見えない欠片

父に、レーザーで目を焼いたと報告した。
「それは『目玉焼き』だね」と言われた。
以来、数種類の目薬をつい調味料名で呼んでしまい、時間を見ながら「あ、次はコショウをつけなきゃ」と呟くようになった。

父上様、未だ半熟状態ではありますが、日々味の濃い固焼きに仕上がりつつあります。
 
* * * * *

【学校】
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以前にも書いたが、6年生にはWheelというクラスがあり、6週間ごとに6つの科目を順繰りにこなし、中で一番気に入ったものを7・8年生時に選択するというものである。
8月下旬から始まったWheel、お嬢は3つ目のDramaを体験中だが、それもいよいよ今週の水曜で終わり。劇のクラスらしく、End of Class Showが今日の夜に催された。

20数人の子供達は1~4人ぐらいまでの小グループに分けられ、割り当てられた寸劇を順に披露。
内容は「ぼくを探しに」などで有名な作家、Shel Silversteinの詩を、体と声で表現しようというもの。私も少しだけ読んだことがあるけれど、リズムがあってテンポが良くて、冷たい皮肉と暖かいユーモアが同居しているような詩が多かった。

例えばお嬢がグループでやったのはこのようなもの。
There is a spot that you can't scratch
Right between your shoulder blades,
Like an egg that just won't hatch
Here you set and there it stays. ……

   ("Unscratchable Itch"より)
体をねじりながら顔を顰めながら、必死に体を掻こうと頑張る子供達に、観に来た親御さん達は大笑い。こんな感じで、ちょっぴり照れたり、大げさに振舞ったりする子供達の演技を観ながら、楽しく微笑ましい数十分を過ごした。

学校には演劇クラブもあれば、オーディションを受けて学校劇に出たりする機会もある。この体験を楽しいと思った子は続けられるよう、ちゃんと道があるのがいいなあと思うのだ。



* * * * *

劇の後は、持ち寄ったお菓子類で小さなパーティ。
Dramaの先生はなぜかすぐにお嬢と私のところに来てくれて、「彼女はほんとに素晴らしい子よ! 誰よりも一生懸命で才能もあって、皆のお手本になってたのよ」と絶賛して下さった。
滞米生活2年目辺りですでに、「この手のお世辞は6割引きで聞くべし」との知識を身につけた私は、満面の笑顔で「ありがとうございます、彼女もとてもこのクラスを楽しんでいました。先生のご指導のおかげです」と、「この手のお世辞は6割増で言うべし」との知識の元に応答した。

実はお嬢はこの先生が大嫌いでたまらなかった。気分にムラがあり、話を聞かずに頭ごなしに決め付けることが多くて(お嬢談)、それがやたらプライドが高い彼女には耐え難く、ある日など、家に帰るなり悔し泣きをしたこともあった。

ご馳走を漁りながら、お嬢に例のJ君はどの子かを聞いた。こっそりと教えてもらい、ついでにそっと親がそばにいないかどうかも見渡した。彼らを垣間見たところで何がわかるものでもないけれど、何か彼を考える手がかりが欲しかったのだ。
そんな風に様子をうかがっていたら、急にあるお母さんがお嬢のところに来て、「いきなりでごめんなさい、あなたの演技がとても素晴らしかったので、どうしても伝えたかったの」とお嬢に握手を求めてきてくれた。「これからも劇を続けたらいいと思うわ! あ、私はJの母よ」と言って、病院のスタッフらしき制服を着たその女性は、笑いながら離れていった。

どうしよう。好きになってしまいそうじゃないか。(単純にもほどがある)
J君、君はただの反抗期か。それとも家庭内では別な面が見えるのか。


そこにステージがある限り、影には必ず舞台裏がある。
その場に居合わせる機会があったとしても、真の舞台裏は本人にしか見えることはない。
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by senrufan | 2006-01-23 12:36 | Trackback | Comments(2)
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Commented by あつゆき at 2006-01-26 02:18 x
お嬢様、やっぱり芸術的才能があるんでないの。
なんかおおらかでのびのび育っていていいな。将来が楽しみ。


それからJ君読ましていただきました。
これを読んだら水戸黄門を見た気分になりました。スッカーとしました。
ありがとう。
この話、藤原さんに聞かせたら泣いて喜ぶだろうね。
(あの本かなりはまっています。いつもは読むのが遅い私も2冊をあっという間に読み終え今3冊目を読んでいます。素晴らしい事を書いてあると同時にわがまま親父っぽい可愛いところがあってこのおじさんすきです)
Commented by Miyuki at 2006-01-26 14:23 x
あるわけなーい!(笑)>才能 皆より一際ちっちゃいから、目立っちゃってるだけだよーん。大らかさ、それこそ私がお嬢に望んでるものだよ…まったく実力は伴ってないのに、プライドだけ高くて気が強くて、ほとほと参ることが多いのさ(涙)
藤原さんの本、気に入ってくれてめちゃくちゃ嬉しい!! そうそう、頭良くて自信家で、でも現実はちゃんと知ってて、くそう負けるもんかみたいなね!じっくり楽しんで読んで下されvv


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