拍手が送られました。

そうなのです、メンバーの方それぞれが背負った背景が、ストーリーがあるのです。
生まれも違う、国籍も違う、音楽と歩んだ道のりも異なって。
そんな彼らが、音楽を共通語として、ここに集って一つになって、見事なタペストリーを織り上げる。

その時ばかりは、どんな恐怖も悲しみも、喜びに変えることができるのだ、と。
私がこのアンサンブルに強く惹かれる源の一つは、そこにあるのだ、と思います。

団結するのに、共通の敵を作る必要がある人達。
一方的に敵を作るしか、自分の位置に自信を持てない人達。
そういうものを畳み掛けられるように見せられ続けている気すらする、ここ数年。

だからこそ、このアンサンブルの方々の姿勢に憧れずにはいられない。
そんなことをせずとも、笑顔で同じ場所に立つことができるじゃないか。
そんな励ましさえも、勝手にもらった気持ちになってしまうのです。


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ヨーヨー・マ氏は来年の4月、またこちらで演奏されるそうですよ。
今度は弦楽三重奏で、チケット販売は今年の11月ですって。

多数のコンサートのスケジュールの中に、シルクロード・アンサンブルのお仕事もしっかり入っているのでしょう。
メンバーの皆さんの、ワークショップや子供達へのレッスンなど、音楽の喜びを世界に広げる多彩な活動に、心から敬意を表します。

また生で聴ける機会が来ることを、強く願いつつ、
今はCDかな、この映画のDVDかな、と、あれこれ探索してみたい所存でございます。


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SILKROAD

The Music of Strangers: Yo-Yo Ma and the Silk Road Ensemble
      - Official Trailer



by senrufan | 2016-08-24 12:57


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