三つ子の魂の行く先は

「現実的な人は、もう少し時間をとって夢を見たら、もっと現実的になるだろう」
   ----- J. P. マケヴォイ
       (アメリカ人、作家、1897年1月10日生まれ)


日本でオモシロ英語ネタ、今回はほとんどなかったねー、とお嬢に言いましたら。
それより、こんな身近にあるんだよ、知らなかった?と、とあるレシピ本を見せられました。

マクロビオティック・スイーツの本なのですけど、メニュー名は日本語、そして写真のところに、英語訳名が書いてありまして。
随分前から持っていた本なのですが、全く気づきませんでした。

全粒粉のパンケーキ = Unpolished Flour Pancake
むらさきいものタルト = Murasakiimo Tart
小豆のパイ = Small Beans in Pie
りんごのくず煮 = Boiled Apple with Kudzu Vine Pouder(Powderにあらず)
豆腐のレアチーズケーキ = Rare Cheese Mousse with Tofu

……ええと、もうこれぐらいで。

少なくとも、こおゆう公けの本や広告ぐらい、誰かチェックする担当の人はいないのかなあ……
メジャーな英語でさえこうなんだから、もう少しマイナーな言語はどんな状況なんだろう。(考えるのも怖い)


ところで、上のメニューを見て、今頃気になったこと。
レア(生)チーズケーキって、日本以外にあるの?というギモン。
思わず由来を調べたところ、日本で最初に発売したのは、かの赤坂のトップスだったそうですが。
そもそも、「生菓子」という名称自体、日本以外ではあるのでしょうか?どなたか教えてくださいぷりーず。(他力本願)

* * * * *

【雑事】

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お嬢が最近読んだ本は、Amy Tanの「The Joy Luck Club」
中国には色々と思うところが多い彼女ですが、これはとても良い本だった、と楽しげに感想を話してくれたのですね。




ただ、娘達世代が母との思い出を語る中で、
娘はアメリカ人として育てようと、家でも中国語は話さないで育ててきたのに、
大きくなった娘が中国語がわからないと怒ったり、中国の常套句のようなものを知らないとショックを受ける、
といったシーンが幾つかあったそうで。

教えてないのに、わかるわけないのに。なんでそんなひどいことを言うんだろう。
中国語を、中国文化を受け継いでほしかったのなら、なぜちゃんと教えなかったのか。
バイリンガル、マルチカルチャーといったテーマが日常であるお嬢にとっては、ごく自然な疑問であったわけです。


彼女には、台湾や香港からの二世の友達も多いのですが。
たまたま彼女の友達は皆、親も中国語を強制しなかったし、中国語学校に通った子自体ほとんどいなくて、バイリンガルといえるほどの子はほんのわずか。
お嬢を含め、日本からの友達がほぼ全員、日本語教育にも熱心な状況とは、全く相反しているんですね。
中国語はこれからますます、世界でも重要な言語になっていくのに、なんて勿体無いんだろう、と思うのは、いまだモノリンガルのオバハンの羨望です。
だって、英語と北京語とスペイン語ができれば、世界の8割は制覇できるんじゃ? あ、あとフランス語。

前回書いた新聞記事のように、アメリカに移住してくる人達は、アメリカに骨をうずめる覚悟で渡って来るわけで。
より良い環境を求めて、そして子供達に、より良い未来を与えたくて。
日本から来る人達とは、ハングリーさが違う、というのは、何十年も前から言われてきたことでありますね。
その日本人の中でも、「駐在組」と「永住組」という言い方で、それぞれのスタンスを区別されているのは、現地在住の方々は良くご存知の通りです。

当然のことながら、一人一人、それぞれの思いと価値観があるのですから。
そんな言葉で、滞在の”真剣度”を計ったり、勝手に性格を推し量るようなことは、本当は望ましくないのですけれど。
自分が属する”場”探し、自分の”仲間”探しにおいて、そういったカテゴリーや背景を手がかりに、と考える傾向があるのも、また日本人らしいのかもしれません。

しかし、たとえ「永住組」と名乗ったところで、実際に心底からそれを必然と思う人の割合は、日本の人においては低いのではないか、と思います。

それは、帰ることのできる国があるから。
アメリカと比較して遜色ない国に、自由に帰れる身分であるから。
子供に教育を、と求めて渡米してくる人達の横で、母国の方が望ましいから、と子供だけの帰国を考えたりする。そんな国が、世界にどれほどあることか。

それが悪いわけでは決してないし、とても幸せなことであるのですが。
同時にそれは、母国がそういう状態にない人達の思いを、自分が芯から理解することはできないだろう、ということと、ましてや自分視点で批判することは絶対許されない、ということを意味すると思うのです。


一世から二世に、親の国の文化や言語を子供に伝えようとすれば、親側の熱心な働きかけは勿論のこと、子供側の自主的な努力や、強い動機付けが必要になります。
以前読んだ話によれば、
一世は、自国の言葉や文化を保持し、子供にも伝えようとする。
二世は、周囲との軋轢からそれを嫌がり、現地の子以上に現地に馴染もうとする。
三世は、親のそういった葛藤から解放され、居住国の一員として問題なく育ちながら、自分の中にある遠い国に興味を持ち、むしろ積極的に知識を得ようとする。
こんな傾向がある、と書かれていました。

三世に至って回帰するのか、と言われれば、それはやはり、他国人としての興味の範囲を出ないのかもしれませんが。
興味深いのは、三世代以上に渡って、言語・文化を継承できているのは、ユダヤ人とジプシーのみ、つまり国を持たない放浪の民である、という事実ですね。
だから、「母国」とは何か、という定義づけから、本当は始めるべきなのかもしれません。


何を、どこを、自分のMotherと定めることになるかは、その子が生きていく道のりで、いつかは見出していくべきこと、とは思っておりますが。
少なくとも最初の数年は、親が定めた環境に左右されることになるので、そこで親側の文化をどう伝えていくかは、各家庭で熟慮すべきこと。
その上で、強いて伝えず、その場所で楽しく過ごしてくれれば良い、と願うのは、間違っていないと思うのです。

ただ、ほとんど記憶のないままに母国を離れた一・五世の子供達が、親と同様に、もしくはそれ以上に、母国への郷愁を募らせることがあるように。
英語の話せない親を軽蔑して育った二世の子が、大きくなって親の母国史に興味を持ち、勉強を始めたら、自分の親が深い教養の持ち主であったことを発見して、長年の親子のわだかまりが払拭された、というエピソードが語るように。
どこでどう、その子供に関わりを持つことになるのかは、神のみぞ知ることでありますから。

伝えるならば、母国の良い点も悪い点も。親のルーツを語る、という範疇で。
そして、今いる場所の良さと、人種や国籍、言語に対する尊重と。
人それぞれに背負うものがあって、それは決して一視点から判断して良いものではないことと、上下に並べてはならないことを。

人種偏見や差別意識の基礎は、親が作る可能性が高いという意見の私は、
こういった類いのことは特に、子供の中にポジティブな形で根付いてほしいので。
名前や誕生日が皆違うように、瞳や髪の色、人種や国籍も、誰もが違って当たり前の、その人を形作る一部分。そんな風に浸透してくれたら、と願います。

より良い教育を求めて異国に来たのなら、
母国では脱ぎ捨てられなかった柵を、子供に背負わせることはしたくない。

幼稚園の頃、中国からの子に「人殺し」と呼ばれたり、
高校生になった今でも、尖閣諸島や南京のことでイチャモンをつけられたり、といった生の体験をしているお嬢の思いは、ゴクラク母ちゃんにとっては、簡単に無視できないもので。
そんな彼女が、上記の中国のことで、一番強く感じて眉をしかめたのは、
言語や文化は継承しなくても、恨みはしっかりと教えて伝えている人達がいること、でありました。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

ところで中国について、もう少しだけ。

具体的数字は忘れてしまったのですが、中国政府の発表によれば、中国語の普及の為、海外の中国語教室などに巨額の補助金を出すそうで。
土地の買占め、移民の増加、言語の普及。さすが彼の国のやり方ですな。
なんせ人材を13億も抱えていれば、繰り出す”弾”に不足することはないもんなー。

しかしその移民が、次世代に言語を教えてないというのは?と思いきや、
自分の意思で国を離れた人には手を差し伸べないということかい、なんて邪推もしてみたり。
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by senrufan | 2011-01-10 15:43 | Trackback | Comments(8)
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Commented by matsathome at 2011-01-13 02:01
何年も前の話ですが、当時のESLの先生に勧められてThe Joy Luck Club 私も読みました。でもね、その当時日本人度100%だった私には理解(共感)できなかったんですよね。

当時の私は「一世の親は自分はアメリカで通用する人間ではないと知っているから、せめて子供には通用する人間になって欲しいという気持ちの何が悪いの?英語が出来れば、アメリカの文化に同化できれば母国のことなんて知らなくても、それでいいじゃない」ぐらいに思っていましたから〜(笑)

ぜひ、お嬢さまにThe Accidental Asian by Eric Liuを読んでもらいたいな〜。そして、ぜひ感想を聞かせてもらいたいです。
Commented by Miyuki at 2011-01-13 11:57 x
*Sarahさん
確かに、ESLの生徒には良いテキストですね~。

うん、以前にSarahさんが思われていたことは、渡米間もない日本の人の多くが思うことかもしれませんね。日本の、幼児にまで広がる英語教室の氾濫や、国語を削って英語を、とする動きなどを見ていると、私もずっと日本にいたら巻き込まれていたかも、と思って見ています。

お嬢がAmazonでチェックして、読んでみたいと言ってました。ご紹介ありがとうございます~vv
Commented by 初音(ゆりこ) at 2011-01-14 07:01 x
おはようございます♪
ちょっと事情があって(これも差別ゆえかしら~?)新しいブログからで~す♪

お嬢さん色々と人生勉強をしてるのね?!姪っ子もこの前アメリカから
帰ってきて(留学)人種差別についてのアメリカを色々と話していました。
我が家は家の中は外国だから(理解して頂けるかしら?!)本当は
外国に行かないと分からないけど、時々、息苦しくなる時もあります・・・

レアチーズケーキ&生菓子って、日本だけなんですか?(大恥!!)
私はこの齢まで何してたのでしょ~?!(-"-)
Commented by Miyuki at 2011-01-14 15:25 x
*初音さん
初コメントありがとうございます!(笑)
なんて笑ってる場合ではないのでした。大変でしたねえ……

姪御さんはアメリカを気に入られましたでしょうか?
ほんとにね、一番大切なのは、自分が「家=帰る場所」と思えるところを見つけることですよね。
それは少なくとも、勝手に人の個人情報を手に入れて操作するような犯罪行為が行われるような「家」ではないはずです。
すみません、でも初音さんのショックを考えると、もう……

いえいえ、私は他の国を知らないので、どうなのかなーと思っただけなのですよ~。
どこかにありそうなんですけどねえ。
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2011-01-15 04:13
落ち着いて時間の取れるときに読むように取っておいたエントリ、ようやく拝読しました。自分でこういう内容を考えるのは苦手ですが、Miyukiさんの思いを読むだけで大変参考に(刺激に)なります。

異文化を取り込もうとする意欲や意識、異文化の中に置かれた子供の葛藤など、私にはまったく未知の世界だったことを、夫が成長時代の思い出を交えて折々話してくれます。私よりずっと周りを理解しようとし、周りがどう感じ、どういうことをされたらその人が傷つかないかを、文化や育った環境の違いまで踏まえて常に考えていて。それは本当にすごいことだなあと思います。異文化の中で育つということは、それだけでとても価値のあることなんでしょうね。

日本人が日本の文化や日本語を後世に伝えようとするのは、いつか日本に帰るだろう、帰れるだろう、帰ることが望ましいだろうと考えているからなのかもしれませんね。Mother。素敵な言葉です。
Commented by こっぺ at 2011-01-15 13:50 x
Joy Luck Clubは学校で教材にされますね。私は映画を見ました。映画もとってもよかったですよ。(←英語読むのが面倒だったからなんてナイショ)
東南アジア出身の友達は、母国では自分は第二国民扱いなので(そんなのがあるとも知りませんでした私)帰っても仕方が無いのだと言っていて、それこそ私なんかとは数倍も覚悟が違います。私は覚悟すらありませんもん。
私が日本に帰りたいのは、異文化の中で周りとうまくやっていく自信がつくづくないからというのもあります。自分の中にすごい偏見があるし、気遣いも全然なくて。今は息子に合わせてもらってますけど、今後どうなるかと。子どもと一緒に学んでいくしかないのですけど。
エントリを読んでいろんな思いが押し寄せてしまってまったくまとまりませんが、Miyukiさん、ありがとうございます。ここのブログ、大好きです。
Commented by Miyuki at 2011-01-16 07:28 x
*shinaさん
貴重なお休み時間を無駄にしたのでなければ良いのですが……!(ふるふる)(恐縮) 私もこおゆうことを考えるのは苦手なので、文字で書かないと整理がつかないんですよ、情けない。

旦那様のお話は、本当に貴重ですね~。私は日本で生まれ育って、頭ではわかっていても、異文化が空気のように当たり前という感覚は、なかなか簡単には身についてくれなくて(涙) 性格を変えることですからね、早々うまくはいかないんですよねえ。だから始めからそういう環境だった、というのは、とても羨ましく、絶対失くしてほしくないアドバンテージだと思います。

そうですね、例えば日本に渡航する時、日本に「帰る」と考えるか、「行く」と言うか。そんな些細なところでもはかれるような気がしたりします。”母”とは常に帰る場所であるのですな。……ふへへへ(母ちゃんのほくそ笑み)
Commented by Miyuki at 2011-01-16 07:35 x
*こっぺさん
私も映画が見たいのです! 勿論、英語を読みたくないから(笑)(堂々)
第二国民という扱いがあること自体、私達には目が点ですよね。本当に所変わればで、私達の基準など、全く役に立ちませんね。
私も異文化で暮らせる自信ゼロでこちらに来ましたよ~。理性で常に言い聞かせてないと、ちょっとしたはずみで全然その感覚がない素の自分が出てしまう、と緊張していた頃もありました。それが子供の成長を通して、随分と学ばせてもらって、少しずつ変わってきているなあ、と思ってます。これでも(爆) 人それぞれの学ぶ道がありますが、子供はとても重要なファクターの一つですので、子育てにとても前向きなこっぺさんなら、きっと沢山のことを掘り下げていかれると思います!
あああ、ありがとうございます~~~。自分では相当な劣等感がありますので、ほんとに涙が出るほど嬉しいです。私もこっぺさんのブログは、子育て中の友達には漏れなくURLを送りつけております。これからも楽しく拝見させていただきますっ!って、なんでここで宣言(笑)


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