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伝統と革新の相互作用

St. Peter and St. Paul (Colombia)


読書ブログ更新 : 「名探偵のコーヒーのいれ方」&「事件の後はカプチーノ」


日本語活字におけるふりがな。活字出版の世界では”ルビ”と呼びますね。
しかしこのルビなるものの由来は何か、と思ったら、英語のrubyから来ているそう。

あの紅の宝石のルビーのruby? そんなベタな、と疑って辞書を引いたら、
あ、ほんとにあったわ、その意味。(驚)


って、もしかして知らないのって私ぐらいだったりして。(大変ありがち)

* * * * *

【お菓子】
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こちらのレシピ本は、日本の本みたく写真が豊富じゃないんだよ。
ヘタしたら出来上がり写真すらなかったりするので、材料とレシピの文字を睨んで、出来上がり図を頭に描くという、頭の体操&想像力の鍛錬に大変良いという巷の噂、ということは全く聞いたことがない。
でも雑誌はさすがにそうでもない。むしろ、おおっ!と思わせる美しい写真がどーんとのってて、でも材料を見て砂糖の量に打ちのめされ、という逆パターンすらあるんだね。



中でもたま~に私がのぞくのは、Cook's Illustratedという料理雑誌。
その名の通り、写真よりもイラストの数が豊富なぐらいなんだけど、そのイラストがなかなか細かく良い出来な上、内容が食材や調理法の比較が多く、ためになるウンチクが楽しいの。

そして先日スーパーのレジに並んでいる時、ふと目にした最新号。どれどれと手にとってみたら、記事の一つに「Best Blueberry Scones」というのがあるではないか。
朝食用にスコーンやマフィンのレシピを集めている現在、これはぜひとも目を通さずにはおられまい。ということで、お買い物に加わったとさ。

帰ってからじっくり記事を読む。
ライターさんの言うことには、今までいろんなスコーンを作ってきたけれど、やはりまだ不満があると。かの人が目指すのは、更にrichでlightでflakyなスコーンなんだって。
そんな方が懸命に考えて作り上げたレシピだもの、これは作ってみなければなるまいよ。材料は全てうちにある。ということで早速取り掛かる。


さて、ライターさんの理想のスコーンは、パイのような軽さを目指す。
なので、パイのように何度も生地を折り畳んで層を作ることによって、ふんわりと膨らむ生地を目標としてるんだね。

その第一の鍵がバターに在り。
スコーンというと、前にも書いたけど、バターを指で粉にすりこむというrub-inという作業が不可欠で。しかしこの時にもたもたしてると、手の熱でバターがべたべたになり、さっくりした生地になってくれない。
少しでも作業を早くしようと、冷凍庫に入れておいたバターを細かい角切りにして粉に混ぜるところから始めるんだけど、それでもまだライターさんは安心できないんだって。フードプロセッサーも不満なんだって。

では、かの人の案はどんなものか。
冷凍バターをあらかじめおろし金ですりおろし、ぎりぎりまで冷凍庫に入れておいて、それを生地に手早くすりこむというものさ。

なのでやったよ、ガシガシとすりおろしバター。しかしおろすそばからどんどんバターが柔らかくなるというか、支えている指の熱でバター本体が柔らかくなるから焦るというか、
少なくともほんとは途中でこんな写真(↑)を撮ってるバアイではないことは確か。
このバターと、具になる生ブルーベリーが、それぞれ冷凍庫で待機。

バターが再び冷えた頃を見計らって、いよいよ材料の計量にかかる。
薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー、ベーキングソーダに、レモンの皮のすりおろし。
この中にすりおろしておいたバターを入れて、出来る限り手早く粉となじませる。
うん、確かにすりおろしていて細かい分、角切りよりははるかに楽。しかしその事前準備のあの手間を考えると、一体どちらが良いんだか。

できあがった粉の中に、レシピだとミルクとサワークリームを入れるところ、余ってたバターミルクで代用。これで良いはずだ、大丈夫。
スパチュラで混ぜてひとかたまりになったところで、ボールから台の上に生地を出す。打ち粉をしつつ、生地を畳んでこねるということを数回繰り返す。これは、ライターさん目指すところの”パイのような”食感をもたらす為。
こねた後は四角にのばし、縦に三つ折り・横に三つ折り。ここで再び生地を冷凍庫で休ませる。

伝統と革新の相互作用_b0059565_1373399.jpg再度こね台の上に出した生地、畳んであったものを広げなおし、ブルーベリーをその上に散らして、こぼれないように生地に手で押し付ける。
その生地を今度は「シナモンロールのように」、下から丸めていくんだよ。

これは実は、もう一つのライターさんのこだわり所。普通に生地に生フルーツを入れて一緒にこねると、潰れてベタベタになってしまうので、それを避けたいと考えたポイントなんだって。
今が短い旬であるブルーベリー、直径2cmはあろうかという大粒なものばかり。これを汁も残さずちゃんと味わう為には、確かに良い方法かも。

丸めて長方形の棒状になった生地を、ナイフで三角形に切り分けて天板に並べ、オーブンで焼くこと18分程度。
レシピでは更にバターを上に塗って、砂糖をふりかける、という手間があったんだけど、これはもう無しとした。

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焼きあがって冷めたスコーン、恐る恐る食べてみる。
お、なんかスコーンじゃないみたい。ケーキみたい。
というのは、今まで味わったスコーンって、もっと固くて、食べるそばからぽろぽろこぼれるような生地が普通だったから。
でもこのスコーンはふわっとしてて、こぼれることがほとんどなくて。大きなままで残ってくれたブルーベリーが、口の中でジューシィな味を加えて、ますますケーキっぽい雰囲気だよ。

手間は色々かかったけど、その分新しいスコーンが楽しめたので、結果オーライ。美味しかったし面白かった。
でも残念ながらこれは、朝食にささっと作る、というわけにはいかないなあ。

と思ったら、この生地はしばらく冷凍しておいても味はほとんど変わらない、というコメントがついていて。私と同じように、「これは朝からやる仕事じゃない」とのたまう読者の不満に、前もって答えてくれていたよ。
じゃあ余力のある時に作っておいて、生地を冷凍させておき、欲しい朝に取り出して焼くということも可能なわけだな。
あとは、「再びこの作業を繰り返す気になるか」という問題を残すのみ。(……)


Cook's Illustrated

* * * * *

【家庭内事情】
焼き上がった8個のスコーンのうち、味見を兼ねてお嬢と1個ずつ食べて。
残りのうち4個を友人に持って行くつもりで、ラックの上で冷ましてたんだけど。

そろそろ袋に入れようかとキッチンに行ってみたら、

全てのスコーンに、満遍なく穴がボコボコとあいていた。


我が家のフルーツフリークが、ブルーベリー狩りをした跡だった。



怒鳴ったところで戻ってくるはずもなく、再び焼くこともできず。
泣く泣く余っていた生ブルーベリーを穴に押し込み、ぱっと見の体裁だけは整えて、友人に平謝りして受けとってもらう羽目になったのさ。

12歳って、こおゆうことする年だっけ。(遠い目)
by senrufan | 2007-06-30 12:59


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