見据える先は数十年

「政治とか科学とかがすごく極端に進んできている時に、
ときどきそれを引き戻すのが、音楽の役割だと思うよ」
   ----- 武満徹
       (日本人、作曲家、1930年10月8生まれ)


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数ヶ月前から、Community Supported Agriculture (CSA)での野菜の購入を始めました。
お願いしたのは、自然農法を実施されている、Shumei Farmさんでございます。

自然農法にも種類があるようですが、Shumeiさんのは、水以外、肥料は何も与えない方法。
なので、初めてマーケットで拝見した時は、野菜がちっちゃっ!というのが、
身も蓋もない感想でありました。すみません、すみません。
ですが、少しずつ、少しずつ、肥料や種のことを聞きかじっていくうちに、
それがどういう意味を持つかということを教わって、
改めてShumeiさんのお野菜を買ってみたい、という気持ちに至ったのでございます。

初めてお願いして受け取った野菜パックは、ちょうど端境期だったということもあり、
種類もあまり多くなく、また大きさも、ほかの農家のものと比べて、半分ぐらいの大きさでありますが。
レタスに新鮮な辛味があったり、イチゴが小粒ながら、柔らかくて甘かったり。
夏になったら、どういうお野菜に会えるんだろう、と楽しみになったです。


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でもってこちらが、一番最近受け取ったパックの中身です。
オーガニックの日本きゅうりに、特にカンドー。なかなか手に入らないんですよ、これが。
紫蘇とバジルの香りが鮮烈で、トマトがこれまた小粒ながら、味が濃くて美味でした。

旦那と2人なので、なかなかすぐに食べ切るというわけにはいかないのが悩みですが、
しっかり長持ちしてくれるのも嬉しいところ。
次回のパックも楽しみでございます。

* * * * *

【アクティビティ】

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tamachanレストランで集合した、Yokoさん、Kさん、tamachan、そして私。
4人で改めて訪れたのが、こちらのShumei Farmさん、なのでございます。

YokoさんもKさんも、おうちで何年も野菜作りをやっていらっしゃって、特にKさんは、Biodynamic農法を学ばれた方。
新しいおうちに引っ越したtamachanは、これから畑作りをじっくりやろうという野望あり。
私は、ええと、ええと、聞くのと買うのが専門です……(顔をそむける)

御三方で自然農法のお話をうかがいたい、ということで、ファームで働いていらっしゃるRさんにお願いして、ファームのガイドをしていただきましたですよ。(大感謝!)
愛らしいお嬢様もご一緒に、広いファームを案内&説明してくださって、楽しい学びの時間でございました。




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地面を掘っているうちに、水源が見つかって、その周辺に葦が群生

Shumeiさんを訪れるのは、2008年のオープンハウス以来の私。
その時、自然農法について教わったことは、すでに↓にて記載済みですので、それについては割愛です。

Shumei Santa Cruz Farm 1  2

なので、見学した時の写真を挟みつつ、いろんな方から教わった”聞きかじり”を、つらつらと書いてみるですよ。


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抜いた雑草は、そのまま畝の間に放置してコンポストに

米国のConventionalとOrganic、日本で言えば、慣行農法と有機農法。
Conventionalを、必要に応じて農薬や化学肥料を使用して栽培された農産物とすると、
3年以上、農薬や化学肥料を使用しない農地で栽培された農産物については、申請して認められれば、USDA Organicの認定を受けられます。

申請&認定の維持にはお金がかかるので、実はオーガニックであっても、認定を受けてない、という農場もあったり、認定を受けていても、内実は、なんて農場もあるのかもしれませんが、
そおゆうのって、疑い始めたらきりがない。
ので、それを分別できない私は、やはり表示を頼りに、なるべくオーガニック野菜を買うようにしております。

オーガニック野菜の方が栄養があるとか、美味しいとか、いや全然違いはないよ、とか。
いろんなデータが溢れていて、これまたド素人には何がなんだか、なのですけど、
私がオーガニックのものを買いたいと思うのは、摂らなくてすむなら、なるべくケミカルなものは摂りたくないというのと、
農薬を撒くことで、育てている農家の方の健康が害される恐れもありますからして、
そういうものを使わない努力をされている農家の皆さんを応援したい、という気持ちも大きいです。

しかし、それもこれも、カリフォルニアにいるから選べることなんだなー、というのは、
もう、ねえ……ほんとにねえ。


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きゅうりや茄子の苗を作る為のハウス

ところが、自然農法を見てみると、ただケミカルなものを使わないというだけではなかったんだなあ、と。
いつも買うマーケットの野菜と、Shumeiさんの野菜の大きさの差を見て、
聞きかじっていた肥料の”窒素”のことが、ようやくわかってきたという不束者でございます。

窒素は、植物の成長に必須な栄養素で、当然肥料にも含まれているのですが、
その多さと健康への影響が、問題視されているのですね。
植物は、その栄養となる窒素のほとんどを、硝酸態窒素の形で根から吸収します。
そして、多くの肥料を与えて栽培した野菜には、多くの硝酸態窒素が含まれます。
これは、化学肥料であっても有機肥料であっても含まれるものなので、慣行か有機かというより、どれだけ肥料を与えられたかに左右されるそうですね。

そういう野菜を食べることによって、私達の体内にも取り込まれて、硝酸態窒素から亜硝酸態窒素に還元されます。
難しい話ははしょりまして、大人の体内では、胃酸のpH値が高いので、ほとんど還元されずにすみますが、
乳幼児はそうはいかないので、亜硝酸態窒素が多く生成されることになり、
それが赤血球中のヘモグロビンと結合すると、体内に十分な酸素を運ぶことができない恐れが出てくるんだそうですよ。


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この時はまだ幼かったトマトの苗。大きくなっても、支えはほぼいらないそうです

怖えええぇ、と思っちゃいますが、これまた賛否両論あれこれですので、あとは自分で考えよう、ということで。
とりあえず教わったところでは、WHOは、野菜の硝酸態窒素は大人には健康被害を与えない、としながらも、
多くの研究者は、摂取量はなるべく低い方が良い、という意見で一致しているとのこと。
また、硝酸態窒素の含有量が多くなると、野菜の中のビタミンCや糖分の量が低下する、という報告もあるそうです。

ハウス栽培など、旬以外の季節に育てる野菜は、肥料を多く必要とする為、硝酸態窒素の含有量が増える傾向にあるとのこと。
なので、ここでもまた、旬のものを食べよう、という結論が引き出されるのですね。
自然農法の野菜が小ぶりなのは、無肥料=窒素が少ないことの表れでもあるわけです。

そしてタネのことも、言うまでもなく。
F1種のような一代だけのではなく、同一品種の種を、何世代も続けて選抜採種してきた「固定種」。
その土地に根付いた作物を、と考えるなら、持続可能なタネを採種することは必須です。
タネのことから見ても、自然農法の意義は大きいです。
話題になった木村さんの「奇跡のリンゴ」も、自然農法ですね、そういえば。


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コミュニティー・ファームのエリア。貸し農地

ただ実際のところ、こういった栽培で、どれだけ収益が上がるのか?という疑問を、どうしても持たざるをえないのも正直なところ。
訪問したのは7月頭で、すでにマーケットには夏野菜が並び始めた頃でしたが、
対してファームの夏野菜は、まだまだ芽吹き始めたところ。
お願いしているCSAも、端境期で収穫が少ない為、1ヶ月ほどお休みとなった月でした。

十分な売上を得るには、自然農法では厳しい、という現実。
ましてやShumeiさんの場合、選ばれた土地も砂地で、かなり痩せた土地であり。
こういう場所で、しかも無肥料で、というのは、どれだけ覚悟のいることか。
バックアップがあるからこそできることなのでは、と思ったのも事実です。


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ですが、Shumeiさんのいちご畑について、教わったことが。
始めてから10年経った今、根がすごく強くなり、しっかりとこの土地に合ったいちごになってくれたこと。
肥料はもちろん無しのまま、週に2回水をやるだけで、十分に実ってくれるようになったそうです。
自然農法の目指すところは、そういうゴールなのだ、ということですね。

こういう痩せた土地で、そこに合った農業を、という知識と経験が、ザンビアなどでの支援に大いに役立てられているのだろうなあ、としみじみ思います。
哲学なり信念なりを持っていないとできないこと、と感じます。

もしかしたら、敢えて豊かではない、砂地をファームとして選ばれたのかもしれず。
そういう場所での苦労や年月まで、全てをひっくるめての意味があるのかもしれず。
そこに私が踏み込むことはできないと控えたのですが、もし許してもらえるのでしたら、
一度ゆっくりうかがってみたいと思っております。


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一通りガイドしていただいた後で、切り株が並んだ空き地で、みんなでピクニック。
お料理上手な皆さんから分けていただいたご飯の美味しかったことったら。(思い出しヨダレ)
ネイティブアメリカンの聖なるサークルもあったりして、空が一際高く感じられる場所でした。

前のオープンファームの時にも書きましたが、自然農法は、どうしても子育てと重なる部分がありますね。
「自然農法とは、農薬、肥料を一切使わず、『自然には必要な物は全て備わっていて、何も加える必要がない』という考え方の農法です」
という、ファームの方のお言葉が、強く胸に残ります。

前のオープンファームの日記にも書きましたが、信じて待つ、ということが、
どれほど子育てにおいて重要で、また大変であることか。
じっくりと見守って、本当の本当に必要な分だけ、手入れをする、という感覚。
子育て暦21年にして、まだまだまーだ難しいことでございます……多分、永遠にムリ。


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ハーブガーデン

最後に、ShumeiさんのCSAについて、簡単なインフォを。
私がお願いしているのは、おまかせ野菜1パック・$15というセットで、
こちらを1パック、もしくは半パックを、毎週なり隔週なり、好きな形でお願いできます。
うちは2人家族で、どうしても消費量に限りがある為、隔週で1パックをお願いしております。

宅配ももしかしたらお願いできるのかもしれませんが、基本はファーマーズマーケットでの直接受け渡し。
うちは、土曜のSaratogaのファーマーズマーケットで受け取りしております。

なのですが、Shumeiさんから送られてくるお知らせメールによれば、もっとお高いパックもあるような?
台湾系のヴィーガンのファンの方が沢山いらっしゃるそうなので、そういった方々向けのパックなのかも。
あ、もちろんマーケットでは、普通に販売されているお野菜を買えますよー。

ご質問等は、以下のメールアドレスにて。
日本語でやりとりしてくださいます。

santacruzfarm@gmail.com

あと、「”野菜育て&子育て”のお話会」というイベントも企画されていらっしゃいますよー。
お話だけでなく、ファームの自然農法野菜を使ったランチ、野菜販売もあるんですって。
自然派育児に興味のある方には、もってこいの企画ですね。


CSAもまた、ファームの方々を応援したいから。
まずは1年、季節ごとにどういった野菜がいただけるのか、毎月楽しみに待ちたいと思っております。


Shumei natural Agriculture
Shumei Santa Cruz Farm
6040 Bonny Doon Road
Santa Cruz, CA 95060
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by senrufan | 2015-10-08 11:57 | Trackback | Comments(0)
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