私が愛する土地だから

「社会主義は、平等に愛すると言うが、武士道は、己を殺して人を助けるもの。
即ち、日本の武士道の方が一段上である」
    ----- 乃木希典
        (日本人、軍人、1849年12月25日生まれ)

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【アクティビティ】

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ベイエリア発のアートも、沢山ありまして。
焼き物好きな方は良くご存知の陶器メーカーに、Heath Ceramicsがございます。
Edith Heathさんが1948年に始められたこちら、今ではベイエリアの名だたるレストランで使われていたり、NYのMOMAにコレクションが収められていたりと、一介の陶芸家が見事にビジネスとして成功させた、顕著な例と言えるでしょう。

ずっしりと厚めの、優しいアースカラーを基調にした陶器の数々は、ロサンゼルスとサンフランシスコに直営店があるほか、オンラインでも購入可。
そして窯元はどこかといえば、サンフランシスコを更に北上し、ゴールデンゲートブリッジを渡ったところ、Sausalitoという市にあります。

こちらの商品の大ファンであるricomameちゃんから、工場ツアーが無料で行われている、と教わったのは、数ヶ月前のこと。
ゆみたちさんmikamikaさんをお誘いして、焼き物好きなお嬢も連れて訪問したのは、10月末のこと。(……)
少しでも思い出せるうちに記録せにゃ、と思っているうちに、もうすっかり忘れていることに気がついたのが、ごく最近。
なので、ただの写真の羅列になりますこと、先に申告させていただきます……(馬鹿ああぁぁぁ)




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このツアーが開催されるのは、金~日。金曜に1回、土日に2回ずつ催行されています。
工場内にあるストアに集合し、社員の人が工場内をガイドしてくれるという仕組み。
事前予約が望ましいですが、予約なしでその時間に現地に行っても、人数が多くない限りはOKみたいですね。


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まずは、入り口にあるショールームから。粉塵よけのゴーグルをつけるように薦められます。
陶器から始まって、今ではキッチンウェアも扱うHeathでは、リサイクル紙を利用したキッチンボード(paper stone)も取り扱っているそうです。


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工場陶器といえば、型があって、その型に粘土を流し込んで作るわけですが。
こちらはそのコーナーで、液状粘土(slip)が入った大きな容器や、皿や壷、カップの取っ手まで、様々な型が並んでます。
型に入れてから、逆さまにして数十時間。その間、余分な粘土が下に流れるように、工夫された棚がありました。


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手作りならば、一個一個が微妙に違うのも味わいというものですが、企業としての製品ではそうはいきません。
きちんと大きさと仕様が揃うように、細かな設計図が用意されているのですね。


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そして、その型がまた堅固なものでないと、それは成せないわけなので。
より確かな型を作る為の努力は、並々ならぬものがあるのです。


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肝心の粘土はどこで?と思いきや、これもカリフォルニア内で。
州内の2箇所から発掘される粘土を、陶芸用に加工します。
大きなタンクは、その粘土を攪拌し、液状にする為のもの。


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粘土をプレスして、きれいな板状に仕立て、作業に使いやすいように。


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型の中に粘土を押し込んで、内側の形を整える為のこの機械を、Jiggerと呼ぶそうで。
この機械のおかげで、きれいなボウルが形作られるわけですね。


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取り出された陶器は、縁をきれいに整えて。
サンドペーパーやスポンジで、表面を滑らかに仕上げます。


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そして彩色以前に、一旦保管庫で。
温度を高めに保ち、数十時間置くことで、余分な水分を蒸発させるのです。


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Heathの食器の色合いが大好きな私ですが、あれは、これだけある塗料の中から選ばれているんですね。
でも当然、焼き上がりがいつも同じ色になるとは限らない。熱と釉薬の魔術は、苦労と魅力に溢れてます。


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そこで、こんな実験コーナーも一角に。
様々な釉薬や薬剤を混ぜて、彩色→焼成を経て、どんなものが出来上がるか、
また、どんな模様やデザインを作っていけるか、常に新しい試みを行っているそうです。


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色づけを終えた食器は、こちらのkilnで、いよいよ焼成です。
これは、焼き上がった陶器を冷ましているところですが、焼く時は上から大きなカバー、じゃないな、なんてゆったらいいんだえーと、檻の壁版が降りて来ます。あああ、頭が悪い言い方……
油圧式のこちらの窯は、焼成中の1~2日間、職人さんによって、きちんと温度管理されているそうです。


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窯から出された食器は、こちらで職人さん達による選別を。
無事販売に耐えるもの、アウトレット級のもの、ヒビなどの欠陥があるものなど、買う人の満足に繋がるべく、厳しくチェックされるのです。


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ここでツアーは、無事終了。
以上の工程をくぐり抜け、商品レベルと見なされたものだけが、こうやってストアに並び、契約顧客の手に渡るのですね。
そしてストアの奥には、アウトレット品のコーナーが。
といっても、素人目にはそれほど差があるようには見えないレベルの品々なので、それが割引価格で売られているのは、なかなかにありがたいことであります。

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さて、今回参加して実感したことは。
Heathの食器は、ブランドだけあって良いお値段、のように思っていたのですが、それにはちゃんと理由があるんだよ、と教えられたこと、でしょうか。

これだけ有名になったなら、もっと工場を大きくして、より機械化して、人も沢山雇って、となってもおかしくないところ。
あくまでこの規模・この人数(約60人)にこだわり、各食器の型入れから仕上げに至るまでの工程も、必ず職人の手を経るように。
”工場”と名がついていても、内容は大きめの工房、ギルド。食器につけられた模様やラインは、熟練の手技によるものです。

余った粘土は、必ずリサイクル。
その粘土は、遠くない土地のものを使用する。
Organic・Local・Sustainableな”食”を求める気運が、年々高まるこの土地で。
陶器という商品を通じて、目的を同じくする試みが行われていたのですね。


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小規模の手作業中心で、熟練工を必要とする企業形態は、商品の値段にも反映します。
が、彼らの価値は、その値段の裏を読み取らなくては計れません。

土地とコミュニティ、環境への配慮は、器が始まった由来を考えれば、自然のこととしても。
買う人にとっての満足は、いつまでも使い続けていける、という一点にもあるので。
流行を追うことなく、定番商品を長く、確実に提供し続けていく、というHeathのやり方は。
好きな器を少しずつ集めて、途中で割れたら買い足して。
そうして、例えば自分の子供達が受け継いでいくことをも、可能にしてくれる。
家族にとってそれは、この上ない財産にもなりえる、と思うのです。

私自身は、すでに他の洋食器をラインで揃えてしまっているので、なかなか手が出せないのが実情なのですが。
こちらのもので揃えられたらいいなあ、と憧れはやまず。
これから新生活を始められるような方がいらっしゃれば、ぜひとも候補に入れていただきたいところ、でございます。

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ツアーを終え、ストアで買い物もし、さあて帰るかあ、と外に出たならば。
んじゃこりゃーーっっ!!! と絶叫する光景が待っておりました。

海が近いのですけど、満潮時はこうなるんだそうです……
Heathの人達、すでに日常なので、全然慌ててらっしゃいませんが、一般人にとっては、これはすでにワナ。

一見それなりに浅く見えるのですが、私達が見ていた時、たまたまこの入り口からタクシーが入って来て、ですね。
モロにタイヤの7割まで水に浸かっての、決死の数十メートルの道行きを目撃してしまいました。

これからツアーに行かれる方、ええとお車は、工場奥の駐車スペースに停められることを、強くお薦め致します。


Heath Ceramics Factory & Store
400 Gate 5 Road
Sausalito, CA 94965-2807

Factory Tours Information
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by senrufan | 2011-12-25 09:10 | Trackback | Comments(12)
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Commented by ricomame at 2011-12-27 13:27 x
ここの食器、ちょっと重いけど色合いが好きです。
また、先日買ってしまいました。小さなボウルが1つ$35とかうわ〜ってなるけど使ってみるとやっぱり買って良かったなって思います。
Commented by B-coupe at 2011-12-27 13:34
初めて知りました〜〜!なんだかアメリカっぽくない色合いいい感じですね〜。高いんですね〜お値段。見かけたら1つだけ買ってみようかな〜(笑)
Commented by KawazuKiyoshi at 2011-12-27 13:59
陶器工場は面白いですね。
コーニングの工場に行ったときを思い出します。
今年はいろいろとありがとう。
元気で。
今日もスマイル
Commented by マミィ at 2011-12-27 15:40 x
素敵な食器ですね。色合いも形もいいなぁ。洋食にも和食にもマッチしそう!工場見学、楽しそうで羨ましいです。
Commented by Miyuki at 2011-12-28 03:51 x
*ricomameちゃん
素敵なツアーを教えてくれてありがとう! そなのよね、重いのは難点なんだけど、色が良いのよね~。
ricomameちゃんみたいに、1つ1つそろえていくのが、食器集めの楽しいやり方だと思うの。私もここのボウルが欲しいー。あ、お皿も。
Commented by Miyuki at 2011-12-28 03:53 x
*Tomoさん
そうそう、こういう色ってアメリカの食器ではなかなかないですよね! で、良いお値段でして、あは(ちょっと涙目) かなり重めなので好き嫌いがあると思いますが、Tomoさんの素敵なお料理を引き立ててくれる食器だと思いますので、機会があったらお手にとってみてくださいね~。フェリービルディングにお店がありますよ。
Commented by Miyuki at 2011-12-28 03:54 x
*Kawazuさん
コーニングの工場ですか、行ってみたいですねえ♪
こういう見学ツアー、好きなのです。子供の頃から(笑)
私こそ、今年は本当にありがとうございました!
来年お目にかかる時も、ぜひスマイルでvv
Commented by Miyuki at 2011-12-28 03:56 x
*マミィさん
ヨーロッパの洋食器は本当に素敵で大好きですが、アメリカでもこおゆうのを作ってくれるところがあるんですねえ。そう、和食にも合ってくれれば言うことなし。マミィさんのお寿司を盛ってみたい……(想像うっとり)
Commented by tamachan at 2011-12-28 10:46 x
可愛いお皿ですね。初めて知りました。
家に来て頂いておわかりの通りうちの食器はIkeaの365か、Warld Marketのお皿でしかも白なんですよ。
食器にこだわると散財しそうで手が出せないです(涙)
鍋のこだわりで我慢します。
私的にはお皿も素敵だけど、満潮時の写真に目が奪われましたよ(ビックリ!)
Commented by Miyuki at 2011-12-28 14:58 x
*tamachan
良い色合いでございましょ?
そう、うちの洋食器も白に統一してて、それが一番料理を邪魔しないかとは思うのだけど、ここの無地の淡いグレーやベージュのも良くってねえ~。
よし、tamachanは鍋釜にこだわってもらって、私が食器を用意するから、それに盛る料理はまかせた(死んでこい)
すごいでしょー、海だよ海!
Commented by mikausa at 2011-12-29 23:44 x
いつもながら、Miyukiさんの記憶力、すばらしいです。
あの時だってメモとって聞いていた様子もなかったのに…。
それもイベント盛りだくさんの日々を送っていらっしゃるというのに、なぜにこんなに記憶していられるのー???
誘ってくださってありがとうございました。物を作る過程を見るのは、大好きです。
Commented by Miyuki at 2011-12-30 14:29 x
*mikamikaさん
いやいやとんでもないです、あれだけの長いツアーが、どうしてこれだけの行数になっちゃうの!? と、本人的にはイタタな連続……(涙)
せっかくガイドしてくれた方に申し訳ない、と思ったですよ。5秒ぐらい。
それでも少しだけ覚えていられたのは、はっきりきっぱり、mikaさん達といられた楽しい思い出だから、ですね!
お付き合いくださって、ありがとうございました~! またこおゆうツアーがあったら行きましょう♪


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