一致することのない知識と実際

午後になるとやたら眠くなるのはどうして。精神だけでなく、身体まで3歳児になったのか。

外での用事を色々すませて、お嬢を迎えに行って帰ったら、留守電のランプがついていた。メッセージを再生してみると、何と警察から。

「今朝○○の木の上で、マウンテンライオンが目撃されました。子供は今日は外出させないで、家に居させるようにして下さい」

なんてこったい。発見場所は、我が家がある通りの1ブロック先じゃないか。

この市では、去年からちらほらとマウンテンライオン(日本だとクーガと言った方が良いのか)が出没し、何回か騒ぎになっている。そのうちの1頭は射殺され、少々論議をよんだことも。
お嬢の学校でも、夏に公園で学年全体のキャンプを予定していたのが、その公園で目撃したという情報があった為、急遽場所を変更したことがある。

私が実物を見たのは、当たり前だが動物園のみ。ただ、いまだに鮮明に思い出せるほど印象強かった光景がある。

お嬢がKinderの時、SF動物園への遠足に付き添いで参加して、猛獣類の餌やりを見学した。強化ガラスの中にライオン・虎・クーガなどが入っていて、そこに生肉などの餌がスロットを通して与えられるのだ。
私たちの見ている前で、虎はゆうゆうと餌に近づき、大きく口を開けてかぶりつく。彼らにとっては日常の退屈な動作以外の何物でもないだろうその動きに、私は完全に圧倒され、身動きすらできずに立っていた。
横で先生がひっそりと、「なんて美しいの」とつぶやいたが、私のその時の感情は、言葉にすれば”畏怖”が一番近かったと思う。
その一振りで、その一噛みで獲物を仕留めてしまえる前足と牙。あんな存在の前で、種としての人間など、一体どれだけのものだろう。
”保護”や”愛護”という言葉は、あくまで人間からだけのものにすぎないのだと、あの時、心の底から実感した。

例えばBBQをしている時に出没したら肉を投げてやるだの、絶対走って逃げてはいけないだの、注意事項は知識として心に留めておこう。だけど実際出くわしてしまったら、冷静に対処できる自信はマイナス以下である。

パトリシア・コーンウェル著「痕跡(上・下)」を読む。検屍官シリーズ13作目。
このシリーズが発刊されてから、すでに十数年が経つ。この本や「羊たちの沈黙」などがきっかけで、いわゆる猟奇・サイコ物がブームになり、心理分析官・行動科学科などという言葉が一般に知られるようになり、随分とこのジャンルも裾野の広いものとなったように見える。
そんな中、やはり私のお気に入りはこのシリーズ。ともすると凄惨な描写に走りがちなこのジャンルで、常に冷静な語り口を失わず、確かな知識に裏付けされた細かな描写を怠らない。
13作目の今回は、以前よりかなり地味な事件設定だが、登場人物のその後が気になる私にとっては、十分節目の一つとして楽しめた。
「ハリー・ポッター」で始まったファンタジー作品ラッシュも、私にはやはりハリーが最高なように、このジャンルでも検屍官シリーズが一番続きが待ち遠しい作品である。
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by senrufan | 2005-01-13 03:10 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ぱんな at 2005-01-15 13:55 x
あの射殺事件の、木に追い上げた「犬」は次郎の友達の家の犬でねえ、その後の騒ぎ、なかなか複雑な思いだったわあ。すぐそばの小学校の下校時間が迫っていたし、お腹すかせたマウンテンライオン、殺さざるを得なかったんだろうなあ。ところで芥川賞、決まったみたいだねえ。
Commented by Miyuki at 2005-01-16 03:23 x
え、あの犬そうだったのか。それは複雑だったねえ……あの論争(?)を聞いてて、後から文句つけるのは簡単だよなあと思ったよ。芥川賞も直木賞も決まったね。芥川賞の人が、「これは新人がもらう賞なのに複雑」と言ってて驚いた覚えが。あれってそうなのかなあ。


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