時間は酷か救済か

整理という言葉が辞書にないワタシは、当然メールフォルダも長い間ほっときっぱなし。
今日送信メールフォルダを見たら、メッセージ数が1111になっていた。

なんか、嬉しい。(にんまり)(だから整理しろって)

* * * * *

【読書】
b0059565_12512343.jpg横山秀夫著「ルパンの消息」を読む。以前友人から横山氏の本を2冊借りて、とても楽しませてもらったのだが、それではとまた2冊貸してくれたの。多謝感謝。(斜め45度)

元新聞記者であり警察小説を得意とされる氏の、「幻の処女作」というのが謳い文句。当作でサントリーミステリー大賞の佳作に入ったことで記者をやめ、フリーライターに転身されたきっかけになった作品で、氏にとっても思い出の深いこの小説。加筆され、15年後に出版という運びになった。

ある日、警視庁にもたらされた1本のタレコミ。15年前に自殺した女性教師の事件は実は殺人であり、犯人は当時の教え子の男子生徒3人であるという。
時効まで24時間という限られた中で、事件解明に全力を尽くす捜査陣。その途中で浮かび上がってきた「ルパン作戦」なるものは一体何か。失効を迎えた「三億円事件」との因縁はどのようなものなのか。

以前に読んだ「クライマーズ・ハイ」などと比較すると、やはり荒削りの印象があるが、その分勢いと、アイディアへの自信と意気込みが感じられる。文はどこか週刊誌の記事のような調子も見られるが、現在の練られた上手さに十分通じるものものぞかせる。

24時間という限られた時間の中で、3人の元高校生の尋問内容だけを手がかりに動かねばならないという密室的な面白さに加えて、それに関わる少人数の警察官に、しっかりと個々の役割と背景を持たせて書き込んでいるのが奥行きを深くしている。
典型的な不良高校生だった3人が、「ルパン作戦」の実行からそれぞれ運命を異にしていく、その切なさとやるせなさも迫るものがある。その当時、彼らに関わった人々の思惑も逃していない。
さらに三億円事件の容疑者も時間軸を共にしていたことで、その時の葛藤も描かれる。
と、ここまで盛り沢山だった分、かえって洗練さが足りない気分が残るんだな。消化し切れてないというか、あ、ここもっと知りたい、というところに手が届ききらなかったというかね。

ラスト部分は、畳み掛けるようなドンデン返しの連続。真相は、私的には俗っぽさが漂って少々眉を顰めてしまったのだけど、昔に起こった事件を現在語る形なので、個々人の内部で年月を経て受け入れやすくなっていたことに救われた。
こういう作品から始まって、現在の警察小説の旗手と言われる横山氏流が築かれていく。それを十分に信じられるだけの芽が数々見られる作品だ。
[PR]
by senrufan | 2006-06-23 12:50 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://senrufan.exblog.jp/tb/5116641
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 心身冷却 庇護の膜に包まれて >>