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月に向かって敬礼を

「経験を賢く活かすならば、何事も時間の無駄にはならない」
   ----- オーギュスト・ロダン
       (フランス人、彫刻家、1840年11月12生まれ)

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【時事】

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選挙日から数日経ち、ようやく落ち着いた、と言えるようになりました。

あの結果になって、こんなに、と圧倒されるほどの様々な意見や考えが表面化して、正に嵐のような3日間。
翻弄されそうになりながらも、ようやくこれだけの意見を聞けて良かった、という思いも確かに感じておりました。




なんでこんなにショックかなあ、という理由。
それは、世界規模で不穏な空気が高まってきて、あちらこちらで右翼的な動きが始まっていて。
その原因の一つは米国にあるとしても、それでもその中にあって、米国はオバマ氏が大統領でいてくれるということが、どこかで心の支えになっていた、のですね。

米国という大国が、理想を理想として崩さないでいてくれる限り、踏みとどまることができるのではないか。
甘ちゃんと言われようとも、私はそこに希望を見ていたのでございます。

各地で抗議行動があったり、衝突があったりして、すでに米国は、あの日から進んでる。
今回の結果を、ポリコレにウンザリしたから、という意見も聞きますが。
建前であっても何であっても、それが理想なのだ、という基盤がないと、これだけすぐに噴き出てくるものがあまりに多すぎる国なのだ、ということを、何割もの人々が体感していたからに他なりません。

そういう何割かの人々は、良いのです。
問題は、そういう理想を枷と感じ、それを外して良いと言われた時に、真っ先に過激な動きに出るのが、本来一番その理想を必要とすべき人々だ、ということなのだと思います。
結局そういう人達は、共和でも民主でも関係なく、ただ自分のプライドを保つ為の手段を探しているだけですからね。

幾つかの地域で行われている反トランプのデモを、甘いと嘲笑する意見も読みましたが、私はそうは思いません。
デモも、民主主義における、立派な意見表明の方法の一つでしょう。
但し、それが暴動になるのは論外ですけどね。

それにつけても、今後は本当にどうなるんだかなあ……
トランプに投票したんじゃない、彼が失脚したらペンスが大統領になれるからだ、と言った人がいましたが。
当の彼は、同性愛は病気だ、進化論は教科書から外すべきだ、とか言っちゃう人ですよ……
まあ、向こうから見れば、私のような人間こそ冒涜的で、嘆かわしい限りなんでしょうから、お互い様ですが。
でも外から何かが来ないと、変化も発展もないんだけどなあ。

この先の4年間、平和という言葉の定義がどうなるのか。
その中で、自分にできるごくささやかな事を、ごくささやかにやっていこうと思ってます。


本当に辛い時、私は思いっきり、自分だけの世界に逃避します。
どんなに情けないと言われても、本当に好きなものや好きな人としか居たくない。
それ以外のものや言葉に対処する余裕は、カケラもないからです。

落ち込んで落ち込んで、自分の中をぐんぐん掘り下げて、一体今まで何を考えて、何が本当に辛いのかを、自分にできる限りで見極める。
その作業をしない限り、次には進めない、どうしようもない能無しなのでございます。

一番辛かった時、それでも目にした、耳にした、様々な言葉達。
アメリカ人はやっぱり馬鹿だ、というのは嫌いです。
グローバル化の限界だよ、という冷笑も嫌いです。
選挙権のない人間に口出しする権利は無い、というのも違うと思うです。

辛くて悲しくて、遣り切れない。
それでもやっぱり、前を向いて、共に行こう。
自分達にできることをしていこう。
そういう言葉が、一番温かく響いたものでした。


日本にいるお嬢は、アメリカの友人達と沢山のメッセージを交し合った後、
ハリー・ポッターの1~4巻、特に4巻を読み返したんだそうです。
彼女はずっと前から、4巻が最高に面白くて、それから後はどんどん嫌いになった、と言ってたんですが、
またなんで今、4巻?と思いきや、ラストに忘れられないシーンがあるからだと。

ホグワーツのダンブルドア校長が、学年末の終わりにスピーチを行います。

「 I say to you all, once again – in the light of Lord Voldemort’s return, we are only as strong as we are united, as weak as we are divided. Lord Voldemort’s gift for spreading discord and enmity is very great. We can fight it only by showing an equally strong bond of friendship and trust. Differences of habit and language are nothing at all if our aims are identical and our hearts are open.

皆にもう一度言おう--ヴォルデモート卿の復活に鑑みて、我々は結束すれば強く、バラバラでは弱い。
ヴォルデモート卿は、不和と敵対感情を蔓延させる能力に長けておる。それと戦うには、同じくらい強い友情と信頼の絆を示すしかない。
目的を同じくし、心を開くならば、習慣や言葉の違いは全く問題にならぬ」

そういえばJ.K.ローリングが、トランプはヴォルデモートより悪い、とツイートしてたね、
と2人で笑い合ったのでありました。


「私は二度戦争に行き、一番の危険は銃や爆弾ではなく、政府や軍でもなく、人間の心-----突撃性、狂信主義、独善性、過剰な献身、想像力の欠如、人の話をきく耳をもたないこと、笑いの欠如、とくに自分たち自身を笑えないことだという結論にいたりました」
「私は、ユーモアこそ救いをもたらすものと信じています。己自身を笑える者は、すでに狂信主義者ではありません。ユーモアのセンスは相対主義を内包しています。私の思い描く救世主は、冗談を飛ばし、笑いながらやってくるのです」

前にも書きましたが、イスラエルの作家、アモス・オズ氏の言葉です。
スーパームーンを眺めながら、アンクル・ジョーとオバマのパロディーに笑わせてもらいつつ、
この日記もまた平常に戻るです。
つか、まだ平常じゃなかったんかよ……いや、平常通り、サボってたよ……

Meme Biden is having a hard time with this President Trump stuff


by senrufan | 2016-11-12 15:15


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