それは身体が決めること(後)

「言語は雄弁の才能と同様に、神からのじかの贈り物である」
   ----- ノア・ウェブスター
        (アメリカ人、辞書編纂者、1758年10月16日生まれ)


アトピーと言えば、先日お嬢の学校でBlood Drive(献血)があったので、お嬢もやろうと行ったのですが。
採血しようとしたひじの内側に、少しアトピーがあるのを見て、献血を断られたそうなんです。

理由は、「こういうところに針をさしたら、ひどくなるから」だそうなんですが、今まで何度もここで採血しているけど大丈夫だったと言っても、聞き入れてもらえず。
まあ、血管が細いので血が採りにくい、という理由もあったらしいですけどね。

なんかなあ、素直に言葉通りに受け取ればいいんですけど。
大層性格の悪い私は、伝染病か何かと思ったんだったら悔しい、と思ってしまったのでございます。ふう。

* * * * *

【アクティビティ】

前回からの続きです)

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狐につままれたような私達に、Hirokoさんが説明してくださった。

人が様々な動きをすることによって、脳の中には、その動きを行うシナプスが作られるのだけど。
Anat Baniel Methodは、何通りもの動きを身体に経験させることで、より多くのシナプスを脳内に形成し(Neuroplasty)、身体の動きの選択肢を増やすわけなのだ。
よって、些細な動作からアスリートの運動までの様々な状況において、身体がより安全で効率的な動きをとれるようになり。
身体的な負荷が減り、ケガや痛みのリスクを減少させることができ。
シナプスが増えることで学習能力が高まり、感覚もシャープになってくる、ということなのだな。

トータルに言えば、身体の「気づき」を促すメソッド、のように感じたよ。




大事なのは、骨なのだ。
背骨があって、その動きが首に、骨盤に、手足に、と繋がって動いているのが、私達の身体。
それは、ちょっと横を向くだけでも、前に向かって足を踏み出すにも、ただ首や手足を出すだけではなくて、背骨が、腰が、ちゃんと繋がりながら動けるようになれば、首なり足なりだけに負担をかけることがない。
ケガや痛みというのは、身体が誤った動きをした結果、限られた箇所だけを動かしてしまった結果、そこに負担をかけてしまった証、ということもできるんだね。

身体と脳に、このように動かせ、と「強制」するのではなく。
あくまで自然に、身体と脳が自ら「気づいて」、そのシナプスを作っていくようにトレーニングしていくことが、大事であるのだな。


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先日、2回目のレッスンを受けさせていただいて。
今度は椅子に座って、右側を向く、という動作を、首、肩、背骨の上部、下部、足、と順に意識しながら、またごく軽く動かすことを続けた結果、最初よりぐんと、左右を向ける可動域が広がったよ。
しかも、はっきりと首の負担が減ったんだ。ピラティスで首を痛めて以来、その辺りが凝って、たまに動かしにくい時があるのだけど、この時の楽さは爽快の一言。

そして立って歩いた時、私の姿勢が変わってた
Hirokoさんがご覧になったところ、最初はちょっと後ろに反り気味な感じだったのが、レッスンの後は、上半身がより前に移動したのだそう。

実はこれ、とても重要なことだそうで。
つまり身体の一番望ましい形というのは、「何があっても、すぐ対処できる姿勢」であるので、たとえば物が落ちた時、咄嗟に受けとめる為には、身体が後ろに反ってたら無理だよね。
モデルさんがステージで歩く時、胸を反らして顎を上げて、それはとても美しいのだけど。
腰や骨盤に負担がかかる上、ヒールがすべって転びそうになったら、その姿勢で咄嗟にとどまるのは難しかろう、とな。
まあ、普段はそばに取り巻きが控えているだろうから、彼らがうけとめてくれるかもしれないが。つーことで、取り巻きは前傾姿勢でいるべきだ、ってどーでもいい。

そんなことじゃなくて要は、私の身体と脳が学習した結果、より効率の良い姿勢をとれるようになった、ということなのだ。


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元々フェルデンクライス博士は、右ひざの大怪我をきっかけに、自分の身体を実験台として、新しいリハビリ法を模索した結果、このメソッドを生み出されたので。
フェルデンクライス・メソッドも、アナット・バニエル・メソッドも、身体に不自由な部分を抱えている、障害を負っている、といった子供や大人に、ぜひとも実践してほしい方法だ。
リハビリのあれこれについて考えていた私、正に一筋の光明を見た思いがしたんだよ。

同時に、運動選手がこのメソッドを学べば、より的確な身体反応が得られるわけだから、トレーニングの効果が一段と上がるであろうし。
特に持病のない人でも、肩凝りやストレスを軽減したり、集中力を高めたり、腱鞘炎などを防いだり、といった効果が望めるのではないだろうか。
バランス感覚を向上させるわけだから、転倒やケガの予防もできるだろうし、現在行っているエクササイズやアクティビティの、効率アップにも繋がるかも。


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骨の矯正、というイメージでとらえれば、カイロプラクティックがすぐに浮かぶけど。
Hirokoさんに、カイロとバニエル・メソッドの違いを尋ねたら、首の骨を例にとって、わかりやすく説明してくださった。

首が右に曲がってるとしたら、カイロは外側からぐっと圧力をかけて左側に曲げて、正しい位置に据えるよね。
それで一回ですめばバンザイなのだけど、首の周りの筋肉は、今までと違う状態に引っ張られているわけだし、骨も不自然さを覚えて、また元の右側に戻ろうとしてしまうので。
何度か繰り返さなくてはいけないのと、そのたびに痛みを覚えることもあるかもしれないね。

これがバニエル・メソッドでは、なんと更に右側に首を傾ける、という軽い動作を繰り返すんだって。
そうするうちに脳が、「これが右に傾いた状態である」ということを認識して、中心に据えようと、左側に少しずつ首を戻すように働きかけていくので、いずれ正しい位置に戻っていくのだそうだ。
痛みもない上、無理な圧力をかけることもなく、根本解決に至るのだそうだ。
こんなありがたいメソッドがあるんだなあ。


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と、有頂天になってばかりはいられない。
Hirokoさんによると、わくわくさんと私は、相当反応が早い方だそうで。普通は初回は特に、はあ?だから何?という方が多いんだって。
それは、私達が時々ヨガをやっていて、ゆっくり身体を動かすこと・身体を意識して動かすこと、にある程度慣れていたから、なのかもしれないね。

そしてレッスンの効果は、すぐわかるものと、2~3日経ってから出るものがあるんだって。
脳が新しいコネクションを理解して、それを統合するのに、時間がかかる場合があるそうで。

それに、せっかくできたシナプスも、その動きをしばらくやらないと、いずれ消えていってしまうから。
続ければ続けるほど、身体が動きを理解していくだろうし、どれだけ動けばいいか、どの辺りで休めばいいのか、判断できるようになってくる、というお話。
健康に関する諸々のことと同様、長い目で見て続けていくことが大事だなあ、と思うんだ。


筋肉を鍛えるエクササイズは色々あるから、それぞれ合うものを選べばいいよね。
ゆっくりした動き&呼吸が好きであれば、ヨガも良いし、ピラティスなんて、それこそ第一次大戦後の兵士のリハビリの為に考案されたものだしね。

そして根本の骨格を、アナット・バニエル・メソッドで。
身体が確実に変わっていくことが、とても心地良くて嬉しくて。
今、私の脳ががんばってるんだなあ、と感じることが、自称プチアルツには希望の星。これぞ、ボケ防止策の一つかと。
なんたって、学習能力を高めるから。学習能力を高めるから。(サブリミナル効果)

家族も私も、今は幸い病気や不自由はないけれど、いつ脳梗塞や卒中を起こすかもしれないし、事故に遭う可能性も常にある。
アメリカならまだ良いが、日本のリハビリ事情は大層辛そうで、ほんの少し調べただけでも、目の前が暗くなったのだ……
だからこそ、こういうメソッドを教えてくれたHirokoさんには本当に、感謝という言葉では足りないくらいなの。

そして私の場合は何より、Hirokoさんからレッスンを受けられたから、というのが大きくて。
不慣れな日本語のレッスンであったにも関わらず(普段は英語でやってらっしゃるので)、インストラクションがとてもクリアで、何を聞いても明快に説明してくださって。
このメソッドの重要さは、「本人の身体に、自ら気づかせること」であるのだけど、それを可能にしてるのは、押しつけがましさが欠片もない、Hirokoさんの優しく的確な”促し”にある、ということを、2回目のレッスンで再認識したよ。
私よりずっと年下でいらっしゃるのに、すっかり信頼・尊敬しきり。
お嬢についてのあれこれも、とても温かく聞いてくださったこと、本当に嬉しい限りでありました。


さて、Hirokoさんのワークショップ、及びレッスンのご紹介です。

・有料ワークショップ
2ヶ月おきに、土日の2日間かけて開催されています。リハビリ従事者、一般の方、問わずに参加可能です。
9~11月のトピックは、Overcoming Neck and Shoulder Pain through Anat Baniel Method, based on the work of Dr.Moshe Feldenkrais I&II
首や肩の痛みのない方でも、ご自身の体と心の癖を認識して、もっとしなやかな動きが出来るようになったり、重力の感じ方が変わってきたり、しなやかで美しい(見た目だけでなく、機能的な)動きが常日頃から出来るように、何を心がければ良いかを学びます。
参加費は、医療従事者の方は$250~275、一般の方は$180になります。

・ご自宅でのレッスン
1回約1時間で、動きのレッスンを行います。
動きのパターンは日常生活の動きとつながっていますので、レッスンの最後にどのようにして、レッスンで学んだことを日常生活に融合していけばよいかを学びます。
料金は、1人$15。
3人以上のグループであれば、サウスベイ近郊で出張レッスンも可能です。その場合は1人$20となります。

・連絡先
Access Your Brain
 こちらにHirokoさんの連絡先が載っていますので、
 興味のある方は、ぜひお問い合わせくださいませ。

いずれは、場所を借りての定期的な教室も開催されたいそうなので、そちらも大変楽しみにしております。

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日本のリハビリ事情について思ったこと、一応次回に書いておこうかな……(自信なし)
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by senrufan | 2011-10-16 10:12 | Trackback | Comments(8)
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Commented by KawazuKiyoshi at 2011-10-18 15:42
ふー、体調をっとの得ておかないと・・・
骸骨の標本を見てたら、あそこの骨は???
なんてことになりますね。
私は看護婦泣かせです。
持てるわけじゃありません。
はっはっは
血管が細くて、静脈注射は大変なのです。
注射が嫌いだから、針が来ると、スルッと血管が逃げていきます。
看護婦さんが、だんだん真剣な顔になるのを見ると
いつも気が気ではない私です。
でも
今日もスマイル
Commented at 2011-10-18 16:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Miyuki at 2011-10-19 09:47 x
*Kawazuさん
看護婦さん泣かせ、わはは、そちらの方でいらっしゃいましたか!
日本の看護婦さんの注射テクニックは大したものだと常々感心しているのですが、その看護婦さんを泣かせるとは素敵です(違)
体調を整えておくこと、とても大事ですよね!
明日のスマイルには、予防が一番♪
Commented by Miyuki at 2011-10-19 09:51 x
*非公開コメントさん
お久しぶりです~! というか実は昨日、友人の家までの地図を見ていたのですが、同じ名前の通りを発見して、お元気かなあ、と思っていたのですよ~♪
そしてそして、ななななんと、そういう繋がりで! びっくりしつつ、なんかすごく嬉しいですーー! というのは私の中で、お2人のイメージがちょっと重なっているんですよね。小さい頃からの食生活などについてのお話から、なんですけど。こーれはぜひいつか皆で会わなくてはいけませんね~~vv
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2011-10-25 08:38
一生懸命ブログの文章を読みながら、どうしても美味しそうな料理の写真に意識が飛びまくって困りました。

どうも体を "がしがし" 動かしたい頭まで筋肉派の私は、ヨガもまだその良さがわからず。でも、人間の身体って自分でより安全で効率的な動きをとれるようになるものなんですね。狐につままれたような気分です。カイロとの違いのご説明もほえ~と納得でした。Miyukiさんのように、「自分の身体の声をもっと聞けるよう」考えながら生きていけるといいなと思います。今元気なら、今動けているならと、将来の苦労から目を逸らしてはいけませんね。家族のためにも。そんなMiyukiさんこそ、ブログを通して「気づき」を促してくださっているのかも。
Commented by Miyuki at 2011-10-25 10:33 x
*shinaさん
本当はお料理の記録も残したかったのですが、これ以上長くするわけにいかないので諦めましたあ。とっても美味しかった~~(思い出しヨダレ)

人それぞれに好きなスポーツがありますからね。私も昔は水泳でガンガン泳いでいたのですけど、今はこういうスローな動きで気づくことが多く、それが身体だけでなく頭も快感なのです♪ そなんですよね、20代・30代の頃のツケは、40・50代になってからくるんですよ。短期的な視野しかもたなかった自分、自業自得でございますわ、とほほ。今からできることを、これからもHirokoさんに教わっていこうと思いますvv
Commented by るしあママ at 2011-10-31 13:37 x
フェルデンクライスはちょっとだけ自分で試したことがあるのですが、可動域がものすごく広がってびっくりしたことがあったので、このバイエルメソッドもどんな感じでやるのかとっても興味があります。 

自分の身体の気づきを促していけるっていいですよね。 ^^

脳へ働きかけていくことが痛みを軽減したり、身体の回復を早く促したりということを最近とても実感するようになったので、シナプスを作るという部分にとても興味を覚えました。
Commented by Miyuki at 2011-11-01 04:27 x
*るしあママさん
さすが、試されたことがあるんですね~♪ そして驚かれたということは、やっぱり反応が早かったということ。るしあママさんの場合は、元々身体の感覚がとても敏感なんだろうなあ。

そなんです、とっても鈍い上に、日々自堕落に過ごしているので(涙)、せめてこおゆうことでもしていかなくては、と。

私は脳で考えすぎる、とヨガの時に思うことが多いのですけど、このメソッドは脳に働きかけていくんですよね。「考える」のと「シナプスを作る」のは、同じ運動のように見えても、差があることなのでしょうね。


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