生まれる時の匙の色

「私の自画像はない。 絵の対象としては自分自身に興味がない。 むしろ他人、特に女性、そして他の色々な現象に興味が有るのだ」
   ----- グスタフ・クリムト
       (オーストリア人、画家、1862年7月14日生まれ)


結婚は「三高」から「三低」や「三手」へ

“低姿勢・低依存・低リスク”の「三低男」って実際どうなの?

いやー、知らなかったなー。
ところで今では、「家付き・カー付き・ババア抜き(次男)」、ってのはないんですかね。
うちの旦那、これだったんですけど。

* * * * *

【雑事】

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菜食中心になって、素材はできるだけ丸ごと食べたくて、オーガニックのものを中心に買うようになって。
個人の生活においての選択でありますが、それだけでなく、広く環境を考えた時にも、そちらの方が望ましい、と信じているのですけれど。

菜食は、金持ちの白人向けのものだ、とか。
そういう買い物ができるというのは、それだけの収入があって、そういう街に住めて、それだけの教育を受けることができたヤツ、と。
大なり小なりの軽蔑と嫉妬、そして、そういう選択をしない自分を攻撃されたかのような被害者意識も込めながら。
日本ならばともかく、こちら米国では、こういう見方が可能、というより、生活様式を云々する際、人種や育った環境を無視して言うことはできない、ということなのでありますね。

Food accessibility
相当する日本語が見つからず、どう訳すべきかわからなくて、お嬢に助けを求めたところ、
「食材選びの自由」
というのはどうか、と言われました。

どういう食材が身近にあるか。望む食材を手に入れる為には、どれだけの努力が必要か。
米国のフードガイドラインでも謳われているように、できるだけローカル産で、できるだけ取れ立てで、できるだけ残留農薬の少ないもの。
そういった食材を手に入れることができるかどうかは、米国の場合、多分に居住地に依存します。
そして、その居住地での食材の手に入れ易さ、及び品質は、土地の値段・治安・教育のレベル等が、そのまま反映されているのが現状。

こういった事実は自明のことと思っていたのですが、米国では意外と気づいていない人々が多いことを、Public Healthを専攻していらっしゃるSarahさんから教わりました。




カリフォルニアはシリコンバレーと呼ばれるエリアに、Food Empowerment Project(FEP)という、ボランティアによって運営される非営利団体があるそうで。
コミュニティに住む人々に、より良い食環境-健やかに育てられた家畜と野菜を、と計る彼らによって行われた調査の結果が、昨年の夏に発表されました。
この地域内で、高所得層と低所得層のエリアを抽出し、Food Accessibilityを調査主題として得られた回答は、以下のPDFファイルにて閲覧できるようになっています。

Shining a Light on the Valley of Heart's Delight


両所得層を比較して、食材の入手し易さ・身近にある店の内容・健康的と見なされる食品が身近にあるかどうか、などを比較した結果は、というと。
平均して、低所得層に比べて高所得層は、
新鮮な野菜や果物を入手できる場所が2倍、
冷凍フルーツが入手できる場所が14倍、
冷凍野菜が買える場所が6倍多かった、
そうなのです。

これを、オーガニックかどうかも含めて比較した表は、こちら(↓)です。

     foodacess


他にもいろんな結果が記載されていますが、これらから明らかに言えることは、
どこに住んで、どういう仕事についているかによって、日々どういう食材を摂るかにおいてまで違いが出てくる、という事実です。
そして、その裏に階層的に存在するのは、
生まれた家庭環境、つまり両親とコミュニティの教育レベルと質、そこで一般的な生活習慣。
そこで育ちながら得た教育と学歴、その後に得た仕事、その収入によって住む町。
その町に住む人々の生活に則した品々を扱う店。

オーガニックどころか、新鮮な野菜や果物を売っている店さえ、近所にない。あるのは酒屋やタバコ屋、コンビニエンスストアのみ。
低収入の仕事をかけもちして、一日中働く為、遠くまで食材の買出しに行くことも難しい。
政府の食事ガイドラインなど、何のことかわからない。また、実行しようにも術がない。
結果、病を得たとしても、お金がないと保険にも入れない・医者にも行けない。
経済格差がそのまま健康格差にも繋がっている、悲しい現状。

どういう人種で生まれるか。どういう家庭に生まれるか。
「選ぶ」ことのできない地点から始まる鎖が、その後の人生の「選択の自由」に、どれだけの強さの戒めを与えていくことか。
「食材選びの自由」度を測る時、あらゆる面において直視せざるを得ないのは、何十年かけても解消できない、この国の現実です。
これを、FEPの上記リサーチ報告内では、「Environmental Racism(環境的人種差別)」と呼んでいます。


ただ嬉しいことに、少し前進もあるようです。
たとえばファーマーズマーケットで、Food stampsを受け付けてくれるところが出てきたこと、など。
不健康の元とされるジャンクフード&ソーダを制限する動きは、ここ数年、ますます活発になってきておりますが。
そういったものを制限するより、良い食べ物へのaccessを容易にしようという動きを、より歓迎すべき、と考える識者の方々もいらっしゃる模様。

菜食主義、オーガニック信奉は、果たして一部の裕福な人々だけのものなのか?
一つ言えることは、菜食であることを表明して、何らかの行動をとる場合、
「そうしたくないから選ばない」だけでなく、「そうしたくても選べない」事情もあるのだ
ということを前提にした上での行動でなければならない、と思います。
実際、「差別される側」に立っているとする人々にも、言いたいことは沢山・色々・山ほどあるのが正直なところなのですが、まあそれは追々、機会を見て。

誰でも、どこでも、自分の身体に合った、良い食べ物を手に入れられる。
アメリカほどの先進国でも、いや、むしろアメリカだからこそ、なかなか成せない理想の姿です。
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by senrufan | 2011-07-14 14:13 | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2011-07-17 00:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2011-07-17 00:37
Food Accessibility。またひとつ勉強になりました。主婦である私たちが最も身近な「食」の観点以外でも、生まれた国、家庭、親、取り巻くコミュニティのレベルや質によって、本人のまったく非はなく決められてしまう人生がたくさんありますものね。肥満が大問題化しているアメリカ。単純に食べすぎだから太るというより、低所得者の手に届きやすい安くてジャンクなものほど不健康で高カロリーという、難しい問題をはらんでいて。Food Stampも、耳にはするもののそういうものだったのを初めて知りました。「不健康への制限」ではなく、「よい食べ物へのアクセスの容易さ」。推進してほしい取り組みですね。
Commented by senrufan at 2011-07-17 12:51
*非公開コメントさん
おーっ、なんとも心強い”共感”のお言葉、嬉しいです!(がしっと握手)
ほんとにおっしゃる通り、これだけの人口を抱えて、中央でいくら発信を試みても、元々受け入れ土壌のある部分にしか届かなくて、大多数は無知のまま。なんせ50ヶ国に向けて発信するようなものですからね~。
でも同時に、そこから抜け出そうとする動きに対しての「コミュニティの圧力」も問題だと。公民権運動から数十年、なぜまだこの地点にいるのかなあ、と……これについて、実はとってもご意見をうかがいたいのでございますう。
かゆいところはこの辺ですか、それともあちら(かりかり) 孫の手になれて嬉しゅうございます。(真顔) 私こそ、いつも励ましをいただいておりますので!
Commented by senrufan at 2011-07-17 13:00
*shinaさん
食という、あまりに日常的なものが、どうしてこうもフクザツになってしまうんだろう、と悲しくなりますね~。なんでもっと単純にいかないかなあ、大地とお日様と水に育てられたものが一番基本にあるってなんで思えないかなあ、なんでそれが一番に手に入るものじゃないのかなあ……そうなるシチュに、いろんな企業の思惑まで感じてしまうわけでございます。とにかく病巣が深すぎる上、そのままを望んでいるかのような圧力と、少数民族国家出身としては、いやはやーと頭をひねってしまいますな。
Commented by Sarah at 2011-07-18 04:20 x
食材選びの自由かぁ...さすがだなぁ。私の場合、カタカナには出来ても日本語には出来ません(泣)
これらの現状にさらに追い打ちをかけるような話ですが、食材に限らず、生活用品や車など、ほとんどの物が低所得者が暮らす地域の方が値段が高いんですよね。いろんなことが絡み合って成り立っている社会ですから、一部分だけを取り上げてどうこう出来る問題でもないのですが、個人的にはどこまで出来るかわかりませんが「なんとかせねば」の心意気で頑張ろうかと。(笑)
Commented by Miyuki at 2011-07-18 13:01 x
*Sarahさん
そして私は、いまだにスペルが正しく綴れない自信(涙)
なんと、そんなものも高いのですか! あ、でもそうか、大型店がないということは、そおゆうことになるのですな。うちの近所のWalmartを見てて、ここは強い味方であろうと思っていたのに。しゅん。ほんとに、切り口一つでどうなる国じゃないんですよねえ……うん、なんとかしてー、がんばってー(他力本願)(死んでこい)


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