基本は人間にあり

伊藤博幸著「不思議の国の昆虫図鑑」を読む。
カラフルな虫のイラストが可愛らしくユーモラスだが、実は相当鋭い観察眼を通して語られており、人間に対する痛烈な皮肉がこもった内容。
オオイソガシムシ、アヒルグチゲラゲラ、ハズレヒトノミチオシエ。このような虫の名前を聞いて、一体どんな虫なのか即わかる人はまずいないだろう。
が、解説を読むと、膝をポンと叩いて納得する。時には机をバンバン叩いて賛同する。
あらゆる空間に生息し、数限りなく目撃されながらも、決して写真も標本もとることはかなわない、「ゆらぎ」としての存在である虫達。実は頻繁に会う知り合いの中に、ふっと目撃することさえ。
著者の友人であるという人から借りた貴重な本。現在闘病中であられるという著者の、一日でも早い回復を祈りたい。

テリー・ブルックス著「大魔王の逆襲」を読む。ランドオーヴァーシリーズ4巻目。
一難去ってまた一難。災難の設定に事欠かないところがファンタジーの便利さでもあるが、何より作者の力量。
新たな困り者キャラが運んでくる魔物。王妃に新しい命が宿ったと聞いた途端に巻き込まれる王。
1巻から宿敵ともいえる存在である魔女が共に災難に巻き込まれるのだが、初めて彼女の奥底を描いた箇所がある。片や子供をみごもった王妃にも試練は訪れ、両者の女性としての比較に思わず胸が痛くなる。
王のメダルの秘密も含め、4巻になってさえ新しく明らかになる事実の数に、改めて作者が初めからしっかりと練り上げた物語であることがわかる。
魔女との間の軋轢は、そのまま5巻に引き継がれることに。

テリー・ブルックス著「見習い魔女にご用心」を読む。ランドオーヴァーシリーズ5巻目。
めでたく生まれた王と王妃の子供だが、果たしてただの子ではなく。王への恨みをつのらせた魔女にさらわれる羽目になってしまう。
4巻まではレギュラーメンバー+1巻限りのαメンバーで進んでいたが、この子はしっかりレギュラー入りどころか主役入り。お嬢がこんな子だったらなーなんて思わず遠い目になったりもしたが、それも一瞬。力のある人間は、その分降りかかる火の粉も莫大なんである。親もてんやわんやなんである。
王宮を固める常連メンバーの悲喜こもごももあり、ここまでこのシリーズを読み進んだことを後悔させないだけの内容なのが嬉しい。
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by senrufan | 2005-06-27 13:12 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from あんな・こんな・ぱんな at 2005-07-05 15:39
タイトル : 「イトヒロの草野球万歳」
先日ブログに書き込みをしてくれたカルダモン昌子さんの旦那様、と言えば、そう、草野球。 なんと、彼のエッセー(病床での口述筆記。昌子奥様との二人三脚)が朝日新聞に掲載に。7月4日から8日までです♪ ここも見てね! 昌子さんの本は、右のライフログに。シャスターの本の上にあるでしょ? シャスター山って、本当に本当に不思議な山。人を結ぶ山。昌子さまが私のブログに書き込みをしてくれたことで、今日はまたひとつ、不思議な縁が生まれました。あの山をめぐって、今までいくつ不思議なことがあった...... more


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