小さな足の、大きな一歩 (3)

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Bank holiday (U.K.)

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【雑事】

2. 年齢ごとの壁

日本から海外に来た子供で、英語での会話がスムーズになるまでにの期間は、最低2年と言われています。
幼児期に来れば、適応するのに必要な語彙数が少ないので、より早くスムーズになりますが、それでも周囲を見てきたところでは、ざっくり平均1年半、というのが個人的意見です。

確かに早い子では、半年ぐらいで現地の子並みに英語を口にする子もいますが、実際に言葉の意味や概念まで伴ってなかったりすることも。
なので、その辺も踏まえて、2年というのは妥当な平均年数だなあ、と思うわけです。

続けて、勉強になんとかついていくのに、4~5年。
文章が書けるようになるのに、7~8年。
特に、日本語の読み書きの基礎がない段階で海外に出た幼児の場合、会話こそ流暢であっても、学年相当の読み書きの力が身につくのには、やはり7~8年はかかると考えられています。
これは、母語での読み書きの力があればあるほど、もう一言語の獲得力も増す、ということの裏づけにもなっていて、母語の確立の重要さにもつながってくるわけですが、それについてはまた別途。




米国で、”授業”が始まるのは、Kindergartenから、というのが一般的。年齢は5~6歳、というところ。
翌年にはElementary(小学校)の1年生がスタートし、以降は学区によってMiddleやJunior highなどに続き、High shcool進学。
お嬢のいる学区では、小学校が1~5年・中学校が6~8年・高校が9~12年という、5・3・4制になってます。

学年が上がるほど、勉強内容も高度になってくるわけで。英語ネイティブではない子供は、越えなくてはいけないハードルが、年々高くなり。
そのハードルの節目がある学年として、「5年生の壁」「8年生の壁」「10年生の壁」が挙げられることが多いようです。
要は、この学年の時、現地校の学習内容が一段難しくなる、という事実から、ですね。

そして、子供が幼児期からこのエリアにいる身としては、これ以前に、
「キンダーの壁」「3年生の壁」と加えたい、と思うのです。


このエリアの公教育では、キンダーガーテンが最初に入る学校であり、読み書きを習い始めるのもキンダーから。
今までは現地のお友達と、きゃー、わー、と遊びで繋がっていられれば大丈夫だったところ、今度は場面が”授業”に移り、先生が説明することを理解しなければいけない。
つまり、要求される英語のレベルが、ここで一段階上がるわけですね。

”勉強”を通じて学ぶ英語、ということで、英語嫌いにならないか、心配される親御さんもいらっしゃいますが、これはそれほど大きな壁ではありません。
むしろ真面目なアジア人は、親の手伝いも得て、きちんと宿題もやって、着実に身につけていくことが多く、自信をつけるきっかけになったりも。
なので、周囲を見てて、よりインパクトが大きかったのは、「3年生の壁」の方でした。

キンダーで基礎を作れば、1・2年生はそのままのカーブで進めるのですが、3年生になると、ぐん!と一段階難しくなるんですね。
使う語彙が、今までは遊びの世界と共通する用語で良かったところから、学習的な言葉にシフトしていく。宿題も増える。
この段階で、「家では英語環境ではない」ということが響いてくるわけで。つまり、同年代の子供と交わることで得た語彙だけでは足りなくなり、大人から投げかけられる語彙を身につけてない、ということがハンディになる段階になったわけです。

周囲で、日本人の友人達の子供の中では、それまでついていけていた授業についていけなくなった為、チューターを始めたり、学校からのお達しでESLに入ったり、という子供達が数人いたのでした。
さらにつけ加えるならば、やはり3年生ごろから、習い事をしぼって熱心に取り組むようになるので、現地校に習い事に、と忙しくなり、週末もそちらに時間を割くようになってくる為、この辺りで毎週土曜の日本語補習校を辞めたり、通信教育などの日本語教育に切り替えたり、というご家庭も多く。
改めて思い返しても、分かれ道の一つでありました。


バイリンガル、と一口に言っても、このように読み書きまで含めれば、正に千差万別の在り方で。
しかも、学校の授業についていけない、となれば、親としてはどうしても慌ててしまうのですが。

が、前回書いた通り、バイリンガル=2言語を統合した力の持ち主、でありますから。
日本語も大事に、という方針であれば、ここで日本語の会話&読み書き能力をも、同時にチェックしていく必要があるのですね。

英語が一時的にキツくなっても、日本語の方が順調であれば、能力的には問題がないということで、安心して英語のキャッチアップに邁進して。
逆に、現地校中心にしていて、日本語の読み書きをやっていない、でも捨ててほしくはない、ということでしたら、英語と同時に、日本語の読み書きを身につけるにも、大事な時期であると思います。
壁、というほどでなくとも、日本でも3年生というのは、高学年への大切なステップアップの時期であるので、この時期に読み書きの基礎ができているかどうかは、後々かなり重要な意味を持ってきます。
実際、国語も数学も、大人になって実生活に本当に役立つのは、小3までの内容、という話もあるくらいですから。

現地校が難しくなった様子であれば、補習なりチューターなり塾なり、色々と助ける手段はあります。
が、「家庭も英語環境にしなければ」と思って、家で日本語を使うのをやめてしまう・英語で話す、ということを始めてしまうことは、日本語を維持してほしいと思われるようでしたら、望ましいやり方とは言えないでしょう。

学齢期に日本から赴任してきたばかり、といったような例は除いて、基本的に英語は英語で教わるのが、長い目で見て一番効果的なやり方です。
同時に、日本語は日本語で、英語を混ぜることのない形で、家庭でしっかりキープしていくことが必要です。
ご夫婦のどちらかが英語ネイティブの方であれば、親が英語・日本語担当をきっぱり分けるのも良い、と思います。

などと言いつつ、やはり最終的に選ぶのは本人ですから、ご家庭なりのやり方と方針を模索して、ベストと思われる選択をされること。
68億人のうちの1人。それが何よりと思うのです。

(続く)
*-*-*-*-*-*-*-*-*

68億人のうちの、お嬢という1人の例では。
まずキンダーの時は、英語もすでに年齢レベルであった模様で、授業も友達付き合いも、特に問題はありませんでした。いや、ありがたや、ありがたや。

4~5歳の時、そしてキンダーでの5~6歳の時、この時期はぐんと言葉が伸びる時期だと言われていますが。
その4~5歳の時に通っていたPre-Kinderで、毎日夕方までのDaycareに通っていたおかげか、ネイティブレベルの英語が身についたのは、ありがたいことでした。
また別途書きますが、勿論これは子供にもよる話で、長く学校にいればいいということではないし、短い時間しか通わなくとも、しっかり吸収する子もいますので、これは本人の性格などと兼ね合わせて考えなくてはいけないこと、と思います。

そして3年生の時も、特に壁を体験することはなく。
これには理由が2つあって、まず1つには、彼女が私立校から公立校に転校したことがあります。
公立と比べて、半年~1年進んだ授業を受けていた為、かえって授業が易しくなった、というのが実情だったのです。

もう1つは、活字中毒の本の虫であったおかげで、語彙数が年齢以上に豊富だったことが幸いしました。
実際のところ、語彙が多いだけではだめで、それを理解する為の読解力がついてないと片手落ちなのですが、どうやらこの点でもクリアしていた模様で、これまた親として助かりましたです。


こんな感じで、常に自力で壁を乗り越えてきた彼女のおかげで、母はなーーん!にもっ!英語面でのケアをせずに、のほほんと過ごしてきた、ということが良くわかるかと。
よって今では、彼女はバイリンガル。片や母はモノリンガル一直線。
やはり神様は公平なお方で、苦労しなかった人間には、与えられるものもないのですな。(よよよ)
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by senrufan | 2009-05-25 12:12 | Trackback | Comments(12)
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Commented by すれっぢ at 2009-05-27 22:22 x
もういっかいキンダーからやり直させてください・・・・
一人で何ヶ国語もマスター(喋りね)してる人もいますが、
あれはやっぱり才能なんですかね~。かと思うと北米に何十年も
住んでるのに???ってことも。言語の才能なんでしょうね~。
Commented by ちはる at 2009-05-28 00:03 x
長年、補習校の教師をしておりました。
子供の知能、生活環境、教育度など誰一人として
当てはまることはありませんでした。
たった一人のお嬢さんだけの子育てのみの経験で
バイリンガルについて断定的に書かれるのは
いささか偏向ではないでしょうか。
Commented by Miyuki at 2009-05-28 01:59 x
*すれっぢさん
私はプリスクールから顔を洗って出直したいです。いや、むしろ生まれ変わりたい。(切実)
語学の才能というのはありますよね~。環境その他もとても大事ですが、中には確かに才能としか言いようがないものを持っている人がいますもんね。私はその才能がマイナスである上に、前世も前世もそのまた前世も、絶対日本人だったと思ってます。(涙)
Commented by Miyuki at 2009-05-28 02:04 x
*ちはるさま
まずは初めまして! わざわざコメントありがとうございます。
おっしゃる通り、私の経験だけで断定できることはありません。なので、これについては3回目の記事になりますが、2回目の冒頭で、その頃読んだ本や知識を基盤にしている、ということを書きましたし、娘の例についても、「あくまで彼女の例」と繰り返し述べております。「68億人の1人」という言葉を何回も出しているのは、これが全てではない、という念押しの意味をこめております。
ただ、どうしたってこれは私自身の個人的な記録ですから、その点を断った上で、私視点の記事を書いていくつもりですし、ブログというのは、そういう場であると解釈しております。何より、こんなネット僻地でのつぶやき、これが全てだなどと人様に思い込ませられるような影響力は全くありませんので、どうかご安心くださいませ(笑)
それより、補習校の先生でいらっしゃったのですね。娘は小学校の6年間を補習校でお世話になり、その間、週1回しか会えない子供達に真摯に向き合ってくださる先生方に恵まれて、感謝しない時はありませんでした。機会がありましたら、ちはるさまの経験からのご意見をうかがえたら、と願っております。
Commented at 2009-05-28 13:57
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nikkeilife at 2009-05-28 14:15
こんばんは〜コメント遅れてすみません。今回も前回と同様、お嬢さんのバイリンガル体験興味深く読ませて頂きました。

>母語での読み書きの力があればあるほど、もう一言語の獲得力も増す

これ、私も同じような事以前読んだ事あるんですが、本当にそうだと思います。私がこっちに来たのは小学校3年の時だったんですが、英語が上達するのは早かった方だといわれます。同時に日本語をまあまあキープ出来ましたが、渡米時2歳だった妹は、英語はネイティブ並ものの、日本語の基礎地盤が出来ていなかったため、文法や聞き取り等がやはり劣ります。お嬢さんが小さいときからこっちで育ったにしても完璧な日本語が出来るのはやっぱりMiyukiさんのお手柄ですよ〜。妹は母に英語が通じると知っていたので、日本語と英語がごっちゃまぜにして話していても、母は訂正しなかったので、今でも時々変な日本語が出てきます。漫画の翻訳とかしてるんですけどね。(怖)あ〜、ダラダラ私の事ばかりすみません。(汗)
Commented by 2児の母@キャンベル at 2009-05-28 14:34 x
はじめまして。何度かこちらをのぞかせていただいてまして初めてコメントさせていただきます。いつも興味深い記事をありがとうございます。
3歳と1歳の子供がいまして(米生まれ)、トリリンガルの環境にいます。現地のプリスクール(週2回)と、日本語が1回とまだ慣らし程度と思っていましたが、特に現地の方は男の子ということもあり(また早生まれもあり)かなりの差がついてしまっています。1年半後にキンダーが始まるのですが、心持焦りを感じています。いくつかの方法を試したところ、うちでは日本語の理解を深めた上で、英語の概念や単語をおおざっぱに(日本語で)説明した方が安心するのか、理解が早いようです。やはり子供の性格によるものなのでしょうか。
インターネットでこうして読ませていただくこと、は基本的に表現の自由ですし、どういった意見を書かれても良いとおもっています。むしろこうしたご経験談などを書いていただき、私個人として大変勉強になります。勇気を持って書いていただいて感謝しています。また、今後ともこちらに伺いたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
Commented by Miyuki at 2009-05-29 07:14 x
*鍵コメさん
勿体無くも力強いお言葉に、胸がいっぱいになってしまって言葉がありません……!!
そちらにうかがって、レスさせていただきますね~。あうあう、感動してます~~。
Commented by Miyuki at 2009-05-29 07:31 x
*アヤコさん
なるほどなるほど、アヤコさんのお宅でも! さらっとおっしゃってますが、やはり3年生からの渡米では、子供心にもつらいことがあったと思うのです。それを前向きに乗り切っていかれたこと、改めてすんばらしいですよ~(憧) ご両親がちゃんぽんを許すか許さないかというのは、よく考えて決めて、なおかつ一貫した方が良い方針の一つですね。我が家はちゃんぽんはイヤ、と決めた上、許そうとしたところで、母にあまりに英語力がないもんで、娘は日本語で通すしかなかったのであります(爆) 彼女は私にすごく感謝するべきですよね、うん。
マンガの翻訳、いいなー! 私に英語ができれば、実はとってもやりたい仕事です、くーっ。それにしても、アヤコさんに長くインタビューできたらいいのにな~! もっともっとうかがいたいですー。
Commented by Miyuki at 2009-05-29 07:32 x
*2児の母@キャンベルさま
こちらこそ初めまして! コメントありがとうございます~vv
トリリンガルとはすごい! そしてそれを可能にしてしまうのが、子供のすばらしいところですよね♪ 男の子は言葉はゆっくりの傾向がありますし、3歳でしたらまだ月齢がモノを言う時期ですから、焦るお気持ちはとても良くわかります。でも1年半というのは、子供には今の倍以上ものことを身につけるのに十分な時間ですし、お母様がついていらっしゃればダイジョブ! 性格もやり方も、やっぱりご両親が一番わかって判断できること、ですものね。そして、そうやって伸びていかれるお子さんのそばにいられると、大人まで励まされたりしませんか? 下のお子さんもご一緒に、きっと充実した時間を過ごしていかれることと思います。
温かいお言葉に、心から感動しております……本当にもったいなくて、ありがたくて、嬉しくてたまりません(感涙) こんな僻地で申し訳ないですが、精進してまいりますので、どうぞまたいらして下さいませ。嬉しいご訪問、本当にありがとうございました!
Commented by こっぺ at 2009-05-30 23:50 x
貴重なお話、ありがとうございました。一般的なことやバイリンガルの概念などは本を読めばわかるのですが、それぞれの親御さんたちがどんなことに心を砕いたか、その子の場合はどうだったのかなど生の話を聞くことは、年上のお子さんをもつ方とあまり交流のない私には、とても参考になります。そうしていろんなケースを知っておくというのは、いざわが子が壁に直面したときに、慌てずに対処できるために必要だと思います。

たくさんの壁がありそうですね。現地校についていけない状態が続くのは親子でほんとうに辛いでしょうね。お嬢さんはそれを乗り越え立派なバイリンガルの道を歩まれていて。Miyukiさんのようにじっと見守ることのできる親に私もなりたいです。励みになりました。
私も本好きなので、息子にはなるべく読んでいるのですが、今後もますます読んじゃうことにします。
きっとどんなに親が一生懸命になっても、バイリンガルに向かない子どもというのはいるのでしょうね。私が一向に英語に向かないのと同じように。そうなるのが正直言ってとても怖いですが、それも覚悟しておかなければと思っています。
Commented by Miyuki at 2009-05-31 23:53 x
*こっぺさん
とんでもない、ただ私が残しておきたいが為にだらだらと書いていることにお付き合いいただいて、本当にありがとうございます。いろんなケースを知っておこう、その上でご自分のお子様に、というこっぺさんの姿勢、すばらしいと思います。娘を含めて何人かの子供を見てきましたが、千差万別という言葉を何回も実感しました。

いえ、うちは勝手に育ってくれて、母は役立たずでございました……(そっとうつむく) でもおっしゃる通り、「じっと見守る」というのが、一番難しくて、自分の肝っ玉の小ささを何度も不甲斐無く思いましたです。
本はいいです。いろんな意味でいいです。こっぺさんがその楽しさを知ってらっしゃること、息子さんには何よりの励みです!
ネタばれ?)しますと、このシリーズもどきの最後は、「バイリンガルがえらいのではなく」みたいにしたいなあ、と。お子さんが幸せな形を見つけられるのが何より、ですよね!


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