それはデカルトの昔から

「あなたが本当にそうだと信じることは、常に起こります。そして、信念がそれを起こさせるのです」
   ----- フランク・ロイド・ライト
        (アメリカ人、建築家、1867年6月8日生まれ)


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つい先日まで続いていた、雨と低気温の日々。
ようやく終わりを告げたようで、ほっとしているところです。
カリフォルニア・ベイエリアの6月で、雨なんてありえない。日本語補習校の運動会が雨天で中止になったのは、本当にかわいそうでありました……

先日の土曜日もまだ雨で、ファーマーズマーケットで屋台のお兄さんが嘆いていたのは、
夏野菜の光合成が足りなくて、このままだと栄養不足になってしまう、ということ。
50年ぶりという、記録的な寒さの初夏。4・5月と、例年よりぐっと低い気温&ぐっと多い降雨量だったのですよね。

特にトマトは、この時期にバクテリアが繁殖してしまった苗が多いとか。
その場合のケアとして薦められるのは、Copper-based sprayだと聞きました。

嬉しいことに、バクテリアにやられた苗というのは、気温が上がって乾燥した暑さがやってくれば、また元気に戻るそうですので。
今週に入ってから、じりじりと上がり始めた気温に、期待したいところです。熱波は嫌だけど。

震災チャリティーで買った我が家のトマト2本は、幸い、すくすくと大きくなってくれています。
歓迎、お日様。がんばれ、トマ子とトマ夫。(え)

* * * * *

【学校】

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(ええと、前回日記で書き残したことをぐだぐだと書きますので、お読みにならなくて結構ですから。いやほんとに!)



ずっと変わらず何年も、養老孟司先生のファンでありますが。
先日読んだご本、「あなたの脳にはクセがある」の中に、日本の小論文に関する文があったのですよ。




「医学部の入試で、ヴェトナム戦争で母親が子どもを抱いて涙を流している写真を見せ、どんなことでもいいから感想を書きなさいと出題した。
まともに自分で考える受験生が多ければ、色々な答えが出てくるのが自然だろう。
ところが、どれもほとんど同じ内容で、最後は、医学のためには云々というオチがついてくるところまで似ていた。小論文のまとめ方のパターンを受験テクニックで教えられ、それに忠実に従って書いただけの内容なのだ。
自分で考え、その感想を書いた受験生はごく少数しかいなかった」

自分も日本で受験を経験して、今は娘の日系塾の勉強内容を聞くにつれ。
日本の学校で高得点を取る為には、「考える」ことがしばしば妨げになることは、それこそ自分が学生である時から気づいておりました。
子どもが数学や国語を勉強して、なんでこれがこうなるの、と悩んだ時。
大人から与える「点を取る為のアドバイス」は、考えるな、考えずにただそのまま覚えて、機械的に解いていけ、と言わざるをえない時が度々ある、という現実。

国語で、「作者が一番言いたかったことに○をつけよ」、なんて。書いた本人でさえ意識してないかもしれないし、作品を読んだ人が自由に想像できるのが良い小説なのに、そんな設問自体、本来ならば在り得ない。
だけど、そういう問題が多く出るから、傾向を覚えて、正解とされる答えに早く行き着けるように「学習する」。
ヘタに「考える」と、その答えじゃないものを指し示す可能性がある上、時間内に終わらないかもしれないから、考えないようにする。

これはテクニック、と割り切っていかないと、進んでいけないシステム。
それが日本の教育であったなあ、と思います。

そのシステムを良く理解し、上手くのっかることができた人ほど、偏差値が高い大学に入ることができ。
優良企業に就職してから、仕事上での創造性や、社会能力の有無を求められるようになるのですが、今まで「考える」訓練をしてこなかった人は、ここでほとほと困ることになりますね。
私が働いていた会社では、出身大学の偏差値の高さと、その人本人の仕事の能力は、決して正比例ではなかった、というのが個人的な実感でありました。
(勿論、本当に「頭の良い」人は、どちらもできるということも知っておりますよー)

で、こんなことは、何十年も前から言われていることですし、大多数の方々がご存知で、憂慮されている事実だと思うのですが。
それをどこで、どう変えていけばいいのか、わからない。
たとえば思い切って入試改革を行って、集めた学生が、ハズレが多かったらどうしよう。
斬新な採用方法を試して、どうしようもない新入社員が増えたらどうしたらいいのか。
リスクをおかし、冒険し、その後の責任をとる勇気。それには、少なくとも10年ぐらいの年月をかけるつもりで臨まなくてはならないのに、早く効果が現われないとクレームが来かねない。

塾の先生だって、もしかして内心は疑問を持っていたとしても、そう教えていかざるをえない。
大学側の過去の傾向から判断し、受かる可能性を上げるのがお仕事ですからね。

変わらないままの日本の教育や企業に悲しみを覚えながらも、実際どれだけのものを背負わなければならないかと考えれば、踏み切れない気持ちも良くわかり。
それこそ、自分がそういう教育で育って、その手のものに躊躇することを、自分の脳に覚えこませてしまった日本人であるという証、なんですね。


日本式の教育にも、良い点は沢山あると思いますし、米国の教育法がベストだとも思いません。
しかし少なくとも、お嬢が受けている教育を見ていて、「鵜呑みにすること」を良しとしてきた科目はない、と感じております。

変わるきっかけや勇気がなければ、たとえば帰国子女受験を利用して、「考える」こと重視の試験を課してみる、なんて実験をしてみるのはどうだろう。
たとえ一般入試と同じ内容の試験であっても、答えの基準値を別な点に置いてみるとか、少人数である分、やりやすいのではないかなあ。

過去の帰国子女受験の内容を知りませんし、採用した大学側の感想や意見の推移も知らないので、もしかしてそういうことを今までやって、それで帰国子女を特別扱い(?)しないと決めたのなら、文句は言えないことですけれど。
実験しないままに、ただ採用枠だけ別扱いにして、学生に「求めるもの」を同じくしているのだとしたら、少々勿体無い、と思うのです。

米国はfairであることにこだわる国ですが、実は日本こそ、”公平性”にこだわるお国柄。
ですが、各人の資質の均一化というのは、本来の意味での”フェア”ではないことですから。(むしろ社会主義)

理屈抜きに受け入れた方が良いことも、世の中には沢山あるけれど。
いろんな疑問を持って、いろんな視点と切り口を持って、自分の引き出しを多く持って欲しい。
日本で生まれ育って、日本の大学、日本の会社と進んできて、
「考え」の足りなさ、創造力の乏しさ、臨機応変性と柔軟さに欠けることを、長年に渡ってずっと自覚してきた私が、
自分自身の後悔を込めて、子供世代の教育に望むこと、でありました。
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by senrufan | 2011-06-08 09:52 | Trackback | Comments(8)
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Commented by Sarahの旦那 at 2011-06-10 15:40 x
私は、点数を念頭においた教育方針も捨てたものではないと思っています。しかしながら、世の多くの人とのスタンスは多少異なるかもしれません。
実際に教えていた立場の人間として、決して形式を教えることは楽しいことではありませんでした。結果、私が自分の信条として伝え続けていたものは、点は取るものではなく、落とさないという姿勢、つまり採点者に減点をさせる余地を与えないという考え方です。
点を取ることを念頭においているものの考えでは、勉強は受け身の"鵜呑み"になりがちです。先生に好まれることをして点数をもらえる"いい生徒"になれます。なんともつまらん。
自分の答案を採点者に減点をさせない。採点者との戦いです。楽しいではありませんか。そんな考えの結果、私の不得意科目は不得意のままだったのかもしれませんが。あ、本末転倒...
Commented by Kirsche at 2011-06-11 01:29 x
お久しぶりです(^^)

記事は拝見していますがコメントはなかなか・・・・。

今回の記事はいろいろなことを思い出させてくれました。確かに日本の教育の仕方は「考えること」をあまり重要視していませんでしたよね。

「作者が言いたかったこと・・・」ですが、何かで読んだのですがある作家(男性だったかと)が国語を勉強していた息子のところで見たのがこの問題。しかも自分の作品であったと。

選択肢は3つくらいあったらしいですが、どれも違っていたようで。答えを見て「そうなのか」と思った、というようなことが書かれていました。一体、何の意味があるんでしょうね、この手の問題。

考えることをしてこなかった私たちがここアメリカへ来て一番困るのがESLやその他のクラスで

「どうしてそう思うのか?」

と訊かれること。日本人で瞬時にこれに答えられた人は、未だかつて見たことがありません。私もそう訊かれて返答に詰まった一人です。

いかに今までの人生で脳みそを使ってこなかったか、ここに来て初めて知りました。大人になってからでは遅いかもしれないけれど、子ども達は是非とも思考力・創造力は身につけて欲しいですね。

Commented by Miyuki at 2011-06-11 12:17 x
*Sarahさんの旦那さま
うっわあ、目からウロコがぼろぼろ落ちましたあ~~。
なるほど、なるほど、特に数学を例にとると、すごく良くわかる話です! さすがです!(更なる尊敬) 娘に、その心構えでのぞむように伝えねばなりません。おっしゃる通り、システムにのるならのるで、それに埋没することのない工夫や気構えが必要でしたね。そういうことを教えられる位置にいるのが、先に生まれた「先生」や「大人」なので、その役割を少しでも果たさねば、と思います。えーと、少なくとも気持ちだけは(殴)
Commented by Miyuki at 2011-06-11 12:25 x
*Kirscheさん
お久しぶりですー!
いやいや私こそ、毎記事拝読しているにも関わらず、いつも読み逃げですみません~。ネタ切れなんて信じられない面白さをありがとうございます(笑)

はああ、やっぱりそういうことがあるんですねえ……小説の解釈すらも型にはめるなんて、教育の名にもとると思うんですが。
そうですね、こちらに来てから、英語力の問題だけじゃなく、議論ができない自分に気づかされてばかりでございます。
たとえばマイクをつきつけて意見を求めたとして、こちらでは子どもからおばあちゃんまで、その場で滔々と述べちゃったりできますからね。それこそ幼稚園の頃から鍛えられてますから。
でもそれは教育方法の差であって、能力の差ではないと信じてますので。これからの子供達にどうか、日本人の美点=謙遜を失うことなく、意見を持つこと、そして言葉や形にして表す技術を身につけてほしいものだと思います。
あ、ちなみに人生すでに下り坂の私は免除してください(死んでこい)
Commented by マミィ at 2011-06-11 16:16 x
雨と低温の日々が終わって良かったですねー。ノルマンディはいまだ続いておりますが、うちのトマトも元気に育っておりますよ!ああいう健気な姿を見ると元気が出ますね。

「考えること重視の受験」で突然思い出したのが、ICU大学付属高校の受験のことです。私立高校受験の年にちょうど開校したので塾の先生に薦められて面白半分で受けたのですが、数学の問題は1問だけだったような覚えが。学校や塾では見たことも聞いたこともないような文章問題でした。長い文章の中に過去に習った公式や法則が違った記号や形式で織り込んであり、まるでちんぷんかんぷん。公式の丸覚えだけで、なぜそうなるのかを考えたことのなかった自分は面喰うばかりで完全ノックアウト。当時、どんな人なら解けるのか、合格者のことがとても気になったものであります。

上っ面を記憶するだけの、受け身の教育は本当に残念ですよね。
Commented by Miyuki at 2011-06-12 11:19 x
*マミィさん
ノルマンディの曇天は、すでに様式美でございますなあ。その中で元気に育つトマト、きっと美味に違いありませぬ♪

おおお、そでしたか~!ICUの数学はアメリカ式なので、日本国内の子が受けるより、帰国子女が受ける方が有利と聞いたことがあるです。かといって、アメリカが数学大国なわけでは決してなく、やはり日本人は数学できるんですよ。特に計算が強いんですな。教える方向と深さが異なるので、両方見につけられればすごいもんだと思うんですが、双方を学んでいるうちの娘は、いまだに数学が大の苦手でございます……

自分が、割り切ってというより、”逃げ”で上っ面教育を受け入れてきたので、こんな大人が増えちゃいかん!と切に願うのでございます。
Commented by 初音 at 2011-06-12 12:31 x
こんにちは~♪
カルフォルニアが寒かったんですか?!
トマトちゃん!美味しくな~れ!!^^

私は、日本の学校での、感想文に点数が付くのに今も疑問をもっています^^;
帰国子女受験って大変なんですね?!
お嬢さんにガンバって頂きたいなぁ~と思います!!
次元が違うけれど、私の受けた劇団は学校の成績表を提出するので
勉強を頑張った想い出があります。。。
アメリカの教え方と日本の教え方ってかなり違いがあると聞きます。
私くらいの齢になると、若い頃の物の考え方、想像力をいかに使っていたか
が大事になるんだな~と感じることが多いです。。。
お嬢さんには今思いっきり基礎になる思考&想像性を磨いてほしいと
願っています♪(^◇^)
Commented by Miyuki at 2011-06-13 06:28 x
*初音さん
そうなんですよ、信じられないでしょ?
これからガンガン日が照って、野菜が大きくなってくれるといいんですけどねー。

それそれ! 感想文に点って、あれじゃ本を読むのも文を書くのも嫌いになっちゃいますよね~。
劇団にも、そですかー。勉強が得意な人には、点数を稼げる良いポイントではありますね。
おっしゃる通り、私も若い頃にもっとあれこれ、と後悔することが多いので、娘にはもう少しなんとか、と望んでしまうんですね。
大人側の勝手な望みを背負わせちゃいけないのですが(笑)、それでも、どう考えてもそっちが良いと思うことが多いので。私も願ってます♪


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