足を着ける場所を知っている

「ここの余白は狭すぎて書き記すことができない
       (フェルマーの最終定理についてのメモ)」
   ----- ピエール・ド・フェルマー
       (フランス人、数学者、1601年8月17日生まれ)

* * * * *

【買い物】

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地元のダウンタウンを散策していた時。
急にとある方向に引力を感じて、そちらに目を向けてみたら、ガラスのドアの新しいお店がそこに。
ドアに書かれた、”Chocolates”の白い文字。突発引力の原因はこれだった。(膝ポン)

それからしばらくして、お嬢の友達の誕生日プレゼント購入の為に訪れて。
お店の感じもとても良く、コンセプトも気に入ったので、今度は私達用ということで、お嬢と2人で行ってみたのだよ。




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モダンな雰囲気の店内は、チョコレートショップとは思えないほど広々と。イートインスペースもゆったりと。
お嬢はここのライトがいたく気に入って、写真を撮ってたよ。


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ここのチョコレートの特徴は、”single-origin”であること。
大抵のチョコレートメーカーは、原材料のカカオ豆を数ヶ国、または数箇所のプランテーションから集めて、ブレンドして使ってるんだよね。その方が、一貫した味と供給が期待できるから。
それに対して”single-origin”というのは、1ヶ国または1箇所のプランテーションからの豆のみで作る、という意味なんだって。

ワイン界で使われるフランス語、”terroir”。
その年ごとの降雨量、土の状態、平均気温などによって、出来上がるワインは同じ畑からであっても、味も香りもバラエティに富んでいて。
それと同様のことが、カカオ豆にも言えるわけで。
single-originのチョコレートは、その時の豆の出来によって、色も食感も香りも見た目も、全てが一期一会に近くなる。

人里から遠く離れた場所で、大事に育てられたカカオ豆。実ってから、収穫・乾燥・箱詰めなどの手順を経て届き、職人が細心の注意を払いながら加工する。
”fair trade”と”sustainability”は、そんな彼らのキーワード。

加えてここのオーナーは、政治的に問題のあるエリア、例えばコートジボワールといったところからは豆は買わず、南米、カリブ、ハワイ、マダガスカルから、吟味したものを入手して。
それに、地元の酪農業者のオーガニッククリームを加えることで、オリジナルのトリュフを作り上げるんだって。

元々貿易業で成功したという起業家のオーナーが、次なるビジネスのチョコレートショップに選んだのは、そういう形であったのだ。


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好きなチョコレートを選んでください、と試食用のボックスを出してくれる。
お店のショーケースと同じ並べ方になっているのだけど、一番上の段がミルクチョコレートで、下に移るに従ってダークに、という仕組み。
長方形のトリュフは、上にのせられたプレートの模様で区別されていて、なんともカラフルで可愛らしい。

ダーク派の私達は、60%以上のチョコレートを幾つか試食。
どれもきちんと風味が違うのが、素人の舌にも良くわかって、改めてチョコレートテイスティングの面白さを実感する。


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カウンターの内側で、しゃかしゃかと手際良くチョコレート作りにいそしんでいるのが、当のオーナー。
成功したビジネスマンの彼が、なぜチョコレート作りに、というのは、当然わいてくる疑問だよね。

元々お嬢さんの為に、趣味として始めたチョコレート作り。
それがイベントや先生方への贈り物、友人とのパーティなどに持って行くにつれ、どんどんと評判が広がって、これを新しいビジネスとして立ち上げる決心をしたそうで。
生来の分解・修理・改造作業好き、実験オタクを自称するオーナーには、実はぴったりの職業であった模様。
決心してから、老舗のチョコレート職人のクラスで勉強して、自宅での実験・試作を繰り返し。
オープンしたお店は、お嬢さんの名前をそのままつけて、もう一人の大事な彼女だね。


こちらのお店はトリュフがメインだけど、それ以外にもS'more、キャラメル、Galaxyチョコレートなど、オーナーの遊び心から生まれた商品も。
カウンターの内側で作業する彼は、お客さんの顔を見ながら会話することで、リクエストを聞いたり、アイディアを常に考えているそうで。
嬉しいことに、乳製品を使わないVeganトリュフもあってね。
ヘーゼルナッツミルクを使うこともあるんだけど、お客さんによってはナッツアレルギーの人もいるので、今回私が味わったのは、ヘンプミルク使用のものだったよ。


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テーブルと椅子が用意されているのは、こちらでコーヒーとホットチョコレートをいただくこともできるから。
そして、チョコレートを作ってる現場を見てもらったり、Naked Trufflesと名づけられた、自分だけのトリュフサンデーを作ってもらったりできるように、なんだって。
但しサンデーについては、
「1回につき、4個以上のトリュフは使わないように。大変リッチなチョコレートなので」
というコメント付だそう。

ちょっと肌寒くて、温かい飲み物が欲しかった私、Today's coffeeをお願いしてみたら。
フレンチローストの豆で、とても濃い、凝縮したコーヒーを淹れるので、あとでお好みでお湯を足します、と言われたの。
しばし時間をかけて、じっくりとコーヒーを作ってくれたお姉さん。
出来上がったコーヒーをカップに注いで、濃さをチェックして、と言われたので、一口すすってみる。

うわ、これ美味しい。濃くてしっかり酸味があるのに、後口がすっきり。
酸味が強いのは、後味があまり好きではなかったりするのだけど、これは旨いなあ。
どの豆なのかお姉さんに聞いてみたら、メニューボードを指されたので、見てみたら。
小さな字で、「French Laundry Estate Blend」と書いてあるではないか。
なんと、あのフレンチ・ランドリーの商品でありましたか。実は先日行きました、などということは言わないけどね。

お店にいらしたオーナーのご夫妻も、お手伝いのお姉さんも、穏やかな物腰でにこにこ笑顔で、とても良い人達。
私達の後から来たお客さん達も、「チョコレートを買いに来たわよ~」なんて朗らかに挨拶する人が何人もいて。
開店して数ヶ月だけど、店構えもオーナーの姿勢も地元志向のオープンさで、着実にファンを広げている様子。


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買ったのは、ダークを4種類、ヴィーガンとキャラメルを1個ずつの、計6個。
トリュフは2.5×2.5×3cmぐらいの大きさで、1個$2なり。キャラメルは$1.5だったかな。
味と大きさ、質、値段。トータルで考えて、私達には十分お得かと。
ちょうど我が家に夕食に来てくれた友達母子と、一緒にうまうまといただいたよ。

Organic・Local・Sustainable・Fresh・Fair Tradeといったキーワードをかかげる店が、ますます増えてきている気がする、このエリア。
それはレストランのみならず、いわゆるGreen Businessに至るまで。
特にここの市は、その手の意識が高い、と感じるのは、地元贔屓の欲目ではないと思うんだ。

そんな場所に生まれた、こういうチョコレート屋さん。
「アイディアを沢山集めて、常に柔軟性を鍵として。
顧客と一緒に作っていく、カスタム・ビジネスだと思ってます」
地元を誇りと思うオーナーとお店は、地元民のハシクレにとっても、自慢の場所と商品です。


Monique's Chocolates
539 Bryant Street
Palo Alto, CA 94301
(650)323-9669
日~木:午前10時~午後6時
金・土:午前10時~午後10時
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by senrufan | 2010-08-17 11:21 | Trackback | Comments(10)
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Commented by マミィ at 2010-08-19 14:27 x
貿易業で成功してもそれだけでは飽き足らず、次なるステップへ乗り出したオーナー…素敵っ!時代の流れを読み取って柔軟に、しかも地元でというのがいいですねぇ。

内装もいいかんじですね。お嬢同様、私も照明器具に目が行きました。ショーケース右横だけが薄茶なのが残念。オーナーの着ているシャツのようなダークな茶色、もしくは思い切って真っ赤にしてほしかったなー。←大きなお世話
Commented by mame-honey at 2010-08-19 16:14 x
絶対に行きますこのお店〜。土曜日、P市にヘアカットに行くのです。カット前によってコーヒー飲みたいな〜。何時からやってるかな? あ〜土曜のP市のマーケットにも行きたいな。
ダークなチョコレートが好きなので楽しみです!
Commented by Sarah at 2010-08-20 06:39 x
わ〜、なんて素敵なお店! B市には絶対ない(←強調)モダンな内装に憧れます。しかもチョコだけじゃなくてコーヒーも美味しいだなんて、あ〜、これはもう誰にも言わずに頬被りでもして行くしかありません。今週末ガラス越しにあやしい人を見かけたら声をかけてください(笑)
Commented by senrufan at 2010-08-20 07:24
*マミィさん
ね、さすがにカカオは地元調達とはいきませんが(笑)、目のつけどころは嬉しいなあ、と。これも一財産をすでに築いた人だからこそできる余裕なのかしら。って、実際は知らないんですけど。

おおーっ、さすが姉さま! なるほど、そういうアクセントカラーいいなあ♪ 反対側の壁には、でっかい焦げ茶の文字で店名が書いてあったな、そういえば。
Commented by senrufan at 2010-08-20 07:27
*mame-honeyさん
行ってみて~! 営業時間情報を追加しておきましたよん♪ そうですよね、マーケットの行き帰りに寄ってもいいのよね。私も遅めに行く時はそうしよっと。
Commented by senrufan at 2010-08-20 07:29
*Sarahさん
あはは、B市にはかなわないと思ったんですが、そう思われますか! 実は最後に追加しようか迷ったのが、Sarahさん達に「今度会う時持って行きまーす」という私信でした。Sarahさんはミルク派、それともダーク派? 見繕っていきますのでお試しくださいvv
Commented by Vivian at 2010-08-20 08:43 x
ちょうど、上質のチョコレートが食べたい!と思っていたところなんです。しかし、P市は、ちと遠い~。SFではなくてP市に引っ越そうかと一瞬、脳裏をよぎりました。
Commented by Miyuki at 2010-08-20 12:11 x
*Vivianさん
いやいや、チョコレートショップの数はとてもSFにはかなわないでしょ~。と言いつつ、Vivianさんがこちらに来てくださるのなら、喜んでこの店をエサに使いましょう。おいでませ!(両手を広げながら)
Commented by Chico at 2010-08-22 16:38 x
こんな素敵なチョコレート屋さんができていたなんて。
かなりのこだわり具合が伝わってきてます。
あはは、そこまでこだわりのない私はブレンドのチョコを使ってます、、見習わなければっ!
でもね、今年は涼しいので、夏でもチョコレート作りが楽しめてますよ~♪
Commented by Miyuki at 2010-08-23 11:18 x
*Chicoさん
チョコレート屋さんも多いですから、差別化の意味もあってのこだわりなんでしょうね~。
あ、そうか、冷夏でそおゆうメリットもあったんだ!
わあん、Chicoさんチョコが食べたくなっちゃいましたーー。あのオレンジのが特にーー。ううう、オーダーさせてもらっちゃうおうかなあ……


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