私を聴いて、私と歌って (8)

「主役とはどういうものか。ドラマでは条件が二つある。
一つはトラブル解決能力。もう一つは人生を持っていることだ」
   ----- ジェームズ三木
       (日本人、脚本家、1935年6月10日生まれ)


「必ず『正解』があるような教育を人々が求めるようになったとき、
『正解』も『誤り』もなく成立していた『知』が弱体化していったのである」
   ----- 内山節著 「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」より

大義名分に寄りかからなければ立っていられないという危うさと、
「どれが正解か」「どちらが上か」を常に気にしなければ立っていられない不安定さ。

どんなに気に入らない人でも、年長者は敬うこと。
食事は、「いただきます」で始まり、「ご馳走様」で終わること。
理屈ではなく、そう在るべき、と思うことは、特に子供時代にこそ、教えていきたいものでございます。

* * * * *

【雑事】

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ゆかさんが語る、Hand in Handの子育てシリーズ。
いよいよ、最後のまとめに入ります。

※ これから書いていく内容は、尊敬する友人であるゆかさんからの伝聞です。
ですが、一々伝聞形式で、「~だそうです」と書いていくのは限界がありますので、さも自分が言ったかのような断定調になりますが、どうか平にご容赦下さいませ。
そして、何か間違いなり、未熟な説明なりがあった場合の責任は、全て私にありますことも、どうぞお心に留めておいていただければ、幸いでございます。




子供をきつく叱ってしまった日の夜、寝ている子供を見ながら、ごめんね、ごめんね、と涙ながらに謝ってしまう。
そんな経験をお持ちの親御さんは、決して少なくないと思います。

でもその時、「自分が悪いから許して」という言い方を、子供にしてはいけません。
それは子供への甘えであり、自己満足な「ごめんなさい」です。
親に許して、と言われたら、子供は許すしかできないのですから。

しかし、与えるばかりでは辛いだけ。
だから、子供に甘えないで、それはリスニングパートナーに持っていきましょう。
この回で書きましたが、自助グループというのは、リーダーはいても、セラピストはいない集まりです。
リーダーも話すし、リーダーの聞く姿勢を見て、メンバーはルールを学びます。

話すということは、自分の傷に向き合わなくてはいけませんので、やりたがらない方もいらっしゃると思いますが、その場合、文に書くのでも良いのです。
経験を、味わった思いを、形にして外に出していくことが、何よりも大切ですから。
懸念すべきことは、自尊心を持たない日本人間では、共依存症を起こすことが多いので、それはお心に留めていていただけますように。


歴史を振り返れば、日本の場合、安定した家庭環境があったにも関わらず、
戦争によって傷を負い、貧困を体験し、不安と恐怖心を抱えるようになりました。
そういう世代(戦前・戦中派)に育てられた世代では、親が癒されてないわけですから、子供をいたわらず、時には体罰も加えながら、子供を育てていったのです。

心の問題を置きざりにして、経済だけがすごいスピードで発展してしまった、日本という国。
そういう問題を子供に刷り込み、そういう傷をファンダメンタルにすり込まれてしまった世代。
それが現在、自殺が年間3万人という数字に、反映されているのかもしれません。

人の心にとって、一番大きな傷は、暴力ではなく、「コネクションが断ち切られること」によって起こります。
失恋、いじめ、離婚、死別、転校、転勤、卒業、転職……それこそ、究極には戦争まで。
その時々に、しっかりとその問題が”消化”されていないと、後々まで消えることなく、様々な局面で立ち現れてくることになるのですね。

特に子供にとって、「安心してコネクトできる脳が近くにある」というのが、どれほど大切であることか。

いじめが問題視されるようになって、何十年も経ちますが。
Hand in Handの視点からは、「いじめる子にはコネクションがない」という見方が可能です。
コネクションがない、安心できる場所がない。自分が溜めてしまった負の感情を、吐き出す術が見つからない。
だから「いじめ」は、前回に述べたように、いじめる子側からの、「誰か止めて」というシグナルである、という考えです。

それは親であることが一番ですが、もしそれが成せなくとも、周囲にしっかりしたコミュニティがあれば大丈夫。
たとえば、日本で一番学力が高いとされるのは秋田県ですが、地域のコミュニティが確かなものであるから、と分析する向きも。
親が共働きで忙しくても、祖父母が子供の面倒を見られる。
それは、GDPなどの指標では表せられない豊かさ、であったはず。

喜びも悲しみも、人が抱く感情は、人と繋がっているからこそ起こる、化学反応です。
子供の脳に澱を溜めないよう、信頼という感情で満たしてあげていければ、それが何より、であるのです。

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ゆかさんからの貴重なお話は、まだまだ書き尽くせないのですが、一旦ここまで。あとは私の宝物。(おい)
改めてゆかさん、本当に、本当に、ありがとうございましたーーー!! (ちょー平伏)

さて、毎回冒頭で書いていた通り、さも私が言ったような書き方になっておりますが、
ここで初めて、私個人の感想を。

お嬢の現在までの子育てを通じて、乏しいなりに色々学びがありました。
中でも自分的に強く思ったのが、
・子供は、子供であることを十分に満喫した上で、時間をかけて成長すべきであること
・その時点で”未消化”や”未発達”な部分があれば、後で立ち帰りがあること
・大人になってからでも、その部分に気づけば、何らかの形で”消化”するのが望ましいこと
などであったのは、前のシリーズで書いた通り。すんごく拙い記録でしたが。(くそう)

お嬢が小さい頃から、周囲には数多の育児書や育児指南が溢れておりましたが。
実は真剣に手にとったり、強く頼ったりしたものは、ほとんどございませんでした。
当たり前ですが、どんな本でも、あくまでその方の経験から述べてくださっていること。
結局は自分で経験して、自分で決めていかなくてはいけないのが、「我が家の子育て」なのですよね。

それでも、ネットがどんどんと普及するに従い、色々と参考になる情報を得られたことについては、それこそ数多の方々に、お礼を申し上げたいのでございます。

そうやって17年間、お嬢と私の関係を見つめ続けてきた後で、実感として得られたものが、
ゆかさんを通じて、Hand in Handという形をとって現れたことに対し、感慨を覚えずにはいられません。
ただ、そうは言っても、全面的に賛同する必要も、闇雲に従うこともない、と思う気持ちは、やはり変わらないのでございます。

子供が泣いていたら、黙ってそばにいよう。
うまく外に吐き出せずに苦しんでいたなら、無理矢理になっても出させよう。
自分の感情につける名前を知らなかったら、誘導ではない形で教えていこう。

日々子供と過ごしているうちに、知らず知らずにわかってくること。
子供とは、本当に何も知らなくて、まだまだ未熟な存在なんだ、ということを良くわかれば、自然とそう接するようになるのでは、と思います。

上手く言えないのですが、育児でも宗教でも何でも、”教え”に忠実であろうとするのは、
それが冷静な判断結果と一致しているのならともかく、自信がないから、それを大義名分にしようとする気持ちが、どこかに隠れてないか、常に気にしてしまいます。
占いにすがる気持ちも同様、みたいに思います。

や、私みたいに、ちょーKYのゴーマン野郎は、むしろちょっと耳を傾けやがれ、ってなもんですが。
例えば、とても頭が良くて尊敬すべきお母さんが、本でこう教わったから、と、子供への接し方に理屈をつけようとするのを目にして、あれー、と思ってしまうことが何度あったことか。
そのお母さんこそ、その子のことを一番良くわかってる人なのになあ、って。

なんというか、いけないことはいけないのです。
卑怯なことをしてはいけないとか、弱い者をいじめてはいけないとか。
ならぬものはならぬもの。そこには、理屈はないのです。

Hand in Handが提唱するように、子供の気持ちをケアしてあげたい。泣き喚く子供を、温かく包んでやりたい。
それでも、1時間の温かい慰めより、強い一喝の方が効果がある、と思う時は、個人的に沢山あるのです。


方法論が溢れていること、いろんな選択肢があることに、感謝しない日はありません。
だからこそ振り回されないように、自分自身の判断力・決断力を上げていかなければいけないのですが、すでに老後の私には、日々ますます試練でございます。
17歳まで育ちました。で、終わりではないのが、親業なのでございますね……(幽体離脱)

それでも実は、18歳からはどんなことが待っているか、わくわくする気持ちがあるのも本当です。
次には、どんな学びが得られるのか。今までとは真逆の意見を持つようになってしまうかもしれないし。
何にせよ、一生親なら、一生それを楽しんでいけたらいいなあ、と思っているのです。
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by senrufan | 2012-06-10 14:13 | Trackback | Comments(10)
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Commented by マミィ at 2012-06-12 15:50 x
遅ればせながら、お嬢ご卒業おめでとうございます!「六月の空を忘れない」を読んでじ~んと胸がいっぱいになりました。

ティーン・エイジャーたちの言うことは学校や先生への不満や愚痴が多いので、聞くのはとても疲れますが、なるべく耳を傾けてあげようと努めている継母であります。
Commented by こっぺ at 2012-06-12 21:52 x
お嬢さま、ご卒業おめでとうございます!Miyukiさんとお嬢さんの大事なことをちゃんと伝えあえる関係目指してがんばります!ヤローはまた違うかもしれないけど。。
この1年、いろいろ大変で、息子に当たってしまうことも少なくありませんでした。そういえばHand in Handがあるじゃないか!!と今さら気がつきました。9月から息子が大変そうなので、サポートできるように私もサポートしてもらわんとと思っています。ありがとうございます!
陰山英男の本を読みつつ。笑 久々の育児書?です。
Commented by ノンノン at 2012-06-13 03:32 x
今日書かれていることって、私が最近よく読んでいる著者の考え方にちょっと似てるかも? と思いました。
え~と例えば、
"Do not be idolatrous about or bound to any doctrine, theory, or ideology."
とか
"The best gift that you can give is to be there for her/him."
とか。
似てる???

お引越しのお片づけ終わりましたか。 あ、日本にも行かれるんですよね? うーむ大変だ。でも楽しめるところは楽しんできてくださいね~!! おいしいものも~~。
Commented by Miyuki at 2012-06-13 14:22 x
*マミィさん
ありがとうございまーす! 無事に終わりましたあ。って、まだ脱力している余裕はないんですが。

姫様達が愚痴をこぼすのも、マミィママンに心を許している表れ。自分がティーンだった頃、親に話そうなんて全く思いませんでしたからねー。ボーイフレンドの話はでませんか?(わくわく)
Commented by Miyuki at 2012-06-13 14:25 x
*こっぺさん
ありがとうございます! いやいや、私達よりずっとずっと素敵な関係を築いていってくださいまし。こっぺさんならできるっ。
サポートできるようにサポートし合う、うん、それですそれ、Hand in Handで一番好きなところ。ゆみたちさんや私も、いつでもパートナーになりますぞ。
陰山先生の本も良いですよねー! 基本のきに帰ることができますよね。
Commented by Miyuki at 2012-06-13 14:28 x
*ノンノンさん
おお、素晴らしいフレーズではないですか! 日本語だったら私も読みたいのにい(情けない)
全くの中立でいくなんて絶対できないことですから、何か寄りになるのは問題ないのですけど、私の場合、腰抜けすぎて、それに頼りっぱなしになりそうで怖いんですよ。頼ることもですが、何かあった時に、そのせいにしてしまうのが一番怖いというか。

おかげさまで、ほとんど片付きました♪ あとちょっと箱が残ってますが、これはこのままインテリアの一部になることでしょう(おい) ありがとうございます、日本も楽しんでまいります~vv
Commented by lazytok at 2012-06-13 18:46
こんにちは!遅ればせながらお嬢さん、ご卒業おめでとうございます!
お引越しも本当におつかれさまでした。
わたしもMiyukiさんとお嬢さんのような関係を築きたいな・・・がんばります♪
息子は幼稚園はシュタイナーで現在はデモクラティックスクール・・・と親の思うがままに翻弄されていますが、やっぱりどれが正解っていうのはないのだとひしひし感じています。そして息子じたいも大きくなっていくにつれ、一筋縄ではいかない部分が増えてきました!思春期がこわいですー(^_^; それでもなんという幸せな日々。毎日口癖のように「あーあ。君もあと何年かしたらカカと目も合わせてくれなくなって口も聞いてくれなくなって、10年くらいしたら家を出て行くんだよね~」と言っては「まぁそうなってくれないと困るんだけどね☆」とか言ってます(笑)

ブログ、URLが変更しちゃいました。またリンクさせていただきました。ありがとうございますm(__)m
Commented by ノンノン at 2012-06-13 21:30 x
もうほとんど片付いたんですか? 早っ!
荷物多そうだったのに、大変だったでしょう?
あは、インテリアの一部に! それいいアイデア(笑)。

ところで本ですが、調べてみたら、日本語でも出てます。
http://www.amazon.co.jp/%E5%BE%AE%E7%AC%91%E3%81%BF%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E2%80%95%E2%80%9C%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8D%E2%80%9D%E3%81%AE%E7%9E%91%E6%83%B3%E3%81%A8%E5%AE%9F%E8%B7%B5-%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%88-%E3%83%8F%E3%83%B3/dp/4393332164

でも、とてもわかりやすい英語で書いてあるし(アメリカ人の人もそう言っていた)、Miyuki さんなら原語で読まれたほうがかえってわかりやすいかも。Thick Nhat Hanh さんが書かれた Peace is Every Step という本です。コーネルやコロンビアでも教えられたことがあるそうです。
Commented by Miyuki at 2012-06-14 13:55 x
*lazytokさん
ありがとうございますー!
いえいえ、tokさんのお引越しに比べたら、愚痴を言うのも恥ずかしく。
私も正直、娘とこういう風になるなんて想像してなかったんですよ。それがなあ、と感慨深いです。関係もやっぱり生き物なんですね~。
お、一筋縄ではいかない、それは私の好みのタイプですな♪ そうそう、正解が一つきりなんてことはないんですよね。芯の部分が揺らがなければ、選ぶものはその都度臨機応変に、で良いと思うのです。ダイジョブです、お母さんが誰よりもご自分のお子さんのことをわかってます!

URL、了解です! 教えてくださってありがとうございます。
私の方も変更させていただきますね~vv
Commented by Miyuki at 2012-06-14 14:05 x
*ノンノンさん
引越し直後に卒業式だの日本行きだのが目白押しなので、3日で片付ける!と決めてがんばったんですよ~。おかげでちょっとお花畑を見ました……
ただこの「ほとんど片付いた」、これはあくまで当人比、だけなのかもしれないところが怖いです(爆)

本のご紹介、ありがとうございます!
いやあ、これ、ぜひ読んでみたいですね~。皆さんのレビューを読んで、俄然興味が沸いてきました。
いつも素敵な本を教えてくださって感謝です~vv
ううむ、まずはこちらの図書館で探すか、それともあっさり諦めてアマゾンで頼むか(逃げるなーっ!)


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