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発する光は幾筋も

エレベーターの日、技能の日、トイレの日
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日本武道館で昭和天皇在位50年式典(1976年)


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先日、お嬢の高校生活初の、学内コンサートがありました。近隣の中学生バンドも参加です。
その名も、「Prism Concert」と名づけられた演奏会は、ちょっと面白い演出の。

通常、コンサートといえば、ステージ上で繰り広げられるわけですが。これは広いホール内、あちこちに様々なバンドが座っていて、順繰りに立ち上がっては演奏する、という仕組み。
左端席を陣取っていたサックスのアンサンブルが終わったと思ったら、右端席のコーラスが歌い始め、それが終わったら、真ん中席の中学生バイオリンアンサンブル。
次々とスポットライトを当てられては演奏し続けていくのですが、その間、観客は拍手はしない約束なので、終わった途端に、満場からの大きな拍手に包まれたホールでございました。

こちらの高校上級生ウィンドアンサンブルは、このエリアではレベルの高いところと言われておりますが、さすがに中学生まで加わると、音楽発達段階の、1から10までのグラデーション。
そんな意味でも楽しい、音楽三昧の一時を過ごしたのであります。
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* * * * *

【イベント】

お嬢の日本語学校のお友達の男の子。
お母様がピアニストでいらっしゃって、彼も小さい頃からバイオリンに勤しみ、なんと今度は、コンサートでソロ演奏をするという。
さすが血筋もあるだろうけれど、何より彼の努力の結果。そして、お母様の沢山のサポートも。
応援に、というのもあるけれど、ぜひぜひ聴きたくて、友人ご家族と一緒に、コンサートホールまで行ってきたよ。

彼が共演したのは、このエリアのYouth Symphony。音楽に熱を入れる子供達が、オーディションを受けて入るところで、若者・学生オケとしては、なかなかどうして、侮れない力を持っている。
今日は更にその中の、Seniorメンバーによる演奏だ。




曲目は以下の通り。
Symphony NO.3 in E Flat Major      Ludwig ven Beethoven
Concertino for Cello                Sergei Prokofiev
Violin Concerto in A minor, Mvt. 1      Antonin Dvorak
Capriccio Espagnol                 Nicolai Rimsky-Korsakov


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吹奏楽からオーケストラと、学生時代はまがりなりにも音楽に触れる生活だったので、学生オケやバンドのコンサートでは、聴きながら頭のどこかは過去に飛ぶ。

ベートーベンの交響曲第三番。大学オケでお世話になった先輩を思い出す。
とある演奏会で、この曲にのられた先輩は、ご主人様のお仕事の都合で、NYに7年滞在され。私が渡米してから、NYとこちらで2回再会を果たしてね。

あのオーボエは、まるであの後輩のような音。きっとアメリカンタイプのリードを使っているんだろう。
ファゴットの深い音色がすごく良くて、浮かぶのは温かい人柄で、全オケ員に慕われていた、あの優しい先輩で。

クラリネットの響き方、あの同期の彼が担当してたら、あれでも満足しないかも。
そうそう、この曲のあのホルンのところは大変で。指揮者に怒鳴られて、悔し泣きしていた彼女はどうしてるかなあ。

それは、甘いような、苦いような。
胸が締め付けられるような後悔と。もう戻れないという切なさと。
何種類もの感情がわいてきて、平静ではいられない。
その高ぶりを、音楽に合わせれば、一層その音が響く胸。


プロコフィエフの、チェロと管楽器のための交響的協奏曲を、女の子のソリストが見事にこなした後は、いよいよ彼の出番だよ。
ドヴォルザークのバイオリン協奏曲
傍目には、とても落ち着いて。細い身体で、ゆったりとバイオリンを構えて。指揮者と目と目で合図する。

上手い、上手いと周りから散々噂は聞いていたけれど。流れ出したソロのメロディに、最初からいきなり圧倒される。
それは私が想像しうる、14歳の演奏レベルを遥かに超えたものだったから。
夢中で聴き入りながらも、横目でちらっと、お嬢とお友達を眺めてみれば、2人そろって真剣この上ない瞳で、彼の姿を見つめてる。


たとえば、学校での姿しか知らない友人の。全然別な面を見た時の気持ちは、一体どんなものだろう。
サッカーがすごく上手かったり、アートで素敵な作品を作ったり。人というのは、勉強だけじゃない、沢山のパーツから出来ていて。
彼がそれを見事なまでに見せているように、彼女達も持つ、プリズムのような多面性。
自分も人も、決して一面だけで計れるものではないのだ、ということを、こんな時を通じてまた学んでくれたら、などと思うのが親だったりする。

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本当に行ってよかった、と思えるだけの演奏会だったよ。締めくくりが、大好きなスペイン奇想曲だったのが、また嬉しく。
更にはお嬢達のコンサートの後だったので、余計に上手く聴こえたなあ。と、口に出したら、お嬢が怒りの雄叫びを上げてたけどな。

最後は観客のほぼ全員が、スタンディングオペレーション。アメリカの学校生活がどれほど大変か、ということを年々知る今、これだけの実力を磨くだけの時間と努力を割いていることに、同時に拍手を送りたい。

チェロのソリストの女の子が演奏を終えた時、すごい人数の観客が、花束を抱えて押し寄せたんだけど。
彼女が最後に受け取ったのが、なぜか丸ごとのパイナップル。(なんで)(私も欲しい)

それを見たお嬢とお友達は、
「あーっ、だったら、アイツの好物のトマトを持ってくればよかった!
と、本気なんだかなんなんだか、のコメントを連発してました。


El Camino Youth Symphony (ECYS)
by senrufan | 2008-11-10 14:19


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