知らない頃に戻れれば

ファミリールームのカーペットやクッションに、きらきらと光る銀色の筋が何本も。
お嬢が友達とグルーガンでクラフトをしていたので、きっとその残糸に違いない。
と思い込んで、お嬢を問い質したら。

どうやらなめくじか、かたつむりの這った跡らしいです。(うわあ)(でも良くいるんだ確かに)

* * * * *

【読書】
b0059565_13105015.jpgクリストファー・ムーア著「アルアル島の大事件」を読む。「抱腹絶倒」という謳い文句に弱い自分。しかしこれは確かに面白かったよ。

化粧品会社のお抱えパイロットのタック。だらしないことこの上なく、女の子を連れ込んで機上でヨロシクやってたら、天罰覿面、着陸失敗の大事故。世捨て人になれとの勧告を受けてお先真っ暗な時にもたらされた、南の島の伝道医師が、彼をパイロットとして雇いたいとの知らせ。そうして辿り着いたアルアル島で、彼が徐々に理解した秘密と陰謀とは?

帯や背表紙で謳ってる通り、ユーモア・ミステリなのだけど。その実かなりブラックでシニカル。
だっていきなり人食い人種に遭遇したり、パートナーが殺されたり、さもない脇役も消えてしまったり。活発でテンポの良い描写なので、陰湿さは全くないのだけど、その分容赦もない。
解説によればムーア氏は、怪奇・ファンタジー・ホラー・喜劇を得意とされているようで、なるほどと頷いた。

この小説の悪役側に、日本がそれなりに絡んでいるよ。用心棒役の日本人達など、英語は通じないし、やってることもエゲつない。おまけにニンジャのパロもあり。
アルアル島は架空ながら、舞台となるミクロネシア連邦は、かつて旧日本軍が占領していたところなんだよね。そしてその陰謀の内容からも、日本が適任だったのかもしれないなあ。胸が痛まないとは言わないけれど、物語の根幹を成す”積荷信仰(カーゴ・カルト)”の歴史を考えても、不自然ではない設定だから。

何より、登場人物全員が魅力的で強烈で、ちょっとした端役すらも強い自己主張があって。そんな彼らが右往左往する物語となれば、面白くないはずがなく。文庫本で500ページ以上という長編にも関わらず、とにかく先が気になって手が止まらず、あっさり1日で読んでしまった。
悲しいシーンなのに、なぜか涙が浮かばなくて、笑えるシーンでも、心の底から笑えないのは、その余地を与えないテンポと、畳み掛ける乾いた描写のせいか。しかしその分ラストシーンでは、ほわりと胸が暖まる。

邦訳がもう一作あるのだけど、ホラー喜劇らしい。ホラーと名のつくものはすべからく苦手な自分は、はてどうしようと悩んでいる。
[PR]
by senrufan | 2006-08-18 13:09 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://senrufan.exblog.jp/tb/5519873
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 気分は振り子のごとく 外的変化と内的進化 >>