五感が呼んで覚ますもの

冥王星の日、エアメールの日、大統領の日
専修念仏を禁じ、法然と親鸞が流罪になる(1207年)
高麗の兵船が対馬に来襲(1389年)
イタリアを支配するメディチ家に対する陰謀が発覚、マキアヴェリが連座して捕らえられる(1513年)

* * * * *

【個人的事情】

久々に再会した友人夫婦、奥様は日本人、旦那様はチュニジア人。

チュニジアの国費留学生として日本に来て勉強されたという彼は、国でトップの秀才さん。いつ会ってもエネルギッシュで前向きで、大層頭の良い方。5ヶ国語ペラペラ。
また奥様が、そんな彼と対等に立てる優秀さで、何より海より深いかと思われるような懐の深さと大らかさ。
私はこの「懐の深い」人に無茶苦茶弱くて、そのテの人に会うと、ごろにゃあん、とじゃれついて、そのまま離れず膝に居座る、大変迷惑この上ないヤツ。
だからこの日も彼女にまとわりついちゃって、料理の邪魔ばかりしてたんだ。(殴る蹴る)



そんな彼女は、こちらに住んでいた間、たびたびチュニジア料理をご馳走してくれたものだった。
勿論、和食も他国料理もこなす、料理上手な彼女だが、それまで地中海や中近東の料理と縁のなかった私には、随分と新鮮で斬新な出会いだったのだな。

そして再会を果たしたこの日、諸手を挙げて叫んでしまうような、懐かしいメニューを出してくれたんだよ。


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それはね、チュニジア風のクスクスとシチュー
クスクスは随分と手軽に手に入るようになったけど、基本的に”茹でる”やり方。だけど彼の国ではちゃんと専用の二段鍋があって、下でシチューを煮込み、その蒸気でもって、上でクスクスを”蒸す”という。
私が初めて味わったクスクスは、彼女のお手製だったので、その後レストランで注文して、コシのないクスクスに出会ってがっかりしたりしたんだな。

シチューには大きなチキンの骨付き肉と、ポテトに野菜にひよこ豆。スパイスの香るトマトソース。
本当はもっと独得のスパイスを色々入れるらしい。でも私達の為に抑えてくれたんだ。
本物はもっと辛いの?と聞けば、辛いというよりスパイシーなんだよ、と旦那様が教えてくれた。


オーブンでこんがりと焼いたのは、タジーン
卵とツナ、ポテト、チーズなどが惜しみなく入った、オープンオムレツのような料理。

トマトときゅうりをサイの目に切ったサラダは、ペルシャ料理ではおなじみの。
ただこれだけなのに、その分野菜の味の濃さや甘さがダイレクトに味わえて、特に今のお嬢と私には、何杯でもおかわりしたくなる。

争ってお皿に取り分けて、さあ、温かいうちにいただきます。

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ああ、これだ、この味だ。初めての時から惹かれて、何度かご馳走になるうちに更に惹かれて。
今ではすっかり地中海やペルシャ料理のファンの私だけど、原点はきっと彼女の料理だったんじゃないか。数年ぶりに舌にのった味わいに、ようやくそんなことを気づかされる。
レストランよりコクが控え目な、でもその分優しさ倍増のこのソース。
クスクスのむっちりと弾力のある歯応えは、シチューを吸っても、負けないで受けとめる。
2つが一緒になったこれを沢山いただきながら、あの頃過ごした時間を思い出す。

タジーンもひたすら懐かしく。これを春巻の皮に巻いてくれた料理もあったよね。
あの頃、もっと私が料理に興味があったら、沢山教わっておいたのに。今からでもまだ間に合うかなあ。


マクロビでも、クスクスを使ったレシピは幾つかあって、それもスイーツにも色々と、なんだよ。意外でしょ、国を跨いだそんな使い方も。
これから店で探してみて、仲良くなれるかやってみるよ。その時にまたアドバイスをもらえると嬉しいなあ。
*-*-*-*-*-*-*-*-*

そしてデザートに移ったんだけど。前から私が地中海系の調味料として、気になっていたものが登場したよ。
その名は、ローズウォーター

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化粧品としてメジャーだけど、食用もあるんだと知ったのは、ペルシャレストランのデザートで。
これを凍らしたカキ氷っぽいのとか、シロップの香り付けなどに使われてて、全く無知だった私は、また一つ勉強になったんだな。
パフュームに相当弱い私だけど、料理の力か、これがほのかなアクセントになって、かえって快くペルシャの香りとして受け入れられたもんだった。
やっぱり彼女の家にもあったんだなあ。

ほんのり砂糖とローズウォーターをふった、いちごとりんごのフルーツサラダは、どこか異国の香りがして。


そして旦那様手ずから淹れてくれた、濃~い、濃~い、ターキッシュコーヒー
これも専用の鍋に、たっぷりの砂糖と水を入れて、ぐつぐつと沸騰させる。
その後に山盛り、コーヒーの粉。ぐるぐるとかき回して、十分に抽出する。

そしてローズウォーターをひとふり。ほほぉ、これにも良いのかあ。
カルダモン入りは知ってるけど、と言ったら、あれはトルコの方で、自分は好きじゃない、とのお答え。なるほど、それぞれのこだわりがあるわけだ。

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中近東系のデザートって、どうしてあんなに思いっきり強い甘さなんだろう?
自分はペルシャ人です、と名乗る人と、イラン人です、もしくはイラク人です、と名乗る人といるけど、どうしてなの?
前は疑問にも思わなかったあれやこれや。どんなに自分の目が開いていなかったか。そしていまだに無知のままか。

濃いコーヒーを少しずつ。上澄みをすすって、カップに残るはコーヒーの粉。
これを「読む」力があったら、垣間見える未来があるんだろう。
それは私達の先行きか、それとも子供達の将来か。
どっちにしても、それらの線が、これからも途切れず何度も交差する。そんな光景を祈りつつ。

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by senrufan | 2008-02-18 14:27 | Trackback | Comments(18)
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Commented by まきりん♪ at 2008-02-20 15:21 x
異国料理を堪能させて頂きました!
ローズウォーターがお料理に入っているのは驚きでした~
化粧水代わりだと思っていたので。

ターキッシュ・コーヒーの占いってあるんですよね。
レグラーのコーヒーさえ飲めない私にですが、どんなものだか興味大です~
Commented by さく at 2008-02-20 15:55 x
私も前にペルシャ人と名乗った人に
「なぜ自分でペルシャ人という人とイラン人という人に分かれるんだ」と聞いたら何やら説明してくれたんですけど、英語がきつくてほとんどわかりませんでした、という事だけ覚えてて内容を忘れてますが、呼び方にはあまり意味はなかったような気がします。
というか、質問しておいてあまり覚えていない、私の記憶力の方がもっと意味がないだろうな。

でもほんと、デザート甘いよね。脳天直撃の甘さ。
それと玉ねぎの丸かじり。
ペルシャ料理大好きだけど、あれだけは理解できない。(涙)

ローズウォーターってコーヒーにも入れちゃうんですねー。
勉強になります。
Commented by うーら at 2008-02-20 23:08 x
ひゃぁ~~~!美味しそう!
チュニジア料理食べて見たいっ☆

何でも食べて見たいひと(笑)

それにしても食用のローズウォーターにびっくり!
わたし化粧品はブルガリアローズウォーターなので余計飲んで見たいでーす♪
すごいすごい!!ほんと勉強になることばっかりです~♪
Commented by すれっぢ at 2008-02-20 23:46 x
このクスクス食べてみたい~!!よくポットラックパーティーで
クスクスサラダを見かけるのですが、これは!!!ってのには
出会ったことないです。いつもパラパラなだけで、味わいがないって
いうのか。


タジーンは地中海の向こう側、スペインのオムレツと似てませんか?
食べ物も海を超え、似てくる部分もあるのかな~。
Commented by あつゆき at 2008-02-21 01:53 x
まるでレストランみたいね。
Commented by ゆみたち at 2008-02-21 05:32 x
トルコでコーヒーを飲んだ時にね、残った澱を見て、これは!☆◆㊥ё!って言われたんだけど、今となってはなんと言われたか知る術もありません。
多分、これは!また平々凡々!とか言われたんじゃないかと。
あのね、花田少年史4巻読む?
まだいまだにかりてる本を返す時に、興味があったらわたしまああす。
なので、ランチ♪
と、おもいきり私信モード。
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2008-02-21 06:08
チュニジアの秀才な旦那様。シリコンバレーにいても信じられないくらい優秀な方々が普通にいらっしゃってひれ伏したくなります(笑)でも、日々の家事お料理子育てに完璧なまでに従事していらっしゃる Miyuki さんも同じくらい尊敬。ははぁぁぁ~!(ひれ伏してるつもり。。)素敵なお友達と長くつながっていられるのは本当に宝物ですね。Miyuki さんの言葉から伝わってくる嬉しさにじーんときました。

お、お、美味しそうーーー。私も地中海料理大好きで、特に出汁をしっかり吸ったクスクスはたまりません。。悩殺です。魔法使いの帽子のような形をした土鍋でクスクスとシチューを煮込む料理がタジンだと思っていたのですが・・・これまた誤った知識?うーん。
Commented by ayumin_moo at 2008-02-21 11:12
ご友人がどれだけ素敵な方なのか、Miyukiさんにとってどれだけ大切な方なのか、温かみのある文章からじんわり伝わってきました。(なぜか涙が)

チュニジア料理、美味しそうですね~。以前モロッコへ行ったとき、クスクスやタジン料理の美味しさにすっかりはまりました。きっと、日本人の方が作られるお料理は油控えめで、もっと日本人の口に合うのだろうなぁ。あ、でも、チュニジアのタジーンとモロッコのタジン料理は違うみたいですね。
クスクスは、作ってみたいけどまだ挑戦していない料理の代表です。シチューの蒸気で蒸すなんて、本当に美味しそう!家庭で作るにはどうやって作ればいいのか、嬉しい研究課題ができてしまいました。(笑)
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:10 x
*まきりんさん
私も最初、「え、ローション入り!?」とびっくりしたのですが、いやはや偉大ですわ、薔薇パワー。内臓から美しくなろうと(違)

コーヒーの粉占い、すんごく昔からあるやり方ですよね。ジプシーとか。今みたいにフィルターで濾してしまう時代には、考えられませんよね~。
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:15 x
*さくさん
おお、同じ疑問を持ったのね! なんでも、イラン・イラク戦争の頃のことを気にする人はペルシャ人と名乗るとか、そういう話だったよ。どちらにしても、ペルシャという言葉にとても誇りを持っていることは間違いないみたいだね。

それそれ、脳天直撃! あのハチミツたっぷり・歯医者うはうはの甘さ!
気候と土壌が故に生み出されたスイーツだと思っていたら、昔はあのテのものがほんとにごくたま~のご馳走だったから、それだけ甘さをこめたとか。それがすっかり日常になっちゃったおかげで、チュニジアに帰ると、あの人は糖尿病、あの人はコレステロールが、と、大変なことになってるそうですぞ(汗) ローズウォーター飲んでダイエットしなきゃだめじゃんね~。
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:17 x
*うーらさん
私も同類です! 何を見ても「食べたーい!」 だからうーらさんのところにおじゃますると大変なんですこれが!(真剣)

イスラム系食材店って周りにあるでしょうか? うーらさんならきっと、クスクスやローズウォーターを使ったレシピを、色々と考えてくださる気が~(きらきら☆)(期待期待)
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:19 x
*すれっぢさん
クスクスは淡白なだけに、合わせるものによって全然違ってきますよね~。私はシチューと合わせるのが一番好きです♪ けんちん汁はどうだろう?(マジかい)

スパニッシュオムレツ、確かにあれはオープンタイプですよね。卵は世界共通の大事な食材なんですねえ。
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:20 x
*あつゆきちゃん
そうだよね~♪
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:23 x
*ゆみたちしゃん
なんと、本場で飲んだの!? 本場で占ってもらったの!? きっとね、これは! 未来にワインが1,000本見える!とか言われたんだよ。
花田少年って、もしかして貴乃花の伝記?(笑) うん、読みたい、読ませて~! んでもってランチ、ランチ♪ えにーたいむOKよんvv
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:28 x
*shinaさん
あ、そんなことされたら私だってやっちゃうもんね! 勉強熱心で常に前向きなshinaさんにひれ伏しちゃうもんね、へへーーっっ!!(地面にのめりこむ)
でもほんと、優秀な方が多いところでございますよね~。またそれを気取らせない人であればあるほど、尊敬の気持ちが増すばかり。彼女宅と知り合えたのは、ラッキー以外のナニモノでもございませぬ♪

タジン鍋料理、そうか、同じ名前じゃん!と、今頃気づくヤツ(バカ) でも土鍋でクスクスとシチューってできるかも。shinaさん、ぐっどヒントだわ、ありがと~♪
Commented by Miyuki at 2008-02-21 13:32 x
*ayuminさん
また泣かせてしまいましたね、ふっ……罪作りと呼んで下さい(死んでこい)

わあ、モロッコに行かれたことがあるんですか! さすがインターナショナルなayuminさんだわ~♪ その国で食べると、その油や香辛料がちょうど良く感じられる、というのが不思議ですよね。きっとこちらで同じレシピで作ったら、また感じ方が違うハズ。なのでayuminさんのレシピ開発に乞うご期待です皆さん(おいっ!)
Commented by ER at 2008-02-22 13:25 x
最近この辺りでも売っているタジーンの器は、もともとオーブンがなかった時代にタジーンを作るときに使った土器がそのまま残っているようです。下の部分にタジーンを入れ、早く煮えるようにふたをしたとか。観光客にはあの独特な形の器は人気です。以前、Clate&BarrelやWhole Foods(Santa Rosa)で、チュニジアの陶器作りで有名なNabeul製の食器がえらく高い値段で売られていました・・・仕方がないでしょうね。
Commented by senrufan at 2008-02-22 14:21
*ERさん
おお、情報ありがとうございます~! そういう背景があったのですねえ、ふむふむ。チュニジア製の陶器は有名ですものね。
土鍋ファンの私としては、タジーンも入手したいところなのですが、置き場所を考えると踏み切れません……あの形じゃ、他のものと重ねられませんしねえ……(苦悩)


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