その響きは時を越え

「私には、女は『存在』だが、男は『現象』に過ぎないように思われる」
   ----- 多田富雄
       (日本人、作家、1934年3月31日生まれ)


私の少し前なら、ビートルズ世代かと思うのですが。
私にとっては、最初はカーペンターズ、次はABBAでございます。

別にお嬢に聴かせたりはしてなかったのですけど、彼女が8~9歳の頃(うろ覚え)、買い物をしている時に、たまたま店内に、ABBAの「Dancing Queen」が流れ始めまして。
それを耳にした彼女が、
「え、これ、なんていう歌? すごくいい!」
と言ったので、それこそ曲に合わせて踊っちゃいたいぐらいに、嬉しかったのですね。

思わずその後、ABBAのベストをAmazonでぽちっ、としてしまうぐらいには。


それでもその時の彼女は、Dancing Queenぐらいだったのですけど。
1~2年前に、またふとした拍子に聴いて、改めて好きになり、MP3にCDを落として、今ではすっかりファンに。
こんな古い曲を好きなのは彼女ぐらいかと思いきや、実は同級生にも結構いることが判明しただけでなく、なんと彼女が履修中のAP Economicsの先生まで、大ファンだそうじゃないですか。

授業中、鼻歌でABBAを歌う先生に、思わず合わせてしまうとか。
先生が「イントロクイズ!」といって流した曲を、あっさり、「ABBAの『Money Money Money』!」と当てたのはお嬢だったとか。

スーパースターは、世代を超えるからこそスーパー、なのでありますな。

* * * * *

【舞台】

     IMG_7103

ミュージカル「Mamma Mia!」を観に行って来ました。
スウェーデンのスーパーグループ、ABBAのヒット曲から誕生したこのミュージカル、1999年の初演以来、今では世界10都市で公演を重ねるという、大ヒットになりました。

お嬢がABBAのファンになった後に目にした、サンフランスシコでの上演のニュース。
行く、行きます、行かいでか。Goldstarでゲットしたディスカウントチケットでもって、2人で鼻息も荒く行ったです。

場所はお馴染み、SFのOrpheum Theatreにて。
平日の夜だったので、道中も混まず、駐車場もあっさり見つかり、意気揚々と行ったです。




     IMG_7104

さて、内容は。
ギリシャはエーゲ海にある小さな島で、ホテルを経営するDonnaには、一人娘のSophieがいます。但し父親については、一切母から教えられておりません。
しかし結婚を間近に控えたソフィは、ヴァージンロードを父親と歩きたくて、母の昔の日記から、3人の父親候補を洗い出し、内緒で結婚式の招待状を送ります。
式の前日にやって来たのは、建築家のSam、銀行家のHarry、そして冒険家で作家のBill。いきなりの再会に、ドナはパニックを起こしますが、やはり結婚式にやってきた親友のTanyaとRosieに励まされ。
かたやソフィは、誰が父親なのか特定できず、婚約者のSkyと喧嘩になり、サム達も各自、自分が父親かと悩み、事態は大変フクザツに。
結婚式は、ソフィの夢は、一体どうなることやら。

といったストーリーが、ABBAの楽曲22曲+αに合わせて、進行していくわけでございます。
尚、開演の前に流れたアナウンス。
「この劇の間、白いスパンデックスとプラットフォームブーツが出てきますので、心臓の弱い方は、どうぞご注意ください」
だって、ABBAの時代だもん。(オオウケ)

このミュージカル、2008年には映画化もされていまして。
主役にかのメリル・ストリープを据えて、舞台を観た人には賛否両論かもしれませんが、楽しい作品に仕上がっていましたね。
実は日本行きの飛行機の中で、この映画を3回も見た記憶が。
しかしメリル・ストリープって、ほんとにすごすぎる。演技だけでも超一流なのに、歌までなかなか上手いことを証明しちゃいましたね。あ、物真似も。


     IMG_7105

さて、この舞台、ソフィが一見主役のようなんですが、実はお母さんのドナが大主役。
ドナを演じたKaye Tuckerman、最初はちょっと物足りなさを感じたものの、尻上がりに存在感を上げてきて。
サムとの会話での「The Winner Takes It All」の歌は、正に絶唱でした。

ソフィのChloe Tuckerちゃんは、経歴を見たところ、まだ学校を出て間もないのか、どうやらこれが初の大舞台。
それゆえか、演技はやや大げさなわざとらしさがあったものの、これまた後半になるにつれて、しっとり感を増してきて。
歌は上手いし、ラストでは、ダンスの実力もかなりのものであることを見せてくれました。

中でもお嬢と私のお気に入りは、Alison Ewingのターニャと、Mary Callmanのロージー。
見かけはフツーのアメリカのおばさんのロージーも、色っぽさ爆裂のターニャも、コミカルな間と動きの見事なことったら。
何をやっても、どう動いても、この2人にはむちゃくちゃ笑わせてもらいましたです。

対して男性陣はというと、女性陣の生き生きとしたエネルギーの前では、かすんでしまいがち。
って、これは演技のせいではなくて、ストーリーそのものが女性賛美のケがあるので、仕方がないとして。
その中で、眉が下がってしまうような不甲斐無さや、娘かもという事態への動揺ぶりなど、これまたコミカルに見せてくれましたよ。

ただなあ、映画でもそうだったのですけど、歌はもうちょっとなんとかならんのか、と思うシーンも幾つか。
特にサム。下手というわけではないんですが、ねえ。
などと言いながら、原曲は女性曲ばかりのところの、原曲のキーのまま歌っているので、逆に感心したりもね。
それにしても、映画のピアーズ・ブロスナンは、絶対ミスキャストだったと思う。(ぶつぶつ)


IMG_7106

女性2人ボーカルだったABBAの曲だから、というわけではないのかもしれませんが。
女性上位で、女性の為の作品だなあ、なんて思ったりするのですよ。
そこがまた、この作品が大好きな理由であるわけで。

特に、ドナとソフィの母娘愛。
父親がいないシングルマザーとして、文字通り、たった一人でソフィを育て上げたドナ。
ソフィがあそこまで愛情深い、母を慕う娘に育ったのは、本当にドナあってのことと思います。
激多忙の旦那は、お嬢の学校行事にすら、数えるほどしか来たことがなく、周囲の人には、マジでシングルマザーかと疑われていた私としては、非常に胸に迫るシーンが、多々あったのです。ええ、旦那は健在です。

式の前夜、「父親と腕を組んでヴァージンロード」を夢見ていたソフィにドナは、当時どういうことが起こったのかを話します。
そしてウェディングドレスを試着したソフィは、自分と腕を組んで、ヴァージンロードを歩いてほしい、とドナに頼むのです。
「ママ、あなたをとても誇りに思うわ」

母ちゃんにも、アレゆってー! 絶対ゆってー!
目うるうるで身もだえしつつ、お嬢に絶叫(声は最小限)したのですが、思いっきり半目で見られました。


そして、結婚式当日。
ウェディングドレスの美しいソフィと、帽子姿も麗しいドナが、腕を組んで、共にヴァージンロードを歩いてきます。


母ちゃんもアレやるーーっっ!! 一緒に歩くーーっっ!! (じたばた最高潮)

だから父は元気なんだってば。


     IMG_7109

絵に描いたような大団円を迎えて、後はちょーにぎやかに、全員そろってのフィナーレです。
「Mamma Mia」の曲に合わせて、一人ひとりがお辞儀と拍手、となりますが、ここで幕引きじゃないのが大事なところ。
アンコールの形で、ドナ・ターニャ・ロージーが、当時のABBAのステージ衣装の誇張版(わはは)で、「Dancing Queen」と「Mamma Mia」を歌ってくれるのです。

更には、男性陣3人も加わっての「Waterloo」。
このあたりでは、客席もほぼ全員立ち上がって、歌うわ踊るわのお祭り状態。
ずっと踊りたくてうずうずしてた私も、この時とばかりにハジケさせてもらいました。ええ、周囲は迷惑です。

だってねえ、ABBAの曲を聴いて、じっとしていられるワケがない。
そんな私達にとって、本当にほんとに楽しいミュージカル、でございました。あああ、もう一回観たいなああぁぁぁ。


後日、お嬢が仲間を集めて、我が家で映画「Mamma Mia!」の鑑賞会をやりましたよ。
図書館で借りてきたDVDを観ながら、中には立って踊る子達もいて、すんごく楽しかったそうです。(母は出かけてた)
舞台には敵わないものの、何度も観られる映画はありがたい。

ビートルズ、カーペンターズ、そしてABBA。
何十年経とうと、必ずその時の誰かの心に響く歌を生み出してくれたことに対して、感謝と賞賛を惜しむことはありません。


     IMG_7111


Mamma Mia! (オフィシャルサイト)

Orpheum Theater (San Francisco)
1192 Market Street
San Francisco, CA 94102
[PR]
by senrufan | 2012-03-31 00:37 | Trackback | Comments(10)
トラックバックURL : http://senrufan.exblog.jp/tb/18061605
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by ノンノン at 2012-04-02 01:34 x
Money Money Money、初めて聞いたのが、あの映画でした!

しかし、メリル・ストリープすごいですね~。Julie & Julia で好きになり(それでMamma Miaを借りた)、The Iron Woman もきっとすごかろうと思ったのに見逃してしまった。残念。
Commented by Hiroko at 2012-04-02 10:06 x
マンマミーヤ劇場版を観てから、映画を観たので、原作の本を読んでから、その本の映画版を観たときみたいな、物足りなさを感じてしまいましたよー。私はThank you for the musicが一番好きです。
Commented by Miyuki at 2012-04-02 13:04 x
*ノンノンさん
そうですかー! ノンノンさんの若さを感じました……ふっ……

ほんとに彼女はすごいですよね! 先日聞いた話なんですが、ストリープもシガニー・ウィーバーも、イエール大の演劇部で一緒だったそうなんですが、あまりにストリープがすごいので、シガニーでさえも全然目立たなかったんですって。頭脳も才能も飛びぬけているんですなあ♪

そうそう、こんなところですみませんが、ノンノンさん、村上さんと小澤さんの本、読みました! もーー、買って良かったですーーー(感動) 背中を押してくださって、本当にありがとうございました~!
Commented by Miyuki at 2012-04-02 13:05 x
*Hirokoさん
あの舞台が先だったら、そらあ物足りませんわね~(笑) 私も、舞台のDVDが出てほしいと思ってますもん。あ、娘も「Thank you…」が一番好きだって言ってますvv
Commented by ノンノン at 2012-04-02 22:46 x
えー、シガニー・ウィーバーが目立たないんですか? すごい!

あ~別に若くないです(笑)。洋楽(ってすごい日本語)をあまり意識して聞いていなかったのは、言葉がわからなかったので感動できなかったせいだと思います。

おお「小澤征爾さんと、、」読まれましたか! 楽しまれたようでよかったです~。小澤さん、巨匠ですごい経験もお持ちなのに、人としては普通以上に普通で、素敵な方だなぁと思いました。


Commented by sivasiva21 at 2012-04-03 03:11
Miyukiさん、Mamma Mia!の舞台楽しまれたのですね~!
私も息子がお腹にいる時に見に行って、とっても楽しかったのを覚えてます。
そのせいか?息子も歌も映画も大好き!
舞台も見に連れていってあげたいなぁ。

映画は脇役の人達が歌も上手で良かったですよねぇ。
久々にまた見てみようっと。

Commented by Miyuki at 2012-04-03 10:51 x
*ノンノンさん
シガニーも私は大好きな女優さんなのですが、彼女を抑えてしまうメリルってどんだけ!? と思いますよね~。

あはは、それ、わかります! 私も洋楽はもっぱらメロディーオンリーで楽しんでます。ノッて楽しんでるわりには、空耳アワー、みたいな(笑)

そうそう、小澤さんの温かいお人柄がきちんと伝わってくるご本でしたね~。また、村上さんの博識ぶりにびっくりです。ジャズ知識はすごいとは知ってましたが、クラシックも相当ですよね。彼のインタビュアーとしての才能も見せていただきました。本当に良い本でした、ありがとうございますvv
Commented by Miyuki at 2012-04-03 10:55 x
*Yumiさん
なんとなんと、それは素晴らしい胎教で!(笑)
ぜひぜひご子息を連れて行ってあげてくださいませ。
小学生ぐらいのお子さんも何人が見かけましたが、帰りにはステップを踏んでたりして、とても楽しんだみたいでしたよ♪

それそれ、映画は主役は名のある人にするしかないにしても(おい)、脇を固めればなんとかなる、なんつって。
私も、また借りてみようかと思ってますvv
Commented by peartree22 at 2012-04-05 17:51
わー、Miyukiさん。私がアメリカ滞在中、唯一観たのがこのMammma Mia!ですよぉ!ちょうど日本から友人が来たときに一緒に見に行きました。もう10年以上も前ですから、キャストは違うかと思いますが(パンフ、見直さなくては!)。
もう、最初っから最後までのりのりでありました。
映画、見よう見ようと思って、まだなんですが。
あー、劇場版DVDあったら絶対買うのに!
Commented by Miyuki at 2012-04-06 10:45 x
*ちゃんさま
おー、そうでしたか! それほど前から世界各地を回ってるなんて、改めてすごいミュージカルですねえ♪
そですそです、最初っから最後まで、ずっと手足が動いちゃって大変。私の隣の人は、振動が伝わって嫌だったかも、って今更。
映画も悪くはないんですよ。でも劇場版を見てしまうと、どうしてもなあ~~。


<< 四月は、芳香と色彩の萌来で 見えない衣で守るもの >>