実は、で始まる言葉たち

涅槃会、万国博デー、靴の日、世界消費者権利デー
マゼランがフィリピンに到達(1521年)
ロマノフ王朝が滅亡、ロシア2月革命成立(1917年)
共産党員1600余人を検挙、3・15事件(1928年)


友達が、三善英史さんについての記事を送ってきてくれました。

昔の紅白などで、歌も聴いて、顔も見たこともあるはずなんですが、きれいさっぱり忘れてて、写真を見ながら、「こんな顔だったっけ…」とつぶやいたりしちゃいました。
なので当然、彼の”ゲイ説”なども全く知らなかったわけなんですが。
ともかく、バイセクシュアル告白に続き、カツラ告白もされた、ということですな。
でもって、どうやら好意的に受け入れられた感じっぽい。

随分と日本もオープンになったよなあ、というのが最初の感想なんですが。
次に沸き起こるのが、それがどこまで真に「オープン」なのか?というささやかな危惧心だったりして。

そこのところ、日本に住んでないせいもあるのでしょうが、私には掴みきれないことなのです。

* * * * *

【個人的事情】
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お嬢が学校で所属する特別クラス、6年から始めて3年目。ここまで一緒に残った子達とは、お互いすっかり気心も知れた仲。
しかし今では、皆と一緒に過ごすランチタイムがいささか苦痛だというので、おやまあなんで、と理由を聞いてみた。



ランチ仲間のうち、女の子2人。この2人が、実はかなりのオタクらしいんだな。それも「NARUTO」フリークだと。
なのでランチタイムの間中、ずーっとNARUTOのことばかりしゃべってて。マンガは好きだけど、NARUTOには興味がないお嬢には、これに付き合わなくてはならないのが、日に日に苦痛になってるらしい。

そしてね、仲間全員をキャラに見立てて、マンガも描いているんだって。
ちなみに名前は色の名前で、お嬢は「AO(青)」と呼ばれてるんだって。
良く知ってるなーと思ったら、1人は日本語を選択してて、マンガへの興味もあってとても熱心に勉強してるとか。
同人誌予備軍、ここに在り。

更にお嬢の頭を痛くしてるのが、彼女達の口から出てくる、ある種の言葉。
「YURI」 「YAOI」 「FUJOSHI」 「COUPLING」 (あえて伏字なし)

最初にこれを聞いた時、たまたま運転中だった私は、思わずハンドルを切り損ねるところだったことを書いておこう。



高校の頃、部活動は吹奏楽だったけれど、学校外で、友達主催のマンガサークルに入ってた。
と言っても、私は絵なんぞ描けないので、やるのは編集仕事。会報を作るたびに読める皆の作品が楽しみだったなあ。

マンガ好きが高じて、そういう場所を知って、それから創作同人誌も時々買ったり、別サークルの購読オンリーの会員になったり。
そのサークル内で、今ではプロになったあの人、その人。私をサークルに引きいれた彼女は、専門学校からアニメーターになったはず。

本当にマンガが好きで、マンガを描くことが好きで、それを仕事にするまでになった人達。そういう人達の息づく世界のほんの隅っこで、ひたすら眩しく、その空気を楽しんだ。
今でも数人の友人は、そちらの世界をエンジョイしてて、私も日本に行くたび、とても新鮮な刺激をもらってるよ。


で、当時からあったのが、かの有名なコミックマーケット(通称コミケ)を始めとする、同人誌即売会。私も売り子や買い手として、ほんの数回だが行ったのだ。

当時から全く世情に疎かったので、今ひとつはっきりとわかってなかったのだけど。
そんな私でも、どうやら同人誌には分類があって、私達がやっているような同人誌は、「創作」と呼ばれるものらしい、と。
そして別物として、男の子と女の子のレンアイものだけじゃなく、同性同士のレンアイを描いている人達もいるらしい、ということぐらいはわかったのだね。

それが「や○い」と呼ばれるジャンルだと知ったのは、まだ足を突っ込んでた頃だったのか、その後だったのか。
どちらにせよ、周りからかなり特殊、という扱いの分野だった、ということは良く覚えてて。
それ以外にも、なんだか同人誌界には、醸し出す色が違うエリアが幾つかあるらしい、ということは、素人の私の目にも明らかだった。そしてその辺りとは、他の人達が距離を置こうとしていることも。


そんな甘酸っぱい(え)青春時代も遠く過ぎて、すっかりオバサンとなった私にとって、今の秋葉原を始めとするオタク業界は、目を白黒させられることばかり。
あの頃はむしろ積極的に片隅にいたエリアの人達が、今では同人誌を代表するかのような勢いで、前面で大声で叫んでるし! 歌ってるし!
果ては元・官房長官まで、嬉しそうに仲間に入っちゃうし!
「萌え~~!」なんて言葉を聞いた日には、その場で腰が砕けたよ。
「腐女子」という名札を、一般人の前で、どうしてそこまで胸を張って示せるんだ君達。

しかも友達に聞いたところによると、コミケなどで、その手のジャンルで、なんと母娘で買い物に来られる方々もいらっしゃるとか。
母親が率先して娘を引き入れてるのか。それが子育ての一環か。(呆然)
腐女子が腐女子を生んでいく。これぞ食物連鎖、って大間違い。(混乱中)

お嬢の学校の友達も、親は子供がこおゆう趣味だって知ってるのかな。
なんでもYou Tubeが情報源で、日本のそのテのものの英語字幕付バージョンを、ガンガン検索しているらしいんだが。
今やすっかり世界に誇る文化になった、日本のアニメやマンガ。それはとても誇らしいことなのだけど、こういう方向に枝葉が伸びるとは、全く予想してなかったよ。


カミングアウト、というものは。世間的に悪いものとされることを、自分はやってますという告白、というイメージがあったんだが。
それがなんだか、むしろポジティブな色合いが増してきて、自ら堂々と進んで告げる人達が増えている気がするんだ。

例えば、「大らか」と「羞恥心がない」というのとの境目は。
「勇気がある」と「無知ゆえの怖いもの知らず」との境界は。
その両者をどこで線引きするかというのは、本当にその人次第であるんだね。

そしてその線を引くポイントを見極める元となるものは、なんというか、その人の”美意識”、みたいなものだと思うのだ。
私達は人が持っている”美意識”を感じとって、好感を持ったり、距離を置くことにしたりと、意識的にせよ無意識にせよ、判断していると思うのだ。

今のオタク業界のこととか、髪型から性指向までに渡る、個人的「カミングアウト」の話を聞くたび、その”美意識”が今ではどのぐらいのところにあるのか、と考えてしまう。
頑固に旧人類の枠を崩せない私にとっては、それは目をこらして、霞の中のものの輪郭を見ようとするようなもので、ぼやけて正体がわからない。
告白する人のレベルも、それを受けとめる人達の反応も、どこまで安心して、どこまで危惧していいものか。それが掴みきれなくて、もどかしい気持ちが消えない。


今までほんの数人だけど、同性愛者の知り合いもいて。そして彼らは私にとって、例外なくとても居心地の良い人達だったのだけど。
なんでだろう、と理由を考えた時に、彼らは「マイノリティ」の気持ちを持つ人達だからかも、と思ったことがあるんだよ。
例えば異国で暮らした経験のある人達は、言葉が通じない、輪の中に入れない、そんな気持ちをも経験から知っているので、他人のそういう気持ちに配慮して、自然な気遣いを見せることができるのだろうと、そんな風に考えたんだ。

マイノリティであるがゆえの苦しみを味わいながらも、それでもそちらを選ばずにはいられない。
葛藤と苦悩と共に、得がたいものを持つこと。その上で、周囲への精一杯の気遣いをすること。
また彼らが語ってくれた中には、カミングアウトという行為がいかに勇気のいるものか、ということも勿論あったのだ。


ティーンのうちから、そのテのことを、あっけらかんと受けいれている彼女達。
バイセクシャルだということを聞いて、もてはやす向きのある人達。
それがイコール、同性愛者に対する偏見がなくなる、ということであれば、私も諸手を挙げて大歓迎なのだけど。
それがわからないからこそ、こうやってモヤモヤした気持ちを抱えたままなのだ。
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by senrufan | 2008-03-15 11:55 | Trackback | Comments(16)
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Commented by peartree22 at 2008-03-17 15:15
うーん。実はNARUTOがそんな漫画とは知らず。確かTV放送もあったような・・・。
差別がなくなることはよいことだと思いますが、”もてはやす”ということ自体どこかまだ新たな形の差別があるのではないかと思わずにはいられないのです。その方たちが肩身の狭い思いをせずに、堂々とTVなどで活躍できることは良い事だと思いますが、なんとなくすんなりと見ることができない番組もあります。(そうでないものもありますが)
Miyukiさんが例として挙げていらっしゃる以外にも「自由」と「奔放」の
線引きなどこのところ日本人には昔は持っていた境界線の感覚というものを(自分も含めてですが)失っているような気がしてなりませんね。
母になって娘にいろんな生活のあれこれを教えるにあたり、悩む問題でもあります。
Commented by マミィ at 2008-03-17 16:18 x
男の子たちは漫画やアニメキャラに「萌え」、女の子たちはそんな異性を求めなくなり・・・。もしくは、男の子たちは現実の女の子たちからの逃避で「萌え」てしまうのか・・・。「若芽が萌え出づる」という美しき日本語表現の「萌え」がこんな風に使われていることにまず戸惑い。あぁ、なんてこった。

それにしてもMiyukiさんの言う「美意識」、本当にその通りだと深く頷いた朝であります。
Commented by さく at 2008-03-18 05:07 x
昔、山手線で通勤途中にいつも見てた、
代々木駅プラットホームの「落書き版」。
髪があぶらっぽいアニメ学院の生徒たちと思われる若者が、
鈴なりになって、アニメの主人公たちを丹念に書き込んでいましたっけ。
四畳半の香り漂うその後ろ姿が、
なんだか痛々しくて涙を誘ったものでした。

それが今やアキバ王国でみなさんメジャーに活躍されて。
しかも米国の大型本屋には「Manga」なるコーナーまで設けられ。

時代は変わったよなあ・・・(遠い目)
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2008-03-18 10:48
むー、、、、、これまた何度大きく頷きながら読ませて頂いたことか。先日日本に帰り久しぶりに本屋のコミックコーナーに足を踏み入れたところ、「や○い」系のコミックがコーナーまで設けられて堂々と売られているのを見つけたときの驚愕といったら。現実の同性愛を否定はしませんが、劇画や紙の上に必要以上にのめりこみ、それをまったく引け目なく賛同する風潮は・・・頭が固い旧人類には驚きです。お嬢様の反応に安心。やはり Miyuki さんのお子さんですね。でも、学校での彼女の苦悩もかわいそう。。

(NARUTO って、そういう種のマンガなんですか・・・?)
Commented by すれっぢ at 2008-03-18 12:03 x
Miyukiさんの日記読んで、調べて初めて意味を知りました~。
へ~!!です~~~。

一度友達につれられてコミケ系の催しに行ったことあるんですが、
自分の趣味とは合いませんでした。で、あとに行った軍オタ系の催し
は結構楽しかった・・・汗です。
Commented by Miyuki at 2008-03-18 13:27 x
*ちゃんさま
あああ違います、違います、NARUTOは普通の少年マンガなんです! そういった一般マンガのキャラを使って、自分なりのストーリーを作っていくのが、二次創作と言われる同人誌。これにそういう分野があるということなんですね~。って、こんな説明でわかっていただけましたでしょうか?
ほんとにね、その線引きは難しいです。でもって、やっぱり親から子に受け継がれる比重が大きいものなので、そういう場所に子供と一緒に行くということが、私には衝撃でして。そういう親が増えるということは、将来そういう教育を受けた子が大人になって増える、ということでもあり。……だめだ、頭痛くなってきました……(容量オーバー)
Commented by Miyuki at 2008-03-18 13:29 x
*マミィさん
そうそう、さすがマミィさん、そういう面もあるんですよー! 現実としっかり区別ができているならいいんですが、未成熟なうちからこんな文化に浸ってたら、そりゃあ無理ってもんでしょ? 「萌え出づる」の言葉の美しさも理解できないうちに、入るべき世界じゃないと思うんですがねえ、はああ。
Commented by Miyuki at 2008-03-18 13:31 x
*さくさん
おーー、なんかそういう風景、何度も目にした気がするよ! そうだよねえ、あの頃「オタク」と言えば、そうやって肩身狭く生きてた人達だったよねえ。根暗の三大趣味:アニメ、PC、卓球、なんて言われてさあ。

今では皆さん、肩で風切って歩いてらっしゃるんですかね。これも下克上というべきか?
Commented by Miyuki at 2008-03-18 13:35 x
*shinaさん
おお、それもありましたね! 表紙に大変麗しい青年&少年が書かれた小説群(ぼーいずらぶ、と呼びなさい)。 全くshinaさんのおっしゃる通り、怖いのは現実との境目意識の問題も含むので。
あ、でも私、うちの娘の反応もショックでしたよ。「で、いつの間に、なんでそんな言葉の意味を知ってるんだオマエー!」みたいな!(笑)

NARUTOは普通の忍者マンガですー! ↑のレスにも書いたので見てくださあい……(土下座)
Commented by Miyuki at 2008-03-18 13:38 x
*すれっぢさん
すれっぢさんが日本を離れていらっしゃる間に、こんな文化が芽を出して、今ではすっかり満開です。個人的に、二次創作自体は肯定しているのですが、ただそれを扱うにあたっての、本人の意識の問題が……
軍オタクのイベント、ちょっとのぞいてみたいですなあ。(どきどき)
Commented by lachlan4 at 2008-03-19 00:06 x
実は、で始まる言葉たち と言うタイトルが魅力的♪
私もMiyukiさんのブログに 実は の類を先日書きました。人に言い難い事の1つや2つ、誰にでもありますよね。
「王様の耳はロバの耳」様に、言いたくなる人もいるし一生言わない人も。
世の中、横を向いても歴史を覗いても 知らない人、知らない事ばかり。
今や私は、好きな物だけ選んで見聞きしています。 お嬢さんはまだそれが しにくいから ツライ時もあるでしょうね。
Commented by あつゆき at 2008-03-19 07:37 x
とくNARUTOって聞くけどそこまでオタクの方たちがいるんですねえ。
すごいなあ。
Commented by Miyuki at 2008-03-19 12:30 x
*lachlan4さん
再びお会いできて嬉しいですー! そして優しいお言葉もありがとうございますvv
そう、誰にでも見せない部分があって、その領域をどうするか、というのは、個人の判断と美意識ですよね。なんでもかんでもアカラサマに、というのも違うと思うし、なんでもかんでも知らなくては、というのもまた違う。
おっしゃる通り、娘はまだまだ何でも真正面からという性格なので、やり切れないことも色々とあるようです。毎日が学びの日々でございますよ~。母子共々。
Commented by Miyuki at 2008-03-19 12:31 x
*あつゆきちゃん
NARUTO人気は日本では知らないけど、こっちではすごいよね~。あれはね、やっぱり「ニンジャ」だから、だと思うぞ(笑)
Commented by まきりん♪ at 2008-03-19 16:09 x
なんとコミケに足を突っ込んでいたとは!
御見それしました~

で、カミングアウトって他人から指摘されバレル前に自分からするってあたりが潔しとされるのではないかなあと。北米では特に「自分から言ったんだから」という点で人物評価が緩くなる傾向を感じます。
Commented by Miyuki at 2008-03-20 10:22 x
*まきりんさん
はい、全然隠れてないオタクです(笑)

さすが鋭いご指摘! そういう面も確かにありますねえ。


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