受け継いだものは思い出と

Simon Bolivar's Bierthday (Venezuela)
Tisha B'Av (Jewish)


新潟県中越沖地震の発生から、1週間以上が経ちました。
友人のご実家が被害に遭われたこともあり、常以上に平常心でないまま、ニュースをチェックしてしまうのですが。

先日、自動車部品メーカーのリケンが操業を再開したとのニュースで、社員の方のこんな言葉を聞きました。
「いやあ、嬉しいですね。メーカーは物を作ってなんぼですから、また物が作れるということが嬉しくてたまりません」

私が就職活動をしていた時は、バブルの全盛期一歩手前。金融業が特に華やかなりし頃。
周囲の友人がどんどん証券や銀行の内定をとっていく中、しかし私はメーカー本命で動いてました。
それは、お金というものを扱えるほどの頭が自分にないという自覚もあったのですが(おい)、なんというか、「物を作ってお客さんに売る」という、基本で健全な形の中にいたいという思いがあったのです。
などと言いつつ、本命の内定をもらった後で、キープしておいた証券会社の内定を断りに行った時、「うちに来れば、ボーナス1回分は確実に収入が違うのに」という言葉に揺れ動いたのは事実ですが。(不甲斐ない)

どこかで誰かがいいものを作るべく努力してくれるおかげで、私はその恩恵にあずかれる。
いつもそんな思いが心中にあるので、リケンの方のこの言葉は、とても胸に響きます。
地震という、抗えない天災の破壊の後だからこそ、余計に「作る」という行為の尊さを思います。


某ファンドのM上社長@実刑判決が、記者会見で、
「お金もうけ、そんなに悪いことですか?」
と、問いかけましたが。
その質問(?)に対する答えの一つが、リケンの方の言葉の中にあると思うのです。

* * * * *

【料理】
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友達から、自家製トマトをもらったよ。彼女こそ緑の指の持ち主で、実る野菜の美味しいのなんの。
それに加えて、畑を耕すあの腰つき。若いのに年季が入っててスンバラシイ。(大真面目)
お嬢に見せたら、久しぶりに食べたいとねだられたメニュー。そうだね、すっかり夏だし、トマトメニューをもっと増やしてもいいよね。




ねだられたのは、シンプルなトマトのスパゲッティ。レシピのない、本当にごくごく単純なパスタなんだけど、私がこちらでイタリア系のおばあちゃまに直に教わった、思い出深いメニューなの。

病院でボランティアをしていた頃、同じグループにいたおばあちゃま。イタリア系で、ハンガリーやアルゼンチンの血も入ってて、数ヶ国語ペラペラの、シャイで優しくてお料理上手なおばあちゃま。
アメリカに移住してきた時はまだ英語が話せなかったということで、英語ができない私にとても良くして下さった、笑顔の素敵な彼女。
イタリアンメニューが好きだと言ったら、わざわざ自宅に招んでくれて、このパスタの作り方を教えてくれたのだ。


まず、使うトマトは新鮮なことは勿論、できたら2~3種類混ぜた方が更に良い。今日は友達にもらったトマトに加えて、うちにあったチェリートマトとエアルームも使ったよ。
大きなトマトは包丁でカットしてもいいのだが、小さいのは手でつぶす。湯剥きをするのは勿体無い。歯応えも美味しさのうちなんだから、丸ごと食べるのが当たり前。

フライパンに多めのオリーブオイルとにんにくのスライスを入れて、弱火でじわじわと炒める。
教わった時にはなかったけど、私はここでハーブ類も加えるよ。その時の気分で適当に、タイムやセージ、オレガノなどなど。

香りが出たところでトマトを加える。水分で油はねしないように、火は中火ぐらいがいいみたい。
あくまでトマトのフレッシュなところを楽しみたいので、煮詰めないよう、適当に馴染んだところで火からおろす。
ゆでたパスタを入れて混ぜて、味見をしながら塩・胡椒。最後に新鮮バジルをちぎってさっと混ぜて、お皿に移して出来上がり。

たったこれだけなんだけど、美味しいトマトと質の良いオイル、新鮮なバジルが揃ってこそのメニューなので、夏の旬の時期限定の、お嬢と私の大好物。
勿論一年通して作れるけれど、この時期の生トマトで作ったものを食べてしまうと、トマト缶では物足りなく感じてしまうのだよね。
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おうちに招んで下さった時、手作りピザもご馳走になって。台の上に、ざざーっと粉と砂糖、塩などを、全くの目分量で出して、水を加えてぐんぐんとこねていかれる力強い手。
その頃はパン作りどころか、イーストさえも見たことがなかった私は(恥)、その大胆さだけであっけにとられて、目を丸くしたまま見てるだけで。キッチンをのぞきに来られたご主人が、口をぽか~んと開けた私の顔を見て、大笑いされたんだったなあ。

あれから何年もたって、今頃ようやくパンを恐る恐る作り始めて。かえすがえすも、あの時に習うだけの技量がなかった自分が情けなく。
レシピや計りや温度計もないところで、家族が食べる分だけ、自分の手の感覚で作る。彼女が目の前で見せてくれた、ああいう生地作りが日常の中でできたら、どんなに素敵なことかと思うんだ。


もう身体がきついから、と皆に惜しまれながらボランティアを辞めていかれたおばあちゃま。
真珠という意味のある、素敵な名前の持ち主でした。
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by senrufan | 2007-07-24 12:26 | Trackback | Comments(14)
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Commented by shina_pooh_at_sfo at 2007-07-26 15:52
トマトって2~3種類混ぜたほうがいいんですか。確かに。小さいのは手でつぶせばいいんですね。確かに確かに。湯剥きもしないんですか!なんだか、これまでのトマトソース観が覆ってます。「たったこれだけ」とおっしゃいますが、なんとも贅沢な一品ですよ。すごーーーく美味しそう。これで野菜たっぷりのラタトゥイユを作りたい。トマト嫌いの夫に、お嬢様の「トマト食べたい」の一言を聞かせたいです。

そして。素敵なおばぁちゃまのエピソード。心に響きました。そういう経験をされてるから Miyuki さんのように健全な食へのこだわりが生まれるんでしょうね。巡り巡って、Miyuki さんから素敵生活の影響を日々受けております☆
Commented by マミィ at 2007-07-26 16:22 x
>「物を作ってお客さんに売る」という、基本で健全な形の中にいたいという思いがあったのです。

これ、Miyuki嬢の人柄を表していていいですねぇ。そして私も大きく頷いております。それで思い出したのが、学生時代に付き合っていた彼氏。B型でマイペースで、無骨で、情熱的で、大好きだったのだけれど、選んだ就職先がT三菱銀行だったのでがっかり。給料が最高にいいんだと興奮する彼にすっかり冷めてしまい、お別れとなり。

トマトのパスタ、美味しそうですねぇ。ボルドーの朝市で買ったトマト、最高でしたぞ。太陽を思い切り浴びたトマトというのはぷ~んといい香りがして、果物のように甘みがあるんですねぇ。
Commented by peartree22 at 2007-07-26 16:50
素敵なエピソード付きで目も心も満足しました♪(できればご近所であっれば、おなかの方も満足できたのに・・・笑)
私は不精と食いしん坊ゆえにめったにトマトの湯剥きはしませんが、わーい、これでお墨付きだわ。なんてったってあの皮と実の間に旨味がある!と信じて疑わない者なのです。
今週はこれまでの長雨の影響で、さすがに地元の有機トマトくんたちも水っぽくて買うのを敬遠していましたが、梅雨明けの今週は暑い日が続きました。来週はきっと真っ赤なトマトが並ぶことでしょう!
私も在米中はたくさんの方にお世話になりました。特に年配の方は優しくおおらかで。やさしい気持ちを思い出しました。ありがとうございます。
Commented by すれっぢ at 2007-07-26 21:46 x
をいしそ~!!トマトの味がきゅ~っと凝縮されてそうです。肉好きなんで、ついついパンチェッタとかソーセージもしくはアンチョビでも入れたくなっちゃいますが、ダメですよね~。

一昨日近所のパブで食べたのですが、ciabattaパンのサンドイッチを食べました。パスタに合いそうでしたが、なんて発音すんだ・・シャバッタ?シバッタ?チバッタ??ご存知ですか?
Commented by あつゆき at 2007-07-27 00:45 x
お金をもうけるのは悪いとは言わないけど働かずして簡単に莫大なお金が手に入っちゃうのはどうかなあという気がします。
って言ってるからいつまでもお金がたまらないのかしら。
こつこつ働いて手にいれたお金だからこそ大事にできるし、そういうお金の方がいいなあ。
でもやっぱりお金がたくさんあったらいいなあと思うけど欲をいったらきりがない。
Commented by Miyuki at 2007-07-27 11:34 x
*shinaさん
美味しいトマトでラタトゥイユ、それは何よりのメニューだわあ♪ 夏野菜たっぷりのshinaさん特製、旦那様が万一残したら、私が光速で食べに行きますので!(真剣)

私が英語があまりにできないので、優しい彼女は見てられなかったんでしょうね、きっと(笑) ほんとに、本人はこんななのに、周りにはいつも恵まれてて、だから成長しないままこんな年になってしまいました……しかしその運が良いおかげで、shinaさんブログと巡り会えたこと、ますます感謝しなくては!と思ってますvv
Commented by Miyuki at 2007-07-27 11:39 x
*マミィさんっ!
おーかーえーりーなーさああああいいいい!!! と、まずは絶叫から始まるですよ、はあはあ。うわあん、寂しかったですううう

B型の彼の本質を、そういうところで冷静に判断する姉さま、昔から男らしくいらっしゃったのですな。(憧) しかし私も兄が銀行員なので、給料がいかに違うかはよ~~く知ってます、くそう。彼はリアリストだったのですねえ。

朝市のトマトということは、もぎたてということで。う~~ん、想像するだけで口の中に甘味が広がります。おいしい根菜に当たると土の力を感じますが、トマトの味は正に太陽の賜物ですね!
Commented by Miyuki at 2007-07-27 11:46 x
*ちゃんさま
年をとると、昔を忍んでしまっていかんです~(照)
私も湯剥きはした試しがありませぬ。そうですよね、皮と実の間、あそこに栄養も旨味もあるんですもんねー! 勿体無くて捨てられますかっての。大雨で大変だった分、お日さまにがんばってもらって、美味しいトマトが味わえるといいですね~♪
今度は、ちゃんさまの在米中の思い出話を聞きたいですvv
Commented by Miyuki at 2007-07-27 11:49 x
*すれっぢさん
くうっ、パンチェッタ、ソーセージやアンチョビ、今度はこちらがヨダレの番! そのままで食べても美味しいし、煮ても焼いても炒めても良し、つくづく偉大な野菜ですねー♪

ciabatta、これまた大好きなパンですよ。チャバァタ、チャバタ、でいいと思うのですが。イタリアンブレッドなので、パスタやトマト料理には良く合いますね~。
Commented by Miyuki at 2007-07-27 11:52 x
*あつゆきちゃん
欲を言ったらきりがない、というところでおさめられるのが、あなたのえらいところvv こういう話を聞くたび、「等身大」という言葉が浮かぶのよ。
M上さんのような人の場合、自分にすごく自信があって、それだけのお金が自分にふさわしいと信じているのか、それとも逆に自信がなくて、お金などで自分の周囲を固めないと不安なのか、どちらなんだろうねえ。
Commented by soushimei at 2007-07-28 08:49
実際に自分が「作ったものを売る」仕事をし始めて、その作る奥深さが毎日の生活の中でもとっても勉強になっています。
同じものを作る難しさや、人に売れる物を作る(それだけ完成した物をつくらなくちゃいけないということで・・・)、出来たときの感動は単純に「お金を稼ぐ」というものとは格段に違う気がします。
料理にしても野菜本来から作って、またその素材を生かした料理を作れるなんて、簡単なようでスゴク難しい!!
トマト、本当においしそう!夏の太陽をいっぱいあびて作られたトマトで作ると、体まで夏の元気が出てきそう、ですね♪
Commented by Miyuki at 2007-07-28 10:39 x
*soushimeiさん!
とても実感のある、力強い言葉を聞かせていただいて嬉しいです~。chibichibiのようなお店を知っているからこそ、M氏の言葉はあまりに遠く、また腹立たしいものでありました。形のあるものを「創る」ということが、どれだけの仕事であることか。架空のもののやりとりの感覚しかない人には、どうしてもわかりえないことなんでしょうね。哀れだなあ、と思います。
トマト、今年も良い色・味で嬉しいですねえ♪ いつも見事なsoushimeiさんの野菜スイーツ、この夏のトマトはどう使われるのかなあvv
Commented by まきりん♪ at 2007-07-29 15:02 x
コミュへの書き込みありがとう!嬉しかったです。

さて、この色鮮やかなトマトのパスタ、目で楽しんで、舌で味わってと逸品ですね。トマト、バジルなどでソースを作ってそれを冷やしておいてパスタに絡めて食べる「トマト」という料理方をイタリア人の友人から教えてもらいました。暑い日にも食が進みます。
Commented by Miyuki at 2007-07-30 09:48 x
*まきりんさん
え、「トマト」が料理名なんですか? それは面白い! 冷たいソースはこの季節にぴったりですよね。機会があったらレシピ教えて下さいまし~。


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