それは新たなる旅立ちの

Establishment of Independence (Czech Republic)
Ohi Day (Greece, Cyprus)


日記に書くのをずっと忘れてましたが。

夏休みの間に(ほんとに前だ…)、お嬢のところに友達から回ってきたメール。
「元気がでるよ!」というタイトルになってましたが、お嬢が爆笑して、私に転送してきました。


「Yatta!」


なぜ。
今、これが。
こちらで人気なのか。(唖然呆然)


そんな生温かい夏の思い出に浸ってみた、秋雨の日。ああ、雷が鳴っている。

* * * * *

【アクティビティ】
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近隣の市に、IT技術を中心とした、子供から大人まで楽しめる体験型の展示を行っているミュージアムがあります。
いかにもシリコンバレーらしいこの場所で、現在開催されているのは、「BODY WORLDS 2」という展示会。



約200点の人体標本が展示されたこちらに、この週末、家族揃って行ってまいりました。
以前に送られてきていた割引券を握り締め、
「よっしゃあ、これで食欲失くしてダイエットだー!」
という、大変歪んだ下心を隠さないまま。(……)


往きの車の中で、改めて券を見直したところ、
「平日のみ」という文字にいきなり打ちのめされるという、波乱のスタートの半日です。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

10年以上前、東京と大阪にて、「人体の神秘」という展覧会が催され、なんと40万人を動員したそうですが。
この展覧会の監修を行ったのが、私がファンの養老孟司先生であられました
これが、プラスティネーション(Plastination)という人体標本の新しい技術を、日本に初めて大々的に紹介した第一歩となったようです。

この技術を開発したのが、ドイツはハイデルベルク大学の解剖学の教授である、グンター・フォン・ハーゲンス博士。養老先生とは長年の友人であるとのこと。
それが故もあって、養老先生が日本での普及にあたって、協力する次第となったのでありましょう。


今までの人体標本といえば、ぱっと浮かぶのがホルマリンの防腐処理を施したものですが、匂いや湿気が顕著であり、些か扱いにくいものでありました。
それがプラスティネーションになると、遺体にプラスティックを浸透させ、人体を構成する水分や脂肪分を合成樹脂に置き換えるので、無臭・耐久性がある・持ち運びに便利、という利点があります。
これは特に遺体の保存が難しい熱帯地方では、需要の高い技術とか。

透明感があり、標本の精巧さは残しつつも、柔軟で乾いたものとなって、一種芸術の域だとする向きもあり。
同時に、遺体への冒涜という批判も多々抱えながら、現在では世界34ヵ国に標本があり、250ヵ所以上の研究施設で使用されている、とのことです。
「美しいからだを見せることこそ、命を大切にすることにつながる」
この信念の下、ハーゲンス博士はプラスティネーション作成技術の普及に努めているそうです。

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生々しさを覚悟して、会場に足を踏み入れれば。
そこにあったのは、生き生きとしたポーズをとった、乾燥して精巧な存在の数々。標本というものに対する見方が、一気に覆る思いがしました。

会場内は、テーマごとに幾つかのエリアに分けられています。
ガラスケースの中は、身体の各部ごとにまとめて展示された、臓器の標本。スライスされたものも多々あり。

その合間合間に立つのは、筋肉や骨の一つ一つまで見事に示してくれる立体標本。
それはサッカーをしているものであったり、ヨガのポーズをとっていたり。お腹の中の胎児や臓器を見せながら立つ妊婦であったり。

大人も子供も馬まである、これらの標本は、全て献体という形で死後に寄付された遺体です。
その為には生前の契約により、献体の意志を表明しておくことが必須条件。
展示会の会場入口は、まずこの遺体の提供者達への感謝の言葉から始まっていました。彼らこそ、この展示会の主役であり、我々に向かって全身で語りかけてくるのは、ひたすらに無私の意志に他なりません。


展示会タイトルにある「Three Pound Gem(3ポンドの宝石)」とは、ご存知の通り、人間の脳のことであります。
会場の最後には、以下の言葉が掲げられて、展示の締めくくりとされています。
「生まれてから老いるまで、我々の脳は、自身を彫刻し、学び、再構築し、変化させていきます。
しかし、この素晴しい柔軟性を利用するかどうかは、あなたの力にかかっています。
使うか失うか、それはあなた次第です!(Use it or lose it!)


展示会に興味のある方、こちらは2008年1月26日(土)まで開催とのこと。
献体情報は、「Body Worlds」のWebサイトに詳細が掲載されています。

The Tech Museum of Innovation
201 South Market Street
San Jose, CA 95113

Body Worlds

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※個人的に記録を残しておきたいだけなので、以下を読まれる必要は全くありません。退屈なだけですからね。(きっぱり)


【覚え書】

<展示臓器>

1. 耳
2. 手足
3. 全身の骨 : 200以上の骨と100以上の関節
4. 脳
5. 胴体部
6. 股関節、腰部
7. 肺とその周辺 : 健康なもの、喫煙者のもの、鉱夫のもの
            ニコチンは体内のドーパミンレベルを上げる為、喫煙をやめにくくさせる  
8. 鼻
9. 妊婦、胎盤
10. 胎児、胎芽(8週目までを1週ごとに)
11. 心臓
12. 胃、肝臓、腸
13. 腎臓、膀胱
14. 子宮ガン、乳ガン

  ----------

<展示標本 (部分)>

1. The Baseball Player
2. Filly
3. The Orthopedic Body : ステンレスなどの矯正具が、体内に幾つも
4. The Ringman : 体操の吊り輪にぶら下がり、更に全身に等間隔の輪
5. Man at leisure
6. The Skateboarder
7. The Ponderer : 考える人
8. The Autopsy Body
9. The Exploded Body : 人体の立体展開図
10. The Yoga Lady
11. Love Struck
12. The Flying Skier : スキージャンプ
13. The Head-Diver
14. 3-D Slice Body
15. The Soccer Player
15. Elegance on Ice : デス・スパイラルを演じるペア・スケーター

  ----------

<展示テーマ (部分)>

1. Consciousness

2. Personality -- Pathways in the Brain

我々の人格は、遺伝と環境、そして経験の複合体である。脳内に形成された神経路に根ざす。

3. Memory -- The Archivist

記憶は、瞬間・短期間・長期間の3種類に分けられる。

4. Think Like a WoMan

女性の脳は、男性より神経細胞が多い
 → 言語学習に優れる
    詳細情報の記憶に優れる
    老化しにくい

男性の脳は、より長い神経繊維を持ち、距離のある細胞同士がコミュニケートしやすい
 → より個別な作業に集中しやすい
    空間把握に優れる
    数学や物理の複雑な問題を解くのに優れる

平均的に、男性の方が肉体的に暴力的であるが、闘争と前進を真似ることに優れている

5. Intelligence -- More Than an IQ

知性とは多様なもの。理解の複雑な過程に基づく、言語的、肉体的、そして社会的に結びついた、脳の独占的な機能。

6. Creativity -- The Brain of Fire

創造の過程というものは、既知のものを通常とは違った形で目にすることにより、新しいものを生み出すことである。何かを不思議に思う感覚に基づき、ただ好奇心を満たす為にアイディアを追求する能力によって育まれる。

ドーパミンホルモンは前頭葉の神経網を刺激するが、この神経網は、脳の後ろ側にある長期記憶領域にアクセスする。この2つの脳の領域は、普段はそれほどやりとりすることはないが、創造プロセスにおいては、共に高揚した状態となる。

7. Music -- Striking the Right Cord

8. The Infant Brain -- Psychedelic Splender

9. The Teen Brain

ティーンの変化=脳の変化

10. Alzheimer's -- The Long Goodbye

ロナルド・レーガン元大統領のコメントが掲示

11. Stress -- The Agitated Brain

12. Flexing the Three Pound Gem

  ----------

<引用句 (一部)>

「Your body is the harp of your soul. And it is yours to bring forth sweet music front it or confused sound」
               --------- Khalil Gibran

「Happiness is not something ready made. It comes from your own action」
               --------- The 14th Dalai Lama

「Memory is the cabinet of imagination, the treasury of reason, the registry of conscience, and the council chamber of thought」
               --------- Saint Basil the Great

「Our treasure lies in the beehive of our knowledge. We are perpetually on the way thither, being by nature winged insects and honey gatherers of the mind」
               --------- Friedrich Wilhelm Nietzsche
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by senrufan | 2007-10-28 12:35 | Trackback | Comments(14)
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Commented by shina_pooh_at_sfo at 2007-11-01 02:11
2003年から2004年にかけて東京で開かれた「人体の不思議展」に行きました。その後日本でも全国22会場、20都道府県で開催されているそうです。
http://www.jintai.co.jp/outline02.html

リアルな筋肉と筋のみの人体標本を眺めて感じたことは、人間の体の精巧さよりも、この人の生前はどうだったんだろう、、、ということでした。特に、胎児をお腹に宿したままの状態で断面にされている妊婦は、どんな気持ちで自分の体の寄贈に踏み切ったのだろうと。生まれずして死ななければならなかった自分の子供が、ある意味ずっと見世物になる。母として、どんな気持ちだったんだろうと。標本になった人たちの生前と決意を考えると今でも胸が痛くなります。

展示場の最後に、実物の脳を手に持つ体験イベントがありました。"なんて軽いんだろう" と思いましたね。
Commented by あつゆき at 2007-11-01 06:26 x
行きたいと言ったら夫に「死体見たいの?」といわれちょっとへこんでたんだけど、うん、やっぱりいって見たい。
いまこの肩の痛いところの筋肉がどうなっているのかみてみたい。

はっぱ隊、うちでも流行りました。
懐かしい、CDも買っちゃって息子たちがやんなるくらい踊ってました
Commented by Miyuki at 2007-11-01 10:16 x
*shinaさん
おお、日本で行かれたのですね! 全世界ツアーといった形になってるようですね~。

ううう、おっしゃる通りでございます。大人は自分の意志での献体ですが、子供はそうではないでしょうから、今回の展示で最も胸の痛みを感じたものでした。
実は私自身、免許にドナーシールを貼ってる人間で、死後の身体はなるべく早く使って!という意志を持っております。ただ、それを言葉だけにとどめておいては、いざという時に周囲が困るので、いつか形にしないとなあ、と考えつつ。献体の決意には、悲壮なものから希望あるものまで、各人それぞれの考え方があるのでしょうね。

え、その体験いいですね! そうか、軽いんだ、3ポンド。ほとんど皆同じ重さのものを持っているのに、これだけ各人各様の個性があるのが面白いですね~。
Commented by Miyuki at 2007-11-01 10:20 x
*あつゆきちゃん
あれは死体を見るわけじゃない、と思うよー(笑) 大げさに言えば、科学であり、教材であり、何かを促す芸術でしょうか。肩のチェックにもご利用下さい!

CD持ってるんだー!(爆笑) そりゃあ今度、ぜひ息子さん達バージョンを見せてもらわねば!
Commented by peartree22 at 2007-11-01 10:20
こわいような、でも行きたいようなが、「行きたい!」に変わったのは、きっとMiyukiさんの奥深い解説の効果。Miyukiさん、こうした企画展でのパネルコメントのお仕事されたらいいのに!
昔どこか(学校だったのか、入院した病院だったのか)忘れましたが、取り出された臓器を見たことはあります。悪くて取り出された臓器だったからか、大丈夫でしたが・・・。
甥っ子も娘も今「人体の不思議」(題名うろ覚え)という子供向けの図鑑に夢中です。めくるとだんだん細部の人体の様子がリアルな絵で表れるんですけれど、楽しそうにいろんな部署をめくっています。

「Yatta!」も懐かしい。確かアメリカにいる頃、日本語放送で見てましたねぇ。時差があるのがまたなんとも。
Commented by すれっぢ at 2007-11-01 11:42 x
あれ~、Miyukiさん前にも行ってませんでしたっけ??記憶あやうい・・

4月にシアトルで会った時、ちょうどやってたんですよね~。あの時一緒に
行けば面白かったかも。焼肉弁当持参で・・・やめなさいって。(悪趣味)
Commented by まきりん♪ at 2007-11-01 12:38 x
はっぱ隊、思わず調べちゃいました。(笑)
この曲はオリコン初登場6位を記録したとか!
初めて聴きました。

私も見に行きましたよ、Body2.
バンクーバー会場は大人気だったらしく、ものすごく混んでいました。
グロテスクな感じはせず、その夜もしっかり夕食を頂きました。
ダイエット効果なし~
Commented by Miyuki at 2007-11-01 13:30 x
*ちゃんさま
んまー、ちゃんさまったら、またまた私を嬉しがらせることを! でもだめだなあ、その為には全身美容整形しなきゃいけないもんなあ。って、あれはコンパニオン(殴)
お子ちゃま達、やはりそういう図鑑が好きですか~。意外とちっちゃい子って平気ですよね。それから段々と理屈や感情を堆積していって、また見方が変わってくるんでしょうなあ。ちなみにうちの娘、保健体育の教科書を良く読んでます……(汗)

そうそう、時差! 特大の!(笑) なんかね、世界数カ国で流行ってるらしいですよ。何が良かったんだろう、あれの。
Commented by Miyuki at 2007-11-01 13:32 x
*すれっぢさん
いえいえ、私はこれが初めてですよん。まきりんさんが行かれてましたよね、確か。

そう、シアトルで看板見て、「いつかシリコンバレーにも」と願っていたのです。でもご一緒できたら、絶対楽しかっただろうな~。焼肉弁当? 無問題ですが何か。(真顔)
Commented by Miyuki at 2007-11-01 13:36 x
*まきりんさん
まあ、わざわざ調べて!(笑) 6位とは知りませなんだ、すごい人気だったんだなー、改めて。でもやっぱり恥ずかしくて正視できない、純情なアタクシでございますぅ(殴)

あ、やっぱり! 日記を読ませていただいた覚えがありますもん。(いばる) あまりにグロテスクさがゼロなので、それにもまた賛否両論あるのかもしれませんね~。
Commented by usayamama at 2007-11-01 22:23
「Yatta!」、見させて頂きました。
今日会社に行く前に開いて、かなり脱力しました。
今でも残像が・・・。
shina_pooh_at_sfoさまも書かれていますが、日本でもありましたね。当時行こうかどうしようか、かなり迷って結局行かなかったのですが、今となっては後悔しています。
Commented by Miyuki at 2007-11-02 12:12 x
*usayamamaさん
出社前に、うわあ、それは危険ですな!(爆笑) そうか、もしかしてうささんはお若いから、リアルタイムでは見てらっしゃらなかったかな~。
きっとまた日本でやると思いますよ、人体展。その時はぜひお試しをば。
Commented by さく at 2007-11-02 13:15 x
この間ミュージアムに行きました。
私自身はとっても見てみたかったんですけど、
ちょっと子供に見せる勇気がありませんでしたね。

別に死体だとかグロテスクだとかは思わないし、
子供たちにいらぬ説明はしないだろうとは思いますけど、
あの子たちも字は読める程度には大きいので(笑)、
その献体のいきさつを考えるとちょっと小学生には刺激が強いかなあ、と。
特に子供は自分に置き換える傾向が強いから。(涙)

でもせっかくのチャンスだし、
会期中に一人で行こうかなあ・・・
Commented by senrufan at 2007-11-02 14:44
*さくさん
うん、子供は選んだ方がいいね、あれは。
献体の経緯とかの説明は、ほんとに最初と最後にちょこっとあるだけだけど、本物なんだと考えることが衝撃にすぎる子も沢山いると思う。うちはむしろそういうものも知りたい方なので連れて行ったけど、そうじゃなければ、敢えて今見せる必要はない、ねえ。

さくさんが興味あるなら行ってみて~。私自身は、行ってよかったなあと思ってます♪


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