見ている舞台の表裏

「平和は戦争を免れることにあるのではなく、考え方の一致・融和にある」
   ----- スピノザ
       (オランダ人、哲学者、1632年11月24日生まれ)


Ferguson Police Officer Not Charged in Black Teen’s Shooting

今年8月にミズーリ州ファーガソンで、黒人の青年、マイケル・ブラウン氏が、白人警官のダレン・ウィルソン氏に射殺された事件。
3ヶ月後の昨夜、ウィルソン氏の不起訴が決定いたしました。
これによって、彼は有罪どころか、裁判にかかることさえない、ということです。

ウィルソン氏の遺族、ミズーリ州のニクソン州知事、そしてオバマ大統領が、それぞれ声明を出していましたね。

Obama Makes Statement On Ferguson Grand Jury Decision

決定後、今まで雲隠れしていた、もしくはかくまわれていたブラウン氏が、インタビューに答えたのですが、その記事が↓です。

Darren Wilson explains why he killed Michael Brown


この決定を聞いた時、なんというか、いろんなことのツケがきたな、と思ったのが最初です。
銃社会アメリカをなんとかしなくちゃいけない、でも銃規制ができない。
自分で自分を守るには銃が必要な社会。ましてや、警官に銃は必須。
そして警察は、身の危険を感じたら撃って良く、その結果、起訴されることは稀であるという司法のバックアップ体制。

人種偏見、という言葉ではすまないほどの、深い深い溝。
一体どうしたらいいのか、という途方に暮れた感情を持て余した一夜となりました。

This is SO relevant. Man.


とりあえず思いつく具体策としては、警官全員に、ノンストップのビデオカメラ装着を義務づける、
ぐらいでしょうか……
Wearable端末が実用段階に入ってきた今、手立てはないかなあ、とぼんやり思っています。

* * * * *

【映画】

     Maleficent-(2014)-149

お嬢が里帰りしている間に、映画「Maleficent」を観に行ってきました。
こんな昔の映画の感想を書く気かよ。
や、自分でも書く気はなかったんですけど、主演&製作総指揮のアンジェリーナ・ジョリーが、また引退を示唆するようなことを言った記事を読んだので、なんかタイムリーな気がして。(錯覚です)

アメリカでの公開は、5月30日。で、我々が観に行ったのが、8月末。(……)
その時点で、近所には全然上映館がなくってですね、なんとオークランドまで足をのばすことになったんですよ。
まあ、その後の予定もあったので、ちょうど良かったんですが。ええ、負け惜しみじゃありません。

で、この映画館が、おお、と思う場所でして。
映画館に着いた時、周囲の様子から、げ、ヤバい場所に来ちゃったかな、というところから始まり、
車をここに停めてダイジョブか、という不安を抱きつつ、中に入ってみたら、これがなんとも面白い作りのシアターで。
つか、映画館じゃなくて、シアターなんですね、というか。
そんな館内写真をはさみつつ、苔生した感想、始めましょーっ!




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ストーリーは、ディズニーの有名なアニメ、「眠りの森の美女」を、悪役の魔女・マレフィセントを中心に、彼女の視点からリメイクしたものです。

妖精の国と人間の国。隣り合う二国は、互いを自分の領地とすべく、ずっと戦争を続けています。
妖精の国に住む少女マレフィセントは、力強い翼を持ち、自由に飛び回って暮らしていますが、ある日、妖精の国に迷い込んだ人間の少年・ステファンと出会います。
成長するにつれ、互いを愛するようになりますが、人間の国の国王ヘンリーが、マレフィセントが率いる妖精の軍隊との戦いで重傷を負い、マレフィセントを殺した者を次の王とすると宣言した為、
野心に目覚めたステファンは、彼を信じるマレフィセントが眠りについた後、彼女の翼を切り落とし、王の元に持ち帰り、王女と結婚し、次期国王となります。
ステファンの裏切りに深く傷ついたマレフィセントは、国王夫妻の新しい娘・オーロラに、「真実の愛のキス」によってしか解けない呪いをかけるのですが、3人の妖精に隠れて見守るうちに、彼女を大切に思うようになります。
成長したオーロラもマレフィセントを慕うようになり……

って、あとはサイトなりでご覧ください。(ぜえはあ)(なぜ無駄な努力を)

「オズの魔法使い」が「Wicked」にリメイクされたように、悪役とされてきた側から見れば、
また全然違った物語になるんだよ、というのは、なかなか好みの方法で。
なので、この映画も結構期待していたんですよ。


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結論から言って、「アンジェリーナ・ジョリーだけがやたらとカッコいい映画」でございましたね。
つか、彼女が素敵なのは勿論なんですけど、それ以上に、とにかく男性役がヒドいんですよ。
ぶっちゃけ、ロクな男がおらん映画
彼女と一旦は恋仲になるステファンも、オーロラ姫に恋するフィリップ王子も、
わざと?と思うぐらいにイケてない。
結果として、悪役であるはずのマレフィセントの凛々しさや美しさが際立つ、という仕組み。

唯一、まあまあかな、と思ったのは、マレフィセントを助けるカラスのディアヴァルぐらい。
彼は主役側(…)だからイケメンで、悪役(…)側の王や王子は悪役ヅラ、みたいな?
そういう効果をねらっての配役だったとしたら、単細胞なワタシには当たりでしたね。(いいのかそれで)


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そんな風に、ひたすらアンジェリーナは美しく、かっこよく。
裏切られ、捕らえられて苦しむところなど、観ているこちらが自然に彼女に味方してしまうように。

オーロラ姫のエル・ファニングは、ふんわり可愛い系。こんなところでも対比させたのかしら。
マレフィセントを、フェアリー・ゴットマザーと慕う彼女の素直さ、愛らしさ。
悪意に慣れてない世間知らずなところが、また物語に良いテイストを加えていたような。
そういえば、少女の頃のオーロラ役は、アンジェリーナの娘が演じていたんですねー。

ディズニー映画では狂言回し的ながらも有能な3人の魔女ですが、本作ではまた欠点が色々と。
彼女達がきちんと世話しないおかげで、マレフィセントとオーロラの間に愛情が芽生えるわけですから、これも上手く考えられていますなあ。


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ほんとにね、正義と悪って、一通りじゃないんですよね。
それは大きくなってわかることだから、と、子供のうちはその方式で良いのか、
それとも子供のうちから、正義は人の数だけあるんだよ、と教えていくべきなのか。
子供が20歳になった今でも、どっちが良いのかはわかりませんが、少なくとも、こういう物語の形で子供に見せることができたらいいなあ、とは感じます。

わかりやすい形で、感情移入しやすい形で。
お嬢は幼い頃でさえ、ディズニーの作為的な部分には反発を覚えていたという、大変可愛くないお子でしたから、あの頃にこの映画があったら、どういう風に感じたか、聞いてみたかったですね。

人種や国籍、髪の色や目の色、話す言葉、仕草さえ。
「自分と違う」という思いが、「自分は正しくて、違うのは悪」とイコールになるのが、差別の芽生えであるわけで。
アメリカという国の片隅にいることで、肌で感じずにはいられない、「違い」というものに対する、人それぞれの意識。
子供をも対象とする映画で、できることは色々ある、と思うのです。


     IMG_2406

ただ、アメリカという国は。
もう、そんな通り一遍のことでひっくり返せるような、そんな単純な状態とは遥かに離れてて。

実際、私達も、最初に書いた通り、この映画館に着いた時、ぎょっとしたことを白状いたします。
周囲のフェンスや壁は落書きでいっぱいで、通りに座り込んだり、うろうろしている人達。
咄嗟に、危ない、怖い、と家族と言い合いましたし、車を停めて離れていいのか、と迷ったことも事実です。

通りにいたのは、ほとんどが肌の黒い人達で。
彼らの様子から、危ない、近づかないようにしなければ、と思うようになったことは、
人種偏見であると同時に、この国に住む為に必要な意識でもある、という悲しい言い訳。
そこに理想論や気高い思想を取り入れたくとも、あまりに難し過ぎて。
映画の中で、マレフィセントは美しく、彼女に対する者達を、好意的でない描き方をしているのは、
決して理由のないことではない、と改めて思います。

それでも、自分と「違う」立場の人達を、否定することだけはできない。その権利はない。
せめて何かをわかろうという努力は、し続けなくてはいけない。
童話や物語を、視点を変えたらどうなるか、と想像することは、少なくとも誰かにとっては、
その端緒にはなりうる、と、すがるような思いで信じたい、のでございます。


って、こんなことをうだうだ書いていたら、当のオーロラ役だったエル・ファニングの、次なる映画の話題が入ってきたですよ。

16歳エル・ファニング、衝撃イメチェン!性転換するティーン役に挑戦

そうかあ、まだ16歳だったんですねえ。
オーロラ姫と同様、彼女の成長も楽しみでございます。

さて、感謝祭の週末に向けて、続々と新しい映画が公開中。
つーても、本当に観に行くことも減ってしまいましたな……
ガキンチョレベルのワタクシ、少なくとも「BIG HERO 6」ぐらいは観に行きたいんですけど、どうなるやら。
……また上映館がほとんどなくなった頃、遠出することになったりして、ねー。


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Maleficent (Official Website)

マレフィセント (日本語公式サイト)

The New Parkway Theater
474 24th Street
Oakland, 94612
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by senrufan | 2014-11-24 12:03 | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2014-11-27 22:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Miyuki at 2014-11-29 03:26 x
*非公開コメントKさん
ほんとーーーに難しいですよねえ……そうなんですよね、差別感情の元はといえば、動物的な「自分と違うところを発見して身を守る(派手な色→毒がある)」という本能的なものからきているわけですから、差別感情をなくせというのは全く現実的な話じゃないんですよね。だからどうコントロールしていくか、という話で。
おっしゃる通り、学校教育はすごく大きな要因ですが、たとえば宿題をやってこない子達がそういう家族だったとして、じゃあどうしてそうなのか? それは親御さん自身もそういう教育を受けてこなかったから、そういう環境にいられなかったから、という理由が多いと思うんですよ。それはなぜなのか? 努力型移民から見れば、それを言い訳にするなという思いも出てくると思いますが、それでもこの問題は、それで済ませられないことですよね。「信じられない常識」というのは、あくまで自分から見た時の話で、それはイコール万能の正義でもなんでもないですから。
うちも車のナンバープレートやホイールキャップを盗まれたことが(遠い目) おかげで、これでもだいぶ鍛えられました、あは。Kさんも素敵なホリデーをお過ごしくださいませ♪
Commented by ノンノン at 2014-11-29 05:01 x
もう読まれたかもしれないですけれど、「正義の形はひとつではない」について、個人的にすごく面白くて勉強になったのが、ハーバード大学の政治哲学の先生のサンデルさんのJustice. 翻訳は「これからの正義の話をしよう」↓
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A9%B1%E3%82%92%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB/dp/4150503761/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1417203129&sr=1-2

過去、現在の様々な哲学者の理論をわかりやすく説明したうえで、それぞれの理論を実際の問題に当てはめると、「あらま、「正解」はこんなにたくさん!(かつ、ばらばら 笑)」ということがわかる本でした。

本の元になったと思われる講義も動画で公開されるのですが、こちらは生徒との白熱のやりとりが入っていて(サンデル先生の講義スタイルなんだと思いますが、エキサイティングで巻き込まれます)、こちらもすごく面白いです。お嬢さん、好きかもです。
https://www.youtube.com/watch?v=kBdfcR-8hEY&list=PL30C13C91CFFEFEA6
Commented by Miyuki at 2014-11-29 13:05 x
*ノンノンさん
おおお、私も読みました! やっぱりノンノンさんもご存知だったんですねー♪ このレベルの講義が受けられるって、本当にうらやましいことですよね~~。
お察しの通り、娘もネットで講義の動画を見てましたよ。
そう、「正解」も「真実」も「正義」も、その人の数だけあるんですよね。それはわかってるはずなのに、何かあると、これ違うじゃん!とむっとしてしまったりして、いつまでも気が若い私です(激違)

それにしても、日本ではサンデル教授の本が何冊も出てますね……相変わらずの2匹目のドジョウ的販売……
Commented by ノンノン at 2014-11-30 02:40 x
あはは、そうそう「むっ」とします。
よかった、私だけじゃなくて。(ふ~)

先日久しぶりに本屋さんに行ったらですね、The seven habits of highly effective people の隣に同じ著者のThe eighth habit という本があるのを見て思わずにっこり。The eighth habit だけで7つの習慣と同じ厚さ。「これ、ありだわ~」。9つめ、10個目と並んでいくかも。うふふ、なんか楽しい。
Commented by Miyuki at 2014-12-01 12:08 x
*ノンノンさん
そうです、いつも皆さんの後ろに、私というクズがバックアップ要員として控えてます。ダメじゃん!

わははは、そーれは楽しい! 「パイプのけむり」のように、続・続々・もひとつ・またまた、と新しい版を積み重ねていってほしいですね(笑)


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