その目に映らなくとも

旦那が日本語レンタルビデオ屋で、「ミュージックステーションスペシャル」を借りてきた。
2006年上半期ベスト50が特集されていた。

50曲中、49曲知らなかった。

浦島太郎度100%まで、一体あと何マイル。

* * * * *

【読書】
b0059565_13434076.jpgb0059565_1343512.jpgダイアナ・ウィン・ジョーンズ著「バビロンまでは何マイル(上下)」を読む。タイトルを聞いた時、最初は川原泉のマンガかと思ったんだったな。

一筋縄ではいかないぞ。見えるものを信じちゃいけない。
ジョーンズの本を読む時の心構えなのだけど、今回はもう一つ加わった。
偶然の一致などというものはない。

地球担当のマジド(魔法管理官)であるルパート・ヴェナブルズ。欠員の出たマジドの候補者探しと、異世界の帝国の後継者探し、という面倒な仕事を一気に抱える羽目になる。
新マジド候補者の一人であるマリー、従兄弟のニック、謎の隣人などが次々と起こす面倒に東奔西走させられるルパート。果たして無事に任務を終了することができるのか。

ウィットに富んだユーモアと鋭い皮肉、さっくりと酷で、あっさりと優しいハッピーエンド。この前に読んだデイルマーク王国シリーズが全面シリアスだったので、久しぶりにジョーンズらしさを満喫した。
ジョーンズは主人公の恋愛模様も良く描いているのだけど、今作でも相変わらず不器用で素直じゃなくて、全然しっとりとならないの。描きたいことの主眼はあくまでもその世界にある、というのが彼女流なのかな。
かと言って、登場人物の描き方が足りないわけでは決してなく。今回も主人公ルパートを始めとして、個性豊かな面々が勢ぞろい。多次元世界を行ったり来たり、慌てふためいてあがく様子が克明で、クライマックスに近づくにつれ、正に手に汗を握って読みふけった。

原題は「Deep Secret」だが、作中で大きな意味を持つ詩が、マザーグースの「バビロンまでは何マイル?(How many miles is it to Babylon?)」だったので、このタイトルになったんだろうな。
元々は6行の短い詩を見事にふくらませてクライマックスに使っているのだが、じゃあこの詩が全ての中心かというと、決してそうではないところがまたジョーンズらしい。そのような大事なキーファクターをしっかりと据えながら、それを上下左右から囲む世界は非常に緻密で、どんなにユーモアに溢れていようと、その堅固さは揺るがない。
ちなみにバビロンの詩以外にも色々と彼女が遊んで引用しているものが多々あって、イギリスのファンタジーや聖書に詳しい人にはなかなかおいしい内容となっている。

この世界は多次元構造になっていて、しかも正域・負域に分かれているという。正域というのは魔法が信じられている世界であって、地球は負域に入るらしい。
そんな中でその世界内での仮の姿を持ちながら、秘密裏に様々な出来事に関わって力を及ぼすマジド達。更には上界という、天国の神様達みたいな存在もいるんだって。
設定としては非常に目新しいというものではないのに、問題なく受け入れてのめりこんでしまうのはなんでだろう。ジョーンズという稀な実力を持った作家は、例え遊び心いっぱいで書いたにせよ、これだけのものを創ってしまうのだなあ。
そうして一気に読み終えても、全体を把握したという気になれないのもいつものこと。読めば読むほど、何か足りないものを見つけてしまい、しかもそれは本を閉じた途端に滑り落ちていくんだよ。

ラストシーンがまた傑作で、実は彼の存在はこんな大きかったのかと驚く仕掛け。そしてこの彼が活躍する作品が続くらしい。
彼がやったことは、上界のメンバーに記憶を抹消されても良いように備えたこと。私も彼のように、読みながら浮かんだ思いを、解釈を、何かに常に書き残していくべきなのかな。でもそんな歯がゆさも、既にジョーンズの仕掛けの一部かも。
[PR]
by senrufan | 2006-08-01 13:41 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://senrufan.exblog.jp/tb/5406538
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 極にいるより中道であれ 葉月2006 >>