裏の裏の、その裏まで

最近読んだ小噺。


次の大統領選に向けて、有権者の抱く理想の政治家像についてのアンケート調査を実施します。

1. 非合法の金融業者や暴力団関係者との並々ならぬ間柄について噂が絶えない。病気持ち。妻以外に愛人2人。ヘビー・スモーカー。毎日マティーニを8~10杯引っかけている。

2. 2度も免職されたことがある。夜更かしで、正午まで寝ているクセが抜けない。学生時代には麻薬を吸っていた。毎晩ブランデーを1本飲み干す。

3. 勇猛果敢な軍人として、幾つかの勲章を授与されている。ベジタリアンにして非喫煙者。酒はビールのみ。マフィア、刑事犯、マネーロンダリング等の不法行為とのいかなる関わり合いも疑われたことがない。贅沢嫌いで生活はつましい。

以上のように3人の有力政治家の皆様のキャラクターを記しましたので、理想とする政治家の番号を○で囲んで下さい。あなたの貴重なご意見は、大統領候補選出に際して必ず参考にさせていただきます。ご協力ありがとうございました。
尚、各番号に相当する政治家は、次の方々です。

1. フランクリン・ルーズヴェルト
2. ウィンストン・チャーチル
3. アドルフ・ヒットラー

* * * * *

【読書】
b0059565_113967.jpg横山秀夫著「第三の時効」を読む。友人から借りた本。
彼女から横山氏を紹介してもらって、以来長編を数冊読ませてもらったが、これが初の短編集になる。



警察小説の旗手と言われる氏らしく、6つの短編が収められているが、全て舞台はF県警本部の捜査第一課。強行犯捜査の一班~三班の刑事たちが出会う事件を通して、それに関わる警察側の人間にそれぞれスポットライトが当てられるという設定の連作になっている。

横山氏の今まで読んだ長編は、どれも緻密な構成と暗部を描くが故の濃い筆致、そしてラストに受ける衝撃もあって、読み応えのある作品ばかり。
その手法が見事に短編という制約内に生かされていて、むしろ1冊の中で氏の持ち味を何回も楽しめる分、横山氏を初めて読むならばこの本も良いかもしれない。

つくづく男性の書く、男性の世界だなあ、と思う。あまりにキャラがそちら方面で出来上がりすぎていて、女性らしさが入り込む余地がない。事件の関係者として勿論女性は複数登場するのだが、どこか男性信奉者が抱く女性イメージがそこにある。
私の歪みきった偏見からすると、いかにも日本の推理小説といった色があり、正直言うとこの点では得意ではない。

なのにこの本は、そんな私でも一気に読ませる。まず一作ごとのプロットが見事。最後の最後でこういうことだったのか、と目を開かせるものがなければ、ミステリーとしての魅力はない。それが6編全てに必ず用意されている。
その事件を解く過程で、これまた欠かせないのが心理描写。それも同じ警察内の一人一人をその都度強く深く描くことで、飽きさせることなく惹きつけ続ける。
常に暗く殺伐とした内容なのに、そのシリアス感がリアルさを伴って迫ってくる。一作だけ取り上げて一本の映画を作れそうな、それだけの奥深い内容を持つ。

改めて横山氏の力量を実感した一冊だ。
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by senrufan | 2006-12-12 11:34 | Trackback | Comments(2)
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Commented by まきりん at 2006-12-14 16:00 x
政治家って滅茶苦茶やる奴はやるっていうのは本当だったのね。でも、ヒトラーは行動的には模範的。その鬱憤で最終的にキレたのか?
Commented by Miyuki at 2006-12-15 12:41 x
*まきりんさん♪
ねー、こうやって実例を聞くとすごいですよね。ヒトラーは更に動物愛護家だったという話もあり。人間、害のない程度の捌け口が必要なのですね。さー、今日も家族に八つ当たり(殴)


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