心に残る日々と話

日本語補修校、本日学年最後の日。これでしばらく宿題に悩まされることない週末を迎える子供達は、心なしか顔が輝いてみえます。

そんな最終日、今日は低学年の子向けに、「ごんぎつね」の音読発表会。ずらっと前一列に並び、一人一人前に出ては自分のパートを暗唱、もしくは音読する。そしてごんと兵十役の子は演技する、という試みでした。特にお嬢はラストシーンの担当だったのでかなり気合が入っており、当日学校に行く車の中まで練習してました。その成果はいかに。

 お嬢   : 「ごんは、ばたりと倒れました」
 ごん役 : ドッターン!
 お嬢   : 「兵十は、火縄銃をばたりと取り落としました」
 兵十役 : ガッコーン!
 お嬢   : 「筒口からは、まだ細く青い煙がたなびいていました(笑いをこらえながら)」
 場内、大笑いで拍手。

誰だよ、最初の頃、音読するたびに泣いてた奴は。

今日の卒業式で、知り合いの子数人が小学部を卒業しました。現地校に行きながらの補修校通いがどんなに大変なことか、傍で見ているお母さん達は皆よく知ってます。
「行って良かった」と思える数年間であってくれればいいな。卒業おめでとう。
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私が涙無しに読めない昔話は幾つかあって、例えばこの「ごんぎつね」、「八郎」、「青鬼赤鬼」など。
だが筆頭は、「ベロ出しちょんま」。地方は忘れたが民芸品の人形があり、どこかを引っ張ると、人形の眉がかたっと下がり、舌が出る。この人形の名前がべろ出しちょんまで、この人形の由来になっている話がある。

貧しい地方の貧しい百姓一家に兄妹がおり、妹は冬になるとひどいあかぎれとしもやけで、両手がどろどろになってしまうほど。兄はそんな妹の包帯を取り替える時、痛がって泣く彼女の為に、「泣くな、見ろ、あんちゃんのつら」と言って、眉をかたっと八の字に落とし、べろをぬっと突き出す。妹が泣きながら笑っている間にささっと手早く包帯を取り替えてやるのが、兄の仕事だった。
貧しさのあまり、とうとう一揆を起こしたその村は、あっけなく全員捕まり、磔の刑に処せられる。高い棒の上に縛り付けられ、妹は泣き叫ぶ。迫ってきた槍を見て、「ひーっ、おっかねーっ!」と喚く彼女に向かって兄は、「泣くなーっ、怖かねーぞ! 見ろ、あんちゃんのつらーっ!」と叫び、例の顔をしてみせる。磔の上の人間も、他の村人達も、全員泣きながら笑い、彼はその顔のまま死んでゆく。

だめだ。書いてるだけで涙と鼻水が。

斉藤隆介や安房直子、小川未明、新美南吉。お嬢に読ませたいと同時に、私自身が何度も読み返したい話が幾つもある。
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by senrufan | 2005-03-19 04:47 | Trackback | Comments(4)
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Commented by みほ at 2005-03-21 20:22 x
私も「ベロだしチョンマ」は泣く! 図書室で何度も読んだなあ。滝平さんの切り絵イラストが忘れられない!あと「おにたのぼうし」も泣けるの。これ知ってる?
Commented by Miyuki at 2005-03-22 02:13 x
おお、同士発見!(がしっ) 泣くよねえ、どうしようもないよねあれ。滝平さんのイラストは「モチモチの木」とか、名作いっぱいだよね。「おにたのぼうし」は知らない。ど、どんなの?(どきどき)
Commented by みほ at 2005-03-22 14:04 x
「おにたのぼうし」は、やさしい子鬼がかわいそうな話なんだよー。いわさきちひろさんの挿絵がすごくいいの。帽子をかぶってツノを隠してるおにたが節分の夜に豆まきをしていないお家に入ったら、女の子が病気のお母さんの看病をしてて…。優しいおにたは女の子のために心を尽くしてあげたんだけど、最後は報われなくて切ないの。ああ、だめだー、私はこれ書いてると涙が!
Commented by Miyuki at 2005-03-23 01:51 x
うわああそれは私も泣くしかー!その”報われない”というのが共通ポイントなのだよね。おまけに「病気」「看病」「おに」「いわさきちひろさん」ときたら……(身もだえ中) 日本に帰ったら、ぜひ図書館で探したい一冊だ。教えてくれてありがと~~。


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