美意識

目が痛い。コンタクトがつらい。
途端に再び心が傾く、レーシック手術。

* * * * *

【読書】
b0059565_84268.jpg池波正太郎著「男振」を読む。友人からの頂き物(はいまたですすみませんありがとうです)。

若殿の筆頭学友として、秀才の誉れも高かった17歳の源太郎。突然頭髪が抜け落ちる奇病にかかり、以来家中で注がれる嘲笑と侮蔑に、2年の間耐え続ける。
しかし、ある日かけられた若殿からの侮辱に我慢の限界を超えた源太郎は、主君に対する乱暴狼藉の罪で監禁されることになる。即打ち首かと思われ、むしろ死を願っていた彼に告げられたのは、思いもかけず、「名前を変えて、別人となって生きろ」という処置。

挫折、と言葉で言うのはたやすいが、むしろ17歳で挫折など大げさな、と思う向きもあるかもしれないが、それでも源太郎が最初に味わった苦痛は、想像を超えて余りある。対面を重んじる武家社会では、ましてやいかばかりのものかと思う。
そんな源太郎の悲劇から物語は始まるが、なぜ彼が処刑されず放免されたのかという謎が明らかにされるのは、中盤もかなり過ぎてからになる。
実家蟄居中の苦悩、理由もわからぬままの追っ手からの逃走、事情が判明した時の衝撃、その後の決断に至るまで、一貫して描かれているのは源太郎の、いわば人間としての生き様。しかしそれは決してヒーローめいたものではなく、泥にまみれてもがいて苦しんで、恥をさらして生きる男の苦闘である。

藩主として生きることを選ばず、一介の大工としての道を進んだ源太郎。
度重なる試練に押しつぶされそうになりながらも、それをあくまで我が事と正面から受けとめ、周囲の人間への気遣いと責任を忘れない。
今も昔も変わらず、美しいと思う人の姿勢がそこにある。

最後に父親の口からこぼれる、タイトルの言葉は圧巻。
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by senrufan | 2005-11-13 08:03 | Trackback | Comments(0)
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