「ほっ」と。キャンペーン

苦くも甘く沈んだものを

「人生にレモンを差し出されたら、レモネードを作りなさい」
                          ---------- モード・ピッチコット


* * * * *

【レストラン】
b0059565_1142843.jpg

お金持ちが多い、カリフォルニア州のベイエリア。皆、何して生計立ててるんだろう。(庶民の疑問)
その中でも更に上位にランクする、地元市よりちょっと南の市のダウンタウン。久しぶりにここで友達とランチだよ。




メインストリートがずずいと一本あるのだけど、その入口近くにあるイタリアン。
リストランテ、とはなっているが、昼食時の雰囲気は気取らずにカジュアル。ウェイターさん達の微笑みも良いね。

メニューに並ぶのは手堅い定番。サラダ、スープ、パスタが色々。それも基本のボロネーゼやトマト系など。
確実にここの味が他店と比較できちゃうなあ、と思うと、その姿勢にまた好感。
シーフードパスタと、ナスのラグーの2品を注文。


場所も久しぶりなら、イタリアンも久々で、更にもっとご無沙汰だったのが、今日会えた彼女。会いたい話したいと思いつつ、夏を挟んで3ヶ月ぶりにようやく再会。
だからウェイターさんがメニューを手に離れた途端、「さー、何から話そうか!」と、そこから止まらない機関銃会話。あれも教えて、これはどうなったの、あーもう時間が足りないよー!


そんなことしてたもんだから。

料理の写真をすっかり忘れてたの……(呆然)




という、長い言い訳でございました。


とりあえず、エビとホタテ、貝類がふんだんに入ったシーフードパスタは、麺の茹で加減もちょうど良く、ソースの味も程よい塩辛さ。
ナスのラグーも、美しくナスとソースが重ねられ、見た目こってりのトマトソースが、実はすんなりと舌に馴染む味加減で、これまた箸が進んでしまう。

どちらも良くあるメニューなだけに、真面目に、でもあまり肩肘張らずに作ってるなあ、という感じがして、食べてるこちらも笑顔になる。
食べながら、おしゃべりが全く止まらなかったというのは、そういう料理のおかげもあり。じゃまにならずに引き立てる。


気を取り直して、せめてデザートだけでも写真をば。
ティラミスと、本日のデザートのベリータルト

b0059565_1131722.jpg
b0059565_1134188.jpg

ティラミスは、店によってはとんでもなく甘いのに出会うけど、これまたやや甘めではあるものの、決してクドいという領域には入らず。
あくまで滑らかでスムーズな、チーズとクリームの合体像。

ベリータルトも、甘酸っぱさが快く。ほろりと崩れるタルト生地の中、柔らかいクリームとベリー類がぎっしり山盛り。


総じて、安心できる味とサービスで、肩の力を抜いて訪れることのできる場所。
珍しいフュージョン系も大好きだけど、繰り返して行くんだったらこういう店、ということも知っている。


Ristorante Da Mario
14441 Big Basin Way
Saratoga, CA 95070

* * * * *

そのままもう一杯のコーヒーを求めて、メインストリートを進んで行く。
すると、右手側にふっと見えるのが、むき出しの木のログハウスのようなカフェ。
ああ、そういえば随分前に、1回来たことがあったなあ。あれは前の会社の婦人会の帰りだった。

b0059565_1152237.jpg

記憶と変わらない店内の様子。あの時思った、「あ、良い感じ」というのがそのままで。
入口の横のカウンターには、ベーカリーのショーケース。残念ながら大半が売り切れで、残っているのは見るからにアメリカンなマフィンのみ。クロワッサンがあったら買いたかった。

注文したラテを待っている間に、ちょうど店を出るところのお客さんが、
「サーモンサンドイッチ、すごく美味しかったよ!」
と声をかけていて。改めてメニューを見れば、サンドイッチ・ピザなどの軽食類も色々あったんだね。

b0059565_1154421.jpg

なみなみとラテが入れられたグラスを持って、入口正面にある階段を降りていく。階上と階下それぞれに、こんなテーブルと椅子が用意されていて、そこに座るだけでもくつろぎがゆったりと訪れる空間。

ここでも話して話して、いつまでも話題が尽きることはなかったけれど、その合間合間にふっと風に運ばれてくる、落葉の香り。
夏の最中に、涼しさを求めて入るのも良し。でもこんな雨季の始まりに、温かい飲み物と一緒に過ごすのも、かえって貴重で良いと思うんだ。
b0059565_116887.jpg

Blue Rock Shoot
14523 Big Basin Way
Saratoga, CA 95070

* * * * *

【個人的事情】
今でこそ周囲の市をこうやって車で周っては、ランチだのお茶だの買い物だのと、色々と楽しむようになったけれど。えーと、経済的・時間的事情が許す限り。
渡米してから、初めてそういった”ランチ”に行ったのは、実はここのダウンタウンだったなあ、と考える。但しそれを思い出すには、いつも胸の痛みが伴うんだ。


駐在員の家族としてカリフォルニアに来て。その頃の会社には、「駐在員婦人会」なる組織があったんだ。
私が来た頃は、総勢60名ぐらいだったのか。トップを副社長夫人として(その頃の社長は単身だったので)、その下に、住んでいるエリアごとにまとめられた、幾つかのグループと各リーダーの方々。そんな組織図の中に、私も入ることになったんだね。

旦那に言われて、渡米早々に副社長夫人に連絡をとらせていただいたら、即、私の入るべきグループのリーダーの方に連絡して下さって。数時間後にはその方から直接お電話をいただいて、翌日我が家でお目にかかる手はずとなった。

来てくださったのは、アメリカ赴任は2回目とおっしゃる、線の細い、声も容姿も美しい方で。後に、音大のピアノ科を出られて、2人のお嬢さん達もそれぞれ楽器に携わっているという、音楽一家であられることを知った。

わざわざ私用に、ベイエリアの地図を持って来て下さって、それに一つ一つ説明しながら書き込んでいかれる。
「日本の食べ物なら、まずこのスーパー。この八百屋さんは野菜がいいわよ。お医者さんは、大人ならこちら、お子さんはここはどうかしら。……」

そして一通りの説明が終わった後、私がわからないことを色々と聞いて答えて下さって。そのまま娘と私を車に乗せ、地図に書き込んだところを、実際に周って教えていただいて。現地のスーパーに入って、食材を色々薦めて下さって。
更にはここのダウンタウンで昼食をご馳走して下さった上、そのまま散歩を兼ねて、アンティークショップに入って、クリスマス用品に歓声を上げて。

右も左もわからなかった私には、どこか夢見心地のような気持ちのまま、どんどんと過ぎていった、でもとても優しくて忘れられない、大事な記憶の一つ。


駐在員が年々増員された頃だったので、せっかくの婦人会も、あまりに人数が増えすぎて一つの組織では運営できず、自然解散という形になって。
それから私も、幾人かの新しい方のお世話をするという役目を担ったけれど。そのたびにこの時の経験が頭に浮かんで、同じように地図を用意して、同じように案内させてもらう、ということを繰り返し。

駐在員婦人会というと、後ずさりする人も多いけれど。これも結局、身近で出会う人達で決まること。
私に限ってはたまたま良い先輩・同輩に恵まれて、呼び出しも下っ端の雑用も何もなく、穏やかにつかず離れずの関係を保っていけたのは、実は相当に幸運なことだったのだろうと、今でも振り返る時がある。



最初のこの時に案内して下さった方の、突然の訃報が飛び込んできたのは、それから何年も経ってからだった。

見つかった時にはすでに末期だったというガンとの闘いは、短くも苦しいままで急速に終わりに向かい。亡くなられる直前に病床で洗礼を受けられて、心安らかに逝かれたと、そんなことを同時に聞いたけれど。
たとえどういう形であっても、またお目にかかれると信じ切っていたからこその今までの数年を、悔やんでも悔やんでも取り返すことができないという、そんな思いが癒されるわけがない。

念の為にと日本から持ってきていた喪服を身につけ、旧・婦人会のメンバーが勢揃いした、ご自宅前での見送りの日。
火葬を終えて箱に収まった彼女は、大好きだったというバーガンディーの色の布に包まれて、ご主人様の手にしっかりと抱かれていた。


会える時に、話せる時に。次があると信じていても、時々に手を伸ばして触れてみて。
そう思っているのに、不精と自分勝手と臆病とで、いつも後悔を繰り返す。成長のない自分の中でも、この時に味わったほどの苦さは他にない。

あのメインストリートを訪れるたび、泣きたくなる気持ちで彼女のことを思い出すのは、これからも変わることはないんだろう。
[PR]
by senrufan | 2007-10-19 11:00 | Trackback | Comments(10)
トラックバックURL : http://senrufan.exblog.jp/tb/7608755
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by ゆみたち at 2007-10-22 12:45 x
うんうん。
うんうん。
Commented by まきりん♪ at 2007-10-22 13:09 x
おお、素晴らしいランチとコーヒータイム、そしてこのダウンタウン地域は思い出深いところなのですね。

人との出会いと別れは一期一会ですよね。
誰もコントロールすることができない。
だから、人とのやりとりは一瞬毎を気を入れて満喫していこうと思うのです。
こんな風にMiyukiさんが書いた日記を読んで、心の琴線に触れたことにコメントをする。これだって今しかできない心のふれあいなんだよね。
Commented by peartree22 at 2007-10-22 17:53
会える時に、話せる時に。私も噛みしめます。

Commented by shina_pooh_at_sfo at 2007-10-23 00:56
うんうんうん。。。(涙)
私も日本にも時々は帰らなきゃ。親孝行。

婦人会のイメージが一新しました。お付き合いや奥様の中ですらの上下関係など、面倒な関係ばかりと勝手に思っていましたが、不安でいっぱいの初渡米の方には有難いお助けなんですね。そのときの感謝の気持ちが Miyuki さんからも多くの方に受け継がれたことでしょうね。

ご冥福をお祈りします。
Commented by さく at 2007-10-23 04:47 x
私のしている仕事の一つは、
そのものズバリ、その婦人会の役割です。
どおりで日系企業はリロケーション会社を雇わないわけですね。
社内で事足りてしまうんですもんね。納得。

それにしてもそういう思いって言うのは
これから年を重ねるにつれて増えていくんでしょうね。
悔やんでも取り戻せないことってたくさんあるけどね、
でもやはり自分の日々を精一杯やっていくためには仕方のないことなんだと思う。
そうやって思い出してあげることって大切なんじゃないかと。

ところでこのダウンタウンのカフェ。
私も大好きです。
Commented by Miyuki at 2007-10-23 11:55 x
*ゆみさあん
好きっ。(むぎゅー)
Commented by Miyuki at 2007-10-23 11:57 x
*まきりんさん
一期一会、年を経るに従って、ますます肝に銘じるようになっている言葉です。じゃあがんばって、まきさんの琴線に触れるような日記をかかねば!……えーと、気持ちは常に前向きに。
Commented by Miyuki at 2007-10-23 11:58 x
*ちゃんさま
賢いちゃんさまも、相変わらずダメダメな私も、できるだけこんな風に後悔しないように、ね~。
Commented by Miyuki at 2007-10-23 12:11 x
*shinaさん
そうだそうだ、まずは家族ですね~。何かあった時に、すぐ駆けつけられる距離ではないので、普段から何かしら言葉を交わしておければいいのですけど。

婦人会というと悪評ばかりが先行しますが(笑)、実際そういうところもあるのでしょうが、私はラッキーでしたねえ。感謝の気持ちでいっぱいになったら、至らないながらも次の方のお世話をすることが恩返し、のつもりでやってきました。

こんな過去愚痴にお付き合いいただいて、ありがとうございます!
Commented by Miyuki at 2007-10-23 12:17 x
*さくさん
そういえばそうだね!>役割
他の会社は良く知らないけど、同じグループの人達が助ける、というのが良くあるパターンかもしれない。

うん、ほんとは年を取るに従って賢くなっていけば、そういう思いは減るんじゃないかと思いたいけど、実際はきっと増えていってしまうのかなあ、って。それはどこまで自分がやっていけるか、課題だと思うし、同時にさくさんの言う通り、何回も思い出すことで糧にしていくことも大事だよねえ。

やっぱりさくさんは知ってたかあ♪ 今度はここでランチしてみたいなー。


<< 心の声に蓋をして 願うところと現実は >>