手の中の温もりが消えるまで

「愛情はあらゆる暴力の嵐に耐え抜く力があるが、
北極の氷のような長い無関心には耐えられない」
   ----- ウォリター・スコット
       (イギリス人、作家、1771年8月15日生まれ)

* * * * *

【家庭内事情】

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最初にお断りさせていただきます。
今日の日記は、本当に個人的に、自分の心の整理の為、そして、一部友人への報告の為のものでございます。
なので、どうぞこのままスルーしてやってくだされば幸いです。



愛しい、愛しい、我が家の水色インコが、永眠いたしました。
こちらの日付で、8月15日の終戦記念日に変わって、数時間後の深夜。
お嬢がこちらに帰省するまで、あと約1週間、という日のことでございました。

その瞬間から、24時間以上経過して。それでもまだ、止まることのない涙。
流れて、溢れて、少しずつ砂を洗い流せば、残るものは小さな金の粒。
そう信じて、この作業を進めていくことにいたします。




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ペットショップで、黄色とペアで買った時のいきさつなどは、黄色が亡くなった時の日記で書きました。
うちに来てからの年数と、買った時にはすでに雛ではなかったことを考えると、推定で11歳半~12歳ぐらいかな、という水色。
セキセイインコの平均寿命は10歳(人間なら80歳)ぐらい、だそうですから、ある意味、どこかで覚悟はしておりました。

ですが、黄色がいなくなって、1羽になってから。
更に、この家に越してきての一年で、どんどん私への懐き度を増してきて。

PCに向かっている時は、私の腕やキーボードなどの上でリラックス。
ソファでくつろいでいる時は、私の胸の上にのって、首や顎に寄り添いながら、身づくろいや居眠りを。
部屋を出ようとすると、ばびゅん!と飛んできて後追いするので、トイレまで一緒だったり(……)。

自分からは、私の首や顔に、ぴったりと身体をくっつけてくるくせして、こちらからは手で彼に触れることは許してくれませんでしたが。
距離が縮まるにつれ、私の唇で、彼の嘴やアゴに触れることだけはできるようになり。
小鳥同士が行うように、口と嘴でじゃれ合ったり、彼が私の口の周りをずっと甘咬みしたりするのが、本当に特別なひと時でありました。


基本、夕方までは放し飼いで、夕方には彼のうち=カゴに戻ります。
カゴの扉は開けておくのですが、エサを食べて満足して、あまり出てくることはなかったのですけれど。
数日前から、カゴに入れても、エサを食べては、すぐまた出てきてしまって、私のところに飛んできては、夜の寝かせる時間まで、ずっと一緒にいるようになっていたのです。

喜びながらも、どうしてもぬぐいきれない、暗い予感めいたもの。
それをふっきるように、私もここ最近、家にいる時間を増やして、なるべく彼のそばにいるようにしていたのです。


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14日の夜、もう寝かさなければ、という時間になって、カゴからまた出てきた水色。
いつものように嘴に触れたら、なぜか冷たくて驚いて。
そのすぐ後、私の腕に止まりながら、何度も何度も、身震いを繰り返し始めたのですよ。
そして数回目に、いきなり何かを吐いたらしく、水滴が飛び散ったのです。

それから、身震いと何かを吐こうとする仕草を繰り返し。
お医者さんに連れて行こうにも、すでに夜中。
それでも、しばらくした後、ややおさまって、エサを少しだけ食べたので、朝になってもおさまらなかったら、お医者さんに連れて行こう、と。

眩しいのは辛いかと、カゴに入れて、タオルをかぶせて、いつもの寝る体制にして。
私自身は起きていて、何度もタオルをまくっては、チェックしていたのです。

また身震いしたり、吐こうとしたり、目もつぶったままで、決して具合は良くないのですが、
私がタオルをめくるたび、上の止まり木から下の止まり木に降りてくるので、それがまだ力があるように見えたので。
がんばれ、がんばれ、そばにいるからね。朝になったら、お医者さんに行こうね。
とっくに日付が変わって、そう繰り返すほかに何もできないまま。


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そして何度目かにチェックした時、急にぱちっ、と両目を開けたんですよ。
ぐん、と元気になったようで、カゴから出ようとするのです。
その姿は、すっかりいつもの水色で、ほんとに嬉しく、安心して。

一瞬、外に出そうか、と思ったのですが、それで飛んで、また具合を悪くしてもいけないと思い、
良かったね、良かったねえ。とりあえず、今日はもう寝るんだよ。
そうなだめて、またタオルをかけたんですよ。

そのまま電気を消そうとしたら、ぴいっ!と鋭く一声鳴いたのです。
その声もいつも通りで、また嬉しくなって、よしよし、とまたなだめながら、電気を消して、私も眠りについたのです。

ガタタン! という大きな音で目が覚めたのは、そのわずか30分後。
まだ起きて、リビングにいた旦那も、すぐにやってきたのでございます。

慌てて見てみたら、水色がカゴの床に落ちているのですよ。
あちゃ、大丈夫か、滑っちゃったか?と言いながら、そっと手で抱き取ったのですが。
旦那が後ろから、
「あ、だめだ……」
と言ったのです。

だめ? 何をゆってるの?
その時、真剣に、その言葉の意味がわからなかったんですよ。

なのですが、触れても足がぴくりともしないこと。
嘴も目も動かないこと。

元気な鳥が、床であれ、どこであれ、背中からひっくり返ってそのまま、なんてことはありえない。

徐々に頭に浸透してきた、その事実。
ようやく気づいた、その状況の奇妙さ。

う そ  うそでしょ  だって いや だ   そんなの

ようやく口から漏れた切れ切れのつぶやきは、恐らくは数十秒後ぐらいに、絶叫と号泣に変わったのでした。


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だって、まだこんなにあったかい。
水色を両手に抱いたまま、泣いて喚いて、どうしようもなくて。
でも、お嬢に言わなきゃ、知らせなきゃ。
そうあがく私のそばで、旦那が黙ってスカイプを開いて、お嬢を呼び出してくれました。

誰よりも水色に会いたがっていたのに、あと1週間ほどで、8ヶ月ぶりに会えるのに。
それなのに、今はもう動かない顔を見せられるだけだなんて、どれほど辛かったことでしょう。


いかないで、まだいかないで。
あと1ヶ月、せめて1週間、なんなら1日だけでも構わないから。
泣いて泣いて、泣きまくって、いつしか声も嗄れて出なくなり。
最後は、視覚も聴覚も嗅覚も消えたようになって、ただただ手の中のぬくもりが、ゆっくりと消えていくのを、残る感覚の全てで感じとっていました。

すでに明け方近くで、少しでも寝なきゃ、とぼんやりと思うものの。
電気を消してしまうと、それこそ目の前から完全に消えてしまうように思えて、どうしてもできなくて。
いつも水色と一緒にいたソファに移り、電気をつけたまま、タオルでくるんだ水色を抱きながら、朝まで一緒に過ごしたのです。

朝になって、旦那が庭に穴を掘ってくれました。
どこにしようか迷ったのですが、ふと目を上げた時に、いつも見える場所にしてもらいました。
お嬢から、お花をあげてね、と言われていたので、庭のバラを切って供えました。
墓標もないお墓ですが、私達が場所を知っていれば、それで良い、と思ってます。


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数時間後に、お嬢とゆっくりスカイプで話しました。

最後に元気になったように見えて、外に出たがった時。一声鳴いた時。
あれは、最後に私のそばに来たがったのかな。私を呼んだのかな。

なんであの時、もう一度手にのせなかったんだろう。もう一度触れておかなかったんだろう。
夜中であっても、お医者さんに連れて行く手立てはあったんじゃないか。
苦くてたまらない後悔。もし~たら、の幾つもの可能性。

それでもお嬢が言ったのは、前の黄色とのお別れで。
彼は病院で亡くなったので、結局死に目に会えず、電話で死んだことを知らされたので。
水色も病院に連れて行けたかもしれないけれど、それでもまた死に目に会えないぐらいなら、
ママのそばにいられたことの方がいい。

ペットショップでお嬢が選んでくれたからこそ、うちに来てくれることになった、水色と黄色。
誰よりも、お嬢のそばにいさせてやりたかった、と今でも思います。
彼女自身は、自分が彼の死に目に会えることはきっとない、とずっと前から覚悟はしていたので。
せめてスカイプできる時、水色を見せながら、水色のことを話しながら。
そんな日々が、ゆっくりと終わりをつげようとしています。

死に目に際しての後悔は、これからも苦いまま、私の中に居座っていくと思いますが。
それでも、大好きだよ、愛してるよ、一緒にいよう。
一緒にいられる間、呼吸をするように口に出していたことや、最後は水色中心の生活を過ごしたこと。
それらについては、ヒトカケラの悔いもない、と言えることが、唯一の救いです。

うちに来てくれて、家族になってくれて、心からありがとう。
君といられて、私達は本当に、本当に、幸せだった。
いつまでも、ずーっとずっと、大好きだよ。


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さすがに1日、あまり物を食べられなかったので、今日買い物に出かける時、ジーンズのベルトがぐんとゆるくなっていて、びっくり。
目がお岩さんのようになっているので、サングラスをかけっぱなしのアヤシイ身なりでありましたが、なんとか外に出ることができました。

帰ってきた時に、「ただいま」という声を、ひっそりとしか出せなかったこと。
帰ってすぐに目に入る、水色のスペースだった場所が、がらんとしたままであったこと。
また涙がこぼれそうになって、そのまま庭のお墓を見て、改めて「ただいま」と言ったこと。
繰り返すうちに、きっと慣れてくることでしょう。

電話をくれた友達が、
「きちんと時間をかけて、ゆっくり悼んであげることが必要だよ」
と言ってくれたのが、とても心に響きました。
これからもしばらく、毎日のように涙を流すと思いますが、そのまま、溢れるままにしていこう、と思ってます。


最後になりますが、今まで何らかの形で水色に関わってくれた、お友達の皆さんへ。
彼に優しく接してくれて、インコ中毒でメロメロな私を生温く見守ってくれて(……)、心から感謝です。

ゆっくり、確実に元気になっていきますので、どうぞ変わらず接してやってくださいませ。
本当にありがとうございました。

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        写真 (4)
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by senrufan | 2013-08-15 11:08 | Trackback
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