私を聴いて、私と歌って (7)

「私達の人生は、自分がどのように世界を見ているかで決まります」
   ----- シャーリー・マクレーン
       (アメリカ人、女優、1934年4月24日生まれ)


「正しい行ないをするうえで不可欠な前頭葉は、発育を終えて安定するのがかなり遅い。
完全に発達して精密に働きはじめるのは、20歳をかなり過ぎてからだ」
   -----  バーバラ・ストローチ著 
     「子どもの脳はこんなにたいへん!キレる十代を理解するために」

昔の子供に比べて現代の子供は、前頭葉が未熟だからキレやすい、という話は良く聞きます。
今では当たり前になった携帯ゲームですが、あれで例えば囲碁をやっても、実際に対面してゲームをするのとは違って、実は前頭葉を使っていない、らしいんですね。

前頭葉に損傷を受けると、人格が変わって大変怒りっぽくなったり、知的な作業ができなくなったり、といった症状が見られること。
過去、精神疾患の治療の為に行われたロボトミー手術などが思い起こされます。

子供の間に、脳をいかに健全に育てるか。
諸説色々ありましょうが、それだけ大切なことという認識は、共通です。

賢い子供に育てるには前頭葉を鍛えることが重要

* * * * *

【雑事】

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ゆかさんが語る、Hand in Handの子育てシリーズ。
今回は、子供の脳のお話です。

※ これから書いていく内容は、尊敬する友人であるゆかさんからの伝聞です。
ですが、一々伝聞形式で、「~だそうです」と書いていくのは限界がありますので、さも自分が言ったかのような断定調になりますが、どうか平にご容赦下さいませ。
そして、何か間違いなり、未熟な説明なりがあった場合の責任は、全て私にありますことも、どうぞお心に留めておいていただければ、幸いでございます。




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我々の、誰もが持っている、脳というもの。
非常に非常に複雑でありますが、ここはざっくりと、三層構造に分けて考えましょう。

・ 脳幹 (爬虫類の脳)
まだ生物が爬虫類である段階から生まれた部分で、呼吸や消化など、必要最低限な生命活動を行います。

・ 大脳辺縁系 (哺乳類の脳)
哺乳類の段階から生まれた部分で、運動機能のみならず、感情の反応を受け持ちます。安全確保の為に、レーダーになったり、仲間の脳を捜すといった役割も。
感情のエネルギーを作り出し、活用する部分です。

・ 大脳皮質 (霊長類の脳)
言語、記憶、判断、分析といった、人間固有の頭脳活動を行う部分です。
人間だけが持つ理論的な思想を司り、23~4歳まで育つと言われています。


人間は生まれながらに、この三層構造の脳を持っているからといって、赤ちゃんの時から使いこなせるわけではありませぬ。それは、サイボーグ001のような改造赤ちゃんだけ。(古っ!)
子供の成長を、生物の進化と同様に考えれば、まずは脳幹があって、その次の大脳辺縁系が発達してから、一番外側の大脳皮質の番になるわけです。

つまり大事な点は、辺縁系が十分に発達していないと、安定した大脳皮質を育むことができない、ということでなのですね。

感情を司る辺縁系。
その部分を発達させる、ということは、喜怒哀楽を安定して処理できるようになるまで成熟させる、ということです。
感情が安定している子は、大脳皮質の活動にエネルギーを注ぐことができるわけですから、学習や創造活動がはかどります。
しかし、辺縁系が未発達で、脳が開いている状態だと、そちらにエネルギーを回さなくてはならなくなりますから、理性的になることが難しくなるのですね。


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ここで、もう一つの前提条件を。
ここでは「感情」を、「化学反応」と考えます。
心と身体の二元論は間違いであり、心というものはない、という考えに立ってます。

我々が、泣いて涙を流したり、あくびをしたり、身体を震わせたり。
これらは、辺縁系=感情系に、エネルギー(化学物質)が溜まってしまった時に起こる、身体の自浄反応です。
汗、かんしゃく、笑う、などといった行為によって、脳にたまってしまった感情という化学物質を、掃除しようとしているのです。

例えば、怒りを抑えて出さないと、いつまでもそのエネルギーは、そこに滞っていて。
そのままでは、大脳皮質を有効に使えず、理性的に考えられない人になってしまう、というわけなので。
良く笑って、良く泣いて。感じて、味わって、吸収して、余計なものは出してゆく。
大人になる為の、大切な成長過程であるのです。


人間の子供は、世話されることが大前提で生まれてきます。
他の動物達と違って、始めは歩くこともできないわけですから、常に自分を愛してくれる脳を捜しているのですね。
そういう意味では、絶対に仲間が助けてくれる、という前提を元にしている種族であり、性善説を信奉している、とも言えるのかも。

赤ちゃんが泣くのは、頼れる脳とコネクトされていない時の不安感ゆえ。
コネクトできたら、安心して、安定します。

出産時に何らかの困難があった場合、その赤ちゃんは、胎児の時の辛さを、脳に抱えて生まれてきますから(Birth trauma)。
そのストレスが溜まってる為に、泣いて出そうとするのですが、
周囲に世話してくれる大人がおらず、またはいても、世話できないと感じる大人しかいない場合は、赤ちゃんの脳はコネクトできず、感情の排出がスムーズにできなくなります。
育児に疲れたお母さんと、上手くコネクトできない時があるのも、当たり前なのですね。

しかーし、これはお母さんが悪いわけでは、全くありません。(強調)
親は親で、脳に様々な化学物質を抱えているわけで。もしかしたらバーストラウマが、いまだに脳に残ってしまってたりもするわけで。
なのでまずは、親側が自分のトラウマをすっきりと片づけている必要がある、というのは、このシリーズでお伝えしてきた通り。
その為の方法の一つが、前回書いたように、子供とはspecial time、親同士はstay listnening

腸が第二の脳、ということは以前に書きましたが。
我々は、脳と腸という2つの場所で、それぞれ”便秘”を起こす生き物である、とも言えるのかもしれませんなあ。


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感情をケミカルな反応と見るならば、思春期が大変なのは、いろんなホルモンが出て、身体反応を引き起こすから、と考えることができます。
余談ですが、だからといって、抗精神薬の常用は危険です。脳のたんぱくが影響を受けて、年に1%の割合で、脳が死んでいくのだそうです……

昔々、江戸を訪れた宣教師は、その頃の人々の様子を見て、なんて”子供天国”なんだ、と驚いたのですって。
鞭も使わず、子供を叱り飛ばすこともなく、それでも良い子ばかりである、と。

その頃の西欧では、「子供は動物と同じ」という考えで、鞭を使って躾をするのが普通だったのですね。
そういった形で、力と恐怖で躾けようとすれば、子供は脳に負の感情を溜めていき、
強く抑えれば押さえるほど、より強く排出しようとして、泣いたり震えたり、という反応を示します。

子供というのは本来、明るく協力的であり、学ぶことが好きで、シンパシーを持ってます。
脳さえきちんと掃除されていれば、本来のその姿を見せることができます。

子供が悪い子になる理由は。
動物だから、いろんなものがたまって泣きたい時があるのに、
泣かないで、となだめられて、そのまま感情がたまっていってしまうから。
排出されないまま、蓄積されていってしまうと、自傷行為にまで至ることもありえます。

子供が泣きたいのに、泣けない時。脳が開いてしまっている時。
暴力行為や落書きなど、絶対やってはいけない、ということをやってしまったりします。
それは、実験精神で面白くてやる、というのとは別で、脳がはがれてしまっている子の出している、「誰か止めて」という強いシグナルなのです。

泣いている子を抱きしめると、ますます強く暴れる場合がありますが。
それは、逃れようと抗っているのではなく、その親の手や身体をテコにして、好きなように暴れて、身体から溜まった感情を追い出そうとしているのです。

子供にとって「八つ当たり」は、大変大事です。
八つ当たりすることで、負の感情を排出でき、その後、すっきりと落ち着くことができるのです。
その為には、信頼している大人がそばにいなければなりません。
頼れる、と子供が感じられる脳がそばに在ることで、子供は自分の脳を健全に育てていくことができるのです。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

今まで、お嬢が一番大変だったと思う時期は、やはり思春期の頃でした。
何もかもにピリピリしてて、家にいても、まともな会話もできなかった頃。
沢山のことを溜めて溜めて、どうしようもなく苦しくて、でも、吐き出し場所も方法もわからない、
そんな風に見えて、一体どうしたらいいのか、やきもきしていたのですね。

で、ある日、きっかけは忘れましたが、とある言い争いが始まった際、
泣き喚いて嫌がる彼女の腕を、身体を、私の全身で捕まえて。
全部出せ、全部ゆっちゃえ、と怒鳴り合い、争うこと数十分。
最初は、私に対する怒号と罵りだったのが、いつしか学校のこと、友達のこと、身体のこと、
辛くて悲しくて悩んでいたことが、ぼろぼろ、ぼろぼろ、涙と共に、彼女の口から溢れ出て。

数ヶ月ぶりに、ようやく彼女とゆっくり話すことができたこの日は、
私達にとって、一つのターニングポイントとして、今でも鮮やかに思い出せるのです。



そのわりに、最初のきっかけは忘れてますが。(爆)


あと1~2回で終わります。
が、また通常日記を、少々消化してからで。
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by senrufan | 2012-04-24 10:43 | Trackback | Comments(9)
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Commented by KawazuKiyoshi at 2012-04-26 12:19
子供と、真剣に向き合って生きているのですね。
どう親が生きているのか、子供は敏感に知っているのです。
私は、自分だけは騙したくないと思っています。
ただ、それだけ。
ふふふ
今日もスマイル
Commented by こっぺ at 2012-04-26 18:46 x
えー、きょうもすごくつまんないことで子供を怒鳴りました。五歳と言い争い!いえい。こうして読むと、感情を吐き出して落ち着きたいのはいつも私だな〜と思います。子供の時にちゃんとやらなかったから今出ちゃってる。息子を受け止められなくて悪いなーとしみじみ。ティーンになった息子に、ぜんぶいっちゃえって受け止めることができるかしらって思ったり。男の子は違うアプローチがいるのかな。。今を大事にといっつも思うんですけどねー。
Commented by かん at 2012-04-27 03:30 x
私は親にそこまで全力でぶつかる必要?がなくて、何でかというと、そこまで行き過ぎる?前に話し合いが出来ていた=定期的な吐き出しができていた気がします。もしかしたら忘れているだけかも。
でも、情緒は安定した子供だったと自分で思います。そして、それはやはり親といつでも会話ができた、親がいつでも自分の事をちゃんと聞いてくれた(親と意見が違っても話し合いができて親を納得させられれば自分のやりたいこともできた)環境があったからでは、と思います。で、それを自分も子供達にしてあげたいなぁ、と努力中。(笑)
Commented by かん at 2012-04-27 03:32 x
息子二人を見ていて、おそらく長男とは思春期のぶつかりあいがマイルドになりそうですが、次男とはかなりの格闘になりそう、と覚悟を固めつつあります。(笑) でも、親も人間で完璧ではないし、とにかく、育児は、生き物相手はいつも体当たりですよね。(笑)

とにかく、親と子の間にわだかまりがないこと、関心がお互いにあって、空気通りがいい親子関係が理想です。
Commented by Miyuki at 2012-04-27 09:57 x
*Kawazuさん
真剣に向き合いつつ、でも縛らないように、という匙加減が難しいですね(笑)
おっしゃる通り、親の背中を見ているなあ、と思います。
でも大きくなって、私が逆に娘の背中を見るようになってきたのが、また嬉しかったりするのです。
自分自身にも真剣に向き合いつつ、今日もスマイルで♪
Commented by Miyuki at 2012-04-27 10:04 x
*こっぺさん
そです、そです、親だって吐き出したいんですよね~。ましてや小さい頃の自分と重ねてたら、あの時は親にああいう風に扱ってほしかった、という思いが出てきたりしますから、余計にね。でも子供が小さいうちは、”親”として頼りになる存在でありたいので、親同士の聞き合いがとても有効だなあ、と思います。言葉にすることで、自分が気づかなかった思いを見つけたりできますし。私などでもよろしければ、いつでも使ってやってくださいまし~。そしてね、子供が大きくなったら、子供がリスニングパートナーになってくれたりしますよ、えへへ。今の私にとって娘は、とても頼りになる相棒です。ええ、旦那よりも(爆)
Commented by Miyuki at 2012-04-27 10:18 x
*かんさん
安定した親子関係で、本当に良かったですね~♪
ぜひそのままお子様達と、同様な関係を築いていってくださいませ。
ほんとにお言葉通り、風通しの良い、お互いを尊重する関係が理想ですよね。
大きくなった時にそうなれるよう、今の時期のお子様達との時間を楽しんでくださいますようにvv
Commented by まきりん♪ at 2012-05-02 11:53 x
子どもの脳のお話し、とても興味深いトピですね。

気持ちの発散が脳にとって大切であるということ、アート・セラピーをしていてもそう感じることが多々あります。
そして、生徒たちの八つ当たりの対象になっていることも(笑)

親子で関係性を築いていけるのが理想ですが、不可能な親もいるので、そんな時は子どもは先生やセラピストを通して心を受け止めてもらえる関係性を作れるといいですね。
Commented by Miyuki at 2012-05-03 11:55 x
*まきりんさん
八つ当たりできる大人がいることが、どれほど幸せなことか、親になってからしみじみ知りました。
大人はいいですよねえ、お酒もドカ食いも、自分の責任でできますから(笑)

親と良い関係を作れていても、別な大人から得られるものも大切なので、コミュニティでの子育て、というのを、真剣に考えてしまいます。


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