目にはさやかに見えねども

Mother's Day (U.S.A., Canada, Finland)


「一人の人間を良く知りたいと思ったら、当人の次にはその母親を見ろ
            アラン・グラント(「時の娘」より)
困ります。(ちょー真顔)

* * * * *

【買い物】
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母の日セールのお知らせが、私宛に色々と送られてくる中で、実は一つオーダーしたものがある。



以前に注文して以来、お気に入りとなったお菓子メーカー。味はアメリカンなれど美味しくて(え)、材料に気をつかっているところも良くてね。
最近はオーガニック系グローサリーストアに一部商品が並ぶようになって、お墨付きをもらったようで密かに喜んでいる。

母の日20%OFFセールで頼んだものは、Flowers and Chocolate Towerのクッキーセット。
まずはチョコレートのショートブレッドクッキーの上に、ピンクのバラのアイシングをのせたもの。加えて3種類のクランチ・トリュフ・クッキー。ミルクチョコ・チェリー、レモン・ホワイトチョコ、ラズベリー・チョコの3つの味。
ついでにチョコチップとクルミのブラウンシュガーブラウニーも入れて、それらがぎっしりと木の箱に詰まって、はるばるボストンから到着したよ。

ダイエット真っ最中なので、まだちょっとしか味見できてないんだけど(悔)、クッキーがさくさくで美味しいよ。
市販のお菓子より賞味期限が短いので、一通り食べたら冷凍庫へ。そして今度は、少しずつ取り出して食べる楽しみが待っている。


家族で食べるにあたって旦那に、母の日セールだったこと、でもおいしそうで欲しくて、お嬢と相談して買ったことを言ったんだ。
実は全然知らなかったこと間違いなしの彼は焦ったらしく、今日の午後、大きなバラの花束を抱えて帰って来た。
はっきり言って、結婚以来初めてだ。雹か霙でも降ってくるかと、思わず洗濯物を取り込んだ。

今月末の三連休、しかも結婚記念日に、またもや出張でいないこと。
私の誕生日を2年連続すっかり忘れていて、一言もなかったこと。
お菓子を分ける時、溜めていたものをふと口を滑らして言ってしまったので、それでさすがに良心のとがめを感じたんだろう。

別に何を欲しいわけではなく、ただ心に留めていると言ってほしいだけなんだけど。花や食事で表して、機嫌をとってほしいわけじゃない。私に言われる前に、言ってほしいだけなんだ。
でもその気持ちはとても嬉しかったので、花をもらって勿論大喜びしてみせたけど。
そんな隠した本心に、彼が気づくことはないだろうと、影でひっそり苦笑する。

お嬢が朝起きるなり庭に出て、何かごそごそやっていた。
自分の部屋に行ったら、私の鏡台の前に、庭の花を生けた小さな花瓶が置いてあった。
私の欲しいものは、きっとこんなものに近いのだ。


たとえその花が、お隣の家から伸びたジャスミンであっても(……)
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* * * * *

【個人的事情】
先日ジムに行った時、インストラクターと雑談していたら、おもむろに
「ところでMiyukiは仕事は何をやってるの?」
と聞かれた。ゴクツブシです、という英語がわからず、とりあえず
「専業主婦よ」
と答えておいた。

日本の倉庫から10年ぶりに手元に届いた本たち。ダンボールを一箱ずつ開けては、しこしことリストを作成しているのだけど。
今開いている箱には、ワーキングマザーのエッセイやアドバイス本が何冊も入ってた。

そうだった、日本にいた頃は兼業ママだったんだよなあ、と思い出す。
キャリアが一時棚上げとなっても、10年後、20年後に追いつければいい。そう自分に言い聞かせながら、会社と保育園と家を行ったり来たりしてたんだった。
もう不要だから、と古本屋行きの山の中に加えようとする、その手が少々ためらってしまうのは、どこかに残る未練のせいかと自嘲する。

そんな時に、友人母子と、お嬢を交えた4人で会う機会があって。大学受験の年になった彼女の娘と、将来の希望と専攻の話になり。興味津々で訊いていたお嬢が、ふと私の方を向いて、何気なく言った。
「ママは、主婦になる為に大学に行ったの?」
一瞬頭の中が真っ白になって、咄嗟に何も返せなかった。

その時に一気に押し寄せた思いを、言葉にすれば何だろう。
悔しさと情けなさとやり切れなさと、主婦・母親業というものへの幾つもの感情。ゼミに授業にと過ごして、就職活動にのぞんだ私。兼業主婦だった頃の、ひたすら必死だった自分。
旦那は全く当てにできず、母の助けを借りながら。毎朝5時起きで夕食の支度をして、保育園に連れて行き。やむを得ず短時間勤務を選択した為、仕事を時間内に終わらせることに懸命で。帰宅したらそのまま娘の世話に追われて、ベッドに倒れこむ日も多かった。
育児休暇から戻ってみれば、同期のうち幾人かは役職についていて。それでもいつかきっと、続けてよかったと言い切れるようにと、雑音を耳に入れないよう、ただ前だけを必死で見ていた。

旦那の渡米が決まってしまった時、悩んだ末に仕事を辞めてついていくことを決めたのは自分であって。未消化のままの気持ちを無意識に抱え続けた心は、時折どうしようもなく訴えてくることもあったけれど、それも自分で折り合いをつけていかねばならないものであったから。
娘を家で迎えられる母でいようと、せめて食事や家事で出来ることはやっていこうと、ここ数年はそんな葛藤と共に歩んでいる。探ってみれば、もしかして何かに縋っていたいだけかもしれないが、同時に主婦業の深さと楽しさ、真の辛さに、自分なりに向き合わなくてはと、日頃から叱咤しながらの歩みでもある。

仕事が忙しくて、子供に構ってやれないと嘆くお母さんがいる。
子供の為にやりたいことができないと、当り散らすお母さんがいる。
大学まで子供のそばにいてやるんだと胸を張るお母さんと、子育て時期を早く抜け出したくてイライラを隠せないお母さん。様々な親と共にいる子供達の、目と心に映る姿は、どれだけ親本人が望むものに近いんだろう。

保育園で保母さんにお嬢を渡す時、
「いっぱいだっこして、いっぱい。そしたらかいしゃにいっていいから」
と泣いた彼女はもういない。幼い子に傷を残すぐらいなら、と絶えず悩み続けた自分もいない。
今彼女が見ているのは、常に現在の親の姿勢と背中であって、その目の前に、恥じない姿で自分は立っているかと自問する。

子育てで悩む、自分の生き方で悩む世界中のお母さん達に、今日の母の日という時に限らず、いつも心からのエールを送らずにはいられない。
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by senrufan | 2007-05-13 11:35 | Trackback | Comments(4)
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Commented by まきりん♪ at 2007-05-15 21:40 x
<市販のお菓子より賞味期限が短いので、一通り食べたら冷凍庫へ。そして今度は、少しずつ取り出して食べる楽しみが待っている。>

おお、このような食べ方もできるのですね。参考にします。

出産、育児、仕事、そして渡米してからの生活の変化。人生の随所で生き方を振り返らざるを得ない瞬間がありますよね。

そして、何はともあれ建設的にできることって今の自分の生き方の査定をし直すことなんですよね。それはどんな人の人生にも当てはまるような気がします。
Commented by Miyuki at 2007-05-16 12:11 x
*まきりんさん
我が家はお菓子やパンを焼いても、絶対余ってしまうので、大抵冷凍してしまうのです~。味が落ちるのは勿体ないので。

今の自分の生き方の査定。その通りですね。そうやって繰り返して、でも前を向いていかなきゃなあ、と思うです。
Commented by mikamika at 2007-05-17 09:49 x
う、お嬢ちゃまの一言、ずしりときますね。

将来の目標のために大学に行くのだけど、その大学に行ったからと言って一筋縄で目標に到達するのではなく、それは能力の有無の問題ではなく、そして努力で補えるものでもないという、世の複雑さ。
自分の生き方を査定しつつ活きていくことだけでも、充分立派だと思ってしまうのは、多少逃げでしょうか。。。
じゃあ大学に行かなくてもよかったのかと言えばそうではなく、大学に行って就職したというその経路を辿ったことでご主人に出会い、お嬢ちゃまが生まれたわけで、世に無駄なものはなにもないのだと私は思います。

あぁ、そう思いつつも、お嬢ちゃまの一言は、同性だけにずしりときますね。
Commented by senrufan at 2007-05-17 10:49
*みかしゃん
はい、ずしりとこう、アトラスの抱える地球のようにですね。

改めて考えてみれば、みかさんの言ってくれたようなことも心の中に見つけるわけです。でも咄嗟に出てこなかったのは、やはり私自身が主婦業&母親業というものに引け目を感じていること、そして自分がそれを高いレベルで出来ていない自覚、が原因でしょうねえ……こうゆう時に胸を張って、「なに言ってるの!」と諭すことができるようになるまで、あと何年かかるやら。とほほです。
でもみかしゃんの言葉通り、世に無駄なものはないんだ、と信じていかなきゃね。


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