こぼれた水は戻せない

【読書】
司馬遼太郎著「歴史の中の日本」を読む。
氏は歴史小説家として名高いが、この本はエッセイというより、小説を書く過程において思いつかれた・考えられたことを綴ったものがまとめられている。

歴史とは、勝者が語るものが正当とされることが多いものだ。
通り一遍の事実を知りたいと思った時、例えば教科書を見たり、百科事典を引いてみたりする。しかしそれは、確かに部分的に”事実”ではあろうが、決して”真実”ではないということを心に留めておきながら、目を通す必要があろう。
百人が関われば、百通りの解釈が成立する。だからこそ生まれてくるのが、歴史小説である。
荒唐無稽に想像力を働かせるだけでは出来上がらないのがこの分野。緻密な調査と膨大な知識という基盤が必須である。
小説全般にはすべからく必要だが、中でも調査がかなりの割合を占めるのではないだろうか。

氏の斬新な歴史解釈は「司馬史観」と呼ばれ、歴史小説に多大な影響をもたらしたと言われる。
その史観の一端をこの本で垣間見ることができるのだが、これが一端とすれば、氏の内部は宇宙並の広さだろうかと思われるぐらい、その知識は膨大で、洞察はあまりに深い。
特に日露戦争に関するくだりと、吉田松陰という人物についての解釈には、大きく目を見開く。

氏の著作は大人になってからよりむしろ、高校生時代に最も良く読んだ。父の本棚にあった「竜馬がゆく」「功名が辻」等、とにかく登場人物が魅力的で、惹きつけられるままに何回も読んだ。
が、今思えば、はまる時期をいささか誤ったかとも思う。今ならまた違った魅力を感じられる気が、ひしひしとする。
持っていた氏の本を全て日本に置いてきてしまったこと、この本を読んだ後は尚更悔やまれてならない。



* * * * *

【家庭内事情】
夜になって自室にいたら、お嬢の「ママーっ!」という絶叫を聞き、慌ててファミリールームに行く。
泣きながらお嬢が指差す先を見てみたら、我が家の愛しい馬鹿息子達(=インコ)の一羽。
なんと左足指の爪が一本真ん中で折れていて、しかもそれが血管に届いていて出血してた。

お嬢のケガなら「平気だ(きっぱり)」の一言で済ませる私も、インコのケガには大慌て。
とりあえず血は乾いて止まっていたが、折れた爪が隣の指を突いていたので、それを取るべく手で彼を捕まえて、爪切りバサミでそっと


 やったつもりだったのに、取った途端にまた大出血ーー!!


お嬢は泣き叫ぶし、鳥は止まり木に思いっ切り赤い筋をつけながらもがいてるし、という地獄絵に私も内心絶叫しながら、真っ先に飛びついたのは救急箱。
何か、何か鳥に使える薬、血止め、バンドエイドは無理だから消毒の、えーと、って、
我が家、全然その類の薬がないじゃーん!! うわああ頼む、天から降ってきてくれーっ!!

結局引っ張り出したのは、いつのものかわからないマーキュロ液。綿棒につけて、震える手でそっと鳥の足につける。止まり木はさらに真っ赤に染まり、涙なしには見られない。
動物の病気の何がつらいって、人間みたく表情に出ないから、余計に痛々しくてたまらないんだ。

片足を持ち上げて体の中に隠したままじっとするインコを、早々に寝かせる。
明日の買い物の時に忘れないよう、メモに”薬”と書く。

「ママ、明日いちご買ってきて。インコにお見舞いするから」

いちご追加。
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by senrufan | 2005-10-06 14:17 | Trackback | Comments(0)
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