優先するべき順位の差

読書ブログ更新 : 「翡翠の家」

時々複数の本を平行読みする私ですが、現在のところ、長編ファンタジーを2シリーズ、同時平行で読んでおります。
どちらも類似する架空世界での出来事で。王族とか騎士とか魔法とか戦争とか、まあ随分と似てまして。

結果、私の豆粒ノーミソは、両者の設定を混同しそうで大変ヤバイ。
えーとルクナバートはあっちの宝剣で、アザシュはこっちの邪神で(あああああ)

* * * * *

【映画】
b0059565_1235095.jpg映画「Harry Potter and the Order of the Phoenix」を観に行ってきました。ハリポタシリーズ、5作目です。
今回はお嬢の学校友達との鑑賞だったので(子供だけで総勢10人)、ポップコーンだのソーダだの、まあにぎやかな鑑賞となりました。
でも我々にとって「歩く英和アンチョコ」である彼女を、友達にとられたのは痛かった……わからないところを聞けないじゃないか。(ちっ)




原作の完結を目前にした5作目の映画公開ですが、今回は賛否両論分かれる出来であったように思います。
映画が終わったところで周りと話した限りでは、圧倒的に「良くなかった」意見が多数を占め。正直、私もそちら寄りなのではありますが、でも冷静に考えると、これをむしろ喜ぶ人もいるだろう、との想像もできるわけで。

では、なぜ今作に首をひねるのかと言えば、とにかく「飛ばした」という印象が強いのです。
現在6作まで刊行されている原作の中でも最長の本、それを2時間半以内に収めようとしたら、どうしたってばっさばっさとエピソードを切り捨てていかざるをえない。原作先行のシリーズの読者としては、この点は了解済みの映画であるわけですね。
元々原作から抱くイメージが、各自の中でしっかり出来上がった頃に公開になるものであり、そのイメージは、読者の数だけバリエーションがあるわけで。だから万人に大賛成される映画などありえないのですから、ここはむしろ割り切って、映画ならではの工夫やエピソードとか、自分じゃない、他人が持つイメージとか、そんなところを鑑賞しに行っているというのが本音であって。
少なくとも4作目までは、それらの点で楽しめたわけですが。

ところが今作は、最初から最後まで、原作に沿った形で一気に駆け抜けた、という感じを受け。言葉を変えれば、映画ならではの工夫や目新しさがないまま、ただコアとなる幾つかのエピソードを、同じ比重で繋げたという印象が強いのです。

4作目までは、例え出てこない登場人物や場面が多数あろうと、原作を読んでるので頭の中で補完できるし、乱暴なエピソードのカットも、映画の勢いとオリジナルなユーモアで許容できていたのですが。
今作は今までに比べてよりスムーズに流れ、しかしそのスムーズさを保つ為か、原作と変えた部分が幾つかあり。どんどんと進むストーリーに合わせて、もっと強く出してほしかった新キャラの勢いもそこそこに抑えられ。
結果としてテンションのアップダウン率は、今までより振幅に乏しく、その最高レベルも低いまま、物語の最後まで走り抜けたよう。
表面的には改善されているようでありながら、こちらとしては不満を抱いてしまった理由です。

しかし考えてみれば、我々は原作を繰り返し読んでいるので、こんな感想になってしまったのですが、読んでない人からしたら、むしろ今回の映画の方がわかりやすく、入り込みやすかったのかも。そこに至る過程はともかく、メインストーリーはきっちりと流れていたので。
そんな風に思い直した次第です。


新キャラで今回の主役級(?)といえば、そらもうアンブリッジでございましょう。私はこの女性が、作品中の誰よりも嫌いです。ええ、闇の帝王ヴォルデモートよりも。
なぜかと考えるに、ヴォルデモートやデスイーターらは、完全に魔法世界の住人であり、その中での極めつけの悪の象徴なので、フィクションとして受けとめられるわけですが。
アンブリッジの何よりもぞっとするところは、「こういう人っているよね」という現実感。自分が正しいと思うものを過剰に信じ、そうでないものを徹底的に排除しようとする。決め付けと独断と偏見に満ちた彼女という存在は、我々のごく身近なところにいる人達の、極端なカリカチュア。
お役所、公務員、軍隊、政界、そんな業界の欠点を凝縮し、行き着くところはナチス帝国。そんな路線が描けてしまうところに、彼女が非常にevilだと感じるわけがあります。

これは個人的な意見だと思っていたら、なんと子供達がアンブリッジをこう呼んでました。
「Queen Hitler the Pink Pig!」

他の新キャラでは、トンクス、ルーナ、クリーチャー、ベアトリクスなどが主たるところ。それぞれあまりクローズアップされなかったのが残念でしたが、どのキャストもいい感じ。特にベアトリクス役がヘレナ・ボナム・カーターだったのは、個人的に嬉しかったなあ。あの人好き。
逆にチョウ・チャンは、前作の方がまだ可愛かったような……あれ、前作って前髪あったっけ。ハリーと彼女が親密になる過程がほとんどスキップされていたわりに、なぜかキスシーンだけはやたらと長く、子供達はブーイングしてましたぞ。

従来キャラの成長ぶりも、このシリーズの楽しみの一つ。もうすっかりキャラの年齢を追い越してしまったメイン3人やネヴィル達。なんとまあ大きくなったことか。(しみじみ)
ダニエル・ラトクリフは果たして演技が上手いのかどうか、実は今までどうしても掴みきれなかったのですが(爆)、今作では少なくとも前より上手くなってた気がします。息をハアハアするシーンの数が、前より数割増しになってたなー。あれは鍛えてないとつらかろう。
しかしマルフォイは前作もそうだったけど、今作もただの馬(ピーッ)としか言い様が無い、情けない描かれ方。あれで次作のクライマックスはダイジョブか。


そして肝心の映像は、大変すばらしかったです。
DAの特訓シーン、フレッドとジョージの花火のシーン、最後の決闘に至るまで、手を抜かない見事な技術の連続。ストーリーは色々あるにしても、これらの映像こそ、映画ならではの魅力。手放しで賞賛です。

加えてキャラ達の衣装。毎回言ってますが実に私好みなので、ぜひ売ってる店を知りたい、というかオンラインショッピングできませんか。(真顔)

最後に付け加えるならば、やっぱりダンブルドアはマイケル・ガンボンではなく、リチャード・ハリスに続投してもらいたかったなあ……原作の彼は私の理想の男性像の一人でありますが、それはガンボンのあの力強い身振りや声でなく、1作目の最後で、
「Finally, it's earwax」
と言った時の、あのハリスのイメージなのでありました。(ため息)


さてさて、これでますます21日発売の最終巻が待ち切れなくなりました。
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by senrufan | 2007-07-15 11:56 | Trackback | Comments(8)
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Commented by frogfreak at 2007-07-19 14:54
明日、映画に行く予定です。
実はハリポタ映画を映画館で見るのはは始めて!大体、旅行中の機内とかですませてました。本を読んでいるからストーリー分かっているのに、わざわざ行かなくてもぉと、今まで思っていたのです。でも大画像での魔法映像は壮観かもしれませんね、楽しみ。
ベアトリクス役がヘレナ・ボナム・カーターというのにかなり期待!彼女ちょっとサイコっぽい役とかうまいですものねぇ。ふふふ。
本のほうは前作が読めずにホコリをかぶっています。新作出る前によまなきゃ。きゃあ~
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2007-07-20 08:25
複数の本を平行読みですか?!私には絶対出来ない諸行です。。どうして複数同時並行されるのでしょう?気分転換とか(笑)

ハリーポッターは原作で読んだことがありません。映画も3作目までかなぁ。でも、Miyuki さんのこのブログを読んで面白そうと興味が沸きました。図書館に日本語ハリポタがあれば探してみまーす。(英語は無理です。ハイ。。)

※遅くなりましたが Miyuki さんのブログも私のブログにリンクさせて頂いてよろしいでしょうか?これからも末永くよろしくお願いできれば幸いです♪
Commented by シーラ at 2007-07-20 09:40 x
MIYUKIさん、私もファンタジー読むのが大好物でね。でもハリーポッターは炎のゴブレットまでしか読んでないの。今回の映画はその先?
ミユキさんの映画評が面白いから、特にアンブリッジ評にそそられてしまって(笑)その酷評にもかかわらず、、観たくなっちゃたぁ!

マイミクでご近所友人の「サーちゃん」は映画のマクゴナガル先生そっくりなのよ~
Commented by Miyuki at 2007-07-20 11:32 x
*frogfreakさん
おお、では今頃は観終わられた頃かも! ネタバレ大丈夫だったかしら(汗)
私も圧倒的に原作派なのですが、むしろハリポタは大画面で一度観て、あとはDVDなどはいらない、という感じで(笑) 機内映画は新作チェックの良い機会ですよね~。
ね、ね、ヘレナが出演というのはいいですよね♪ 全然下調べしていかないで観たので(おい)、思わぬプレゼントでした。
6巻はねえ、もう私はつらくて読めませんのです……(涙)
Commented by Miyuki at 2007-07-20 11:39 x
*shinaさん
あはは、とんでもない読み方ですよね! 私はどこでも本がないとやってられないので、カバンや車に常に本を入れているのですが、例えば出先で時間のある時にそちらを読んで、家に帰ったら別の読みかけの本を読んで、などとやってしまうのですよ。勿論夢中になればその本を一気読みですが、平行読みも、頭の中がそのたびにリフレッシュできて、悪くはないです、えへへ。

あ、我が家に日本語のハリポタも全巻ありますよ~。もしそちらの図書館で見つからなくて、どうしても読みたいということであれば、いつでもお貸しいたしますです♪ 我が家は実はシークレット図書館もやってますので(笑)

そしてリンク、もーーー光栄の一言でございますううう(感涙) ほんと、リンクだけが宝物の日記です、ここ。これからも精進してまいりますので、どうかよろしくお付き合い下さいませ!
Commented by Miyuki at 2007-07-20 11:48 x
*シーラさん
わあい、ファンタジーお好きですか、嬉しいなあ! 子供っぽくて恥ずかしいのですが、どーも社会派とかがダメで、娯楽本に走ってしまうのですよ。
今回の映画は、「炎のゴブレット」の次にあたるですよ。逆にシーラさんにも観てほしい! そして一緒にアンブリッジをけなしてほしいわ~。でも原作より映画の方がエピソードが少ない分、ちょっとマシに見えちゃって悔しいの(おい)

ぜひ「サーちゃん」さんにお目にかかりたい!(真剣) マクゴナガル先生も大好きなんですよー! この役をやってるマギー・スミスも。5巻ではマクゴナガル先生がアンブリッジをやりこめるという、痛快なシーンもあるですよ、ふふふ。
Commented by frogfreak at 2007-07-21 03:27
観て来ましたよぉ。6巻を読み始めるに当たっての復習という感じ?いいダイジェスト版でした。
どだいあのボリュームを2時間の映画にまとめようというのが無理なわけで、ひとつひとつのエピソードに済マークをつけていくような展開にならざるを得ないわけで、手に汗握るとかもなくなるわけで、目は特殊効果ばかりに行ってしまうわけですね。(キビシイ?)
昨夜から6巻を読み始めました。英語で読んでるので、あっという間に寝れます。ぐーーー
Commented by Miyuki at 2007-07-21 09:33 x
*frogfreakさん
いいダイジェスト版、そのご指摘、正にピッタリー!(大ウケ)
そしてお言葉の一つ一つにむっちゃくちゃ頷いてしまいましたよおvv そうそう、製作側としてもがんばってるのはすごくわかるから、仕方ないと思おうとするのですが、原作に思い入れがある分、厳しくなってしまいますねえ。
や、眠くなられるのは健全。私は英語の本を読み始めると吐き気をもよおします。(真顔)


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