見て、作って、喜んで

「わたしはきっと当事者になりたい人なんです。
あらゆることで傍観者じゃなくて当事者になりたいんです。

だけどその一方で当事者になるというのは、自分の利益のためではないんです。

誰かのお役にたったり、誰かがよろこんでくれたり、お客さんがうれしいと思ったり、
それはなんでもいいんですが、当事者になれるチャンスがあるのにそれを見過ごして
『手を出せば状況がよくできるし、なにかを足してあげられるけど、
たいへんになるからやめておこう』
と当事者にならないままでいるのはわたしは嫌いというか、
そうしないで生きてきたんです」
   ----- 岩田聡 「ほぼ日刊イトイ新聞:岩田聡さんのコンテンツ。」より
       (日本人、プログラマー・経営者、1959年12月6日-2015年7月11日)


心から、ご冥福をお祈り致します。

#thankyouiwata

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【アクティビティ】

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サンフランシスコの美術館、Legion of Honorにて開催中の、「High Style」展を観に行って来ました。
記録はもっと後でいいわー、と思ってたら、最終日が今度の日曜であることに気づきましてですね。(ええええ)
駆け足の薄っぺらい内容ながら、慌てて記録してみようという試みをば。

展示作品は、ニューヨークのBrooklyn MuseumのCostume Collectionより。
20世紀の服装史の展覧会といいますか、アメリカでのオートクチュール史の展示会となっています。

オートクチュールですから、ディオールやランバンといったヨーロピアンブランドの服も多々あるのですが、展示の背景は、あくまでアメリカ。
アメリカンブランドの歴史に名を残すデザイナーの服をも大きく取り上げた内容でございます。

ありがたいことに、フラッシュなしの写真撮影はOKでしたので、
私ごときがごちゃごちゃ言うより、写真の羅列でご覧くださいませ。相変わらず下手ですが。




1. French Couture in the Early Twentieth Century

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Haute couture、オートクチュールとは、つまりオーダーメイド服のこと。
”Finest sewing”の意味の通り、高級な材料と職人の技巧による、世界で一枚しかない、
その人だけに合った服でございますね。

Jeanne Lanvine、Marie Callot Gerber、Jacques Doucetなどによるアフタヌーンドレス、イブニングガウンなど、
近くで見ても信じられないぐらいの繊細な作りの服が並びます。


2. Hats, Shoes

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主役を引き立てる名脇役、と言ってしまっていいのかどうか。
帽子や靴も、ファッションには欠かすことができません。


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Sally Victorによるデザインのコレクション。
1940~50年代にかけて、彼女がデザインに反映させたインスピレーションの源は、
絵画であったり、日本の兜であったりしたそうですよ。


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靴もOsgood FootwearからSteven Arpadまで、靴そのものがドレス並み、という作品が並んでいましたが、
圧巻は、Pieto YantornyのTwelve pairs of shoesのシリーズ。
皮革、シルク、サテン、ベルベット、レースなど、贅沢な素材を惜しみなく使った靴、
1ダースのセットでございます。
実際、Yantornyがこちらのシリーズを、パリの店のウィンドウに飾った時、
「世界で一番高価な靴」という札を出したそうですよ。


3. Elsa Schiaparelli

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イタリア生まれのデザイナー、エルザ・スキャパレッリのコーナーです。
特に1930~1940年代、ココ・シャネルと並ぶ第一級のクチュリエとして、名を馳せました。


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シュルレアリスムに強く影響を受けたという彼女のデザインは、夢の世界を描いたような刺激的な作品が多く、
また、現代的なテーマと伝統的なテイストの融合という意味でも、画期的な功績を残したデザイナーの一人だそうです。


4. French Couture after World War Ⅱ

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この辺りから、私にも馴染みのある名前が。
ディオール、ジバンシー、シャネル、バレンシアーガ……
ディオールが”Golden Age of Couture”と名づけたこの時代は、
有名ファッションメーカーが、大戦後のフランス経済の立て直しの主役となった時代でもありました。


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これらのフランスファッションを、購入することで支えたのが、特にアメリカの富裕層であったとのこと。
なるほどなあ、でございます。


5. American Women Designers

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で、ここから、そのアメリカのデザイナーをメインとした展示に移りまして。
始まりは2つの大戦の間から、Elizabeth Hawes、Madame Eta Henz、
そして第二派のBonnie Cashin、Carolyn Schnurer、Vera Maxwell、Claire MacCardellなど。


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物資の乏しい戦時中は、日本から輸入が途絶えた絹の代わりに、新しい素材が生まれた時期でもあり。
パラシュートの生地を使ったというドレスは見物です。


6. American Men Designers

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男性デザイナーも負けていませんよ、のコーナー。
Mainbocher、Norman Norell、Gilbert Adrianを始めとするグループは、
女性デザイナーが心地良さと動きやすさを考慮したデザインを発表する傍らで、
よりフォーマルなデイドレス、ゴージャスなイブニングドレスのデザインを手がけていきます。


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高級素材を使った豪華なデザインは、戦後のフランスファッションの隆盛と時を同じくして、
時代の先端をいくものとして歓迎されました。


7. Charles James

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イギリス生まれの男性デザイナー、チャールズ・ジェームス。
1940年にNYに移り住み、40~50年代のアメリカファッションを代表するクチュリエとなりました。


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自身をデザイナーというより、アーティストであり、ドレスの彫刻家と見なしていたジェームス氏。
デザイナーとしてのトレーニングを積まず、数学・科学・建築学・彫刻という視点から、
彼自身の方法を編み出していったそうです。


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なので、その展示も、CGを使ってドレスを立体的に分析したコーナーがあったりして、興味深かったですよ。
当たり前ですが、服というものは二次元作品ではないのでした。


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立体を見て平面図を描く、もしくはその逆が全くできない私にとって、パタンナーさんは雲の上の御方。
ジェームス氏の”Clover leaf”を始めとするBall gownの数着は、正に究極のデザインと目に映ります。
現代では特に珍しくない型なのかもしれませんが、当時はさぞ画期的であっただろうことは、想像に難くありません。
ただ、着心地という点では、どうだったのかな、なんて思ったり。


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「布のカッティングひとつでも、意味のないものはない。
言葉における文法のようなもので、身体のどこかを強調する役割を担っているものだ」

「偉大なデザイナーとは、一般に受け入れられることを求めない。
むしろ、最初は人々に眉をしかめられても、自身の力量で、それを賞賛に変えていく挑戦をし続けるのである」

ジェームス氏の、デザイナーの、クチュリエの誇りを込めた言葉を最後に見て、会場を後にしたのでございました。


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High Style: The Brooklyn Museum Costume Collection
March 14, 2015–July 19, 2015


Legion of Honor
100 34th Avenue (Lincoln Park内)
San Francisco, CA 94121

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        ハリスおばさんパリへ行く

完全余談ですが、私が初めてオートクチュールという言葉を知ったのは、
子供の頃に読んだ、「ハリスおばさんパリへ行く」という本からです。
家にあったのを読んだのか、それとも図書館で読んだのか、定かではありませんが、
大人になってから、どうしても手元に置いておきたくて、シリーズ3作全てを購入したのでありました。

愛すべきロンドンの通い女中であるハリスおばさんが、はるばるパリのディオールに、
オートクチュールのドレスを買いに行く話。
新しい復刻版が出てますが、私には絶対、こちらの上田とし子さんのイラスト版でなければいけません。(鼻息)

と言いつつ、こちらの文庫本も、私が読んだ本のままではなく。
大人向け文庫らしく、ぐっと数を減らした、しかも描き直されたイラストになっておりまして。
できるならば、あの頃に読んだ本そのものに出会えれば、何より幸せなのですが。

今回の展覧会でも、美しいドレスの数々を前に、私の頭の片隅を占めていたのは、
昔の上田さんイラストの、ハリスおばさんの生き生きとした顔でありました。
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by senrufan | 2015-07-13 11:51 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ustomi at 2015-07-19 14:13
miyukiさん; こんばんは。
今日は LA は朝方から雨と雷でした 雷なんて長いこと聞いてなかったですから珍しなーと思って居ます。
さてこの間 KAISER HOSPITAL の事を書かれていましたが、ここはご心配なさらなくても すごい数の ホスピタル、クリニック、があります、私は
ハワイでは 2度お世話になりました、6年前と昨年とです、ハワイ諸島は オアフ、マウイ、ハワイ、
です各島 に設備の良いところが有ります、キモセラピー施設までそろっています。

ただ 保険料については各自の年齢で決まりますが、私は何故か 3回のがん手術は $500 で済みました。

こちらで入らない人は言葉の問題が有るようです、私の友人などで 英語ができないと入らない人が居ます、もう50年近くこの国に住んでも 日本語の話せるクリニックに通って居ますが専門的な事になれば ドクターはやはり契約ホスピタルに送り そこはやはり日本語は通じなくなります と 壁は言葉ですね。
貴女なら大丈夫...。

さてさて フランスの衣裳展ですか 良いですね、やはり サンフランシコの街はモダンなのかなー。

船内で演奏している イケメン アップ致しました。
Commented by Miyuki at 2015-07-20 12:42 x
*tomiさん
こちらも朝からどんよりした天気ですが、降りそうで降らない様子に、ちょっとイライラです。降ってくれえええええ

カイザー、そうですか! 実際に使ってらっしゃるtomiさんのような方からのお話は、特にありがたいです~~。保険料も安いんですよね、しかも。
言葉の問題は、もうどうしようもないです、私の場合……ひたすら自業自得でございます。なので、日本語ができるクリニックに行くお友達のお気持ちは、本当に良くわかります~。でも残念ながら、こちらのエリアの日本人のお医者様では、私は相性の良い方がいらっしゃらなかったので(涙)

サンフランシスコに行くたび、やっぱり違うなー、さすがだなー、と思ってしまいます。ただ、住むには大変そう、というか、もっと若くないとダメだなあ。

おおっ、イケメン! その一言でアクセルが! 嘘です、そうでなくてもtomiさんブログは絶対拝見しに行きます!


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