人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ずーっと ずっと だいすきだよ

Battle of Las Piedras (Uruguay)
Victoria's Day (Canada)

* * * * *

【家庭内事情】
ずーっと ずっと だいすきだよ_b0059565_1632320.jpg

つい先日、訃報続きの日記を書きましたが。
実は、まだ続いていたものがありました。

我が家の息子達、インコ2羽。水色のセキセイインコ(♂)と、黄色のルチノー(やはり♂)。
黄色の方が、この週末に、急病で亡くなりました。




2羽を飼い始めたのは、2002年の11月。
夏に転校してから、なじむのに苦労していたお嬢を励ましたくて、家族そろってペットショップに行ったのです。
元々飼う予定だったのは、ハムスターでして。ほら、「あと2年」と思っていたので、寿命が短いのが良かったのですよ。(暴言)

しかし、ハムスターより手前に並べられた鳥コーナーで、お嬢と私の足はすっかり止まってしまったのです。


子供の頃、飼っていたのはインコでした。
トータルすれば数羽飼ったのですが、私の思い出としては、1羽の緑のセキセイインコにしぼられます。
彼(♂)がうちに来たのもそういえば、私が3年生の時、神戸に転校してしばらくした頃だったかと。

とある朝、父が庭を見たら、雨の中、木にとまっている彼が見えまして。
家の中に呼び入れたところ、すごく人間に懐いてて、えさも人の口から食べるような、本当に可愛いヤツだったのです。
外に出たがってせがんで、出れば嬉々として飛び回り、呼べばちゃんと手元に来て。
11年我が家にいてくれた、可愛い可愛い家族でした。

ずーっと ずっと だいすきだよ_b0059565_1674352.jpg

お嬢と鳥コーナーにいた時に、ついついそんな話をつらつらとしたら、お嬢がすっかり「鳥モード」に入ってしまったという誤算は、果たして吉だったのか凶だったのか。
この手のインコの寿命は12~15年ぐらい、という話なので、日本に帰る時どうすべー、と危惧しながらも、再び味わった「鳥がいる生活」は、やはり嬉しいものであったのです。

ペットショップで羽を切られてしまった為に、家で放しても飛べなかった彼ら。
飛べない鳥の姿を見るのがつらくて、怯えておとなしい様子も悲しくて。
羽が伸びたら、懐いてくれなくてもいい、元気で楽しく過ごしてくれればいいと、ほぼ放し飼いにすることに決めたのです。
その思惑通り(?)、特に黄色は、最後まで懐くことはありませんでした。

手を差し出せば、いやいやながら乗るものの、基本的に人が近づけば逃げやがって、一体誰が世話してると思ってんだコノヤロウ、とか。
すっかり2羽で世界を作っちゃって、いつもどこでも一緒にいちゃって、人間だったら腐女子世界で人気だなコイツラ、とか。

口では罵りつつも、どうしても笑顔になっちゃって。
だって、元気でいてくれればいいのです。狭い世界であっても、人間依存であっても、いえ、むしろそれだからこそ、出来る限り自由に過ごしてくれれば、それ以外に望むものはなかったのです。


そんなこんなで、平和に過ごしてくれた6年半。
今年の初めから、たまに黄色の様子がおかしい時が見られるようになりまして。
それでも、しばらく後には取り戻して、元気に餌を食べ、元気に飛んで遊んで、とやってましたので、医者には連れて行かなかったのですね。

が、少しずつ私達の胸の中にたまっていった黒いものは、確かに不安という名で呼ばれるものでした。


先週の木曜の朝、止まり木にとまったまま、目をつぶって、じっと動かない黄色の姿。
昼まで様子を見たものの、どうにもこうにも変わらないので、獣医を探して、お嬢と一緒に行ったのです。

一通りの診察の後、ドクターの見立ては、恐らく何かの毒物を口にしてしまったのだろうと。だから腎臓にかなりダメージを受けている様子だと。
風邪などのウィルスか、それとも毒物か、治療、及び検査の為、その日は入院ということになりました。

病院のケースに入れられて、やはり目をつぶって動かないままの黄色に、お嬢と私は何回も声をかけて、病院を後にしたのです。
元気になるんだよ。がんばって。早く帰ってきてね。
……ありきたりの言葉、ばかりでありましたが。

金曜に受けた電話によれば、やはり毒物によるものだということと、レントゲンによれば、体内に毒物の破片が数個あるというのです。
それでも前日よりは元気になってきて、手を出したら攻撃したというので、いつもの黄色らしくなってきたか、と少し安心したのです。

ところが土曜日、また元気がなくなって、真っ黒い糞をして、明らかに毒が回っている印を示していると。
血液検査の結果では、予想よりは良い値が出たので、薬を変えて、週末はドクターの家で手当てしてもらう、という予定で決まりました。


そしてその日の夜に、ドクターがかけてきた電話で、手当ての甲斐なく、黄色の心臓は止まってしまったことを知らされたのです。


ずーっと ずっと だいすきだよ_b0059565_1672222.jpg

今日、お嬢と一緒に、獣医のところまで遺体を引き取りに出向きました。
渡された小さな箱はひんやりと、保存の為に冷蔵されていたことを物語り。
家に帰ってから開けてみたら、中には紙に包まれた、小さな黄色い体がありました。

水色より一段と警戒心が強く、差し出した手にも簡単には乗らなくて。
放し飼いの部屋にカゴごと連れて行けば、扉を開けるなり飛び出して。
爪を切る時など以外は、頑として私達に体に触らせることはなかったヤツ。

最後の最後に、ようやく両手で包んで抱くことができました。
なでてみれば、あまりに華奢な体で、この体で毒や注射に耐えたのかと思うと、改めて涙が止まりませんでした。

せめて部屋の中だけでも自由に、とさせておいたことが、彼が毒を口にすることになったのかと考えてしまえば、自分を責める気持ちを止められず。
あの時、あの頃、あれもこれも。たら、と、れば、の連続は、すでに起こった過去を変えられるものではないとわかっていても。


庭の片隅に穴を掘り、彼の体を埋めました。
うちに来てくれて、心からありがとう。
生まれ変わったら、うちで良ければ、また家族になってほしい。
伝えたい言葉は多すぎるようで、実はたった一つの思いの繰り返し。

大好き、大好き、大好き。



鳥がいる部屋で、文字通り隅から隅まで飛び回り、とまらなかった箇所はないぐらいだった2羽ですが。
1羽になった水色は、黄色がいなくなって以来、ぐっと行動範囲が狭くなりました。
改めて、2羽いたからこそ、お互いに誘われてくっついて、あれだけの範囲を飛んでいたんだなあ、と知りました。

もし1羽だけだったら、もっと人間に懐いてくれたかも、なんてことも何度も考えて。
でも、2羽でいた6年半という年月のおかげで、1羽しかいない空間は、穴が開いたというにはあまりに広すぎて。

もう1羽飼った方が水色にはいいのか、それともこのまま1羽で、黄色の分まで大事にしていくか。
これからゆっくり、家族で相談していこうと思っているのです。


最後になりましたが、今まで2羽を預かってくれたKiyoちゃん、みかさん、わくわくさん。
こんなところで申し訳ありませんが、どうかもう一度お礼を言わせてくださいませ。
預かっていただいた後は、いつもツヤツヤになって帰ってきて、ほんとに黄色は幸せものでした。
本当に、本当にありがとうございました。

ずーっと ずっと だいすきだよ_b0059565_168655.jpg

by senrufan | 2009-05-18 16:02


<< 小さな足の、大きな一歩 (2) 小さな足の、大きな一歩 (1) >>