それでも明日への歌を持て

「純粋さとは、汚れをじっと見つめうる力である」
   ----- シモーヌ・ヴェイユ
       (フランス人、哲学者、1909年2月3日生まれ)


「映画とは国と国の垣根をなくすことね。
映画とは世界の言葉を持っていることね。
映画とはみんなが見るものね。
映画とは人間を知ることね。
これほど人間について教えてくれるものはないのね」

映画評論家の淀川長治さんのお言葉です。
氏の、あの温かく、ちょっと舌足らずな言い方で、頭の中で再現してみるのです。

* * * * *

【映画】

     les_miserables_ver11

映画「Les Miserables」を観に行って参りました。
昨年8月に観た舞台の感動の余韻が、まだ仄かに残っているような。
そんな時だったので、ちみっと心配もしていたのですよ。舞台と比べて、アレコレ思ってしまうのではないかと。

ですが、そんなセコい心配はどこへやら、の大感動をもたらしてくれちゃって、本当に良い映画でありました。
ティッシュを何枚使ったかなー。(ぢーん!)




ストーリーについては、特に語るまでもないので、割愛。
但し、ご幼少時代に「ああ無情」を読んだだけ、という方は、要注意。
銀の燭台は、あくまでイントロです、ということを、大きくなってから知った馬鹿が、ここにいます。(鏡よ鏡)

名作なおかげで、英語がわからなくてもダイジョブ! と、意気揚々と観始めて、いきなり最初でコケました。
ラッセル・クロウがジャベールかよーーっっ!!
え、え、なんで彼なの!? 彼って歌えたの!?
お嬢の友達も、彼を眼にした途端に椅子から滑り落ちたそうですから、意外と世界に与えたインパクトは大きいかと。(どきどきどきどき)

そんな、いきなりの不安(ド失礼)をすぐに拭い去り、あとはすさまじい迫力に圧倒されまくり。
ヒュー・ジャックマン、すごい! ロバート・デニーロ並みに身体改造をはかってきましたね。
インタビューを拝見したのですけど、なんでも「水を36時間飲まないで、やつれ顔になるダイエット」をしたとか。良い子は決して真似しないでください、ってゆってた。(棒読み)
あまりに多くの俳優さんが演じてきた役なので、彼のバルジャンがイメージに合う・合わないはあるでしょうけれど、私的には好み・好み。
あの眼光と、肉体の力強さ、抑えと爆発の感情の緩急、どれも素晴らしく。

そして、私がこの映画を観たかった一番の理由であるところの、アン・ハサウェイ。
ベタですが、「The Princess Diaries」を観て以来のファンで、彼女の歌を一度、思いっきり聴いてみたいと思っていたのですよ。
その期待を裏切らないどころか、いやもう、泣かされましたのなんのって。
げっそりと痩せて、痛々しいばかりの姿で歌う、「I Dreamed a Dream」。
涙どころか、鼻水まで決壊でどうしよう。(ぢーん!)

と、この2人のキャストしか知らないで行ったので、他の俳優さんにも嬉しびっくり。
特に、大好きなヘレナ・ボナム=カーターが、テナルディエ夫人とは。
もー、どうしてこの方は、何をやらせてもオリジナルで上手いのだ。
旦那役のサシャ・バロン・コーエンも、絶妙ないやらしさと強かさ。芸達者な2人のペア、面白いー。

エポニーヌ役のサマンサ・バークスも、上手でしたねえ。
雨の中の「On My Own」、その頬を伝うのは雨か、涙か、なんつって。
どっちかというと、あのスタイルに驚いた。上半身がっしりなのに、なんなのあのウエストの細さ。
コルセットでしめてるっぽいんですけど、それであの歌とは、タダモノじゃありませんな。

コゼット役のアマンダ・サイフリッドは、映画「Mamma Mia!」に出てましたね。
とても上手なのですが、役柄のせいか、周囲の役者さんが素晴らしすぎるせいか、どうしても線の細さが否めず。

それを言うなら、マリウスか。
エディ・レッドメインが演じていたのですけど、なんつーか、小者?
でもこれは彼のせいではなく、マリウスって舞台でも原作でも、そうなんだと思うです……良いとこの坊ちゃんが青く頑張るから、仕方ない。

心配してた(だからド失礼)ラッセウ・クロウも、なかなか良かったです。
彼の粗暴さが表れた歌いっぷりが、執拗な警部に良い感じに合っていて。
最後の身投げのシーンはしかし、まさか前から落ちるとは思わなかったです。舞台では背中からだったからなあ。
子役のガブローシュ(ダニエル・ハトルストーン)に勲章をつけてあげるところに、再びぢーん!でありました。


les-miserables-2012-comparison-poster

原作を映画化、ではなく、ミュージカルを映画化したこの作品は、役者さん達が実際に、その場で歌いながらの撮影で。
なので、例えば「I Dreamed…」も、あの数分間、一度も切れることなく、一回で撮られたものなんですよね。
それを、あんな近くでカメラで撮影するわけですから、舞台をちょーVIP席で見るようなもの。

逆に舞台だと、あまり近くでも良くないわけですけど、映画だと大画面で観られる利点が沢山。
舞台だと大いに歌い上げるところを、映画で接写ならではの引きがあったりして。
舞台派・映画派、と分かれる必要のない、また一つ素敵なレミゼが歴史に加わった、という感じで、本当に行って良かった映画でありました。
映画が終わった途端、客席から拍手が沸きましたとも。

人間ドラマなんだなあ、と何度も思わずにいられません。
ユーゴーの昔から、どれだけ時が経ったでしょう。
それでも結局、こんなに人間って、変わってない。求めるものも、悲しみも、喜びも、怒りさえ。
源氏物語でもシェークスピアでも、古典に触れる時は、常に思うこと。

成長がない、と言ってしまえばそれまでですが、人間とはこういう生き物なんだ、と何度も何度も、繰り返し。
私が本が好きで、歴史が好きな理由が、ここに凝縮して在る、ようにも思うのです。


名曲揃いのレミゼは、その音楽の素晴らしさを抜きにしては語れません。
あまりに好きで、しょっちゅうYoutubeやPANDORAで楽しんでいるので、マジでCDを買ってしまおうかと考え中。
とりあえず以下の動画は、お薦めです。大変長いので、お好きなところだけご覧くださいませ。
この時のバルジャン役のコルム・ウィルキンソンが、映画で司祭役をつとめていらっしゃいます。


LES MISERABLES 10th Anniversary DREAM CAST (Wiki



どの曲も好きなのですけど、この映画の後は、特に「Do You Hear The People Sing?」にはまって、リピートすること何十回。
聴くたびに、映画の最後のシーンが目に浮かんできては、またどうしようもなく、泣けてきて。

主役とか脇役とかではなく、民衆の、人々の。生きとし生ける、人間という存在の。
レミゼの中に私が見るものが、その姿そのものであることを、この歌が象徴しているから、なのかもしれません。


Les Misérables - International Trailer



映画「Les Miserables」公式サイト : 英語 日本語

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     IMG_2890

最後に、この映画行きで、初めて試したことをば。
COSTCOで、映画館のディスカウントチケットを購入してみたんですよ。ええ、今頃。

こちらのメジャー映画館チェーン、AMC TheaterCinemarkの2種類が売っていて、ぱっと見たところ、違いが見当たらなかったので、安くて我が家に近かったCinemarkの方を買いました。
2枚で$15.99、有効期限なし。

プレミア上映とかだと、上乗せ料金を払わなくてはいけないみたいですけど、この時はそのままチケット売り場で、チケットに引き換えできました。
大人1人が$10.75のところ、$7.50ですんだですよ。
平日の午前中や二番館上映などを選べば安く鑑賞できますが、一般的な時間帯と場所での鑑賞希望の時には、お役立ちでありがたいチケットでした。
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by senrufan | 2013-02-03 05:03 | Trackback | Comments(6)
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Commented by lizzyco at 2013-02-05 07:29 x
感動のしどころが同じで、また思い出して涙ですわ。。。もうひと月以上経ってるのに。。。ええ、驚きどころも一緒でした>ラッセル・クロウ(爆)
でも実は青いおぼっちゃんがとても良かったわー、ステキだわー、と思った所はちょっと違うかしら(だから、男を見る目がない、と言われるのかもしれません(笑))。。。そして、アマンダ・サイフリットはもっと辛辣に「この女しかいなかったかー、なんならアナ・ハスウェイでも良かったのに」とチッと舌打ちした私です。そして、ヒュー・ジャックマン!最初、あまりにも変わり果てた姿に彼だとは長く気づきませんでした。いやー、実に良かった!舞台を私は見た事がないので、みゆきちゃんのを読んで、「そうか、そう言う事か!」とまた感動でした。ありがとう〜!
Commented by Miyuki at 2013-02-05 11:41 x
*lizzycoさん
同じだった? 嬉しい~vv そして、驚きどころもご一緒で(笑)
いやいや、私の男性の好みが変わってるんで。理想はハリポタのダンブルドア校長とかだからね、そらあマリウス君に罪はありまへん。わはは、アマンダさんに容赦ない! まあコゼットも、舞台でもやっぱりこんな感じというか、清らかで守られてるって子だからねえ。
ねー、ほんとに良い映画だったよね! もう一回観に行こうかどうか思案中ですよ。機会があったら、舞台も行ってみてね♪
Commented by sivasiva21 at 2013-02-06 04:36
Miyuki様!

私も先週見てまいりました~!
それにしても同じ映画を見てもMiyuki様の感想は深い…
感じていてもどう言葉で表現していいかわからない私…勉強になりますっ!
Commented by Miyuki at 2013-02-06 12:27 x
*Yumiさん
わあい、シンクロで嬉しいですー♪
え、深いって、ラッセル・クロウに驚いたとか、マリウスが小者とか。
Yumiさんのご感想もお聞きしたいっ、と思ったら、ブログにアップされているではないですか! これから大喜びでうかがいまーすvv
Commented by さく at 2013-02-09 16:18 x
私も今日やっと見ましたよ。よかったですねー。アン・ハサウエイには鳥肌が立ちました。彼女が死んじゃったから「もーかえろっかなあ」と。(嘘)・・・マリウスは小者ですがかわいいから許します。それよりも革命青年のリーダー役が、どうしても大泉洋に見えて。。。
あ、そうだ。今コスコでamcのチケット、$13.99で売ってるだす。もう2−3組買いに行こうかな。
Commented by Miyuki at 2013-02-10 13:56 x
*さくさん
いい映画だよね~♪ うん、鳥肌とはあのことだわ。でも帰らないで、つか死んだ時って、まだ全然ドラマ始まってないし!
わはははは!!>大泉洋を検索した
えっ、$13.99!? それはお買い得! 特定曜日の午前中とか、安い時をねらっていけば必要ないんだけど、いつもそうできるとか限らないもんねー。有効期限なしだし♪
あ、メール出したよー。


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